70代男性の転職体験談 | 落ちても落ちても諦めない。それがシニアになっても希望の仕事に就く秘訣

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70代男性の転職体験談 | 落ちても落ちても諦めない。それがシニアになっても希望の仕事に就く秘訣

奥様とお二人で暮らす坂中さん(仮名)71歳。有名大学を卒業後、外資を含む大手企業や観光協会での勤務をご経験。そのようなきらびやかな経歴を持つ坂中さんも、70歳を過ぎてからの仕事探しには苦労したそう。シニアの仕事探しのコツについてお話を伺いました。

この記事の目次

    新卒ではホテルへ入社。駐在先の香港で航空会社へ興味を持ち、転職を決意

    三重県に生まれ、関西の高校へ進学した後、東京の大学へ進みました。アナウンサーになりたいという希望を持っていたことから、在学中にアナウンサー養成学校へ通っていましたが、その年は学生運動の影響でマスコミ各社が採用中止。

    英語を活かせる仕事をしたい、と考え商社に入社を検討しましたが、より人と関わる仕事に就きたいと考え、大手ホテルへ就職を決めました。

    入社後、ベルボーイやフロントなど現場を経験した後、提携する香港のホテルへ駐在。宿泊される日本人VIPのケアなどを行っていました。まだ英国領だった当時の香港は欧米のスタッフが多く、華やかな雰囲気が漂っていました。

    香港では駐在している日本人たちと盛んに交流。航空会社の友人と接するにつれ、航空会社に対しての興味が高まりました。そんなとき、とある中華系航空会社が東京に支店を出すという情報が。当時、転職は一般的なものではありませんでしたが、応募したところ内定をいただきました。

    会社からは強い引き止めがあったものの、やってみたいという気持ちが勝りました。そうして、5年勤めた会社を退職することを決めたのです。

    航空会社間の転職を行ったのち、社内の多くの部署で経験を積む

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    そうして勤めた航空会社。当時はもちろんインターネットなどあるわけもなく、航空券は旅行代理店を通じての予約が主でした。私は予約を受け付ける部署へ所属し、コールセンターでの電話対応やテレックスで予約を受けるなど、現場の業務に携わりました。

    仕事は新鮮であり充実していたのですが、働くうちに日本人はなかなか上のポジションに上がれないということがわかってきました。会社の中では中国人と日本人の間に、見えない壁が存在していたのです。

    そのことに不満を抱いていた頃、香港駐在時代の友人に会う機会が。彼は以前、英国の航空会社に勤めていたのですが、オセアニアを拠点とする航空会社へ転職していました。

    その会社が日本に乗り入れを開始するため人材募集していることを知り、応募。内定を獲得したので、5年在席した中華系の会社から転職することを決めました。

    入社したオセアニア系の航空会社では、7年ほど予約周りのオペレーションを担当。この頃は航空業界にも徐々にコンピューターが一般的となり、システムの導入が始まった時期でした。覚えることは大変多かったですが、業務が一新する過渡期を現場で経験できたことは経験として大きかったですね。

    その後、大手の旅行代理店や、大企業に対する法人営業部署へ異動。数字に直結する面白さもあり、営業は非常に気に入っていたのですが、3年ほど経験した頃に社内から声をかけられ、マーケティング部署へ異動となりました。

    マーケティング部署はいわば社内の花形部署。市場調査から機内サービスの検討、さらに政府観光局と共同で行う観光地の魅力をPRする広報業務など、非常に面白くやりがいの感じられる仕事を任せてもらっていました。

    長く勤めた会社を退職するも、働く気力は衰えず

    この会社の定年は60歳だったのですが、57歳のときに知り合いの貿易会社を営む社長から事業を手伝ってくれないか、とのお誘いが。

    会社に不満はありませんでしたが、定年後も長く働き続けたい気持ちがあったため、「第二のスタートを早めに切るのも悪くない」そう考え、24年間勤めた会社から早期退職することを決めたのです。

    移った会社では貿易業務を3年経験しましたが、感じたのは商社よりも観光が面白いということ。やっぱり観光というエンタテインメントの業界に身を置きたいな、という気持ちを日々感じていました。

    そんなある日、ジャパンタイムズを眺めていると、航空・鉄道・ホテルなどの予約に利用されるGDSというシステムを扱う会社が日本に拠点を出すという求人を発見。60歳という年齢は厳しいか、とも思いつつ応募したところ、これまでの経歴が評価され、日本でシェアを拡大するための営業として採用されました。

    しかし、働いて2年ほど経った頃、日本の拠点を引き払うことになったため契約満了となりました。

    この時点で62歳。経済的に困っているわけでもない状況。働かないという選択肢を選ぶ条件は整っていました。

    しかし、仕事を通じて社会と繋がっていたい。社会の役に立つことで、充実感を感じていたい。その思いが強かったため、隠居という道は選ばず、仕事に就くことを選んだのです。

    経験を活かして観光協会の事務局長に就任。契約満了を機に求人サイトに登録

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    次に就いたのは、とある自治体の観光協会でした。古い友人から紹介され話を聞きに行ったところ、観光に関する専門知識を持った人材を必要としていることを知り、ここならば自分の経験を役立てられるかもと思い、働くことを決めました。

    そうして、観光協会の事務局長に就任。とはいえ、アシスタントが一人いるだけという小さな所帯でした。そうして地域の観光熱を盛り上げるべく、区と調整したり、商店街を巻き込む活動を催したり。フォトコンテストや街コンなども開催したり。これまでの経験とアイデアを形にしていく、非常に面白い経験でした。

    そうして任期の4年はあっという間に経過。しかし、ここで得た経験をもっと広く活かしたい。そう考え、知人のネットワークで発見した観光財団へアプローチ。ここで5年ほど働き、満了を迎えたときには70歳となっていました。

    ですが、それからも働き続けるつもりだったため、任期満了の半年ほど前から求人サイトに登録するなど情報集めを開始し、契約満了となったタイミングから転職活動を開始したのです。

    50社応募して、書類通過はわずか4件。それでも働きたいなら応募するしかない

    デスクワークを中心に自分の経験が活かせそうな求人を絞り、50社ほど応募したでしょうか。そのうち書類が通ったのはわずか4件。面接に進んだものも結果は不合格でした。やはり落ちるとメゲますね。自分が全否定された気持ちになります。

    落ちた理由は教えてもらえませんが、やはり年齢が大きな理由だろうな、ということはわかります。やはり年をとったら希望の仕事に就けないものか、という気持ちになりました。

    でも、仕事をしたいならば活動するしかないんですよね。希望しているのは、これまでの経験を間接的にでも活かせる仕事。そういった仕事に就くにはどうすればよいかを真剣に考えぬきました。

    そうして考えた条件は二つ。一つは「オープニングスタッフ」の求人。そしてもう一つは、「業界未経験OK」の求人を狙うことでした。

    オープニングスタッフであれば、予定人数を確保するという人員計画があるため採用意欲は強いはず。そして業界未経験OKの仕事ならば、多様な経験を持った人材に対して門戸が開かれているのでは、と考えたのです。

    これらの条件を備えた求人を発見できるよう、求人サイトに登録。メルマガを受信するなどして、情報の網を張りました。そうして、二つの条件を備えた求人を発見したのです。その仕事は不動産オーナーと折衝し、ご意見・ご要望に対応するという内容。

    この職種の経験は一切ありませんでしたが、即座に応募。書類選考が通り、面接へ。これまでの経験を伝え、人との調整や交渉できっと力になれることをアピールしました。そして、すんなりと採用が決まったのです。

    自分をアピールするチャンスは、多くの挑戦で掴み取る。それがシニアの仕事探し

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    70歳を超えての仕事探しで学んだことは、当たり前ですが年を取れば取るほど採用におけるハードルは上がるということ。ならばそれを当然のことと捉えて、たくさんの求人に応募するしかありません。

    不合格になれば自分を否定された気持ちになりますが、大切なのはくよくよせずに、諦めないこと。採用されなかったのは、タイミングが悪かっただけ。そう捉える受け止め方も必要です。

    書類審査や面接のチャンスを得られたら、自分がその仕事で貢献できるということをしっかりとアピールしましょう。そこまでやって採用されなければ、縁がなかったと割り切るだけです。

    そうして採用されたら精一杯職責を果たす。これまでのやり方だけにこだわらず、新しいことも楽しみながら吸収していく。それこそがシニアが新しい仕事に就くために大切にすることなのでは、と私は思います。

    まとめ

    これまで働き続けてきた習慣が、自分の生活のリズムとして身についています。生涯現役とまでは言いませんが、体の許す限り、人に、そして社会に求められる限り、働き続けていきたいと思っています。

    ※年齢は2019年6月取材当時のものです

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