中高年の転職活動は、「なるべき自分」を目指すことから!
20年、30年と一つの会社で勤め上げてきた人や、アルバイトやパートをしながら頑張ってきた人、会社を退職して育児や介護に専念してきた人など、中高年のキャリアはさまざまです。転職や再就職を検討するようになった理由も、人それぞれでしょう。中高年の皆さんが転職活動を成功させるためにも、まずはこれまでの仕事と人生を振り返り、仕事探しの軸を定めていきましょう。
たとえば年収や待遇、職場の環境や福利厚生、交通の便......。皆さんは、転職にあたって何を重視しますか。その中で、どの項目を優先して転職先を探していこうと考えていますか。
一番に考えるべきなのは、皆さん自身がこれまでの社会経験や人生で培ってきた"スキル"です。実際、中高年の転職市場では、過去の実績や成果が評価され、即戦力として採用されるケースが多いのです。そのため、未経験の業界・仕事に挑戦するよりも、過去の経験を活かした分野に応募した方が、採用されやすいという傾向があります。
つまり、40代以降の転職は、「やりたいこと」「なりたい自分」を軸にするのではなく、「できること」「なるべき自分」を目指すことがまず第一に選ぶべき選択肢です。
キャリアの棚卸しをして、"アピールポイント"を意識しよう
皆さんは、面接で「あなたのアピールポイントは?」と聞かれたら、どのように答えますか。優秀な能力があるのに、謙遜してしまう方もいるかもしれません。「自分の強みを客観的に判断できない」と戸惑ってしまう方もいるかもしれません。面接で上手に受け答えができるよう、アピールポイントのチェックリストを使って事前に自分の強みを整理しておきましょう。
アピールポイントのチェックリスト
はい...2点、どちらでもない...1点、いいえ...0点で換算。
自分のアピールポイントになる力を分析してみましょう。
マネジメント能力
5名以上の部下を統率している | |
部下の能力を引き出し、成果を上げている | |
部門の予算管理、目標管理を的確に遂行できる | |
合計点数 |
対人理解・交渉力
上層部、社外の関係者と良好な人間関係を構築している | |
意見が反する人でも、積極的に会話をする | |
集団を一つにまとめリーダーシップを発揮できる | |
合計点数 |
専門知識・技術力
社内において仕事のスペシャリストとして突出している | |
最新の技術、知識、スキルを常に習得している | |
他社がほしがる技術力がある | |
合計点数 |
判断能力・遂行能力
状況を判断し、既存の方法であっても変更できる | |
任された仕事は、納期を守りほとんどミスを犯さない | |
自分で決めた計画は、最後までやりぬく | |
合計点数 |
情報収集・分析能力
社内外の情報収集に長けており、ネットワークがある | |
トレンドをつかむことに長けており、客観的に分析できる | |
業務でうまくいかないときは、必ず原因を分析し対処する | |
合計点数 |
行動力・職業意欲
やりたくない仕事も、最後までやりとげる | |
結果にこだわり、うまくいかない場合は対策を講じる | |
周囲の人間に反対されても、信念を持ってやり通す | |
合計点数 |
目標達成・戦略能力
会社の目標は、ほぼ達成してきた | |
業務を遂行するためのスケジュールを、綿密に構築し実行できる | |
既存の方法にとらわれず、新しい方策を構築する | |
合計点数 |
チェックリストの結果はいかがでしたか。一番得点の高い項目が、あなたのアピールポイントになると考えてみてください。また、過去を振り返ることで、これまでの仕事経験の記憶がよみがえってきたことでしょう。この結果をもとに「これまでの仕事・そして人生経験を活かして、自分にできること」を考えていくと、転職先の方向性が少しずつ明確になっていくことと思います。
転職活動で優先したい項目をピックアップしよう
自分のアピールポイントの理解・把握が終わったら、次に仕事探しにおいて重視したい軸を定めていきましょう。「労働環境がよい会社に就職したい」「これまでのキャリアを活かせる会社を希望する」「通勤時間の短い会社に転職したい」「定年まで勤め上げたい」など、思いつくまま紙に書き出してみましょう。
転職活動は、転職を希望している皆さんと、中高年層を採用したいと考えている企業の"お見合い"のようなものです。転職に対して数多くの希望があっても、すべてをかなえてくれる会社と出会うのは、決して簡単なことではないかもしれません。
そこで、書き出した項目に優先順位をつけてみましょう。どうしてもゆずれない項目に◎をつけていくと、優先事項が明確になります。そして、皆さんが転職先を探すとき、迷いや不安が生じたら、優先事項をもとに判断していきましょう。何よりも、優先したいことが明確になっていれば、転職先を見極める上での"ブレ"が少なくなるというメリットもあります。キャリアの棚卸しと優先事項の見極めができたら、このステップは終了です。
優先事項
転職で優先したいことを記載しましょう。
最優先事項に◎を付けましょう。
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優先事項例
- これまでの経験を活かせる仕事に就きたい。
- 65歳まで仕事がしたい。
- 労働環境の良い企業に転職したい。
- 安定している企業に転職したい。
- 独立に役立つ企業を選択したい。
- 平均年齢が高い企業へ転職したい。
- 通勤時間を短縮したい。
- 転勤のない企業へ転職したい。福利厚生がしっかりしている企業を選択したい。
- キャリアパスが明確な企業を選択したい。
- スキルを習得したい。
- 残業が少ない企業へ転職したい。
- 独立に繋がる仕事がしたい。
- 家族との時間を大切にしたい。
- 収入をアップしたい。
- 正社員で仕事がしたい。
- 雇用形態に捉われずライフスタイルを重視したい。
まとめ
- 中高年の転職市場では、過去の実績や成果が評価される。
- キャリアの棚卸しをして、アピールポイントを理解する。
- 転職活動において優先したい項目を書き出す。
記事作成日:2017年10月3日
文責:マイナビミドルシニア編集部
"キャリアの棚卸し"で自分の本当の気持ちが見えてきた!~モヤモヤした思いが解消したBさんの場合
転職のことは前から考えていたんです。同じ会社にずっと勤めてきて、ここ10年くらいは閉塞感もあって、でも「こんな気持ちで転職活動をするなんて、逃げじゃないか」とも思っていました。何より、家族に申し訳ない。今の会社は給料もそれなりにいいし、有休も取りやすいので決して悪い会社ではなかったからです。それに「私みたいな中高年が転職活動を行っても、良い結果は出ないんじゃないか」といった不安もありました。
それでもモヤモヤした気持ちは消えなくて、それでインターネットで転職活動について調べてみたんです。自分が学生の頃は自己分析なんてしなかったけれど、今の就活では自己分析やキャリアの振り返りを当たり前のように行うんですね。そこで、自分もキャリアの振り返りなるものを行ってみました。すると、気持ちが少しずつ整理されていったんです。
高専の機械科を卒業して、金型メーカーに就職して25年。子どもの頃からものづくりが大好きでしたからね、この仕事は天職だと思っていたんですよ。でも部門を管理する側になってから、しんどくなってきて。窮屈に感じてたんでしょうかね。若い頃のようにものづくりだけを考えていた頃に戻りたいと。そうしたら、いてもたってもいられなくなって、妻に相談しました。妻は「転職? いいんじゃない」と、あっけない反応。ビクビクしながら相談したので、ホッとしました。
最初は金型の加工技術を活かせる会社を探したのですが、なかなか良いところが見つからず、思い切って以前取得した電気工事士の資格を活かせる施設管理の仕事も検討してみました。すると、1ヶ月後に良いご縁がありました。年収は多少下がったものの、とても働きやすい職場ですよ。妻は「つい数ヶ月前まであんなに悩んでいたのが嘘のようだ」と笑っています。
(川崎市在住 Bさん 49歳)