物価高で収入不安が増えている?インフレ時代に負けない知識やスキルアップで収入を上げる方法を紹介
- キャリアを考える
- 公開日:2025年9月29日
上場企業の平均年収が671万と過去最高を記録した一方で、物価高や生活費の上昇により、「収入に不安を感じている」という人は6割にのぼるなど、収入格差や将来への不安は広がっています。今回は、年収が上がっている業界や人の特徴、年収アップにつながるスキルなどをご紹介いたします。収入アップのための学び直しに関するヒントなども解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
年収に不安を感じている人は増加中
近年、上場企業の平均年収は上昇傾向にあります。しかし、物価高の影響もあり収入に対して不安を抱いている人も増加中です。SAMURAIが実施した「物価高時代におけるキャリア選択の実態調査」では、収入に関する不安が増えたと回答した人は全体の60%を超えていました。
収入に不安を感じているが、具体的な行動を起こしている人は少なく、同調査でも行動を起こしていると回答したのは30%ほどです。不安を感じている人は多いものの、実際に行動にまでつなげている人はあまりいません。「収入に不安があるが、なにもしていない」と回答した人を年齢別に見ると、以下のようになりました。
• 30代:60%
• 40代:65%
• 50代:73%
年代が上がるにつれて、行動していない人の割合が増えています。不安があるのに行動しない理由としては「行動しても収入が増えるかわからないから」40%、「何をすればよいかわからないから」35%、「時間がない」29%、「不安はあるけど、現状困っていない」22%という回答でした。
なにかした方がいいとは思うものの、結果が伴うかという不安や何をすべきかわからないという不安で動けない人が半数を占めています。
年収が上がっている業界や人の特徴
収入は現状維持という人が大多数を占めていますが、なかには年収が上がったという人もいます。帝国データバンクの「上場企業の『平均年間給与』動向調査」では、上場企業の平均年収は671万円で、4年連続で前年度を上回る回答になっています。
また、2024年の平均給与額を前年度と比較してみると以下のような結果となりました。
• 横ばい・減少:25.0%
• 賃上げ率1%未満:8.0%
• 賃上げ率1〜2.5%未満:14.4%
• 賃上げ率2.5〜5.0%未満:23.7%
• 賃上げ率5.0〜10.0%未満:19.4%
• 賃上げ率10.0%以上:9.5%
給与が上昇した企業は全体の75%で、過去5年間では最高となっています。年収が増えているのはどのような業界や人なのか、特徴を以下でご紹介いたします。
年収が上がっている業界
平均給与額の上位に上がっていたのは、以下の業界です。(金額の単位は千円)
| 業界 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| 海運業 | 10,080 | 10,523 |
| 証券・商品先物取引業 | 8,616 | 9,347 |
| 保険業 | 8,093 | 8,790 |
| 鉱業 | 8,265 | 8,580 |
| 医薬品 | 7,988 | 8,269 |
| 石油・石炭製品 | 7,955 | 8,216 |
| 電気・ガス業 | 7,313 | 7,870 |
| 建設業 | 7,394 | 7,767 |
| その他金融業 | 7,293 | 7,608 |
| 銀行業 | 7,278 | 7,544 |
引用元:帝国データバンク「上場企業の『平均年間給与』動向調査」
海運業が全体の中で唯一、平均年収が1,000万円を超えています。金融や運送業など、インフラに関係する業界では特に年収が上がっているとわかります。
年収が高い人の特徴
業界に関係なく年収が高い人に見られる特徴についても、以下でご紹介いたします。
• 主体性があり、挑戦し続けている
• 自己投資を惜しまない
• 作業ではなく仕事をする人
• 人とのつながりを大切にしている
• 目標を明確にしている
年収が高い人は自分から積極的に動き、常に新しいことに挑戦をしています。現状維持では満足せず、どうしたらより良い結果を手に入れられるかを考えています。常に自分がどうなっていたいか、どのように仕事に取り組みたいのかという目標を明確に持っているのも特徴です。失敗しても、行動を反省して次に活かすというサイクルで、挑戦し続けています。
さらに、成長するためにスキルの習得が必要な際は、時間やお金などの自己投資も惜しみません。また、ただ作業をするだけではよしとせず、効率よくできる仕組み作りや専門性を発揮するなど、常に仕事となるように意識している人も年収が高い傾向にあります。
周囲とのつながりも重視し、他人に頼られる人は仕事での評価も高まります。こういった特徴を持っている人は、自然と高い報酬を得られる機会が巡ってくるでしょう。
年収アップにつながるスキル

年齢に関係なくこれから年収をアップさせる方法として、必要なスキルを身につける「リスキリング」があります。今回は、リスキリングにおすすめのスキルを5つ解説いたします。
IT
ITに関連する知識はどの業界でも必須となっており、知識や資格を持っている人は重宝されるでしょう。初心者からでも取得できる資格もあるので、仕事内容などに関係なく役立つ知識を身につけたい人は、ITから学ぶのがおすすめです。取得できる資格やスキルには、以下のようなものがあります。
• ITパスポート
• MOS
• Webデザイン
• プログラミング
• AI活用
ITパスポートは国家資格でもあり、現在は社会人に必須の資格とも言われているため、ぜひ取得を目指してみてください。
マーケティング
マーケティングのなかでも、IT技術を活用したデジタルマーケティングは今後活躍していくのに必要なスキルです。デジタルマーケティングは、Webサイトやアプリの行動履歴・実店舗での購入データ・IoT製品の利用履歴などを分析し、最適なマーケティング戦略の立案と実行を行う仕事です。
パソコンやスマホの普及で、デジタルを活用したマーケティングができる人材の需要は年々増加しています。マーケティングといっても手法は豊富にあるため、SNSやオウンドメティアなど、興味のあるところから始めてみてください。
データサイエンス
データサイエンスとは、数学・統計学・プログラミングなどを使ってデータの分析や解析を行う学問の1つです。近年ではDX化を推進している企業が増加しているため、データを分析・活用・提案できる人材が求められています。まずは実務に活かすためのスキルが学べる講座などを受講して、基礎的な知識を身につけるところから始めてみてください。
語学
リスキリングで人気な分野の1つが語学です。特にビジネスの場では英語が話せる人材は、まだまだ求められています。TOEICのスコアが500点以上の人は、平均年収以上の収入を得やすいというデータもあり、年収アップしたい人にはおすすめの分野です。
英会話教室などはもちろん、スマホアプリやオンラインで学べる教材や講座も増加しているので、気軽に隙間時間でも学習がしやすくなっています。また、IT分野では、英語で発信されているものも多いため、英語学習によってデジタル分野での学習や活躍もしやすくなるでしょう。
マネジメント
ミドルシニア世代の人でリスキリングを考えているなら、マネジメントに関する勉強もおすすめです。仕事の内容などに関係なく、企業の製品やお金を適切に管理する能力は常に求められています。
マネジメント能力を高めるには、論理的思考力・問題解決力・コミュニケーション能力など、多くのスキルが必要です。すぐに身につけることはできませんが、常に「経営視点」で考えるなどできることから始めてみましょう。
収入アップのために学び直す際のヒント
収入アップのためにリスキリングをする際に心がけておきたいことや、コツなどを3つご紹介いたします。ぜひ、学び直しを始める前にご確認ください。
オンラインスクールなどの活用
学習をする際はスクールに通うか、独学で始めるか迷う人も多いでしょう。特にミドルシニア世代は、まとまった学習時間の確保が難しい人も大勢います。もし学習を計画立てて進めたい、誰かと一緒に頑張りたいという時は、自宅でも学習ができるオンラインスクールを検討してみましょう。
自分の好きな時間に動画を見たり、講師に質問ができたりするので、通勤時間・早朝・土日でも気軽に自分のペースで学べます。独学でもスマホアプリを活用すれば、さまざまなモードで飽きずに勉強ができます。勉強をする人のオンラインコミュニティなどもあるため、うまく活用してリスキリングを進めてください。
スキルの習得をメインにする
学び直しをする際、資格取得を目指す人もいるでしょう。資格を取得して実務にそのまま活かせれば問題ありませんが、取得だけして知識は使わないままというケースもめずらしくありません。せっかく勉強をしても実務に活かせなければ意味がなくなってしまいます。
学び直しをする時はスキルを習得し、実務に活かすことをメインの目標にしましょう。習得する中で、モチベーションの維持や仕事の幅を広げるためなど、状況に応じて資格取得を目指すのがいいでしょう。
補助金などを活用する
リスキリングに関連する講座を受講した場合、政府や自治体から補助金や助成金が支給されるものがあります。学習には費用がかかるため、金銭的な問題で諦めようとしている人は、補助金を活用できないかぜひ確認してください。
また、会社でリスキリングを支援する制度を用意しているケースもあります。学び直しをしたいと考えている人は、会社の制度や手当についても確認してみましょう。
収入を増やして守る方法

年収が増えても将来の生活に不安がある人は、収入を増やして守っていく方法も知っておきましょう。以下では、4つのポイントをご紹介いたします。
リスクを知る
収入が守れなくなる出来事は、主に以下の4つです。
• 詐欺やぼったくり被害
• 被災・盗難
• 散財
• インフレ
被災・盗難・インフレなどは、自分で防ぎようのない出来事ではありますが、備えておくことは可能です。資産の預け先を分散させておく、現金以外の資産を保有するなど、工夫をしておけば全財産が無くなるリスクは減らせるでしょう。
詐欺やぼったくりなども、さまざまな手口が増えており、被害者数は増加し続けています。自分は大丈夫と思わずに手口を学び、常に冷静に話を聞くように心がけましょう。
家計の見直し
収入を守るためには、支出が収入を上回らないように管理する必要があります。適切な支出となっているかを知るためにも、家計を定期的に見直しましょう。
特に固定費は1回の見直しで、節約効果が長く続きます。スマホの利用料・保険料・光熱費などは、同じようなサービスでより安いプランがないかを探してみてください。
副業や転職
直接的に収入を増やすなら、副業や転職を検討しましょう。年収がアップすれば、その分物価高や生活費の上昇に対する不安を軽減できます。ただし、転職は会社や業界の状態によっては年収が減るリスクが、副業も赤字となるリスクがある点は知っておきましょう。
投資
収入を増やすなら、今あるお金を利用して投資を始める方法もおすすめです。収入を守りながら増やしていきたいときは、長期的かつ分散、積み立てをしながら投資を行いましょう。
長期的な投資で複利の力を利用できれば、資産を少しずつ増やしていけます。ただし、投資は必ずしも利益が出るわけではありません。元本割れを起こす可能性もある点は、知っておいてください。
まとめ
収入に不安を抱えている人、年収が上がりやすい人の特徴などをご紹介いたしました。物価高や生活費の高騰で、収入に対して不安がある人は、リスキリングでスキルの習得を目指してみましょう。
スキルが獲得できれば昇給や、今よりも年収が高い企業への転職が可能になっていきます。また、収入を守る行動ができれば、資産を減らすリスクを抑えられます。ぜひ、自分に合った方法で、収入アップや資産を守っていってください。








