主婦のダブルワークで扶養はどうなる?社会保険や税金の基礎知識
- ちょっと得する知識
- 公開日:2026年9月30日
子どもの進学や親の介護などで支出が増えやすいミドルシニア世代では、収入を増やすためにダブルワークを検討する人も少なくありません。しかし、働く時間や収入によっては社会保険や税金の取り扱いが変わるため注意が必要です。この記事では、主婦(主夫)がダブルワークをする際の社会保険の加入条件や税金の仕組み、扶養との関係、注意点についてわかりやすく解説します。
この記事の目次
ダブルワークの人が社会保険に加入するパターン
ダブルワークをしている人が、社会保険に加入するのには2つのパターンがあります。どのような違いがあるのか、また加入しないパターンについても以下でご紹介します。
片方だけ加入
社会保険への加入は、1社ごとに判断されます。片方の企業で社会保険の加入条件を満たしていない場合は、片方のみに加入します。本業は正社員として、副業はアルバイトとして働いている人は、このパターンになるケースが多いでしょう。社会保険への加入条件は以下の通りです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8万8,000円以上
- 雇用期間が2ヶ月超の見込み
- 学生ではない
- 企業規模が51人以上
なお、2026年10月からは月額8万8,000円以上という収入要件は撤廃予定です。そのため、今後加入の条件としては、週の所定労働時間が主な判断基準となります。
両方加入する
本業と副業先の両方で社会保険の加入条件を満たしている場合は、両方の社会保険に加入する必要があります。例えば、A社で週22時間勤務、給与が9万円かつ、B社で週25時間勤務、給与が10万円などの場合です。
2箇所で社会保険に加入するケースは「二重加入」や「二以上事業所勤務」と呼ばれます。2社の収入を合算した金額から社会保険料を計算し、それぞれの給与から按分して天引きされます。
例えば、標準報酬月額が19万円で東京都にて協会けんぽに加入した場合、健康保険料と厚生年金保険料の本人負担額は約2.7万円です。2社での報酬割合は、A社は月収9万円で47.4%、B社は月収10万円で52.6%となります。このまま按分するとA社では約12,800円、B社では約14,200円の支払いが発生します。
また、年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出が必要です。
どちらにも加入しない
ダブルワークをしていても、社会保険の加入条件を満たしていない場合もあります。両方の職場で社会保険の加入条件を満たしていない人は、加入する必要がありません。ただし、保険への加入は必須のため、扶養や国民年金保険や国民健康保険に加入したりなどの対応は必要です。
二重加入の手続き方法

二重加入が必要になった場合、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出が必要です。提出は従業員自身で行う必要があるため、忘れないように注意しておいてください。
届出期限は二重加入の状態になった日から10日以内です。届出までの流れは以下の通りです。
- 2社目の職場で社会保険加入の手続きを行う
- 被保険者本人が「二以上事業所勤務届」を作成
- 健康保険証の発行元を決める
- 選択した事業所を管轄する年金事務所へ書類を提出
- 年金事務所から各事業所に「保険料の按分通知」が届く
- 各社の給与から按分された保険料が天引きされる
届出を忘れると、すぐに罰則が科されることはありません。しかし、正しい保険料額が反映されないため、追加徴収や将来の年金額に反映されないなどの問題が起きる可能性はあります。
また、未提出の状態が継続すると、罰則の対象になるケースもあります。ダブルワークを開始したら、10日以内に届出を提出するようにしてください。
ダブルワークの人の税金の計算方法
ダブルワークの人の税金の計算方法についてもご紹介します。税金については、両方の給料を合計してから計算を行います。詳しい内容は、以下で解説いたします。
計算方法
2箇所以上から給与を得ている場合、それぞれの給与から税金を計算すると思っている人もいるでしょう。しかし、実際は2つの給与を合算してから税金の計算を行います。例えば、それぞれの職場で90万円ずつ給与を得ている場合、合計収入180万円として計算をします。
源泉徴収はおおまかな計算のため、人によっては実際の収入額よりも多く税金を引かれるのもめずらしくありません。年度末の確定申告によって、正しい税額がわかればお金が戻ってくる可能性もあります。
計算例
ダブルワークしている場合の所得税の計算について解説します。例えば、1年間の給与がA社で80万円、B社で100万円、合計180万円の場合で見てみます。
給与所得
180万円-74万円(給与所得控除)=106万円
所得控除を104万円として課税所得を計算すると、
106万円-104万円(所得控除)=2万円
所得税
2万円×5%=1,000円
所得税は1,000円となります。税金の計算は、上記のように2箇所の給与を合算してから、計算を行います。
ダブルワークの人は年末調整・確定申告はどうなるのか
ダブルワークの人の場合、それぞれの職場で年末調整が行われるかと思っている人も多いでしょう。しかし、年末調整はどちらか1箇所の勤務先でしか行われません。年末調整は原則として主たる勤務先でのみ行われます。
副業先の給与がある場合は、収入状況によって確定申告が必要になることがあります。また、以下のような状況に該当する人は、確定申告が必要になります。
- 年末調整をどこからも受けておらず、合計年収が178万円超
- 給与以外の報酬がある場合、所得が20万円超(年末調整済み)または104万円超(給与所得なし)
なお、副業の年収が20万円以下でも、住民税の申告は必須です。
ダブルワークでも、支払いが必要な税金の種類は変わりません。所得税・住民税を計算し、正しい税額で納付を行います。年末調整だけ、確定申告が不要な場合でも、確定申告をした方がいい場合があります。
源泉徴収される税額はおおまかな金額のため、正しい金額を計算すると多く引かれていたり、稀に足りていなかったりするケースがあります。確定申告によって正しい税額を申告すると、多く引かれていた分が戻ってきます。正しい所得税額を納付し、住民税に反映させるためにも、ぜひ確定申告を行うようにしてみてください。
ダブルワークの人が社会保険に加入するメリット・デメリット

ダブルワークの人が、社会保険に加入するメリットとデメリットをご紹介します。これからダブルワークを始めようとしている人は、ぜひご確認ください。
加入するメリット
ダブルワークで社会保険に加入するメリットは、以下の通りです。
- 将来受け取れる年金額が増える
- 年金の受給資格期間の短縮
- 手厚い給付や保障を受けられる
社会保険に加入する人は、国民年金のほかに厚生年金にも加入します。そのため、国民年金保険のみに加入している時よりも、将来受け取れる年金額が多くなります。
病気や怪我で仕事ができなくなった時に受け取れる「障害厚生年金」や、自分が亡くなった後に自分が養っていた家族に対して支給される「遺族厚生年金」の受給対象になります。
そのほか、病気や怪我で働けない時の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」などの給付金も受け取れます。万が一の時も補償が受けられるという、精神的な安心感が得られるのもメリットです。
加入するデメリット
ダブルワークの人が社会保険に加入するデメリットについてもご紹介いたします。
- 手取り額が減る
- 手続きの面倒さ
社会保険料は給与から天引きされるため、同じ時間働いていても未加入の時よりも手取り収入が少なくなります。収入を増やしたいと思ってダブルワークを始めた人にとっては、期待ハズレとなる可能性があります。
ダブルワークの場合、社会保険の加入や脱退の時に都度手続きが必要です。特に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」は、自分で作成して提出をするため、手間がかかります。
ダブルワークの人が社会保険への加入で注意する点
ダブルワークの人が社会保険に加入する際に、知っておきたい内容を3つご紹介します。後から知らなかったとならないように、ぜひご確認ください。
年収130万円を超えると扶養から外れる
配偶者や親族の扶養に入っている場合、一般的には年間収入見込みが130万円以上になると、健康保険の扶養から外れる可能性があります。ダブルワークの場合は、複数の勤務先からの収入を合算して判定されるため、計算を入念に行っておく必要があります。
片方の勤務先だけでは基準を超えていなくても、合計収入が130万円を上回れば扶養認定が取り消される可能性があります。扶養の範囲内で働きたい場合は、各勤務先の給与を定期的に確認し、合計収入を把握しておくことが大切です。
雇用保険はメインの勤務先で加入
雇用保険は、社会保険とは違う考え方をしています。雇用保険は原則として、生計を維持する主たる賃金を得ている一つの勤務先でのみ加入する仕組みです。複数の職場で働いていても、両方の雇用保険に加入する必要はありません。
どちらが「主たる勤務先」となるかは、労働時間や賃金額などをもとに判断されます。なお65歳以上で複数の事業所に雇用される人が、一定の条件を満たしていれば労働時間を合算し、雇用保険に加入できる制度も設けられています。
保険自体への加入は必須
ダブルワークをしていても、それぞれの勤務先で加入条件を満たしていれば、社会保険への加入は必要です。つまり、どちらの職場でも条件を満たしていなければ加入は必須ではありません。
しかし、社会保険に加入はしなくても、保険そのものへの加入は必要です。配偶者や親族の扶養に入るか、国民健康保険や国民年金保険への加入が求められます。
ダブルワークの人が社会保険に入りたくない場合と対処法
ダブルワークの人が社会保険に入りたくないと感じるケースと、それぞれの対処法についてご紹介いたします。加入について悩んでいる人は、ぜひご確認ください。
手取りが減るのが嫌
社会保険に加入すると、健康保険料や厚生年金保険料が給与から天引きされるため、その分手取りが減ってしまいます。手取りを増やしたいために、加入を迷っている人も多いでしょう。
社会保険に加入すると、将来受け取れる年金額が増えたり、傷病手当金や出産手当金といった保障を受けられたりなどのメリットがあります。手取りが減る点だけではなく、保障が充実するなどの観点からも、加入のメリット・デメリットを比較して判断してみてください。
扶養から外れたくない
扶養の範囲内で働き続けたい場合は、ダブルワークによる合計収入が扶養の基準を超えないよう、勤務時間や日数の調整が必要です。
勤務先を増やす前に、それぞれでどの程度の収入を得る予定なのか事前にシミュレーションしておくと安心です。自分がどの程度働きたいのか、勤務先で希望を聞いてもらえるケースもあるため、事前に相談をしてみてください。
まとめ
ダブルワークでは、勤務先ごとの労働時間や収入によって社会保険の加入有無が決まります。また、税金は複数の勤務先の給与を合算して計算されるため、場合によっては確定申告が必要です。
扶養から外れる可能性もあるため、収入や勤務時間を事前に確認しておくことが大切です。働き方と将来の保障のバランスを考えながら、自分に合った働き方を選びましょう。








