50代女性 デザイナーの転職体験談 | 不合格が続く中、カツラをかぶったら無事採用。やっぱり人は見た目なの?

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50代女性 デザイナーの転職体験談 | 不合格が続く中、カツラをかぶったら無事採用。やっぱり人は見た目なの?

早くに旦那様を亡くされ、息子さんと暮らしてきた上川さん(仮名)57歳。息子さんの大学進学をきっかけに再び働きに出ることを選択しましたが、なかなか採用されない状況が。そこで行った工夫など、仕事が決まるまでについてお話を伺いました。

この記事の目次

    アパレルのデザイナーとして身を立てるべく、イタリアへ渡るも失意の帰国

    福岡で生まれた私。実家が着物などの繊維を扱う商売をしていたことから、幼い頃から画家や絵描きさんが出入りする環境で育ちました。そうして自然とデザインの道を志すように。そうして、東京の大学で服飾デザインを学びました。

    就職活動で受けたのは、すべてアパレルのデザイナー。その中で内定をいただいた著名なブランドのデザイン職に就職することを決めました。

    入社後はストッキング、靴下、バッグなどロイヤリティ商品のデザインを担当。手がけたデザインは次々と商品化されました。しかし、私が担当したかったのはオートクチュール。パリコレなどのファッションショーで自身の作品を世に出したいという思いを持っていました。

    しかし、アパレル世界の内実は強い年功序列の慣習がありました。質の高い作品に携わることで自身の眼と腕を養うことはできましたが、長く勤めてもオートクチュールに関わることは相当先ということが目に見えていました。

    3年ほど経ったときに私が選択したのは、勤めたブランドを退職してイタリアへ留学することでした。

    そうして、留学先で1年学んだ後、ヨーロッパのハイブランドに勤めるべく、バレンチノなどの門を叩きました。しかし、当時はイタリアの景気が悪かったこともあり、採用はされず。帰国し、地元である福岡へ戻ることにしたのです。27歳のことでした。

    広告業界で独立の後、結婚。しかし、思いがけない不幸が

    福岡は東京と違い、アパレルデザインの仕事はほとんどありませんでした。そうして就いたのは広告事務所。イラストレーターとして採用されました。

    当時はバブル真っ最中。事務所で受ける仕事が多かったため、イラストだけではなく、コピーも手がけるように。すると、手がけた作品が広告賞で大賞を受賞したのです。

    すると大手のクライアントから独立のお誘いが。入社して1年目ではありましたが、定期的な仕事を受けられるため、独立することを決めました。そうして、居場所を東京へ移し、3年ほどフリーで活動。そんな中、東京で出会った夫と結婚。ほどなくして妊娠をいたしました。

    しかし、人生は何があるかわかりません。妊娠中に旅行へ旅立った夫が飛行機事故に。子供の顔を見ることなく、亡くなってしまったのです。

    その後、息子を出産。息子の進学の関係で、福岡と関東を行ったりきたりという都合があったことから、働くことはせず、子育てに専念する生活を過ごしていました。

    そうして息子が大学に合格。それまでは遺族年金や事故の慰謝料などを生活費に充てていました。しかし進学先の教育費もかかることから、約20年ぶりに働きに出ることを思い立ったのです。

    趣味の手芸を商売にするも、それだけでは多くの収入は得られず

    仕事に復帰することを考えたとき、まずは広告の仕事をいただいていたクライアントへ相談をしました。しかし、相談に行って言われたことは、「45歳を超えたら、仕事を出すのは難しい」ということ。

    既に50歳を超えていた私。雇われるのが難しいならば、自分で商売を始めるのはどうか、と考えるように。

    以前から韓国手芸を制作しており、それらを発表するブログは好評を博していました。ならばと、試しにネットショップを開設して個人相手に販売を行ったところ、一定の収入が確保できるように。

    購入してくれたお客様から「作り方を教えてほしい」という要望も出始めため、思い切って教室を出すことを決め、銀座のレンタルスペースで教室を始めたのです。

    ですが、売上はそれなりに上がるものの、なかなか利益にはならず。そのため、手芸を本業としつつ、他にもできる仕事を探すことにしたのです。

    不合格が続く中、見た目を変えてみたところ、なんと採用に

    仕事を探すにあたっての希望は月に6-7万円稼げること。かつて膝に怪我をしたことから立ち仕事は厳しく、デスクワークが希望でした。できれば週に3日程度、1日5時間程度で働ける仕事がないかと、様々な求人サイトで探し始めました。

    すると、希望を満たすコールセンターの仕事を発見。早速応募し、面接を受けたものの後日連絡が来て不採用。「ま、そんなこともある」と思い、次々応募してみるも、不採用が続くばかり。

    これだけ人手不足が世を騒がせ、女性、高齢者の就労促進がニュースで叫ばれているのに、なぜ私は受からないの?そんなに私に問題があるの?と、さすがに自分に自信がなくなりました。

    落ちた理由もわからないので、自分が全否定された気分に。なので、最後に面接を受けた会社に問い合わせしてみたのです。なぜ自分が採用されないのかと。

    そして企業から回答がありました。それは「経験者を求めているので、未経験者は見送りがちになる」ということ。そして、「高齢者は勤務先から敬遠される」ということ。

    ん?私は若くないにせよ、57歳。高齢者と呼ばれるにはさすがに早いのでは?という疑問がありましたが、思い当たったのは髪の色でした。私は体質的に白髪、というよりも銀髪とも言える髪の色。まさかこれが問題なのか?と思い当たりました。

    ならば、と思いカツラを購入。見つけた建設会社での事務職に応募し、カツラを被った写真を履歴書に貼り付け、面接にもカツラを装着して赴きました。すると、なんと採用!見た目の印象というのは、思った以上に大きなポイントなのだ、と再認識しました。

    パソコンスキルを高め、戦力であることを証明し続けていきたい

    そうまでして採用された事務の仕事ですが、職場の雰囲気に馴染めず、2ヶ月ほどで退職することに。現在は本業の手芸を行いながら、仕事探しをしている状態です。

    仕事探しを行う中でわかってきたことは、やはりこれまでの経験をしっかりとアピールすることが大切だということ。とはいえ私の場合、ブランクが長かったこともあるため、これまでの経験を伝えるのは容易ではありません。

    そのため、今行っているのはパソコンスキルを高めること。若い世代に劣らぬパソコンの能力があれば、自分の表現もできるのではと考え、Webデザインの勉強もはじめているところです。

    まとめ

    仕事から離れていた期間は長くありましたが、これからは働き続けていたい。できれば死ぬまで働きたいという気持ちもあります。

    年齢を理由に諦めることはしないつもり。これからも希望の求人を見つけるために、求人サイトを覗く毎日が続きそうです。
    ※年齢は2019年6月取材当時のものです

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