60代女性 司書の転職体験談|仕事探しから2週間で、希望の司書に就いた秘訣とは?

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60代女性 司書の転職体験談|仕事探しから2週間で、希望の司書に就いた秘訣とは?

ご主人とお二人で暮らす69歳の小松さん(仮名)。小さな頃から本の虫であったことから、長く司書の仕事に就き続けてきました。しかし、突然の契約打ち切りが。そこからの仕事探しなどについてお話を伺いました。

この記事の目次

    短大を卒業後、証券会社へ勤めるも、司書の道を志すことに

    短大の英語科を卒業後、親のススメもあり、証券会社へ就職。「数年のんびりと働いた後、結婚のタイミングで退職」という当時のよくある働き方をイメージしていました。

    ところが、配属されたのは外国籍のお客様宛の窓口。海外からテレックスで入ってくる注文に対応する業務などを担当していましたが、時差があるため残業時間も長い職場でした。

    思い描いていたイメージとはかけ離れた生活を送る中で、「こんなに仕事に時間を費やすなら、好きな仕事をしたい」という思いが膨らんでいきました。

    そこで思い出したのは、子供の頃から本が好きだったこと。そして高校生の頃「司書」になりたかったという気持ちを思い出したのです。

    資格取得のため、思い切って退職。学校へ通うことを決意

    だけど、司書の仕事に就くには資格が必要。学校に通う必要がありました。ならばと思い切って退職し、学校へ通うことを決意しました。

    会社の上司にそのことを伝えたとき「会社で働きながら通うこともできるよ」と配慮をかけてくれたことは嬉しかったですが、司書になるために学校へ通うのだから、と考え、やはり退職することに決めました。入社して1年少しが過ぎた頃のことです。

    そうして受講したのは、大学で行われる集中型の司書講習。日曜日以外はほぼ毎日行われる講義に必死でついていき、無事資格を取得することができました。

    結婚と共に退職。そこからは長く学習塾で講師の仕事に。

    そうして資格を取得した後、幼稚園から高校までを備えたとある私立学園での図書館司書の仕事が決まり、勤務を始めました。

    図書館で扱う読み物や資料の選択や発注。分類や目録の作成から、貸出や資料の案内など。多くの仕事はありましたが、充実した毎日を過ごしていました。しかし、3年ほど働いた頃に結婚。そして出産のため退職しました。

    しかし、子どもが1歳になった頃、「やはり仕事がしたい」という思いが強まるように。近くに住む夫の母にも協力を仰げたため、働きに戻ることを考え始めました。

    もちろん、司書の仕事を探したのですが、当時の求人サイトなどない状況では多くの求人を探すことは難しいものでした。その中で公共図書館の司書業務は見つけましたが、土日に出勤する必要がある仕事ばかり。そのため、一旦希望は抑えて、見つけた塾の仕事に就くことにしました。

    そこでは英語を教える講師としてパート勤務。週2~3回程度の出勤頻度、しかも夕方からという働き方が可能だったため、家庭と両立した働き方を実現することができました。

    そうして、そこで約20年ほど英語講師として働いた頃。経営者が塾を畳むことを決断したため一旦仕事はお休みとなりましたが、半年後には違う学習塾で今度は国語と英語を教えるように。結果、そこには5年ほど在籍しました。

    その学習塾を退職しようと思ったきっかけは、コストのかかるベテランの講師よりも、大学生のアルバイトを雇う流れが加速してきたことでした。合わせて25年近く講師として働いてきましたが、これが潮時かな、と感じましたね。

    そのとき感じたのです。「これが司書の仕事に戻るきっかけかも」と。

    充実感を感じて働けるのは、やっぱり好きな仕事であることを改めて実感

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    司書に戻ろう、と思った当時でも50代の中頃。「仕事が見つかるだろうか」という不安もありましたが、まずは動き出してみたところ、割とすんなりと経験者を求めていた会社で働くことができました。何事も行動してみるのが一番ですね。

    入社したのは様々な学校図書館へ司書を派遣する会社でした。その会社に在籍し、様々な大学の図書館や研究室で勤務をしました。

    様々ある司書業務の中でもっとも私が好きだったのが「ILL」と呼ばれる業務。実は、どこの図書館でも所蔵できる本の量には限りがあるため、図書館同士で相互に貸し借りを行うネットワークが存在しているのです。

    ネットワークが整備された今ならばPC上で管理ができますが、当時は蔵書を探すのにも謎解きのようなプロセスを踏まなければならず、その過程も楽しみながら仕事をしていました。

    働いている間には自分の母が体調を崩したため、介護のために2年ほど休みをいただいたことも。パートでの雇用であったため戻ってくるのは難しいか、とも思いましたが、欠員があったこともあり、仕事に復帰することができました。

    そうして漠然と「70歳くらいまでは司書として働いていきたい」という思いがあったので、この会社で司書人生を全うするだろうな、と思っていました。

    ところがその日は突然きました。ある日の勤務後、会社から呼び出しがありました。そこで伝えられたことは、「契約終了」という言葉。頭が真っ白になる感触を覚えました。

    やりたい仕事に就きたいなら、行動しないと始まらない

    契約終了となった理由は、所属していた会社と業務を委託していた大学との間で結んでいた契約が打ち切りとなったため。「皆さんの勤務には何も問題はないのですが..」と、担当の社員の方は申し訳なさそうに語っていました。

    契約終了が伝えられたのは2月の最終日。「あと一ヶ月が過ぎてしまえば、もう司書の仕事はできなくなる」ということを改めて見つめ直したとき、終わり方に納得のいかない自分に気づきました。

    「目標の70歳までは働くということを諦めることはない。次の職場を探せばいいんだ」という考えが浮かびましたが、この年齢でそもそも新しい仕事に就けるのか?清掃や調理や介護など、シニア層でも就きやすい仕事しかないのでは、という考えも頭をもたげました。

    しかし、やりたい仕事をしたいならば、仕事を探すしかない。そう考え、マイナビミドルシニアをはじめとする様々な求人サイトへ登録。情報収集をはじめました。

    でも働いている間は、他の会社に応募するのは気が引ける。全力でこの仕事に向き合い、退職してから本格的に転職活動を始めよう。そう決めていました。

    退職後10日程度、あっという間に希望の仕事に就くことができた

    そうしてあっという間に3月が終わり、4月がやってきました。家でぼーっとしてみたのも束の間、求人サイトでどんどん検索を行いました。

    「自宅近辺のエリア」×「シニア」などのキーワードを中心に検索。そこに「司書」や「図書館」などのキーワードも掛け合わせて様々な求人を調べました。

    すると、自宅からもほど近い高校で「急募」となっている図書館司書の仕事を発見。サイトから応募したところ、すぐに連絡があり「面接に来てほしい」とのこと。

    そうして面接を行ったところ、後日電話があり「少し離れた高校での欠員があるので、そちらではいかがですか」とのお話をいただき、承諾。気づけば退職から10日も立たない間で、希望していた司書の仕事が決まっていました。

    これまでの経験を活かしながら、若い司書を支えていきたい

    DSC_0026.png

    振り返ってみると、トントン拍子で希望の仕事に就くことができましたが、今思い返すと小さな工夫を積み重ねていました。

    1.小さめの会社狙い
    司書派遣を行う会社はいくつかありますが、司書は人気の仕事。そのため、大手の場合若い人を優先するだろうと思い、小さめの会社を選んで検索していました。

    2.資格必須の求人狙い
    その他では、応募資格に「司書資格保有者」が入っているところばかり選んでいました。そのような求人であれば資格と経験を求めているため、年齢がマイナスに働くことはないのでは、と考えたためです。

    3.履歴書は手書きでアピール
    細かなところでは、履歴書を手書きで作成したこと。パソコンで作成し、パソコンスキルをアピールすることも考えましたが、手書きなどの業務も多い司書の仕事を受けるのであれば、手書きがふさわしいだろう、と考えたためです。

    まとめ:これからもプロとしての気概を持って働き続けていきたい

    司書の世界でもネットワークの整備が進み、人力で行う業務の需要は年々減っています。そのため新規採用枠はなかなか生まれず、みんな欠員を待つ状況。いわば椅子取りゲームの様相を呈しています。

    「そんな限られた枠を私が埋めてしまってよいのかしら。若い世代にこのポジションは譲って、もっとシニアらしい仕事を選ぶべきでは」という考えは頭に浮かびました。「司書を目指す若い世代のチャンスを奪ってしまう」そのことに罪悪感に似た気持ちも感じました。

    ですが、やっぱり自分の経験と資格を活かし働いていたい。そうして、仕事の中で若い世代のサポートを行う。そして、キビキビと働く自分の姿を見せ、「年をとってもこういう風に働いていたい」そんな気持ちを若い世代に抱いてもらう。それこそが、自分が司書の席に座り続けるうえでの責任なのでは。そう思っています。

    この年齢になっても働き続けるモチベーションはやっぱり「社会と繋がり続けられる」ことです。そして、できればボランティアとして関わるのではなく、報酬をいただくプロとして責任を果たし続けていく。

    いつまで続けられるかは体力次第かもしれませんが、そんな形で世の中に貢献していけることを望んでいます。
    ※年齢は2019年4月取材当時のものです

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