40代・50代から考える定年後の働き方。起業・独立という選択肢と知っておくべきリスクと対策
- 独立・起業
- 公開日:2026年10月20日
ハッピーカーズが40代・50代を対象に行った調査では、定年後の働き方として「今の会社で働き続けたい」と考える人がいる一方で、起業や独立を視野に入れる人も少なくないことがわかりました。今回は、調査結果をもとに定年後の働き方に対する意識をご紹介します。あわせて、起業・独立のメリットやデメリット、失敗を防ぐために押さえておきたい準備などを解説。定年後の働き方に悩んでいる、起業や独立に興味がある人は、ぜひ最後までご一読ください。
この記事の目次
定年後の働き方に対する40代・50代の意識
ハッピーカーズが、40代・50代を対象に定年後の働き方について行った調査を発表しました。
「再雇用制度などの利用で、今の会社で働き続けたい」と回答した人が、27.5%に対して、「別の会社に転職・再就職したい」人が14.6%、「起業・独立したい」と回答した人が10.6%でした。どのような形であっても、働き続けたいと考えている人が全体の60%以上であるとわかっています。
さらに、定年後に起業・独立したいと回答した人で、起業・独立を検討し始めた時期に関する質問では、40代からが約68%となりました。30代からが16.5%、50代からが14.7%という回答でした。
続いて、起業・独立を検討したきっかけについては、以下のような回答となっています。
- 会社の将来性や自身のキャリアパスに不安を感じたから:45.9%
- 自身のスキルや経験を活かしたいと思ったから:44.0%
- 自分の裁量で自由に働きたいと思ったから:36.7%
- 今より収入を増やしたいと思ったから:31.2%
- やりがいや社会貢献を意識するようになったから:23.9%
- ワークライフバランスを改善したかったから:22.0%
- 子どもが自立するなど人生を見直す余裕ができたから:16.5%
[マイナビニュース記事(2026/6/5掲載)内のハッピーカーズ調査発表より引用]
さまざまな経験をしてキャリアを積んだという実感が出てきたり、自分の人生について考え直したりといったきっかけで、起業や独立を検討する人が多いようです。
シニアで起業・独立するメリット
シニアでの起業・独立は、どのようなメリットがあるのか想像がつかないという人もいるでしょう。以下では、シニアならではの起業・独立のメリットを3つご紹介します。
自分の経験や人脈を活かせる
社会人として40年近い経験で得たスキルや人脈を、自分のビジネスに活かせるのは強みとなります。
営業経験があるなら、営業力や築いてきた人脈で新たな顧客獲得もしやすくなるでしょう。人事の経験がある人は、採用や人材育成に携わった経験を活かして、企業へのアドバイスを行うコンサルタントのような案件を獲得できるチャンスがあります。
長年の経験を通して得たスキルは、競合にない強みとして製品やサービスの提供につながります。自分だけの武器を持てるのは、シニアで起業・独立するメリットの1つです。
年齢に関係なく働ける
再雇用制度などで働き続ける場合、企業が定める雇用期間や制度によっては、希望する年齢まで働き続けられない可能性があります。さらに、転職も難しくなるので、希望した仕事を続けられなくなる可能性も高くなります。
起業・独立によって、年金以外の収入源を確保できる可能性があります。生涯、社会とのつながりや収入を保ち続けられるのは、定年後も働けるメリットとなります。
また、自分の体調や体力に合わせて、自由に働けるのも魅力的です。やりたい事を自分のペースに合わせて続けられるのも、シニアで起業・独立する利点です。
年金以外の収入を得られる
定年退職後は、これまで得られていた給料がなくなり、安定した収入は年金だけになります。しかし、年金は原則65歳から受給開始となるため、60歳で退職した場合は支給まで5年間の時間が出てきます。
起業・独立をすれば、年金支給を待たずに安定した収入を得られる機会が増えます。年金以外の収入があれば、日々の生活や旅行・趣味を楽しめる余裕も得られるでしょう。老後の生活資金に不安がある、余裕を持った生活をしたい人にとって、必要な金額を自分で稼げる機会のある起業・独立は、メリットとなります。

シニアで起業・独立するデメリット
シニアで起業・独立するには、デメリットもあります。40代や50代で独立するよりもリスクが高まるため、ぜひ事前に確認しておいてください。
再就職が難しい
シニアの起業・独立で失敗した時、再就職が難しくなるのがデメリットです。若い時は失敗をしても、起業経験を活かした一般企業への再就職も可能です。再度、開業資金を貯めてチャレンジするなどの選択肢もあります。
一方でシニアの場合は応募している企業が少なく、再就職のハードルが高い傾向にあります。応募をしていても、正社員ではなく契約社員やアルバイトなどの場合が多くあります。
特に、起業の際に全財産を使ったり、借金をしたりした場合は、家計にも大きな影響が出ます。失敗した後のリカバリーが難しいのは、シニアで起業・独立のデメリットです。
体力がないと経営が難しい
独立して最初のうちは作業量が多く、長時間労働や不規則な生活が続きがちになります。そのため、忙しい時を乗り切れるだけの体力が必要です。シニアになるにつれ、体力は落ちていくため、無理な労働は健康を損なう危険性もあります。
自分の体力を見極めながら、無理せずに働ける環境を作らないと、せっかく独立をしても続けられなくなるでしょう。持病がある人は、医師とも相談して健康管理を心がけてください。
収入が安定しない可能性がある
起業をしてすぐの頃は収入が安定せず、赤字となるケースもめずらしくありません。事業が軌道に乗るまでは収入にも波があり、目標額には届かない月が続く場合もあります。すぐに収益が出ない時のことや売上が想定を下回る期間も考慮し、当面の運転資金を確保しておくことが大切です。
シニアの起業・独立で使える融資・補助金
シニアが起業・独立する際に、融資・補助金が使えるケースがあります。利用条件に当てはまっている場合は、ぜひ申し込みをしてみてください。
新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
日本政策金融公庫では、新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)が用意されています。利用できる条件などは、以下の通りです。
| 利用条件 | 新たに事業を始める、または事業開始後おおむね7年以内の女性・35歳未満・55歳以上の人 |
| 資金の使い途 | 新たに事業を始める、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率 | 特別利率Aなどが適用されます。具体的な利率は資金の使途や返済期間、担保の有無などによって異なるため、日本政策金融公庫の最新情報をご確認ください。 |
| 担保・保証人 | 希望に沿って相談 |
開業後おおむね7年以内の方も対象となります。ただし、融資には審査があり、希望どおりの融資を受けられるとは限りません。また、助成金ではなく借入金なので返済が必要です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、商工会議所や商工会が一体となって経営計画を作成し、当該計画に基づいて行う販路開拓等の取組を支援するための措置です。複数の枠があり、一般枠の場合は通常枠・インボイス特例・賃金引き上げ特例・災害支援枠があります。
そのほか、創業型・共同・協業型・ビジネスコミュニティ型があります。通常型の詳細は、以下の通りです。
| 一般型通常枠 | |
| 要件 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者 |
| 補助上限 | 50万円 |
| 補助率 | 3分の2 |
| 対象経費 | 機械装置等費、広報費ウェブサイト関連費など |
参照元:中小企業庁「持続化補助金の概要」
小規模事業者持続化補助金は、公募期間や申請要件は変更されることがあるため、申請を検討する際は最新の公募要領を確認しましょう。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
中小企業などが、革新的な新製品・新サービスの開発や、新たな市場への進出、海外市場開拓などに取り組む際の設備投資等を支援する制度です。
「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」が設けられており、対象となる事業や補助上限額、補助率などは枠によって異なります。申請を検討する場合は、最新の公募要領で対象要件を確認しましょう。
ものづくり補助金も公募スケジュールが決まっているため、利用する際はスケジュールを確認してから申し込みをしてください。
参照元:中小機構「新事業進出・ものづくり補助金のご案内」
シニアが起業・独立するときにしておきたい準備

シニアが起業・独立する前にしておきたい、準備項目を3つご紹介いたします。これから起業を検討している人は、ぜひご確認ください。
入念な事業計画を立てる
起業・独立した事業を長く続けるためには、事前の入念な事業計画の作成が大切です。どのような商品やサービスを、誰にどのように提供するのかを明確にします。さらに、収支の見通しやリスク対策まで、具体的に落とし込んでおきましょう。
計画があいまいなまま始めると、資金繰りに失敗したり、想定外のトラブルに対応できなかったりする可能性があります。
自分の経験や人脈を活かせる分野を選ぶ
シニアで起業・独立する強みは、長年の会社員生活や専門職で培ってきた知識・技術・人脈がある点です。未経験の分野に挑戦するよりも、これまでのキャリアを活かせる業種を選ぶと、事業がスムーズに進みやすくなります。
信頼できる取引先や顧客を獲得できるチャンスもあり、事業を成長させる機会が増えるでしょう。得意分野を軸にすれば、体力面の負担も抑えられます。
初期費用を抑えて始める
シニアでの起業・独立は、退職金や貯蓄を使いすぎないことが重要です。自宅を事務所にしたり、必要最小限の設備からスタートしたり、初期費用を抑えた小規模での開業がおすすめです。
国や自治体の補助金・助成金制度を活用するのもおすすめです。無理のない資金計画で始めれば、万が一うまくいかなかった場合のリスクも軽減できます。
シニアが起業・独立で失敗しないための対策
シニアが起業・独立で失敗しないための対策もご紹介します。少しでもリスクを回避して事業を続けるためにも、ぜひご確認ください。
開業や老後の資金を計算する
起業には開業資金だけではなく、生活費や老後資金も考慮した資金計画が欠かせません。事業が軌道に乗るまでの運転資金・年金受給額・貯蓄の取り崩しペースなどを具体的に試算しましょう。
生活が破綻しないラインを把握しておけば、万が一赤字となった場合でも安心です。自分だけでは不安な場合は、専門家にも相談してみてください。
家族や周囲に相談する
シニアの起業・独立は、本人だけではなく家族の生活にも影響します。事前に事業内容や資金計画を家族と共有し、理解と協力を得ておくことが大切です。また、同世代で起業した人や専門家に相談することで、客観的な意見やアドバイスを得られ、リスクを事前に把握しやすくなります。
勧誘された時は内容を見極める
起業や独立にあたって投資やフランチャイズなどの勧誘を受けた場合は、契約内容や収益の根拠を十分に確認することが大切です。うまい話や即決を迫る勧誘には注意し、契約内容や収益の根拠を冷静に確認しましょう。少しでも不審に感じたら、家族や専門機関に相談し、その場で判断しないのも対策の1つです。
まとめ
40代・50代から考える定年後の働き方に関する調査と、シニアでの起業・独立についてご紹介いたしました。ハッピーカーズの調査では、40代・50代の10%が定年後の起業・独立を検討していることが明らかになりました。
シニアでの起業・独立は、現役時代に培ったスキルや人脈などを活かせるのが強みです。しかし、失敗時のリカバリーが難しかったり、体力面での心配があったりなどのデメリットもあります。事業を始めたいと思った時は、体力や金銭面なども含め、家族や専門家に相談してみてください。








