介護タクシードライバーに資格は必要? 中高年転職におすすめな理由
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- 公開日:2023年12月 1日
近年は高齢化が進み、介護タクシーの需要が増えています。介護タクシーは、移動するにあたって介助が必要な方が利用する送迎サービスです。今回は福祉タクシーとの違いや必要資格など、介護タクシーに関するさまざまなことを解説します。
この記事の目次
介護タクシードライバーとは
介護タクシーとは、移動するにあたって介助が必要な方に向けて送迎を行う訪問看護のサービスです。使用する車は通常のタクシーとは異なり、車椅子などでもそのまま乗降車できるように改良されています。
介護タクシードライバーの仕事内容
介護タクシードライバーは介護者を病院や施設に送迎するだけでなく、車への乗降や目的地に着いた後の移動もサポートします。プランによっては着替えなど、外出準備の介助や帰宅後の訪問介護を担う場合もあります。
介護タクシードライバーの1日の流れ
通常の乗降時の介助がメインの場合と、ケアマネージャーを兼務する際の2つのパターンを解説します。
①乗降時の介助がメインの場合
乗降時の介助を中心に、移動の介助も利用者に合わせて実施します。運転や介助以外の時間は、事務作業として予約や利用者の確認、売上金額の計算などを行います。
1日の流れ〈例〉
出社:打刻や事務作業を行う
出発:利用者宅へ訪問、外出準備やタクシーへの移動を介助する
運転:目的地まで運転する
到着:降車や目的の場所までの移動を介助する
帰宅:降車や室内までの移動を介助する
帰社:売上計算や納金、車両の清掃などを行う
➁ケアマネージャーを兼務する場合
ケアマーネジャーとして兼務している場合は、移動の間に面談などの仕事を進めることもあります。ケアマネージャーイバーとしてはもちろん、ケアマネージャーの事務作業も発生するでしょう。
1日の流れ〈例〉
出社:打刻や事務作業を行う
出発:利用者宅へ訪問、外出準備やタクシーへの移動を介助する
運転:目的地まで運転する
到着:降車や目的の場所までの移動を介助する
帰宅:降車や室内までの移動を介助する
帰社:売上計算や納金、車両の清掃などを行う
事務作業:ケアマーネジャーとしての事務作業、家族や本人との面談を行う
福祉タクシードライバーとの違いとは
介護タクシーと似ているサービスに、福祉タクシーがあります。どちらも利用者を目的地まで送迎する点は共通していますが、介助を行うかどうかに違いがあります。
介護タクシー
訪問介護サービスに含まれ、運転手は運転だけでなく乗降車の介助も行うため、介護関連の資格が必要です。利用対象者は要介護1以上の認定を受け、一人で公共交通機関を利用することが難しい方に限られます。また、条件を満たせば介護保険が適用されます。
福祉タクシー
福祉車両での送迎サービスのみを提供するため、運転手は介護関連の資格を持っていなくても勤務することができます。利用対象者に制限がなく、レジャーや旅行といった用途での利用も可能ですが、介護保険は適用されません。
介護タクシードライバーに必要な資格
介護タクシードライバーとして働くには、必要な資格がいくつかあります。その中でも最低限必要となる資格を2つご紹介します。
第二種運転免許
第二種運転免許は、仕事としてお客様を車に乗せる場合に必要な運転免許です。第二種運転免許の取得には、以下の条件があります。
・満21歳以上かつ他の二種免許を持っている、または一種免許取得から3年以上
・視力が片目で0.5以上かつ、両目で0.8以上、深視力が2cm以下
・10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
・赤・青・黄色の3色が識別できる
取得の際は自動車教習所に入校して学ぶか、免許試験場での一発試験の2つの方法があります。免許試験場での一発試験は合格率が低く、概ね10%以下とされています。効率的に取得するには、教習所への入校を検討しましょう。
介護職員初任研修(ホームヘルパー2級)
介護タクシードライバーは車の乗降や移動の際に介助を行うため、介護職員初任者研修(ホームペルパー2級)も必要です。
講義と実技演習によって生活支援や身体介護の際に求められるスキルが身につくため、介護の知識や経験がなくても基礎から学ぶことができます。民間の介護スクールで働きながらの資格取得も可能で、取得にかかる日数は最短1ヶ月ほどです。
介護タクシードライバーに活かせる資格
介護タクシードライバーには必須の資格のほか、持っていると活かせる資格もあります。
ハートフルアドバイザー研修
ハートフルアドバイザー研修は、高齢者や障害者の方に対して接客サービスを提供するために必要な知識や技術を身につけられるものです。介護タクシードライバーは、車椅子利用者へのサポートなどを実施します。利用者の方に寄り添い、信頼獲得につなげるために役立つ資格と言えるでしょう。
資格は通信講座修了で得られるハートフルアドバイザー2級と、集合研修修了で得られるハートフルアドバイザーがあります。
ユニバーサルドライバー研修
ユニバーサルドライバー研修は、タクシードライバーの資格を持っている人を対象にしています。研修受講によって乗車〜降車までの接遇や介助方法を学べるほか、コミュニケーションなどのスキル向上にもつながります。
7時間の研修で取得ができ、取得後には修了書が発行されます。自信を持って高齢者や障害者の方へ接客したいと考えている方、お客様の多様なニーズに対応できる人になりたい方にはおすすめの研修です。
サービス介助士
サービス介助士は高齢者や障害者などに対して、必要なお手伝いをその場その人にあったやり方でできる人になるための資格です。相手の立場に立って行動ができるよう、知識・対話・実践の項目で学習を行い、安全な介護技術とおもてなしの心を習得できます。
取得の際は座学と、対面2日間もしくはオンライン1日+対面1日の2日間の実技講習後、検定試験への合格が必要です。介護タクシードライバーは、さまざまな介護が必要となる人と接するため、サービス介助士の資格を取得して損はないでしょう。
介護タクシードライバーのメリット・デメリット
介護タクシードライバーとして働く中には、もちろんメリット・デメリットも存在します。介護タクシードライバーの仕事を進めるうえでの、やりがいや大変さについてご紹介します。
メリット① 人の役に立っていることを実感できる
コミュニケーションの取り方を工夫していくと、利用者との距離が縮まり会話ができるようになったり、信頼関係を築けるようになります。直接「ありがとう」の言葉が聞ける仕事でもあるため、人の役に立っていると実感できるしょう。
メリット➁ デイサービスでも働ける
介護タクシードライバーは、デイサービスなどでも働ける仕事です。高齢者が増加しているため、デイサービスの利用者も送迎の仕事も増加しています。
そのため、タクシー会社の介護タクシードライバーはもちろん、デイサービスの送迎ドライバーとしての転職も可能です。必要となる資格やスキルが似ているため、状況に応じて自分に合ったところで働けるでしょう。
メリット➂ 短時間勤務ができる
介護タクシードライバーは、企業によって短時間勤務で働ける場合があります。通常のタクシーとは異なり、日中の業務がほとんどで深夜の勤務はありません。また、週1日や午前中のみといった働き方ができることも。
家事やプライベートと両立させたい、無理のない範囲で仕事を続けたいと考えている方にはメリットです。まずは仕事に少しずつ慣れていきたいという場合も、短時間勤務が可能な会社を探してみると良いでしょう。
デメリット① 体力が必要
乗降時の介助はもちろん移動時の介助も行うため、体力が必要です。肉体的な負担が大きく、体力がない方にとっては辛いと感じるでしょう。介助できるだけの体力・筋力は、意識して付けていく必要があります。
デメリット➁運転に慣れていないといけない
いくら運転免許を持っていても、運転に慣れていない人や安全運転ができない人には介護タクシードライバーはおすすめできません。高齢者や障害者の方などを乗せて、目的地まで運ぶために安全運転は必須です。
介護タクシードライバーは中高年の転職におすすめ!その理由は?
介護タクシードライバーは若い人だけではなく、中高年の方の転職先としてもおすすめの仕事です。実際、介護タクシーは中高年で働いている人が多く、就業者の平均年齢は58.3歳。(jobtagより引用)アルバイトで働いている人も多く、プライベートとの両立を希望する人が働きやすい仕事です。
また、介護タクシードライバーは対人援助サービスや顧客サービス、傾聴力といったスキルも必要です。長年の社会経験や運転経験がある点からも、中高年の方が活躍できる理由と言えるでしょう。
まとめ
介護タクシードライバーの仕事内容や、必要な資格についてご紹介しました。体力や資格が必要な仕事ですが、自身に合わせた働き方を叶えやすい仕事のひとつです。高齢者の増加によって、介護タクシードライバーの需要は増える見込みがあるため、将来性への不安も少ないでしょう。やりがいのある仕事、直接人の役にたつ仕事を希望する人は、介護タクシードライバーをご検討ください。