40代男性 警備の転職体験談|いつまでも好きな音楽と共に生きていく道を探して
- 自分の相場を知る
- 公開日:2019年4月10日
- 最終更新日:2019年4月25日
都内で生まれ育った渡瀬さん(仮名)。医師を目指し医学部へ進学するも、大好きな音楽をなりわいにしていくために選んだ道とは。これまでのキャリアについてお話を伺いました。
この記事の目次
様々な選択肢の中で選んだのは、大好きな音楽と暮らしていくということ
思い返すと、いろいろなことに対して興味を持っていた子供だったと思います。「人やモノを守る」ことができる警察官に憧れたり、「人の命を救う」医師に憧れたり。少し移り気な性格なのかもしれません。
でも、これまでずっと続けていることが一つあります。それは「音楽」です。小学校高学年の頃から作詞作曲を始め、曲を書き溜めるように。表に名前が出ることはありませんでしたが、誰もが知るようなアーティストと一緒にお仕事させていただくこともありました。
しかし、大学受験の際は「がんで苦しむ人の役に立ちたい」という思いから医師をめざすべく医学部へ進学。
...ですが、やはり音楽への思いは抑えきれず、2回生終了時に退学。音楽ビジネスを学ぶために専門学校へ通うことにしました。
専門学校を卒業するタイミングで、レーベルから所属しているアーティストの楽曲担当をしないか、という話がいくつかあったのですが、結局形にはならず。
まずは生計の安定を、という思いから新幹線の弁当を製造販売する会社へ入社。工場で店舗への弁当の仕分けなどを行いながら、資金を貯めることにしたのです。
出資を受けて法人を立ち上げ。しかし、本業のみで食べていけるのは先のこと
働きながら音楽活動を行う生活を続けていくうち、認めてくれる人も増えてきました。その中には「会社を作るなら出資するよ」と持ちかけてくれる人も。
当時はCMの楽曲を作る仕事を受けたりしながら、音源を作り続けていました。周囲からよく言われていたのは「国内よりも海外のほうが評価されるのでは」ということ。とはいえ、当時はYoutubeも無ければ、SNSも無い。個人だけのツテでは海外へ売り込むのはなかなか厳しい時代でした。
「それならばいっそのこと!」と、工場で貯めた金額に加えて出資を受けて、法人を立ち上げることに決めました。
地道にフリーランスでやっていく、という方法もあったかもしれません。しかし、家系には自営業を立ち上げた人も多く、法人化に特別抵抗はありませんでした。
法人化してからはストリートやライブハウスでのアーティスト発掘や、CMの楽曲制作などで精力的に活動。忙しいながらも充実した日々を過ごしていました。
しかし、なかなか実入りは増えていかず。そんな頃、つながりのある関係者から音楽イベントの運営スタッフを頼まれることが増えるように。立ち上げた会社を存続させるためにも、様々なイベントへスタッフとして参加することになったのです。
大怪我をきっかけに、働き方を変えるように
音楽イベントスタッフと言っても、会場の設営や、チケットもぎり、物販、会場の案内や監視など役割は様々。主に楽屋の見張り・警戒業務を任されることが多かったですね。
まわりには勝手知ったるメンツがおり、一緒になってアーティストを裏舞台から支える仕事。体力的には負担も大きかったですが、充実を感じていました。
しかし、そんな20代も終わりに差し掛かった頃。イベントが終わり打ち上げから帰る途中、アルコールの影響かホームから転落。そのまま病院へ搬送されました。診断の結果は頭蓋骨骨折。治療に三ヶ月ほど要しました。
そうして復帰はしたものの、少し体力的な負荷を感じるように。そうして他の仕事を探したとき、医師の学会などを運営するイベント会社を紹介されました。医学部であったことを伝えるとすぐに来てくれないか、と。
そこからつながりが生まれ、医療系だけではなく、様々なイベントでのディレクターとして働くようになりました。実入りとしても音楽系よりも多く、経済面でも大きな魅力がありました。
そうして、「自分の会社での音楽活動」、「音楽イベントのスタッフ」、「医療系イベントのディレクター」という3つの仕事を掛け持ちする、という生活を続けることになったのです。
安定を求めた結果、警備の業界へ。複数の会社を通じて得た、良い会社の探し方
3つの仕事を掛け持ちするのは、刺激も多く、うまくスケジュール調整ができる月はかなりの収入になりました。しかし、仕事がバッティングした場合や、病気や都合で仕事を受けられない場合などはもちろん収入はありません。
年齢もそろそろ40歳が近づいてきた頃。生活の安定も意識するように。音楽の仕事を軸としつつ、もう一つ安定した仕事に就くことを考えました。
できれば、これまでのイベント経験が活かせ、正社員として安定できる仕事。それを考えたとき、子供の頃の「人やモノを守る」仕事に興味を持っていたことを思い出し、警備の仕事に絞ることにしました。
とはいえ、警備の会社も多数あるもの。大手から新規設立間もない会社まで、警備の求人も様々です。そしてあまり知られていませんが、警備の仕事は以下の4つに分かれています。
1号業務:施設や空港などの施設警備
2号業務:交通誘導、雑踏などの臨時警備
3号業務:貴重品運搬警備
4号業務:身辺警備、SP
私が希望したのは1号業務の仕事。そして、結論から言うと、この2年間で4つの警備会社を経験しました。私の経験から得た、選ぶポイントなどをお伝えします。
1社目:契約社員として入社
マンションの夜勤巡回や、テナントの入館手続き(1号警備)などを担当し、警備の基本を覚えました。1年ほど在籍しましたが、資格取得を思い立ったときのサポートなども無いため、退職を選びました。
2社目:契約社員として入社
1社目でテナントでの勤務のほうが働きやすさを感じたこともあり、「テナント警備」という軸や、一人勤務ではなく複数人勤務の職場を探して、見つけたのがこの会社です。
平日の9-17時という安定した勤務が魅力だったのですが、平日に音楽の仕事が入ったときは休まなければならず、逆に勤務日数が減ってしまう、という事態に。やむなく退社を選びました。
3社目:正社員として入社
「比較的新しい会社のほうがいいかも」と考え、設立の浅い会社を探して入社したのがこの会社。大きなオフィスビルの勤務などに就き、働きやすさは抜群でした。
しかし、残念ながら人間関係が悪いことと、隊長が頼りなかったことが原因で退社。人間関係ばかりは入ってみないとわからないですね。
4社目:正社員として入社
現在、在籍している会社です。魅力は勤務先が固定なこと。とある区にある博物館で警備を行っています。実働10時間で夜間の警備は無し。シフト制なので、音楽の仕事が入るときも融通が利きやすいことが、自分にとっては何よりの魅力です。
音楽というライフワークを中心に、これからの人生を送りたい
様々な警備会社を経験して感じるのは、入社前にきっちりと情報収集をするのが大切ということ。会社のHPは必ず見るようにしたほうがいいですね。HPを持っていない会社は受けませんでした。
働くうちにわかってきたのは「研修が充実していることが、警備の仕事においては大切」ということ。資格を取れば給料も上がるので、実入りに直結します。
研修が充実している会社を探すポイントは、「各都道府県警備業協会」に加盟しているかどうかかな、と思っています。
あとは面接の印象で違和感を受けたときは、辞退しました。人間関係についてはいくら調べても確かなことはわかりませんが、口コミサイトを見たりしていましたね。
実は、私も警備の仕事に就く前は「堅苦しい」「ガタイの良い人ばかり」というイメージを持ち、正直敬遠していました。ですが、情報を集めるうちに「自分でもできるのでは」という意識が芽生えてきたのを覚えています。
他の仕事の場合、年齢を重ねるとなかなか採用されない、など聞きますが、警備の場合は、年齢・関係なし。何歳からだって未経験で飛び込める魅力があります。
自分の場合、4社目で理想的な働き方ができる会社に出会えました。良い会社に出会うためには、多くの行動を起こすしかないと思います。積極的に活動することがやっぱり吉ですね。
「どんな人生が幸せか」そう聞かれたら、自分のやりたいことをやって暮らしていくことかな、と思います。自分の好きな音楽をやりながら、僅かかもしれないけれど日本の音楽に貢献できている実感もあります。
それを成り立たせるための基盤である警備の仕事。資格の取得など経験を徐々に重ね、前を向きながら働いていきたいですね。
※年齢は2019年3月取材当時のものです