【Well-Pass座談会】キャリアを重ねた女性ならではの悩みとは?
- 100年時代のライフデザイン
- 公開日:2022年8月 4日
今回は、ご自身のペースで就業されていらっしゃるお三方に集まっていただきました。座談会の中では、ご自身の可能性を前向きに捉えていくお三方の働く意欲が見受けられ、多くの女性の参考になる闊達なご意見の場となりました。
この記事の目次
Well-Passとは
今年、新たなプロジェクトとして発足された、女性活躍アンバサダー「Well-Pass」
ミドルシニアマガジンの情報発信を通じて、ミドルシニア層の求職者・就労者のWell-Beingの実現をサポートすることを目的とし、第1期生を募集いたしました。
今回は、オンラインミーティング(座談会)の様子をお届けいたします。
<参加者>
Sさん:航空会社でCAを経験された後、飲料関連会社を経て3年前に退職。現在は年金生活を送る傍ら料理研究家としてご活躍される。マイブームは日本茶。
Mさん:飲食業界からご転職後、一般事務に従事されている。現在は、資格取得を目指し、学びながら仕事もこなし、アクティブに活動されている。
Tさん:船会社に就職され結婚を機に退職。専業主婦を長く担われ、現在は保育園の事務をされている。 マイブームは職場付近の街歩き。
働いている限り、悩みは尽きない
―― 今回のテーマが働く上での不安ということなのですが、まずはMさんお願いしてもよろしいでしょうか。
Mさん:はい。私の場合は、自分の"ウリ"が何かわからないことが悩みの一つです。例えば周りから「こういうところがウリなんじゃない?」「このスキルはああいう会社だと活かせるよ」とか、言われれば分かるんですが......。
―― 確かに、自分のことってなかなか分からないですよね。
Mさん:そうなんです。元々、今の会社も事務職の募集があって、挑戦したのですが...それまでは飲食店でしか働いたことがなかったんです。
面接を受けに来ている方は銀行員とか事務職のキャリアを積まれている方ばかりでした。そんな中で、「ずっと飲食やってきました、お酒には詳しいです!」と、事務とは関係ないことをアピールするしかありませんでした。
結局、事務職で採用されたのは銀行員だった方で。最初、私は来客のときにだけ会社に来て応対していました。でも、あるとき事務の人が辞められたタイミングでオーナーから「やってみる?」って感じで、もう事務職として15年勤めています。
―― ご縁ですよね。人生はどこで繋がるかわからないですね。
Mさん:事務職は自分には関係ないと思わずに挑戦出来たから今がある訳ですけど...。今後の為にも自分のウリとか、何を履歴書に書いた方が良いとか、そういった点は悩むところです。
―― そういう就業前のご不安についても、ここではざっくばらんにお話いただきたいと思っています。Tさんはいかがですか?
Tさん:不安に感じるというか、会社ごとにも特色があるでしょうけど、パソコンを使うことが多い世の中なのでそういったIT面での不安はあります。時代の流れも今は特に速く感じますし。マニュアルだけ渡されて読んでやっておいて、とか言われると本当に不安ですね。
―― そういうときはどうされていらっしゃるんですか?
Tさん:幸い、私と同じ時期に入社された方や、リーダーの方がいる体制だったので、分からないことは互いに助け合ったり、すぐに聞いたりしています。
―― 分からないことを聞きやすい環境って大切ですよね。Sさんはいかがですか?
Sさん:私は定年退職してしまっているので、経験談という形でもいいですか?
―― もちろんです。
Sさん:やっぱり育児と仕事の両立にはずっと悩んでいた気がします。後は...人間関係とかですかね。
ただ、キャリアを通して一番悩んだタイミングがあって。それが57歳のときです。定年を60歳にするか、嘱託社員として65歳まで働くか、その選択を迫られたときが一番悩んだんじゃないでしょうかね。
女性が定年まで働いてその後どうするかっていうことを考えたこともなかったですし、周りに相談できる環境もなくて。その時までのんびり構えていたもので、本当に不安になりました。女性は特に、キャリアの節目で悩まれてる方も多いと思います。
―― Sさんは60歳定年という選択をされましたよね。決め手はありましたか?
Sさん:当時は定年延長といっても、政府の言う通りにできた制度的な"延長"みたいな風潮があったんです。会社組織としてもそこまでよく考えられていないというか......それで、そんな中で正社員ではない形で残っても自分が消耗するだけっていうのが何となく見えてしまったんですよね。
なので、そこで気持ちを切り替えて年金生活をしながら、経済的に月に必要な額を計算しつつ、あとは自分の好きなことをしようって決めました。
―― 定年の日を迎えられたときには、どんな気持ちでしたか? ワクワク感や焦燥感などはありましたか?
Sさん:定年退職を決めた時点では、まだその後の自分の未来は描けていませんでした。
退職金の一部を使って、アメリカの西海岸に行ったりファーマーズマーケットを見学したりして。元々野菜が好きで野菜の研究を通してブログ記事を書いていたこともあって。
帰国後は料理研究家として何かやっていきたいなと思い、八百屋のアルバイトで知り合った友人と野菜サンドイッチ専門店などを始めました。
現在は、料理研究家としてライター業をしながら、日本茶のカフェで働いています。
―― 活動的で素晴らしいですね。ここからはざっくばらんにお互いに質問などしていきましょうか。
年齢を重ねるからこそ、出てくる悩みも
Tさん:お二方とも様々なお仕事を経験されていると思いますが、ご転職のきかっけは何だったのかなと思いまして。
Mさん:私の場合、飲食業から事務に変わったのは体力的な面が大きかったです。膝を痛めてしまったので、そのタイミングで転職しました。現在も年齢的なことを考えると、転職を考えていて。親の介護のこともありますし。
Sさん:介護をしながらでもできるお仕事を探されているのですか?
Mさん:そうです。病院通いもありますから、現在も職場に理解いただいて午前中で上がらせてもらったり、午後から出勤したりとさせてもらってますが、それを繰り返していると今度は自分の体力がきつくなってしまって。そういうことも踏まえて、資格の勉強を始めたのもあります。
―― なるほどですね。Tさんはいかがですか?
Tさん:転職に関しては、私の場合は一つのところに長く勤めるタイプなのですが、我慢ができなくて辞めたいって思ったらどうしようということを考えるんです。そうなったときのためにも求人募集をパソコンで見るようにしています。今働いている保育園も、ネットで募集を探しました。
―― 今回の転職も、ネットの求人媒体で見つけたんですね。
Tさん:そうです。例えば新聞とかにも求人情報って載ってますけど、詳細なことが一目では分からないので、問い合わせをしなくてはならないですが、ネットの求人情報でしたら福利厚生なども書いてくださっているので、とても参考になります。
ただ、同世代の友人の中には、転職活動をしたいけどどうしてもパソコンが苦手な人も多くて。そういった知り合いには私が教えてあげたりします。
Sさん:マイナビミドルシニアは何歳くらいをターゲットに求人掲載をしているのですか?
―― だいたい40~60代の方にご紹介できるお仕事を掲載させていただいています。中には70歳を過ぎた方も活躍している企業の募集もございます。
Sさん:世代間で求めていることも、仕事のモチベーションも変わってくると思います。ミスマッチなどは起きないのでしょうか?
―― 弊社は枠として40代、50代、60代を一括りにすることもあるのですが、様々な背景や環境がその人自身には存在するので、そういった細かい点にもサポートしていくことができたらなと。それこそ、このWell-Passができたのも働く上での悩みや経験を共有することによって、何か新しいサポートづくりができないかなといった想いがあるんです。
Sさん:なるほどですね。私の場合もそうでしたけど、女性の定年退職など、キャリアの重要な分岐点の情報があまりないと思います。同じ境遇や悩みを抱えている方にお話を聞けることだけでも勇気をもらえます。
ITを使えることは、もはやあらゆる面で必須の時代!
―― ここで少しお聞きしたいこともありまして。今後Well-Passの活動に期待することはありますでしょうか?
Mさん:パソコンをいじる私たち世代なら「女性」「シニア」というワードで検索して出てきたら、みてみようと思いますので、バナーとかを作ってウェブサイト上で大々的にWell-Passを宣伝するはいかがでしょうか。
Sさん:あと、やはりSNSは良いかと思います。先日、フェイスブックにイベントの看板の写真をアップしたら、友達二人から「次は私たちも是非行きたい!」って連絡をもらって。歳を重ねてもネットで繋がっていくことは大事だと実感しました。
後はモデルケースの提示などもイメージが湧きやすいかと。やはり"ミドル"と"シニア"だと、どうしても乖離する部分もありますから。例えば、50代でマイナビミドルシニアの求人で転職に成功したかっこいい女性がいると、憧れて自分も勇気を出してみようって思えそうです。
Mさん:Sさんのご意見に反してしまうようで大変恐縮なのですが......私はおばちゃんもそのモデルケースに入れてくれた方が安心できるし、共感できるなって。
Sさん:必要ですね!
―― なるほどですね。シニアこそネットを使うべきだと皆さんもおっしゃっていましたもんね。最後にそれぞれご感想をいただければと思います。
Mさん:すごく楽しかったです。是非またこの機会を設けていただきたいです。
Sさん:普段は学生やシニアの方としか話さないので、みなさんのお話を聞いて刺激を受けました。
Tさん:今回参加して、こうやって少人数で話を聞けるっていうのも新鮮でしたし、皆さんそれぞれ頑張られているので、こちらも勇気や元気になる素をいただきました。
まとめ
立場も環境も異なるお三方は、互いの話に耳を傾けつつ、ご自身のお言葉を真摯に紡いでいたのが印象的でした。キャリアを重ねた女性ならではの悩みも聞くことができ、有意義な時間となりました。