40代男性 介護職の転職体験談|ホームレス一歩手前の状況から、正社員での就業を実現。

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40代男性 介護職の転職体験談|ホームレス一歩手前の状況から、正社員での就業を実現。

北海道で学生生活を過ごした和田さん47歳(仮名)。最初の仕事を退職後、就職氷河期であったことから求人の多い東京へ上京するも、定職にはなかなか就くことのできない時期を過ごしました。紆余曲折を経て、介護職に就いたこれまでの経歴についてお話を伺いました。

この記事の目次

    高専を修了退学後、公務員となるも体調を崩し退職

    札幌で育った私。手に職をつけたいという気持ちもあり、高校進学に際しては普通科ではなく、5年制の高等専門学校へ入学しました。

    そこでは機械工学を専攻したのですが、当初考えていたよりも工学に対して興味を持てなかったこともあり、5年を過ごす前に別の道を考えるようになりました。

    しかし、単に中退するだけでは親の理解も得られないと考えたため、公務員となることを検討。「公務員試験に合格した」という事実を作ってしまえば、親も認めざるを得ないだろう、という目論見でした。

    そうして、受験勉強の甲斐もあり国家公務員Ⅲ種に合格。無事に親の理解も得られ、高校卒業と同等の扱いとなる修了退学の手続きを取り、社会人となりました。

    公務員として配属されたのは札幌市にある病院。そこで事務職として勤務するようになりました。その後、工学的な知識を持っていたことから施設管理的な業務も兼任するように。さらに、会計などの業務も担当するようになり、かなり多忙な日々を過ごしていました。

    その忙しさに追い打ちを加えたのが、当時社会問題となっていた「2000年問題」の対応担当者となったこと。

    危険が叫ばれていたのはシステムトラブルにより、電気や水道が止まるというリスク。人の命を預かる病院では最もリスクが高まることもあり、もしもに備えた対応をとる必要がありましたが、担当は私一人のみ。

    その他の業務も兼任していたため、まさに多忙そのもの。家にも着替えを取りに帰る程度で、まともな睡眠も取れない日々が続きました。

    そんな生活を過ごしていたある日、勤務中に吐血。過労、ストレスが積み重なった結果でした。赤く染まったシャツを見ながら思ったことは「もうこの仕事は続けられない」ということ。

    勤めて9年目、28歳のときに退職を決意しました。

    地元を離れ東京へ。それでも安定した仕事は見つからなかった

    退職し、1-2ヶ月ほど休んだ後に仕事探しを開始しましたが、当時は就職氷河期真っ最中。しかも地方都市ということもあり、まともな正社員の仕事が見つからない状況でした。

    ようやくハローワークで見つけた建設事務の仕事は、移動手段として車が必要にも関わらず、車の維持費を捻出するのが難しいような年収水準。生活することがやっとという待遇であったため、1年程度で退職しました。

    その時思ったのは「北海道にいても仕事は見つからない」ということ。そうしてハローワークで紹介された長野の建設会社へ。しかし、そこでも景気悪化の影響から1年ほど経った頃にリストラの憂き目に。

    「安定した仕事に就くには東京へ行くしか無い」と考え、上京。そうして、ハローワークの紹介で新聞配達の仕事を見つけ、社員として採用されました。

    「やはり東京には仕事がある」と感じましたね。それが30歳の頃です。

    そうして2年ほど新聞配達の仕事に就きましたが、体力的な負荷が大きいこと。そして、長く働いても給料が上がる期待がなかったこともあり、別の仕事を考えるように。

    「東京ならば仕事は見つかるだろう」と考え、次の仕事を決める前に退職を決めてしまいました。

    この判断が結果的に、それからの苦労の期間を招いたのです。

    定職につけず、失業給付を受けながら生活した30代

    DSC_0024.png

    確かに東京は札幌に比べ、多くの求人が存在していました。しかし、それらの多くはプログラマやSEなど専門知識を持った人向けの仕事ばかり。しかも、募集資格は大卒前提。

    30歳を過ぎた、特別な資格も学歴もない自分には応募もできません。結局、ハローワークを中心に仕事探しをし、バイトや派遣で食いつなぐ生活となりました。

    そんな中でついにバイトも決まらない状況に。失業給付を受け取り、職業訓練校へ通ってファイナンシャルプランナー(FP2級)の資格を取得しました。

    その資格が活かせる仕事に就けないものか、と考え仕事探しするも、希望するような事務系の仕事は決まらず。

    単発で工場の仕分けや、建設現場の仕事に就いたりとその日暮らしの生活。1年程度の契約社員の仕事に就けることはありましたが、契約は延長されず。

    失業し、職業訓練にまた通って経理のことを学びましたが、仕事に就けない状況に変わりはありませんでした。

    そんな状況に追い打ちを掛けたのが東日本大震災でした。自宅が被害を受け、住めない状況となったのです。

    仕事もないし、家もない。これからのあてがまったくない。途方にくれた39歳の頃でした。

    「東京チャレンジネット」を利用し、介護の仕事に就くことを決断

    そんな状況に置かれたとき、FP2級の資格を取る際に、利用できる公的サービスについて学んだことを思い返しました。

    思い出したのが「東京チャレンジネット」の存在。早速相談へ向かったところ、支援が受けられる対象であることがわかったため、すぐに申し込みました。

    この制度は、介護の仕事に就くことを前提として、一時住宅に住めることや生活費の貸付などを受けられるというもの。

    講座で「介護職員初任者研修」の資格を取得した後、講座終了1年の間に就職して、介護職として6ヶ月就労すると貸付金の償還免除となります。

    これまでの仕事探しの中で、介護の仕事はもちろん目にしていました。しかし、意識的に避けていました。

    その理由は、単純に「自分に合った仕事ではない」という思いだけ。排泄介助などは自分にはできない。介護の仕事に就くくらいなら、バイトをしていたほうがマシだ、という気持ちでいました。

    しかし、最低でも半年間は介護の仕事に就き続けなければ、これまでに受けた貸付金を返還しなければなりません。背に腹は代えられないという気持ちで仕事に就いた、というのが正直なところです。

    介護の仕事に就いて、生活は安定。目標も生まれた

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    最初に勤めた訪問介護の事業所。実際に働いてみると、資格を取るときに学んだ知識が活かせること。そして、人から感謝されることや、頼られることを実感すると、介護の仕事も悪いものではないな、という意識に変わってきました。

    利用者様の症状は様々であり、洗濯や買い物などの生活介助、病院通いの手伝いなど、求められるサービスも様々です。幅広いサービスを提供できる一人前のヘルパーになるまで頑張ろう、という気持ちが芽生え、ケアマネジャーの資格を取ろうという目標も生まれました。

    しかし、この事業所の待遇がいわゆるブラック的なもの。拘束時間の長さの割に残業代が支払われないなどの不満も生まれていました。

    「ケアマネジャーを目指す」という目標のためには、介護施設も経験しておいたほうがいい、と考えていたので、紹介会社に相談して転職先を検討。

    そうして決めた施設は、自宅からの通勤が楽であったことと、介護福祉士の資格を取れば収入が上がるというところが決め手となりました。

    まとめ:介護の仕事ならば、自分の意思で職場も選べる

    「ここでしか雇ってもらえない」という状況だと、理不尽な状況であっても我慢して在籍し続けなければならないこともあります。しかし、「ここを辞めても、仕事先が選べる」ということは、精神衛生上で非常に重要です。

    介護の仕事の給与は、控えめに言っても高いものではありません。ですが、介護士は人手不足の状況続き。そのため、仕事に就くことのハードルは低い状況です。

    これまで次の転職先が決まらずに困っていた私でも、転職が可能だったことからもそのことはわかるでしょう。

    そうして、資格を取得すれば資格手当が付与されるなど、自分の頑張り次第でキャリアアップも可能です。

    そういった意味でも、仕事に就けずに悩んでいる人、安定した生活を希望する人にとっては、検討すべき選択肢なのでは、と思います。

    このまま今の職場で経験を積み、社会福祉主事任用の資格をとることが今の目標です。そしてゆくゆくは、高齢者だけではなく子供や障害者などもサポートできるようになるため、社会福祉士を目指したい。

     

     

    そんな目標を持っています。
    ※年齢は2019年4月取材当時のものです

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