40代男性 講師の転職体験談 | 自分のスキルに自信がついた。だから選択できた、自由な働き方

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40代男性 講師の転職体験談 | 自分のスキルに自信がついた。だから選択できた、自由な働き方

学生時代に塾の講師のアルバイトを経験、そのまま正社員になった近藤さん(仮名)42歳。大手の塾へ転職したのち、自分の棚卸しを実施。そうして選んだ道は、雇用形態にこだわらない自由な働き方でした。その選択についてお話を伺いました。

この記事の目次

    就職氷河期の影響でバイト先の塾に就職。そこはブラックな職場だった。

    東京で生まれ育った私。高校時代、身近に精神障害を持った人や知的障害を持った人と接したことから興味を持ち、大学では社会福祉を専攻しました。

    精神保健福祉士の資格取得なども検討しつつ、ついアルバイトに夢中に。そのアルバイトが塾の講師でした。勤めるうちに古株となっていき、社員として働かないか、と声をかけられるようになりました。

    当時は就職氷河期の真っ只中。3年の終わりから就職活動をはじめてみたものの、めぼしい企業も見つからず。結局、誘われるまま社員となることを選択しました。就職したその塾は、3教室と小さな規模で、小中高とすべての年代の指導を行っていました。

    当時の仕事は多忙そのもの。時期にもよりますが、10時頃出社。教室の掃除をした後、保護者との面談など。そうするうちに小学生がやってくる、

    夕方になれば中高校生が来塾。複数の授業を行うために、パート・アルバイトの講師がいましたが、自身もほぼ教壇に立っていました。そうして21時過ぎに授業が終了。

    その後も講師からのフィードバックを受けたりと、なんだかんだ遅くまで仕事は続くため、終電を気にせずに仕事ができるよう、車通勤をしていました。

    年収はそれなりの水準をもらっていましたが、長時間労働のため時給に換算すると低賃金。休日も月に4日程度休めればよいという環境でした。加えて、雇用保険にも社会保険にも加入していなかったことが後日発覚、退職を考えるようになりました。

    退職を申し出たのですが、「後任が育つまで」などの理由で辞めさせてくれず。結局辞めることができたのは2年ほど経ってから。都合11年勤めた教室を退職しました。

    大手の進学塾へ転職。教育に集中できる環境で教務スキルを伸ばす

    転職にあたっては他の業界に移ることも検討しましたが、30代で未経験の業界に飛び込むよりは、これまでの経験を活かすほうがよいと考え、教育業界を中心に活動しました。

    最初の教室を辞めたのは、働き方・待遇への不満がありますが、しっかりと教務に向き合えない環境だったことも大きな理由でした。講師のシフト作成、保護者とのやり取りなどの管理業務が多く、よりよい指導をするための自分の勉強をする時間が取れない。

    生徒と向き合おうと努力すればするほど、自分の負担が大きくなる。いわゆる、やりがい搾取のような状態になったことに嫌気がさしたのです。

    そこで見つけたのが大手塾の求人。面接をしたところ、どういった教育をするかというビジョン、そして教育業界全体のブラックな働き方に問題を感じ、社員が安心して長く働ける会社を目指しているという方針に共感し、入社を決めました。

    額面での年収は前職よりも下がりましたが、社保など保険に入れたこと。そして、週に2回は休めるという環境には満足でした。入社してからは、現役の高校生を担当。担当科目は国語を選びました。

    大手に入って良かったなと感じたのは、教務のレベルが高いこと。ベテランの社員たちが多かったこともあり、盗めるスキルがたくさんありました。

    そして、上場企業だったこともあり、コンプライアンス意識や個人情報の取扱など、ビジネスに必要な知識を身につけられたこと。

    さらに、教材を作る経験も積めたこと。おかげで著作権への意識や、構成や編集などのスキルを身につけることもできました。

    このように得るものは大きかったのですが、良い面だけではありませんでした。

    度重なるノルマ達成のプレッシャーが引き金となり、退職を選ぶ。

    DSC_0037.jpg

    この塾で働く社員のミッションは2つ。一つは生徒の成績を伸ばし、希望の進路に進む手助けを行うこと。そしてもう一つが、生徒を増やすこと。いわば、営業ノルマが課されていたのです。

    とはいえ、生徒を増やすことは教育業界ではどこの組織でもあること。ですが、課されたノルマは実現が難しい水準。ノルマを達成できなければ、本部から叱責を受けることが当然という環境でした。

    社内でパワハラは一般的、ときに生徒に対して問題を起こす社員も存在しました。しかし、問題があったとしても、大ごとになる前に蓋をする。そういった体質の組織であることが徐々にわかってきました。

    とはいえ、当時は結婚したばかりということもあり、生活の基盤を崩すわけにはいきません。閉鎖的な環境にストレスを感じながらも、転職するということは考えないようにしていました。

    しかし、新たな上司が着任したことで状況は変わりました。その人物はパワハラの常習で、部下を次々に退職に追い込む存在。

    それからはノルマの未達について罵声を浴びせられる日々。その上司は経営層との関係が深かったため、組織が救ってくれる期待感もありませんでした。

    自分ではまだ大丈夫と思っていましたが、ギリギリの状況だったのでしょう。毎晩うなされていると妻から聞いたとき、限界かなと感じ、5年勤めた会社から退職することを選びました。

    その時、40歳。転職先を決めずの退職でした。

    一度自分には整理する時間が必要。そうしたおかげで選べた新たな選択肢。

    転職先を決めずに退職したのには理由がありました。それは年齢的に今回の仕事選びは、これまで以上に重要となると認識していたこと。

    そのため、焦りを感じて場当たり的な仕事を選ぶよりも、一度まとまった時間をかけて、これまでの自分を棚卸ししよう。そう考えたためです。その頃、実家に同居する話も出ていたことや、妻もフルタイムで働いていたため、下せた判断でした。

    そうして、失業給付の申請を兼ねてハローワークへ通うなかで、職業訓練を受けてみることに。当時は、独立することも視野に入れていたため、社会保険に関する知識や、ビジネス実務法務などを受講し、知識をつけました。

    これまで教える立場だった自分が、人から授業を受ける立場になるのは新鮮なもの。この経験を通して感じたのは「自分の教務スキルは高い」ということでした。それを再認識したことで、やはり教育業界を軸として、今後のことを考えていこうと決めたのです。

    そんなある日、求人サイトを見ていると、一風変わった進学塾を見つけました。中学生から大学生まで幅広く対応する個別授業。興味が湧いたのでアプローチしたところ、面接しましょうということに。

    面接では自分のやりたいことなど、様々な意見交換をしました。講師だけに専念するのではなく、幅広く活動をしてみたい。2020年から導入される「大学入学共通テスト」など、教育環境の変化などの情報発信もしていきたい。そんなことを話しましたところ、「だったら、うちでいろいろやってみない」ということに。

    現在は、雇用形態はアルバイトとして、進学塾で個別指導の講師。そして、SNSの運用やブログの作成などのWebマーケティング業務。さらに、今後の教育業界がどのように変わっていくのか、社内に周知するためのレクチャーなど、様々な業務に携わっています。

    さらに、他の会社と接点を持ち、Webのライターも始めるように。求人サイトの原稿を作成する仕事を定期的に受けています。つまり、

    個別指導の講師
    進学塾のWebマーケティング担当
    Webライター

    という三足のわらじを履くことにしたのです。収入についても、前職と同水準を稼ぐことができています。

    自分が自信を持ってできることを、どんどん増やしていきたい

    DSC_0045.jpg

    ライターを始めたのは、国語を担当していたこともあり、書くという作業が好きだったこと。加えて、前職で教材の構成を作成した経験があったため、やれるかも、という意識が働いたためです。

    安定面を考えて、また大手の進学塾へ勤めることも検討しました。しかし、前職と同じことが起こらないとは限りません。それよりも、重心を分散させたほうが、何かあったときに動きやすい。リスクがヘッジできると考えたのです。

    このような気持ちを持てたのは、一度リセット期間を設けられたからでしょう。

    正社員になれば、どうしてもゼネラリストであることが求められてしまう。だけど、今必要なのは、これからの自分を支えていける専門的な力を身につけられる環境。それができる環境ならば、雇用形態にはこだわらない。

    自分を見つめ直す期間を設けたことで、そういった意識。そして、行動力を持つことができました。

    こういった生き方を選択できるようになったのも、講師としてのスキルに自信を持てたからでしょう。幅を広げた結果、ダメでも講師としてなら必ず食べていける、その自信が基盤になっています。

    まとめ

    自分に少しでも経験のある分野で、興味があることはどんどんやってみる。

    これからは、自分により自信をつけて、やれることを増やしていこうと思っています。
    ※年齢は2019年5月取材当時のものです

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