50代男性 マネージャーの転職体験談|役職定年をきっかけに、会社にぶら下がるよりも刺激のある働き方を求めて

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50代男性 マネージャーの転職体験談|役職定年をきっかけに、会社にぶら下がるよりも刺激のある働き方を求めて

誰もが知る大手企業に勤め、多くの海外勤務経験を積んできた56歳の出川さん(仮名)。帰国後、ようやく落ち着いて働ける環境を手に入れたにも関わらず、転職という道を選んだ経緯についてお話を伺いました。

この記事の目次

    役職定年をきっかけに退職を検討

    大学時代に経営工学を学んでいた私は、バックパッカーとして東南アジアや中近東など、様々な国々を旅行していました。海外志向が強まる中、学んだ学問を活かしながら海外で働くのであれば、大手メーカーで働くのが理想的と考え、大手のメーカーへ入社しました。

    入社後、国内の工場で生産管理の経験を積んだあと、手始めとして香港へ赴任。そこを皮切りに、世界各国の事業所にて、営業サポート部隊の統括、購買管理などを長年に渡って行ってきました。

    そうして、日本に戻ってきたのが50歳のとき。東京勤務となったのも束の間、組織自体の移動もあり、地方へ単身赴任となってしまいました。

    加えて、役職定年が目の前に迫っていました。その会社では、部課長レベルの管理職であれば55歳の年齢で役職を若手に譲る仕組みがありました。年収は当然下がりますが、大企業であるがゆえ、それでも世間一般よりは高い水準ではありました。

    しかし、単身赴任の状況を見直したい気持ち。そして、新卒で入社して以来この会社しか知らないこと。加えて、中間管理職であることの動きづらさから逃れ、もっと裁量を持って仕事をしたい、という思いを抱えていました。

    これからも会社に残って働いてくことが、安定という面では望ましいことはわかっていました。しかし、このような思いを抱えて悶々としながら、これからの会社人生を過ごすという選択肢はあまり考えられませんでした。

    「動くなら、少しでも早いほうがいい」そう考え、退職の計画を練ることにしたのです。

    退職を考えるにあたって行ったこと

    ファイナンシャルプランナーへの今後の家計相談

    退職を検討するにあたってまず行ったことは、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することでした。現在の貯蓄や退職金、想定される年金の受給額などを伝えたうえで、妻や子どもにこれから起きうる人生イベントの数々を含めたシミュレーションを依頼したのです。

    このシミュレーションを行ったことで、転職先の職場で必要な収入条件(何歳まで、いくらの収入があればよいか)、仮に働かないという選択をした場合の家計の年間支出額など、様々な想定ができました。

    そうして算段をつけた上で、「1年以内に転職先を決定する」という目標を設定し、転職先を決めないまま退職へと踏み切ったのです。

    退職にあたっては、多くの同僚に止められました。「会社に残ったほうがいい」と皆が口を揃えました。しかし、生活の安定の代わりに、不満を飲み込みながら生きていく。そういった生き方をするよりは、やりがいを感じながら働き続ける道を模索してみようと思ったのです。

    退職後の目標:資格の取得

    退職後の生活に入ってからはまず、独学での「国家資格の取得」を目指しました。取得を目指したのは貿易関係と旅行関係の二つの国家資格でした。

    今後も、海外で商物流関連の仕事に就くという希望があったため、これまでの経験に加え、「貿易=モノの流れ」と「旅行=ヒトの流れ」に関する資格や知識があれば、より幅広い業務に携われる。そう考えてのことでした。

    両方とも9月、10月にかけて試験があったため、それまでは資格試験に注力し、それ以降で本格的な転職活動、という計画を練っていました。

    目標があったおかげで時間を有意義に使うことができたこともあり、資格取得という目標を掲げたことは自分にとってプラスでした。

    年齢を重ねての転職活動はやはり厳しいものだった

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    本格的な転職活動は秋口以降と考えてはいましたが、情報収集も兼ね、退職と同時に活動自体はスタート。人材紹介会社への登録を行ったほか、転職サイトに登録するなどして、資格の取得と平行して情報の収集を行いました。

    そうして、ときおりスカウトメッセージをもらった企業を中心に応募を行い、書類を提出。1年間で合計50社程度は提出したと思います。その中で面接まで進んだのは30社。最終まで残ったのは10社程度。そうして内定を獲得できたのは転職活動を通して3社でした。

    最終選考まで進み「好印象」という手応えを感じた求人の場合でも、すぐに内定が出ず、一旦保留。少し期間が経ってから確認をすると、「他でいい中堅が取れてしまった」などの対応を取られることもありました。やはり、転職は若いほうが有利、ということをひしひしと実感しましたね。

    しかし、面接も数を重ねると場馴れしてくるようになったのか、通過率も上がるようになりました。「年の功」ではありませんが、慣れは大切です。どんどん応募することは来るべき本命の選考準備としても効果的なので、積極的な行動をオススメします。

    希望待遇の見直しを行い、幅広い職種も視野に入れた頃、内定を獲得

    活動開始時、給与待遇は前職の役職定年時の水準を設定していました。しかし、求人を見比べるうちに、自分の設定している待遇はどうやら市場の平均よりも高い、ということを理解してきました。

    応募したとあるコンサル会社からは高水準の年収で、内定をいただいたことも。しかし、直接雇用ではなく、プロジェクトごとの業務請負であったため、厚生年金などの福利厚生が無いことや、プロジェクトが途切れた場合のリスクなどを考慮し、お断りしたこともありました。

    そうして、転職市場に出る希望の仕事の待遇水準も見えてきた秋頃。年収水準の希望を下げることにしました。もともと、FPのシミュレーションで必要とされた額よりも高めに設定していたこともあり、納得できる水準まで妥協しました。

    そして、それでも難しければ、高級マンションのコンシェルジュなど英語を活かせる仕事も検討しよう。そういった形で「自分の強みを活かせる仕事があれば、こだわりを捨ててもいいかな」という心境も芽生え始めました。

    このような心境変化の理由としては、やはり「早く仕事を決めたい」という思いが強かったため。仕事が決まらない焦りはありましたが、それよりも「仕事を離れていると勘が鈍る」というか、自身が錆びていくような感覚があったためです。

    「まずは、待遇を妥協して探してみよう」そういった思いを持ち活動した矢先、今の会社に出会い、内定を頂いたのです。

    内定を頂いた会社は、海外へ商品を供給する会社。大きな会社ではありませんが、輸出入の貿易実務や営業管理の経験を活かすことができ、幅広い業務の裁量を渡してくれているので、のびのびと働くことができています。

    定年制は60歳ですが、それ以降も長く働いて問題ないよと言われています。しかも、待遇は希望の水準から大きくは下がりませんでした。紆余曲折ありましたが、結果的によい会社との縁に恵まれたと感じています。

    まとめ:転職活動を振り返って思うこと

    DSC_0011.png

    転職活動を通じて感じたことは、やはり中高年からの転職は厳しい、ということです。結果的に一年以内で転職が決まり、胸を撫で下ろしていますが、働いていない期間がこれ以上続いたら、精神的に厳しかっただろうな、と思っています。

    私の場合、仕事のやりがいを優先したことによる転職だったため、待遇に妥協点を探すことができましたが、待遇を優先した場合であれば妥協も難しかっただろうな、と思います。

    そのため、FPへの相談はオススメですね。これから必要な年収を把握しておけば、妥協の必要が生まれた際に、家計に必要な年収を把握することができるのは非常に大きいです。

    転職活動を通じてわかったことは、転職というのは応募者と採用する企業のマッチングで成り立つもの。仮にいくら応募者に即戦力となるスキルがあったとしても、タイミングや相性など様々な要因で、採用に結びつくとは限りません。なので、選考に進まなかったとしても自分に問題があるとは限りません。単にミスマッチだっただけ。落ち込む必要はありません。

    逆に内定を獲得することのみを目的として活動することは妥協につながってしまうため、内定後の仕事や環境にミスマッチが起きる恐れもあります。

    そして、採用は相対評価であること。自分がその企業にとって100点だとしても、他に120点の評価が出てくれば採用には至りません。だったらどうするか?積極的に行動量を増やすことが、結果的に転職成功に結びつくのでは、と思いますね。

    しかし、多くの場合で中高年は、持っている経験から即戦力としての採用を求められますし、競合する応募者も多いのが現実。そういった理由もあるからこそ、中高年の転職は厳しいものなのです。

    しかし、退職を決断したときにまた戻れるとしたら。やっぱり、やりがいを求めて外に飛び出すという選択肢を選ぶでしょうね。役職定年をきっかけに転職を行った自分の判断は、間違っていなかったと感じています。

    ※年齢は2019年3月取材当時のものです

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