定年が70歳の時代にどう向き合うべき?

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定年が70歳の時代にどう向き合うべき?

2019年5月、「定年が70歳に?」という報道をニュースや新聞で見聞きした人も多いのではないでしょうか。まだ元気で意欲のある高齢者の雇用が広がるのは喜ばしいものの、年金受給年齢が引き上げられるのではないかという不安を持つ人も多いのでは?そこで今回は、70歳定年についての政府の方針や今後の動きなどについて解説します。

この記事の目次

    70歳定年時代の到来

    「定年年齢を70歳に引き上げ」は、国や地方の成長戦略を議論するために、政府が主催する「未来投資会議」で議論されたものです。70歳定年の方針や法整備は今後どのように進められていくのか説明します。

    未来投資会議の方針

    「未来投資会議」とは、将来の経済成長への投資や成長戦略について、官民が連携して議論する会議のこと。内閣総理大臣を議長とし、関係する大臣や民間有識者がメンバーに名を連ねています。

    2019年5月15日に開催された同会議で議論されたのは、人生100年とされる時代において、働く意欲を持つ高齢者の活躍の場を整備することの必要性。

    議論の中では、希望者全員を65歳まで雇用することを義務付けている現状制度の見直しを行い、働きたい高齢者に対して70歳までの雇用確保を企業に求める具体的な方針が示されました。

    これには、高齢者に雇用の機会を設けることに加え、増え続ける社会保障費を抑制する狙いもあります。

    就業機会確保のための7つの選択肢

    70歳まで雇用の機会を広げるとなると、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍の場を設けることが必要となります。

    そのため、65~70歳までの就業機会確保については、直接雇用だけではなく、多様な選択肢を法制度上許容することの重要性が議論され、以下の7つの選択肢が示されました。

    ① 定年廃止
    ② 70歳までの定年延長
    ③ 継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
    ④ 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
    ⑤ 個人とのフリーランス契約への資金提供
    ⑥ 個人の起業支援
    ⑦ 個人の社会貢献活動参加への資金提供

    政府は、企業はこの7つの中から採用するものを労使で話し合い、さらに高齢労働者が選択できるような仕組みを検討する必要がある、としています。

    法整備などの具体的な動きは?

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    それではこの「70歳定年」は、どのように進められるのでしょうか。同会議では、法制については二段階に分け、まず第一弾の法整備を行うことが適切である、とされています。

    第一段階
    ・前述の7つの選択肢を明示したうえで、70歳までの雇用確保を努力規定とすること
    ・必要と認められる場合、厚生労働大臣が事業主に対し労使での計画策定、および履行確保を求める

    第二段階
    ・その進捗を踏まえたうえで、いわゆる義務化のための法改正を検討する

    このようになっています。

    政府は、厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会の審議を経てから、この方針を盛り込んだ高年齢者雇用安定法改正案を2020年の通常国会に提出することを目指しており、正式に法制化され、第二段階に進めば企業では「努力義務」として対応が求められることになると考えられます。

    70歳定年は、意欲ある高齢者の柔軟な働き方が期待できる一方、「70歳まで働き続けるなど無理」「若者の就労のチャンスが奪われる」といった反対意見や、「企業が70歳定年になったら、公務員の定年年齢はどうなるのか」といった疑問もあります。

    今後、どのように議論されていくのか気になるところです。

    70歳定年になったらどうなる?

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    実際に定年が70歳になったら、どのように働き方が変わるのでしょうか。ここでは定年が70歳に引き上げられることによるメリットとデメリットについて解説します。

    70歳定年によって想定されるメリット・デメリット

    <70歳定年によるメリット>
    ・定期収入を得られる期間が伸びる
    ・社会参加を継続できる
    ・健康が維持できる
    ・生きがいにつながる
    ・労働力を確保できる(企業側)
    ・知識や技術を後継できる(企業側)

    雇用される側としては、「定期的な収入を得られること」が大きいでしょう。直接的な影響ではありませんが、身体を動かすことや人との出会い、仕事のやりがいが、健康の延伸にもつながるという意見もあります。

    雇う側として最も魅力的なのは、安定した即戦力が確保できることです。肉体労働など体を使う仕事では限界がありますが、それ以外にもシニアが活躍できる場が豊富にあります。高齢者が培ってきた知識や経験を、若い世代に継承できるというメリットもあります。

    <70歳定年によるデメリット>
    ・新卒採用が減り、若年の失業率が上がる
    ・最新機器などの再教育の必要性
    ・若い世代とのジェネレーションギャップ
    ・年金減額の可能性
    ・健康に対する不安
    ・長年働き続けなければならないというプレッシャー
    ・仕事以外の生きがいをみつけにくい
    ・働けるのに働かないことに負い目が生じる

    労働力が確保できるため、若い中途採用者や新卒採用が減ってしまう可能性もあります。また、高齢者が残ることにより、社内の新陳代謝が低くなる可能性も。次々と新しくなる最新設備の使い方についていけない高年齢に対し、教育が必要な場合もあります。

    雇われる側としては、定年年齢の引き上げにより、年金支給開始年齢も延長されるという心配が強いようです。また、働きたくても、70歳まで健康でいられるかという身体的な不安も。労働意欲が低下している人においては、働き続けなければならない環境は必ずしも好ましいものではありません。

    70歳定年での生活シミュレーションをしておこう

    現実味を帯びてきた70歳定年。これまでは長く60歳定年が一般的とされてきたため、10年というギャップは大きなもの。事前にしっかりと生活シミュレーションをしておくことが重要です。

    定年が70歳まで引き上げになると、それに合わせて年金制度が改正される可能性も高まります。また、就業規則などの会社の規定も変更される可能性も。

    これから起きうることをすべて想定するのはもちろん難しいですが、一般的な老後の支出の確認や、それに必要な資金の見通しなどを行うことは可能です。

    まずは現在働いている会社の就業規則の確認、定年年齢、役職定年の有無、退職金規定などを調べるなど、多くの情報を収集しておきましょう。

    まとめ:70歳定年に備えて健康管理やスキルアップも検討しよう

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    非正規雇用の期間が長く、退職金が期待できない人や、さまざまな理由で老後資金を確保できなかった人にとって、70歳まで定期的な収入が確保できる70歳定年はありがたい場合もあるのでは。

    働く側の健康問題や年金支給の年齢などいろいろな課題はありますが、今後どのように法の整備が進むのか注目したいところです。70歳まで働き続ける可能性は多いに考えられます。その時のために、体力アップや健康管理なども心がけておきたいものですね。

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