60代女性 金融業界からの転職体験談 | 退職勧奨後に経験の棚卸しを行い、新たなキャリアの構築に成功。

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60代女性 金融業界からの転職体験談 | 退職勧奨後に経験の棚卸しを行い、新たなキャリアの構築に成功。

英語力を活かし、多くの外資系の金融機関を渡り歩いてきた夏目さん(仮名)60歳。54歳のときに在籍していた企業から退職勧奨を受けたことが、自身のキャリアを見つめ直すきっかけとなったと語る夏目さんに、これまでとこれからのキャリアについてお話を伺いました。

この記事の目次

    キャリア軸の中心にあったのは「英語力を活かせる仕事」

    関東で生まれ育ち、中学生のときから英語に興味を持つように。高校は語学に力を入れているミッションスクールに進学し、そのまま付属の短大へと進学。英語漬けの生活を送りました。

    当時はスチュワーデス(現:CA)を志望していましたが、身長が足りなかったこともあり断念。商社など英語の使える仕事を志望する中、新聞社で記事を英訳して配信する部署の事務の仕事を発見。1年間の契約でしたが、ここで経験を積みたいと応募したところ無事採用となりました。

    入社してみると周りは語学力の高い人がたくさん。後年、海外特派員になった方も多くいるような環境でした。そこでの私の主な業務はタイピングでしたが、仕事の合間には英語の勉強。そんな働き方が許されている環境で初めての社会人生活を送りました。

    そうして1年後に契約満了。改めて英語を活かせる仕事を探そうと考え、外資の求人が多く掲載されているジャパンタイムスの求人広告をいつも眺めていました。

    そこで見つけたのはシンガポールの銀行。金融知識はありませんでしたが、意欲と英語力をアピールしたところ採用。

    ここから私の外資系金融でのキャリアが始まったのです。

    外資系金融を数年置きに渡り歩き、キャリアを積み重ねていく

    DSC_0084.jpg

    入社した銀行では窓口業務から始まり、銀行の基礎業務を全て教わりました。日本事務所の人数が少なかったこともあり、徐々に幅広い業務を担当するように。最後は給与計算や社会保険などの人事労務にも関わることができました。

    そうして入社して7年ほど経過した28歳の頃、「できることはやりきった」という実感を持つように。年収も増やしたいし、さらにキャリアを積んでいきたい。そうして次第に転職を検討するように。エージェントに相談したところ、米系の銀行を紹介されたため、転職を決断しました。

    米系銀行で働いたのはちょうど10年。居心地は良かったですが、徐々に経営の雲行きが怪しくなってきたため、移り先を検討するようになりました。そんな時、ヘッドハンターにオランダ系の銀行を紹介され、マネージャー待遇を提示されたこともあり、38歳の時に転職を決めました。

    その銀行には46歳になるまでの9年間在籍しましたが、またヘッドハンターに声をかけられ、香港系の銀行へ転職。しかし、結果的にこれは失敗でした。コンプライアンス的に問題のある銀行であったため、金融庁の査察など入るような環境。身の危険を感じ、1年ほどで別の会社へ移ることにしました。

    そうして移った先はオーストラリア系の銀行。雰囲気もガツガツしておらず、年収もよい。よい勤め先を見つけたな、と感じていました。

    このように複数の外資系金融会社を渡り歩いてきましたが、景気が悪くなかったこともあり、転職のたびに年収は上昇していきましたが、心のどこかでは「この流れがずっと続くことはないのでは」という懸念を抱いていました。

    54歳。まさかの退職勧奨

    転機が訪れたのはオーストラリア系銀行で新しい上司が赴任してきたときのこと。高圧的な態度も、モラルに欠けるビジネス手法も、尊敬の対象にはなりえなかったため、再度の転職を検討するようになりました。

    そんな時期、友人が勤務している米系の銀行で募集を行っているという情報を知ることに。よくよく聞くと前職で働いていた知人がいることもわかり、転職することを決めました。

    52歳、転職したのはリーマンショックの爪痕が残っている時期。そうした背景もあり、提示された年収はこれまでよりも低いものでした。しかし、与えられたポジションに不満はなかったため、それを受け入れ勤務することにしました。

    そうして働き始めて3年ほど経ったある日、人事へ呼ばれて別室へ。そこにいたのは直属の上司。そして告げられたのは「明日から出社しなくてよい」という退職勧奨でした。

    驚きはありましたが、周囲から突然姿を消す高齢の社員が数人いたこともあり、予感はしていました。しかし、その時私は社内でも大きなPJを抱えている状況。「その主要な役割を占めている自分は必要とされているだろう」と思っていましたが、その思いは裏切られることになりました。

    提示された条件は2つ。割増の退職金を受け取り、明日付で退職すること。もしくは、3ヶ月に分けて給料の代わりに退職金を受け取ること。その決断をその場で求められました。

    私が選んだのは後者。会社に少しでも長く在籍し、その間に次の仕事を決めようと考えたのです。

    50代にして銀行員から人事の専門職へとキャリアをチェンジ

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    退職勧奨を受けた際、再就職支援会社を紹介されたため行き先について相談をしました。もちろん、これまでの経験を活かせる同業他社が希望。金融機関ならばどこでもよい、と妥協していましたが、それでも紹介先は見つかりませんでした。

    その頃、人材系の会社にいる昔の知人と会う機会が。話をしていたところ「まだ54歳。より好みしなければ仕事はきっと見つかるから、時間を無駄にしないためにも資格を取るなど自分の成長に時間をかけたら」というアドバイスが。確かにそのとおり、と感じて自己成長に取り組むことにしました。

    そこで選んだのはキャリアカウンセラーの資格を取ること。これまで人事関連の業務を担当することは多くあったのですが、体系的には学んでいなかった。ならば、キャリア形成についての学びを深めてみようと思ったのです。

    そうして資格を取得したちょうどその頃、仕事が決まりました。かつての同僚であったインド人が、私が仕事を探していることを聞きつけスカウトをくれたのです。その会社はシステム系の業務を請け負う特定技術派遣の会社。そこで人事のポジションにつくことに決めました。

    そこから人事として専任で働きましたが、働く中で感じたのは銀行員として働くことへの未練がなくなっていることでした。自分の中で「やりきった」という気持ちの切り替えが、この職場に働く間にできたようです。

    ここで長く働くという選択肢もあったのですが、プライベートで身辺整理をしなければならない事情もあったため2年で退職。半年ほどでその用事を片付けたのちに転職活動を始めたところ、スウェーデンの機械メーカーが人事部長のポジションを探していたため、そこへ入社。

    次の正式な人事部長が決まるまで、という契約だったため1年ほど働いた後、再度次の環境を探しました。

    自らの棚卸しとネットワークの活用こそが、中高年での転職の鍵

    そして選んだ次の職場は、フランスのアパレル会社のHRマネージャーのポジションでした。ですが、雇用形態は派遣社員。日本企業ではあまりないかもしれませんが、外資では人事機能の多くをアウトソースしているため、人事のポジションが不足しがち。そのため、マネージャーポジションで募集を行うことも多いのです。

    本音を言えば、社員か契約社員が希望ですが、倍率も高く、若い人との競争になります。正社員として高い年収を頂けるに越したことはありませんが、蓄えが無いわけではない。ならば、無理に年収にこだわることはせず、気に入った仕事に就きやすい派遣という働き方を選択することにしたのです。

    現在はそこからまた就業先を変え、イギリスの製薬会社で派遣社員として人事を行っています。平均年齢が高いこともあり、働きやすい環境です。パフォーマンスを証明できれば契約社員として登用される可能性もあるので、やりがいを感じています。

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    若い頃の転職の基準は年収を上げることでした。パフォーマンスを認められ、多くのインセンティブを獲得することにモチベーションを見出していました。

    しかし、退職勧奨を受けたときに受けた失望から、「これからは自分のためだけではなく、信頼できる人のため、気に入った組織に貢献するために働いていきたい」という意識に変わりました。それが組織に貢献できる人事という役割に目を向ける良い機会になったのだと思います。

    50代を過ぎての転職活動は、やはり厳しいものです。そのときに私が行ったことは、「自分がやりたいこと」「自分ができること」それぞれを棚卸しすることでした。それらを見つめ直したうえで、自分をアピールするための書類を作り、さらに自分が持てるあらゆるネットワークを活用し、ポジションを探すことでした。

    大きかったのは、今後の家計・貯蓄のシミュレーションも行っていたこと。自分は何歳のときにいくらの年収が必要なのかもおおよそ把握できていたため、地に足のついた転職計画を立てることもできました。

    もともと私はおせっかいな性分。人事の役割で組織に貢献し、与えられたチャンス、環境でパフォーマンスをこれからも発揮し続けていこうと思っています。
    ※年齢は2019年12月取材当時のものです

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