個人事業主の保険料を安くしたい!加入できる保険の種類も解説

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個人事業主の保険料を安くしたい!加入できる保険の種類も解説

個人事業主が加入する,国民健康保険の保険料が高いと感じた経験がある人は多いでしょう。今回は個人事業主が加入できる健康保険の種類から、国民健康保険と社会保険の違い、保険料額の決まり方などを解説します。保険料を安くする方法も紹介していますので、国民健康保険料で悩んでいる人は、ぜひご一読ください。

この記事の目次

    個人事業主が加入できる健康保険

    個人事業主が加入できる健康保険は5種類です。日本は皆保険制度のため、必ず健康保険に加入する必要があります。個人事業主の人は、以下の5つから自分に合った保険を選び、加入しましょう。

    ①国民健康保険

    国民健康保険は被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない、全ての住民が対象となっている医療保険制度です。個人事業主はもちろん、無職や年金受給者など、会社で働いていない人も対象です。

    国民健康保険は市町村が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織されている国民健康保険組合の2つで構成されています。保険料は前年の所得を元に計算されるため、多く稼いだ次の年は保険料が高額になります。

    ②会社の健康保険の任意加継続

    会社に勤めていた経験がある人は、引き続き会社の健康保険に加入し続けることができます。加入するためには、退職日翌日から20日以内に手続きをする必要があります。ただし、会社員時代は会社と折半していた保険料が全額自己負担になること、最長で2年間しか加入ができない点は知っておきましょう。

    今までと同じ保険料だと思い込んでいると、支払額が足りず、場合によっては資格を失う可能性もあります。2年の加入期間が終了したら、別の健康保険へ加入しましょう。

    ③国民健康保険組合への加入

    国民健康保険には業界に特化した、健康保険組合が存在します。令和6年4月時点では100以上の組合があり、自身の職種と地域にあった組合へ加入ができます。加入すると所得に関係なく、国民健康保険料が一定額になる点が特徴です。

    ただし、加入には審査が設けられているため、希望すれば誰でも加入できるわけではありません。保険料は組合ごとに異なるため、加入前には比較検討を行いましょう。

    ④健康保険の被扶養家族になる

    会社員として働いている家族が加入している健康保険に、扶養として加入する方法もあります。被扶養家族となれば、保険料の支払いは発生しません。

    ただし、年収を130万円未満に抑える必要があります。家庭と両立させるために収入を抑えたい人などにはメリットですが、しっかりと稼ぎたい人にはデメリットとなるでしょう。

    ⑤法人化して協会けんぽに加入する

    個人事業主から法人化をして、協会けんぽに加入する方法もあります。協会けんぽは中小企業の従業員とその家族を対象にしており、日本最大の保険者がいる保険協会です。

    保険料率は都道府県ごとに異なります。加入をする際は、法人化から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を年金事務所または事務センターに提出しましょう。

    国民健康保険と社会保険の違い

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    会社員から個人事業主になる場合は、事前に国民健康保険と社会保険の違いを知っておきましょう。

    国民健康保険 社会保険
    運営       市区町村 全国健康保険組合、健康保険組合
    被保険者 後期高齢者医療制度、社会保険、船員保険、共済組合に加入していない全ての人、生活保護を受けている人 適用事業所で働いている正社員、適用条件に該当する短時間労働者
    保険料の計算方法 前年の所得に応じて市町村が計算 給与額に応じて会社が計算
    保険料の負担 全額自己負担 会社と折半
    保険料の支払い方法 自分で支払い 給与から天引き
    扶養制度 なし あり

    2つの保険は運営元から計算方法、支払いの負担割合についても異なります。

    国民健康保険料額の決まり方

    国民健康保険料は、以下の計算で決まります。

    • 国民健康保険料=医療(基礎)分保険料+支援分保険料+介護分保険料

    医療(基礎)分保険料は医療費の財源に充てられるもので、国民健康保険の基礎の部分です。支援分保険料は、後期高齢者医療制度の支援金として使われます。

    介護分保険料は40〜64歳の人のみに発生する保険料で、39歳未満と65〜74歳の加入者にはありません。3つそれぞれの保険料を計算するには、所得割と均等割、平等割、資産割の4つが使用されています。

    • 所得割:所得から基礎控除額を引いた額に応じて計算、所得が高いと保険料も高額になる
    • 均等割:一世帯あたりの加入者数に応じて均等に負担
    • 平等割:国民健康保険に加入する全世帯で平等に負担
    • 資産割:土地や家屋の固定資産税に応じて計算される

    平等割や資産割は採用していない市区町村が多く、所得割と均等割のみで計算される場合がほとんどです。実際に保険料がどのくらいになるか、東京都世田谷区の算出基準を例として計算してみましょう。

    ▼世田谷区 令和6年度国民健康保険料早見表

    所得割 均等割 世帯限度額
    医療分  所定割算定基礎額×7.71% 47,300円 65万円
    支援分 所定割算定基礎額×2.69% 16,800円 26万円
    介護分 所定割算定基礎額×2.25% 16,600円 17万円

    【38歳、独身で給与所得が400万円の場合】
    40歳未満のため、介護支援分の保険料は発生していません。健康保険料は10ヶ月で支払いをするため、月額で4万3538円の支払いが発生します。

    • 保険料賦課基準額:400万円(給与所得)-43万円(基礎控除)=357万円
    • 基礎分:357万円×7.71%=27万5,247円(所得割)+4万7,300円×1人=4万7,300円(均等割)=32万2,547円
    • 支援分:357万円×2.69%=9万6,033円(所得割)+1万6,800円×1人=1万6,800円=11万2,833円
    • 年間保険料:32万2,547円+11万2,833円=43万5,380円

    【40歳の同年夫婦、給与所得が500万円だった場合】
    月額では7万760円です。なお下記の計算の場合、平等割と資産割は考慮されていません。

    • 保険料賦課基準額:500万円(給与所得)-43万円(基礎控除)=457万円
    • 基礎分:457万円×7.71%=32万447円(所得割)+4万7,300円×2人=9万4,600円(均等割)=41万5,047円
    • 支援分:457万円×2.69%=12万2,933円(所得割)+1万6,800円×2人=3万3,600円=15万6,533円
    • 介護分:457万円×2.25%=10万2,825円(所得割)+1万6,600円×2人=3万3,200円=13万6,025円
    • 年間保険料:41万5,047円+15万6,533円+13万6,025円=70万7,605円

    参照元:世田谷区 国民健康保険料早見表

    国民健康保険が高いと感じる理由

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    なぜ国民健康保険は高いと感じるのか、理由を3つご紹介します。

    ①前年の所得が反映されるから

    国民健康保険料は前年の所得に応じて計算をするため、前年の所得が増えれば、支払う保険料も増える仕組みです。個人事業主1年目の場合、現時点の所得が少なくても会社員時代の所得が多ければ、高い保険料を支払わなければいけません。

    また、所得がない無職の人でも、月々の保険料の支払いは必要です。現時点の収入が少なくても、毎月数万円の保険料を支払う必要があるため、国民年金保険は高いと感じる人が多くいます。

    ②扶養という考え方がない

    国民健康保険には社会保険にはある、扶養という考え方がありません。そのため、子どもも含めた全員が被保険者です。保険料の計算で使用する均等割は、一世帯あたりの加入者数に応じて均等に負担する仕組みのため、子どもの人数が増えれば負担も増加します。

    軽減措置も用意されていますが、単身世帯や社会保険に加入している世帯よりも保険料は高くなるでしょう。

    ③全額負担だから

    社会保険の場合は保険料を会社と折半するため、費用負担は半分で済みます。しかし、国民健康保険は全額が自己負担です。今までは半分だった支払いが急に全額になるため、国民健康保険は高いというイメージにつながっていると考えられます。

    ただし、社会保険料は給与の30%を会社と折半するのに対し、国民健康保険は前年の所得の15%を支払う仕組みです。そのため国民健康保険が社会保険よりも、高すぎるということはないでしょう。

    個人事業主が健康保険料を安くする方法

    個人事業主が健康保険料を安くするためには、いくつかの方法があります。自身の状況や職種に応じて、合っている方法を選びましょう。

    国民健康保険組合への加入

    国民健康保険には特定の職種ごとに、国民健康保険組合が設立されています。加入をすると所得に関係なく保険料額が定額になるため、所得が高い人ほど保険料を安くできる可能性があります。主な国民健康保険組合は、以下の通りです。

    文芸美術国民健康保険組合

    【対象者】
    小説家や画家、デザイナーなど(法人は加入不可) 組合員:2万5,700円

    【月額保険料】
    同一世帯家族:1万5,400円
    未就学児1人につき年額1万2,000円を軽減
    介護保険料:5,700円

    関東信越税理士国民健康保険組合

    【対象者】
    関東信越税理士会の会員税理士と、家族・職員

    【月額保険料】
    ■税理士組合員
    39歳未満と65〜74歳:3万5,200円
    40〜64歳:4万1,400円

    ■職員組合員
    39歳未満と65〜74歳:2万3,200円
    40〜64歳:2万9,400円

    ■組合員の家族
    6歳未満:1万円
    6〜39歳未満と65〜74歳未満:1万5,200円
    40〜64歳:2万1,400円

    東京美容国民健康保険組合

    【対象者】
    東京都内の事業所で美容の業務を行っている人、その従業員および家族

    【月額保険料】
    ■一般被保険者(40〜64歳以外)
    事業主組合員:2万円
    従業員組合員:1万4,500円
    同一世帯家族:9,500円
    同一世帯家族(未就学児):6,000円

    ■介護納付金賦課被保険者(40〜64歳)
    事業主組合員:2万3,000円
    従業員組合員:1万7,500円
    同一世帯家族:12,500円

    このほかにも多くの国民健康保険組合があるため、住んでいる地域で加入できる組合がないか、ぜひご確認ください。

    免除や減免制度の利用

    国民健康保険料は、額を算定する際に法令で決められた所得基準を下回っていた場合、均等割の部分で7割・5割・2割の減免が受けられます。対象世帯には自動的に減額されるため、申請は不要です。

    しかし、対象者全員の所得がわかっている必要があるため、住民税申告は必須です。所得がないからと確定申告をしていない場合は、役所で住民税申告を行いましょう。

    また、災害や特別な事情により国民健康保険の支払いが難しい場合は、減免や納付猶予が受けられます。こちらは申請が必要となるため、住んでいる市区町村役場へ必要書類や詳細を確認しましょう。

    家族の扶養に入る

    家族が社会保険に加入している場合は、扶養に入って保険料の支払いを安くする方法もあります。ただし、扶養に入るには以下の条件を満たしている必要があります。

    • 年収が130万円未満
    • 被保険者の収入の2分の1
    • 60歳以上や障害者の場合は180万円未満
    • 被保険者に生計を維持されている人

    扶養に入ると保険料は抑えられますが、収入が減ったり別の負担が増えたりする可能性もあります。加入する際は、十分に検討したうえで手続きを行いましょう。

    まとめ

    個人事業主が加入できる健康保険や、保険料を安くする方法を紹介しました。国民健康保険は社会保険とは異なり、前年所得の15%に該当する金額を全額自分で払う必要があるため、保険料を高いと感じる人が多くいます。

    しかし、国民健康保険組合や免除・減免制度、扶養に入るなどの方法を活用すれば、保険料を安くできる可能性があります。特に国民健康保険組合は、所得に関係なく保険料が定額になるため、おすすめの方法です。職種や地域に応じた組合がないか、探してみましょう。

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