スキルで社会に貢献する新しい働き方――「プロボノ」という選択肢

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スキルで社会に貢献する新しい働き方――「プロボノ」という選択肢

自分のスキルや経験を活かして社会に貢献する「プロボノ」という活動が、いま注目を集めています。単なるボランティアとは異なり、専門性を活かして社会課題に取り組む点が特徴です。プロボノは誰かの役に立つだけでなく、自身のキャリアの見直しや新たなつながりを生み出す機会にもなります。本記事では、その意味や特徴、メリット、参加方法についてわかりやすくご紹介します。

この記事の目次

    プロボノとは、スキルや経験を活かした社会貢献

    皆さんは「プロボノ」という言葉をご存知でしょうか。
    プロボノとは「公共善のために」を意味するラテン語の「Pro Bono Publico」が語源となる、仕事で培ったスキルや経験を活かす社会貢献活動のことを指す言葉です。

    例えば、普段は経理担当として会社に所属して働く人がNPOの経営運営の経理を手伝ったり、システムエンジニアとして働く人がアプリケーションを作成したりと、自身の持てる力を使って社会貢献をするという点で、プロボノの活動は幅広く存在します。

    また、資本主義社会が進んだ現代において、心の幸せや本当の人生の意義を考えた際に、物質的な豊かさだけではなく、"人としてどうあるべきか"が問われている今、「プロボノ」という活動の真価が見直されているのです。

    プロボノが注目を集める背景

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    日本でも働き方改革が進みつつある今、「人生100年時代」や「ライフシフト」、「パラレルキャリア」といったキーワードをよく耳にするようになりました。「パラレルキャリア」とは、複数のキャリアを同時並行に進めていく働き方の一つです。

    あらゆる仕事を同時にしながらキャリア形成を築いていくという点で、現代的な働き方とも言えるでしょう。この「パラレルキャリア」に「プロボノ」も含まれているのです。

    職業上のスキルを活かすプロボノでは、社会貢献という活動意義に加え、自身の活動の場を増やしたり、スキルを磨いたりといった観点もあります。そのため、積極的にプロボノ活動に取り組む方も増えています。

    日本では、終身雇用という働き方が長らく支持されてきました。しかし、現代では複数の職に就き、副業と本業を並行して働いていくなど、その人に合ったライフスタイルの確立がされるようになりました。

    そうした働き方の多様性の影響もあり、プロボノという自身のキャリアを活かした社会貢献へのアプローチが今、注目を集めているという訳なのです。

    人生を豊かにする取り組みとしてプロボノを行う人も多く、"働く"="収入がある"だけではないキャリア形成ができる点が、まさに現代ならではの働き方だと言えそうです。

    プロボノとボランティア活動の違い

    一般的には、無償での社会貢献活動のことをまとめて「ボランティア」と言いますから、厳密に言えば「プロボノ」もボランティアの一種ということになります。

    その活動をボランティアと呼ぶのか、プロボノと呼ぶのかは、視点の違いがポイントです。プロボノでは、「職業上のスキルや経験を活かして、社会課題に対して取り組んでいるか」という点が重要となります。

    例えば、営業職に就いている人が営業スキルを活かして社会貢献に取り組んでいる場合にはプロボノになりますが、営業職の方が清掃活動をした場合はプロボノとは呼びません。

    つまり、自身のスキルを活かして非営利な活動をすることが、プロボノの基準です。
    プロボノには、必ずしも専門性の高さが必要というわけではありませんが、社会課題の解決に繋がる行動や活動であるといった点は踏まえておきましょう。

    プロボノ活動をするメリットとは?

    プロボノ活動は全世界で広がっています。現在ではGlobal Pro Bono Network(プロボノによる市民参加の推進に取り組む団体の国際的なネットワーク) におよそ40か国の団体が参加しています。

    その団体の多くは行政機関や企業などと連携してNPO支援に取り組んでおり、今後も世界的にも広がっていく見込みです。では、プロボノ活動を行うメリットは、どのような点にあるのでしょうか。

    スキルを活かして社会課題を解決できる

    プロボノは社会貢献の要素が強く、プロボノを行う本人も得るものが多い活動だとい言えます。また、社会課題の現場を身近に体験できるため、実社会の問題を知ることができます。

    さらに、様々な背景を持つ人々と知り合い、協力することで人脈を広げながら、自身の働きが人の役に立つという実感を得ることもできるのです。

    キャリアの棚卸ができる

    プロボノ活動をすることで、これまでのスキルや経験を客観的にみることができるでしょう。会社に属していると、自分のキャリアや能力を俯瞰してみる機会はあまりありません。

    しかし、外で社会貢献を通し、人の役に立つことで今後のキャリアをどうしていきたいか、また、どのようにキャリアを重ねていけばいいのかが明確になります。プロボノ活動によって、自身の長所を再発見やスキルを再評価することもできるでしょう。

    社会との新たな繋がりを持てる

    プロボノ活動で社会課題の現場を体験し、これまでご縁のなかった方たちと触れ合うことで、社会の中に新たな繋がりや居場所を持つことができます。

    また、無報酬としての活動は生きがいや内面の充実度を高められるでしょう。与えられるより与えることを通して、人間性を高められるのもプロボノ活動のメリットでしょう。

    プロボノ活動をする上で注意しておくべきこと

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    プロボノは社会貢献活動ですから、一概にデメリットと言われるようなことはありません。しかし、プロボノ活動をする上で気を付けておきたいことをお伝えします。

    稼働できる日を確認する

    プロボノは報酬を伴う本業の仕事とは異なり、善意での活動になります。そのため、打ち合わせのスケジュールが取れなかったり、予期せぬ事態が発生したりとスムーズに活動できないことも。

    無理のないプロボノ活動を続けるためにも、まずはプロボノ活動を行う団体や機関に自身の稼働可能な時間帯を伝えておきましょう。そうした上で活動をすれば、トラブルも未然に防ぐことができます。

    本業への支障をきたさないようにする

    人から喜ばれる体験は、人としてこの上ない幸福感を味わうことがあります。しかし、プロボノ活動はあくまでも自身の生活を基盤に、余力で行うものです。本業を疎かにするまで、プロボノ活動に熱中しないように気を付けましょう。

    団体との相性が悪いときは離脱する勇気も必要

    活動するNPOや組織団体との相性が悪い場合、満足いくプロボノ活動ができないこともあります。そういった場合は、無理にその団体で頑張るのではなく、自身に合う団体を見つけるようにしましょう。

    プロボノ活動で無理をしてしまうと徒労感を味わったり、自信喪失を感じてしまったりと、ネガティブな気持ちになってしまい、二度とプロボノ活動をしようと思えなくなってしまう場合もあります。

    無理なく継続して活動できることが一番人の役に立つことに繋がりますので、団体とのミスマッチはすぐに見極めるようにしてください。

    〈実例紹介〉こんなプロボノがある!

    プロボノ活動といっても具体的にイメージできないかもしれません。では、どのようなプロボノ活動があるのかを見ていきましょう。

    ふるさとプロボノ

    地域活性化に取り組む農⼭漁村などの地域コミュニティや団体と、都市のビジネスパーソンをつなぎ、課題解決に向けて具体的な成果物を⼀緒に作っていく活動です。

    具体的には都市の社会人が農山漁村の暮らしを実体験したり、仕事で培ったスキルや経験の提供をしたりすることで、地域コミュニティの活動基盤強化や、地域活性を応援していく活動です。

    2011年には兵庫県豊岡市・北海道下川町の2地域でプロジェクトがはじまり、現在では北海道から九州まで全国各地で50件以上のふるさとプロボノが運営されているといいます。

    参考:総務省「ふるさとプロボノ」

    デジタル活用支援

    東京都では、課題を抱える地域や自治体に対して「まちの応援プロボノチーム」を実施しています。

    そこでは「1DAYデジタル活用ワークショップ」や「課題解決事例勉強会」など、デジタル化で地域が便利になる活動を進めています。デジタル領域で仕事をしている方は、すぐにでも参画できるメニューが充実しています。

    参考:公益財団法人東京都つながり創生財団「まちの応援プロボノチーム」

    プロボノ活動に参加するための方法

    プロボノに参加するには、どのような方法があるのでしょうか。

    マッチングサイト

    プロボノのマッチングサイトに自身の情報を登録しておき、条件がマッチすれば連絡が送られてくる仕組みです。気軽にプロジェクトに参加できるため、まずは登録だけでもやっておくという方が増えています。

    コーディネート団体に登録する

    プロボノ活動を紹介するウェブサイトなどには、非営利団体や社会的企業がプロジェクトを投稿しているため、簡単にプロジェクトへの応募ができるでしょう。こうした団体では新規でプロボノ活動をする方も多く、新しく同じタイミングでプロボノを始める仲間とも出会いやすくなっています。

    社内公募

    会社内でプロボノ活動をする有志たちが集まって活動する方法です。現在、多くの企業でプロジェクトが進行しています。部署を超えて連携して活動することができるので、会社内でコミュニティを作るきっかけにもなります。気になる方は一度、会社の広報や専門部に問い合わせをしてみましょう。

    まとめ

    プロボノ活動は、キャリアを活かしながら社会貢献ができる多角的な働き方です。もし、お金をもらうまではいかなくても何かをはじめたいと思っている方は、プロボノ活動へのチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。プロボノで始めたことが、新たなキャリアの扉を開くきっかけになるかもしれません。

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