50代男性 飲食業界の転職体験談 | 早期退職後、仕事探しで苦労を重ねた経験は、きっと今の糧になっている。

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50代男性 飲食業界の転職体験談 | 早期退職後、仕事探しで苦労を重ねた経験は、きっと今の糧になっている。

奥様と二人暮らしの小菅さん(仮名)59歳。三人のお子様は皆、社会人として独立しています。長くホテル業界でキャリアを積んだ後、早期退職制度に応募。自分の店を持つことを目標としつつ、調理を始めとし様々な仕事を経験してきました。中高年世代に仕事探しについてお話を伺いました。

この記事の目次

    50歳のとき、26年間働いたホテルの早期退職制度に応募。

    東京で生まれ、関東で学生生活を送りました。当時は漠然と海外に行きたいという希望を持っていたため、語学の専門学校へ進学を検討していたところ、とあるホテルを運営する企業に勤労学生という制度があることを知り応募。

    そうして会社の援助を受けながら昼は学校へ、夜はホテルで働く生活を送るように。ホテルには多くの外国人客も訪れるため、語学のスキルも磨くことができました。卒業後、自然の流れでそのホテルで働くようになったのです。

    レストランのサービスから始まり、様々な部署を経験。売上を管理する部門なども経験し、キャリアを積んでいきました。入社して、5年ほど経った頃。好景気の中で、新たなホテルが多く建設されるように。その中の大手ホテルからうちに来ないか、とお声がけをいただいたため、転職することを決めました。

    新たなホテルでは、サービス部門から宴会まで幅広くジョブローテーションを経験。ハイクラスのホテルであったため、質の高いサービスを提供することに注力していました。数年してからマネージャーへ昇進。様々な部署の管理職を担当しながら、26年に渡ってその会社に勤めました。

    長く勤めていれば、景気の良い時期も悪い時期もあるもの。そんな景気の悪い時期には、会社で早期退職の募集も行われました。私が50歳になったとき、二度目の早期退職の募集が行われたのです。

    その頃、家庭の事情もあり様々な悩みを抱えていました。景気の良くない状況だったため、働き方もなかなかにハードでもありました。そうして、早期退職に応募することを決めたのです。

    希望は自分の店を出すこと。調理師免許を取得するため、専門学校へ進学

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    退職後、会社のサポートで再就職の斡旋などもありましたが、なかなか良い求人は見当たらず。ひとまず失業給付を受給しながら、次の仕事を探しにハローワークへ通う日々が続きました。

    退職後の家計シミュレーションはしていませんでしたが、退職金が入ってまずはマンションのローンを一括返済しました。妻も正社員で勤務していることもあり、経済的に不安視はしていませんでしたが、翌年の税金の額が思ったより大きかったこともあり、のんびりしてはいられないな、という意識は持っていました。

    退職を決めたとき、「外国人がたくさん集まるような飲食店を開きたい」ということを漠然と思っていました。店を出したい地域はおおよそ頭にあったので、それなら地域に詳しい方がよい。そんなとき見つけた郵便配達の仕事に応募。無事、契約社員として採用となりました。

    それから1年ほどバイクにまたがり、地域に郵便を届ける生活を送りました。そうするうち「店をやるならば、飲食に日常から触れているほうがよい」と考えを改めるように。そうして退職し、夜間に専門学校へ通い調理師免許を取得することにしました。

    学校へ通う間、昼間は飲食店でアルバイト。様々な業態の店を5つほど経験しました。1年半後、無事に調理師免許を取得。再度仕事探しを始めたのです。

    店を持ちたい思いが募り、安定した環境を捨て、調理経験を積める仕事探しを選択

    仕事を探す際の軸は、以下の3つ。

    ・最終電車で帰れる自宅から1時間程度の場所
    ・月に20万程度の月収
    ・できれば正社員

    この軸で探す中で、寿司や天ぷらをメインとする高級店の求人を発見。収入などの待遇面は、希望に届かず契約社員でしたが、格式高い店で働く経験は自分のためになると考え、入社することに決めました。

    担当するのは調理とサービス。サービスは長年の経験がありますが、調理で任せてもらえるのは下ごしらえ。それでも、学ぶことは多いうえに、親方や一緒に働くスタッフは気持ちのよい人ばかり。仕事はきつかったですが、環境には満足していました。

    しかし、働き始めて半年ほど経った頃のことです。終電間際で急いでいたところ、店の階段が急なこともあり、踏み外して転落。怪我で入院することになってしまいました。体力的なことを考えるとまたやってしまう恐れがあったため、検討した結果退職することにしました。

    その後、見つけたのが和食の店。主にサービスを担当する店長代理として正社員採用。給料も30万以上と高待遇。忙しくはありましたが、条件的には申し分はありませんでした。

    しかし、1年ほど働いた頃、また「自分の店を持ちたい」という気持ちが高まるように。「もう一花咲かすならば、少しでも早いほうがよい」「店を出すならば、調理をしていた方がよいのでは」という考えが頭を占めるようになったのです。

    仕事を辞めることについては妻にも相談しました。「せっかくいい仕事についたのだから」という意見はありましたが、考えを伝えたところ理解は得られたため、退職を決断。調理の仕事を探すことにしました。

    訪れた派遣切りの危機。しかし、貢献が評価され直接雇用で働くことに。

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    しかし、50代半ばでの仕事探しはやはり難しいもの。ハローワークや求人雑誌を中心に求人を探して、50社ほど応募しましたがよい返事はなし。上記にあげた仕事探しの3つの軸にこだわらず条件を広げましたが、なかなか仕事は見つかりませんでした。

    そうした中、派遣会社へ登録してみたらどうだろうと考え、調理求人を扱う派遣会社へ登録。すると商業施設の社員食堂での調理の仕事が紹介されたため、その仕事に就くことにしました。

    仕事の内容は、料理づくり、盛り付けから仕込みまで幅広いもの。仕事に慣れれば慣れるほど多くの仕事を任されました。一日1500食と多くの仕事量が求められるものの、多くのベテラン調理師が働いているため、調理における多くのテクニックを学ぶことができる。自分にとってプラスとなる経験を重ねることができる職場であり、満足して働くことができていました。

    しかし、1年ほど働いた頃、派遣先の社員食堂に新たなマネージャーが着任したのです。マネージャーの業務はコストカットを行うこと。そこで目をつけられたのが厨房で働く私たちの派遣人件費でした。その話を聞いたとき、「この職場にいられなくなるのかも」と不安を抱きましたが、面談してみると話は別。

    「派遣の契約は終了するが、戦力になってくれる人は残ってもらいたい。派遣会社には話をするから、よければ当社のパートナー社員としてこの職場を一緒に盛り上げていってくれないか」というお話が。自分が必要とされていることは素直に嬉しかったですね。二つ返事で引き受けました。

    それから、現在に至るまで社員食堂で契約社員として働いています。「自分の店を持ちたい」という希望は会社にも伝えています。そのため、勤務日数はシフトで週3日程度でも大丈夫なよう融通をきかせてくれたので、仕事をしながら物件を探す時間も取れるようになりました。スタッフとの関係もよいし、学べることも多い。出店計画が固まるまでは、この職場で働いていこうと思っています。

    転職をするならば、やりたいことを明確にして、希望の軸を決めるべき。

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    早期退職し、新たな働き方をするようになってから10年。振り返ってみれば、会社に残るほうが経済的には安定したかな、と思うこともあります。

    しかし、残った会社では心労や過労で倒れる人も多く、亡くなった人も出たと元同僚から話を聞くと、どちらがよかったかは一概には言えないな、とも感じます。

    もし、50代で転職を考える人から相談を受けたならば、簡単には辞めないほうがよいとアドバイスをするでしょう。転職市場に出て初めて、自分の市場価値は思っていた以上に買い叩かれると気づいたためです。

    ですが、今の職場に居続けたら体を壊してしまうなどの事情、またはやりたいことがあるという人ならば、転職という選択に向き合うことは重要だと思います。やりたいことがある場合、自分がやりたいことを明確にしておいたほうがよい。私の場合、店を出したいという願望はありましたが、漠然としていたため遠回りをしてしまいました。

    しかし、そのことに後悔はありません。転職活動の中で感じた苦労は、今の自分の糧になっている。そして、調理の道を選んだことで、一生食べていけるスキルは身についた。そう感じています。

    何よりも今、自分の作った料理を食べて喜んでくれる人が大勢いる。そうしたやりがいを感じながら仕事ができています。

    ここでベテランの調理師たちが持っている知恵、経験、技をどんどん吸収していきたい。そうして、いつか自分の店を持とうと思います。

    ※年齢は2019年9月取材当時のものです

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