パート・アルバイトの失業保険、必要な手続きと受給までの流れ【社労士監修】
- ちょっと得する知識
- 公開日:2019年1月25日
パートやアルバイト勤務の皆さん。「失業保険がもらえるのは正社員だけ」と思っていませんか? 実は、雇用保険に加入して条件を満たせば、パートやアルバイトでも受給できます。退職予定がある人は、今のうちに受給条件や手続きについて学んでおきましょう!
この記事の目次
失業保険とは?
失業保険とは?
久しぶりに友だちと会ったら、会社を辞めていた。「そっかぁ、大変だね」と声をかけると、「大丈夫! 失業保険もらっているから」と満面の笑み。いいなぁ、私も失業保険もらいたいな。でもパートだから無理かなぁ――。
ちょっと待って! 「パートやアルバイトは失業保険をもらえない」という認識は間違いですよ。なぜなら、雇用保険に加入し、必要な条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく失業保険を受け取ることができるからです。
では、そもそも失業保険とはどのような仕組みなのでしょうか。
企業で働いていた人が何らかの理由で退職をし、次の就職先を探すことになったとします。転職活動中は働いていないので、当然のことですが給料は発生しません。
失業保険は、「退職後、生活のことを心配せずに次の就職先を探せるように」との理由から給付される手当のこと。雇用保険に加入している人を対象としており、正式名称を「基本手当(いわゆる失業給付)」といいます。
失業保険の受給資格について
では、失業保険を受け取るには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。雇用保険に加入し、以下の二つの条件に当てはまる場合に、失業保険が給付されます。
1. ハローワークで求職の申込みを行い、就職への積極的な意思があって、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、仕事に就くことができない「失業の状態」にあること。
2. 離職の日以前2年間に、雇用保険に加入していた時期が通算12か月以上あること。
※倒産・解雇等により離職した場合、離職の日以前1年間に、加入期間が通算6か月以上あれば可
「1」は就職活動をしているのに仕事が見つからない状態のこと。そもそも、失業手当は就再就職までの生活を支援するためのものなので、積極的に就職活動をしていない人は、受給資格がないのです。
中には退職後、内職などで収入を得ている人もいるかもしれません。その場合、内職をしていても、1日あたりの報酬が一定の金額未満であれば、失業手当を減額せずに受け取ることができます。
給付日数は条件により異なる
受給資格について理解したら、次に給付日数について調べてみましょう。失業手当を受け取れる日数は、年齢や雇用保険の加入期間などによって異なります。さらに、自己都合で退職したか、会社都合で退職したかによっても異なります。
上の表を見て、皆さんが失業保険をどのくらいの期間受け取れるのか計算してみましょう。なお、妊娠を理由に退職した妊婦さんの場合、失業保険の受給期間を最長4年まで延長することが可能です。
パートでも失業保険はもらえる?
雇用保険に加入していれば受給可能
では、いよいよパートやバイト勤務の人が失業保険を受け取るための条件についてみていきましょう。まずは、雇用保険の加入条件から。
正社員やパート、アルバイトなど雇用形態に関係なく、加入の条件を満たしている場合は必ず、雇用保険に加入することが義務づけられています。
パート・アルバイトの場合は、以下の二つが加入条件です。
1. 最低31日間以上働く見込みがあること
2. 1週間あたり20時間以上働いていること
業務委託契約でも失業保険を受け取れる?
業務委託契約は、「ある業務の成果」に対して報酬が支払われる契約で、必ず何らかの成果物や目標があり、それを達成しない場合、報酬がもらえなかったり減額されたりします。一方、雇用は、原則として「労働時間」で賃金が支払われます。この2つは全く違うものです。個人で業務委託契約をしているということは、個人事業主として業務を請け負っていることになりますので、雇用保険には加入できません。よって、失業保険を受け取ることもできません。
派遣の場合は?
雇用保険に加入していれば、派遣スタッフも失業保険を受け取ることができます。雇用保険の加入条件はパートやアルバイトと同じ。「最低31日間以上働く見込みがあること」「1週間あたり20時間以上働いていること」の二つの条件を満たしていれば、雇用保険に必ず加入することになります
パートで失業保険を受給するのに必要な手続き
いよいよ失業保険を受け取るまでの流れについて説明します。スムーズに受給するためにも、必要な書類や手続きをしっかり理解しておきましょう。
まずは会社から離職票を受け取る
失業保険の受給手続きを行うには、「離職票」が必要です。離職票はそれまで勤めていた会社が発行してくれます。もし、離職票が必要か会社に聞かれたら、必ず発行してもらうようにしましょう。また、離職票には退職理由が記載されています。理由に納得がいかない場合は、離職票にある「本人の判断欄」に「異議あり」と書いておきましょう。受給手続きをする際、ハローワークが退職理由を判断してくれます。
退職から受給までの流れ
離職票を会社から受け取ったら、ハローワークに行きます。「求職の申し込み」をした後、離職票や必要な書類を提出します。この時に必要となる書類や持ち物は以下の通りです。
・離職票(自筆の署名、押印必要)
・雇用保険被保険者証
・印鑑
・写真(3ヶ月以内のもの2枚)
・本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
※一部指定できない金融機関があり。ゆうちょ銀行は可能。
・個人番号確認書類
※以下のうちいずれか1種類
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
・身元(実在)確認書類
※①のうちいずれか1種類、①の書類をお持ちでない方は②のうち異なる2種類(コピー不可)
①運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
②公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
写真は3か月以内に撮影したもので、縦3cm×横2.5cmの上半身を写したものを二枚用意しておきましょう。カラー・白黒どちらでも可能です。
提出後の流れ
雇用保険被保険者証は会社が渡してくれるので、必ず受け取っておきましょう。求職申込書は、ハローワークでもらえます。求職申込書を書いてハローワークに提出すると、ハローワークカードを作ってくれます。
必要書類を提出すると、ハローワークが受給資格を確認して、離職理由の判定を行います。その後、「雇用保険説明会」の日時が通知されるので、必ず参加しましょう。この説明会で、失業保険に関する詳しい説明がされるほか、求職活動に関する情報も提供してくれます。
雇用保険説明会後、ハローワークが失業認定日を通知。この指定日にハローワークに行って、失業認定を受ければ、初回の失業保険受給となります。
失業給付金はいつ振り込まれる?
このように、失業保険を受け取るには、ハローワークに何度も足を運ぶ必要があります。会社都合で退職した場合は、最初に失業認定を受けた日の7日後に、指定した口座に失業保険が振り込まれます。自己都合で退職した場合は、さらに3か月の待機期間を経て、初回の振り込みがあります。
また、初回振り込み後、ハローワークに行って求職活動をしなければ、2回目以降の失業保険を受け取ることはできません。必ず、求職活動の実績をつくることが必要です。
まとめ
失業保険の受給には一定の手間と時間がかかりますが、生活のことを心配せずに次の就職先を探せるように、申請から受給までの流れを把握し、正しく確実に手続きを進めていきましょう。
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