FIREとは?知っておくべきリスクとメリット・デメリットを紹介
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2023年8月 1日
FIREは自由に生きる方法として注目を集めています。しかし、FIREには、どうしてもリスクやデメリットが存在します。今回は、リスク・デメリットを解説しながら、FIREのメリットや実現する方法を解説します。
この記事の目次
FIREとは?
ライフスタイルのひとつの選択肢であるFIRE。しかし、意味や早期リタイアとの違いがわからなければスタートできませんよね。まずはFIREの意味を学んでいきましょう。
FIREの意味
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとったもので、「経済的自立」「早期リタイア」という意味を持ちます。欧米発祥のライフスタイルの考え方ですが、働き方に変化がある現代の日本でも、新たなライフスタイルとして広まっています。
FIREでいう経済的自立とは、資産運用の運用益で生活できることを前提としています。不労所得を得て仕事にとらわれずに生活するライフスタイルということです。
従来の早期リタイアとの違い
早期リタイアは定年前に退職し、自由な生活を送るために十分なお金を貯蓄しておく必要があります。例えば、ビジネスで成功した方や相続をした方など、多額なお金を持つ方であることがほとんどです。
しかし、FIREは資産運用による運用益を基本としたライフスタイルです。貯蓄を活用した早期リタイアではないため、希望するライフスタイルによっては、億万長者でなくてもFIREを実現できます。
マイホームやマイカー等、ローンの支払いが残っている場合は少額な運用益での生活は難しいかもしれません。しかし、消費が少ない方はある程度の運用益があれば生活できるでしょう。そのため、運用益で生活できるお金があれば、20代、30代でもリタイアできるのです。
FIREの種類
FIREには主に4つの種類があります。自分に合ったFIREはどの種類なのか、見ていきましょう。
Fat FIRE(ファット ファイア)
Fat FIREは十分な資産を持ち、不労所得のみで生活できることを意味し、FIREの理想的な形と呼ばれています。早期リタイア後は仕事をせずに不労所得で収入を得て、豊かに暮らせる方のFIREです。ここでの十分な資産とは、最低限の生活費だけでなく、娯楽費用など贅沢できる費用も含まれています。
Lean FIRE(リーン ファイア)
Lean FIREも、資産運用の運用益で生活していく方向けのFIREです。Fat FIREと異なるのは、最低限度の資産であることです。海外・国内旅行などの贅沢費用は含まれません。ただし、住む場所によってはお金に余裕が出ることもあります。例えば、郊外に住み賃金を下げたり、自給自足したりする方法もあります。
Coast FIRE(コースト ファイア)
Coast FIREとは、資産運用で経済的余裕を持ちながらも、好きな仕事で暮らす方向けのFIREです。生活費を稼ぐ必要がないため、ゆとりをもって働くことが可能です。生活はできるものの、社会との関わりは存続させたいという方にぴったりでしょう。
Barista FIRE(バリスタ ファイア)
Barista FIREとは、運用益と賃金で生活する方向けのFIREです。運用益で足りない生活費を働いて補填するのが、Barista FIREということになります。収入を安定させたい場合や、健康保険に加入するためにBarista FIREを選択することもあります。
FIREを実現する方法
FIREを実現するためには「必要資金を計算する」「4%ルールを実行にうつす」という2つを重視しなければなりません。
必要資金を計算する
まずは住宅費や水道光熱費などの固定費、食費・交際費などの変動費を合わせた年間生活費を計算します。退職する場合には、保険料が変わる可能性もありますので注意が必要です。また、ライフイベントの費用をどう賄うのかも計画立てておきましょう。
次にFIREに必要な金額を計算しましょう。FIREを実現するためには、年間支出の25倍の資産が必要だと言われています。総務省統計局の「家計調査報告」によると、2人以上の世帯の消費支出は290,865円。これを25倍にすると、約7,000万円が必要だとわかります。
参考:総務省統計局「家計調査 2022年(令和4年)平均 (2023年2月7日公表)」
4%ルールを実行にうつす
FIRE実現を目指す上で欠かせない4%ルールとは、1998年にアメリカの大学で発表されたルールのことです。年間生活費を資産運用額の4%未満にしておけば、30年経っても暮らしていけるという意味を持ちます。
例えば、資産運用額が1億円であれば、年間400万円以内の支出に抑えれば毎年順調な資産運用が行えることになります。
FIREの実現が難しい場合はサイドFIREの選択を
FIREの実現には多くの資産が必要です。「資産の確保ができるか不安」「本当にFIREで生活できるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。一方で、FIREで生活をしていく生き方に関心を持っている方もいるでしょう。
FIREを始める第一歩が踏み出せない場合、またFIREの実現が難しい場合には、『サイドFIRE』の選択をおすすめします。サイドFIREとは、前述したBarista FIREの別名で、運用益と賃金で生活するFIREのことです。
Fat FIREなど完全なFIREと異なり、サイドFIREは資産が少なくてもスタートできます。例えば、年間300万円程度の生活費が必要であれば、FIRE・サイドFIREの必要な資金は以下のように変わります。
・FIREの場合
300万円×25倍=7,500万円
・サイドFIRE(収入60万円/年)の場合
(300-60万円)×25倍=6,000万円
・サイドFIRE(収入120万円/年)の場合
(300-120万円)×25倍=4,500万円
以上のことから、FIREとサイドFIREでは必要な資金に大きな違いがあることがわかります。
FIREのメリット
自由な生活ができる
FIREでは、基本的に運用益のみで生活します。働く場合も好きな時に働く・好きな仕事をするという選択肢ができます。自分や家族のために使える時間が増えるため、趣味やお出かけに時間を使えるでしょう。
また、好きな場所に住めることも自由な生活ができる一因です。仕事がメインの生活では、通勤しやすい場所に住むなど制限が生まれてしまいます。しかし、運用益が収入の主となる生活であれば、自分の好きな場所で生活できます。
マネーリテラシーがアップする
FIREの実現には、一定の資産を持つことが欠かせません。そのため、FIRE実現のために生活費を見直したり、節約をしたりなどお金への意識が高まります。また、投資への知識も必要となるため、マネーリテラシーが向上するでしょう。
FIREのデメリット
投資の知識が必要
FIREのデメリットは、投資の知識が必要であることです。前述の通り、FIREの実現には4%ルールを理解しなければなりません。また、投資に関する詳しい知識がなければ、FIREで生活することは難しいでしょう。
想定外の出費に対応できない可能性がある
FIRE達成後の生活の中には、想定外の出費が発生することもあるでしょう。例えば、事故や病気、介護など。また、社会情勢の変化で急な出費が必要になることもあるでしょう。大きな出費が出るとFIREの継続が難しくなるかもしれません。
FIREのリスク
FIREにはさまざまなリスクが存在します。
年4%の運用が確実ではない
FIRE継続に欠かせない4%ルール。しかし、投資にはリスクがつきものですよね。場合によっては年4%の運用益を確保しても維持できない場合があります。実際に、マーケットは毎月価格が変動しています。
インフレのスピードが早ければ、さらに生活費が圧迫されるでしょう。そのため、年4%の運用が確実ではなく、収入が不安定になることは大きなリスクだと言えるでしょう。
公的年金が減少する可能性がある
公的年金が減少する可能性があることも、リスクのひとつです。Fat FIREなど完全なFIREを行う場合、運用益のみで生活することになります。仕事を退職すると厚生年金から脱退するため、給付金額が減少してしまいます。
例えば、年収300万円の方が30歳で退職した場合、仕事をしている方と比べて約60万円減少してしまいます。このようなリスクをフォローするためには、年金の繰り下げを行うこともひとつの手段です。65歳以降に受給を1カ月遅らせれば、それ毎に年金額の0.7%が増加します。70歳まで繰り下げれば65歳で受給するより1.84倍多く受け取れます。公的年金も上手く使いながら進めていきましょう。
FIREを成功させる2つの方法
FIREを成功させるためにおすすめなのが、積立投資です。積立投資で資産を形成させれば、FIREの実現に近づきます。この章では、積立投資におすすめの『つみたてNISA』『iDeCO』について解説します。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、少額投資非課税制度のことで、積立投資での資産形成に適しています。嬉しいポイントは、非課税投資枠から得た分配金や譲渡益にかかる税金はゼロになることです。年間40万円を最長20年間運用できるため、利用しやすい投資だと言えるでしょう。
また、つみたてNISAの対象商品は4種類で、長期の積立や分散投資に最適です。投資初心者の方でも選びやすく取り組みやすいこともメリットのひとつです。さらに、自動買い付けを行ってくれるため、投資の詳しい知識がなくとも運用が可能。投資のタイミングに迷うことがありません。
一方で、つみたてNISAに使用できる口座は1つで、つみたてNISA・一般NISAのどちらかを選択しなければなりません。どちらで積立を行うかはしっかり検討しましょう。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、私的年金のことです。自分で決めた掛金の積立・運用を行い、60歳以降に受け取ることができます。公的年金に加えて受給できるもうひとつの年金であるため、将来の資金を貯められます。
iDeCoのポイントは、掛金が全額所得控除であること。例えば、毎月1万円の掛金であれば、年間2.4万円ほどの税金を軽減できます。定期預金や一般の投資信託より税金が節約できることがメリットです。また、年金を受け取る際にも控除があります。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となり、最大限のお金を受け取れます。さらに、FIREの実現で仕事をやめても、継続してiDeCoの加入者として資産を運用できます。そのため、FIREにぴったりの資産運用だと言えるでしょう。
まとめ
「経済的自立」「早期リタイア」という意味をもつFIRE。FIREは新しいライフスタイルを実現するための方法です。仕事を行わずとも運用益のみで生活できることもあり、残りの人生を有意義に使えるでしょう。
一方で、投資の知識が必要だったり、公的年金が減少の可能性があったりと、リスクもあります。FIREのさまざまな側面をしっかりリサーチし、FIREを取り入れるかどうかを決めるようにしましょう。