シニア年代からの賃貸住宅の賢い借り方とは?

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シニア年代からの賃貸住宅の賢い借り方とは?

マンションや戸建て住宅を購入するか、賃貸住宅で暮らし続けるか。住まいに対する価値観は人それぞれ。しかし賃貸の場合、「シニアになると借りづらくなる」という傾向があるのも事実。そこで今回は、シニア世代の住宅事情とその対策をご紹介します。

この記事の目次

    死活問題!?シニアの賃貸住宅事情とは?

    シニアは賃貸住宅を借りられない?

    「マンション欲しいなぁ。でも先立つものがないからなぁ」――住まいは、多くの方にとって「人生において最も高い買い物」の一つ。特に東京など首都圏は地価が高いため、購入ではなく賃貸住宅を選ぶ方も多いのではないでしょうか。

    超高齢社会に突入した日本では、高齢者の増加に伴い、シニア世代の単身者も増加傾向にあります。しかし、いざシニア世代が民間のマンションやアパートを借りようと思っても、入居を拒む大家さんや不動産仲介会社が少なからずいるようです。

    では、なぜシニアの入居は拒まれる傾向にあるのでしょうか?

    理由1 収入に対する心配

    定年退職したシニア世代の多くは、年金が主な収入であるため、大家さんは「これから先、欠かさずに家賃を払ってもらえるのだろうか」と、心配する傾向にあります。

    理由2 連帯保証人に対する心配

    賃貸の契約をする際、連帯保証人を求められることがほとんどですが、シニアの場合は身近な人が亡くなるなどで、保証人を受けてくれる人がいないというケースも。また、受けてくれたとしても年金収入のみの場合、保証人として認められない場合もあります。

    理由3 不動産の価値に対する心配

    人は誰しも死のリスクを背負っていますが、シニア世代はよりその可能性が高め。入居者が亡くなれば、特殊清掃の必要が生まれるほか、事故物件となれば資産価値が下がるリスクもあるため、大家さんとしてはシニア世代は敬遠する傾向にあります。

    65歳以上の一人暮らし、いわゆる独居老人は増加の傾向

    高齢者の一人暮らし.jpg

    賃貸物件に住んでいるのは夫婦などの世帯の場合もあれば、一人暮らしの場合もあります。一人暮らしの高齢者はどれくらい存在しているのでしょうか?

    2015年時点のデータを見ていきます。65歳以上の一人暮らし者、いわゆる独居老人と呼ばれる層は、男性で約192万人、女性ではなんと約400万人も存在することがわかります。

    特に女性に多いことが傾向で、65歳以上の女性人口の21.1%が一人で暮らしている状況。これは女性の方が平均寿命が長いことから配偶者が死別してしまったというケースが影響しているようです。

    傾向としては男女共に増加の一途を辿っているということ。男性に至っては1980年には19万3千人しか存在しなかった65歳以上の一人暮らし者は、2015年には192万人と約10倍に増加。今後も増えていくことが予想されており、社会的な課題の一つとなっています。

    住宅セーフティネット制度とはどんな制度?

    高齢者が民間の賃貸物件を借りたくても、借りにくい傾向にある。この問題に対して、国が手をこまねいているわけではありません。状況を打破すべく、2017年10月に「住宅セーフティネット法」を改正しました。

    住宅セーフティネット法は、高齢者や障がい者、被災者、低額所得者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を必要とする人々(住宅確保要配慮者)に対して、賃貸住宅の供給促進に関する施策を行う法律です。

    2017年10月の法改正により、民間の賃貸住宅を、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として登録する住宅セーフティネット制度が定められました。

    住宅セーフティーネット_仕組み.jpg

    この制度では、空き家や空き室を持っている賃貸住宅の大家さんが、都道府県や政令都市などに物件を登録。住宅確保要配慮者は登録情報を見て、入居の申し込みを行います。

    この制度を利用して物件を借りる側のメリットとしては、入居費の負担軽減のほか、「都道府県知事が指定する居住支援法人による情報提供・入居相談」など、マッチングや入居支援を受けられるという点があります。

    対して、貸す側のメリットとしては、登録住宅の改修費の補助や融資、家賃補助などの制度があります。

    誕生して1年強と新しい制度ではありますが、人口減少による「空き家・空き室問題」と、「住宅確保要配慮者の増加」の双方を解消する制度として、大きな期待が寄せられています。

    シニアが東京で賃貸住宅を探すには?

    活用したい、東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度

    住宅セーフティネット制度と併せて活用していただきたい制度に、「東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度」があります。

    この制度は、東京都が「高齢者の入居を拒まない賃貸住宅」に関する基準を定め、独自に実施する「情報登録閲覧制度」により基準を満たした登録住宅に関する情報を提供するというもの。

    「公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター」が都の委託を受けて、同事業を運営しています。

    同制度で提供する情報は、いずれも東京都内に所在する住宅。高齢者世帯の入居を円滑に受け入れる賃貸住宅「東京シニア円滑入居賃貸住宅」と、高齢者世帯または配偶者を賃借人とする賃貸住宅「東京シニア専用賃貸住宅」の2つの物件情報を提供します。

    検索ページでは、所在する区市町村や沿線、家賃、床面積、バリアフリーの有無などを選んで、検索・閲覧することができます。なお、賃貸人(物件のオーナー)からの申請による情報提供は行っていますが、物件の仲介はしていないのでご注意下さい。

    制度誕生の背景

    東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度が誕生した背景には、冒頭で説明した通り、日本が超高齢社会に突入し、「核家族や単身者世帯が増加している」という現象があります。賃貸を希望する高齢者も増える傾向にあり、このニーズに応えるために制度化されました。

    人口が減少する中、高齢者の割合は今後もさらに高まっていき、2036年には3人に一人が65歳以上の高齢者になると予測されています。(内閣府調べ)

    高齢者の割合が高まれば、それに伴って、賃貸住宅に住む高齢者の数が増えることでしょう。シニア世代の住居問題は今後も日本が考えていくべき大きな課題であり、国や自治体が問題解消のための制度や仕組みが改正されたり、新たに打ち出すことも十分に考えられます。

    こまめにネットで検索するなどして、最新の情報を入手することをオススメします。

    まとめ:「住まい」の観点から、将来について考えてみよう

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    今回、ご紹介した「住宅セーフティネット制度」と「東京シニア円滑入居賃貸住宅情報登録・閲覧制度」の二つの制度は、これからも賃貸住宅での生活を希望しているシニア世代にとって、大きな支えとなることでしょう。

    ご紹介した他にも、財団法人高齢者住宅財団による、高齢者世帯が賃貸住宅に入居する際の家賃債務などを保証し、連帯保証人の役割を担う制度も整備されてきています。

    「特に困っていないから」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、いずれ大家さんから立ち退きを要求される日がくるかもしれません。

    「シニア世代の住宅問題」を自分ごととして捉え、日頃から情報収集を行ってことが、自分を守ることに繋がるかもしれませんね。

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