59歳で失業―『やりがい』を求めた再チャレンジで得た新しい道とは。【転職インタビュー】

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59歳で失業―『やりがい』を求めた再チャレンジで得た新しい道とは。【転職インタビュー】

やりがいや夢みたいな、楽しみを探し続けることが大事だと思うんです―― 59歳で失業を経験し、タクシードライバーとしての新たな道へ進んだ新井さん。全くの未経験からのスタートから、業務にも慣れ、安定した生活を手に入れた3年目の現在を語ります。

この記事の目次

    59歳からの就職活動

    旅行業の営業職やダイビングインストラクター、カラオケ店店長、不動産業など多様な経験を持つ。前職の不動産業を始めたのは今から10年以上も前。それまで勤務していたカラオケ店の経営者とともに2人で始めた。趣向を凝らしたデザインが特徴の女性向け賃貸マンション運営を行う会社で、新井さんは土地の購入から建築の手配・運営まで一括して携わっていた。多忙ではあったが、大きなやりがいを感じていた。

    「デザイナーズマンションのはしりみたいな感じかな。こだわってくると魅力があるんでしょうね。いつも満室でしたよ」と目を細める。

    状況が一変したのは3年前。経営方針の違いから、職を離れることに。順調に事業を拡大していたところではあったが、「息苦しいなかで仕事をしてもしょうがない。つまらない働き方はいやでしょう」

    当時59歳。一般的な企業であれば定年直前の年齢だったが、「何かしていたいし、ただ漫然と生きていくのはいやだった」ことから、再就職を決意した。居酒屋などの飲食店や事務職、不動産業者など、5、6社に応募してみたが、なかなか良い返事は貰えず、就職活動は3ヶ月続いた。

    「不動産の経験を活かしたい気持ちがありつつも、特別な資格を持っているわけではないので、なかなか評価はしてくれませんでした。少し挫折を感じましたね」という。

    前向きさで見つけたやりがいと安定

    そんな中、現在のタクシー会社に応募したところ、年齢は一切問題とされずに面接の話をもらい、無事に就職が決まった。タクシーの運転に必要な第2種免許もなければ、都内の土地勘もないところからのスタートとなったが、『挑戦者の気持ち』で勉強をかさね、業務のために必要な試験にも一発で合格した。現場に出てからも最適な迂回ルートを覚えるために、同じ地区で営業を続けたり、自分で道を調べたりと、努力を重ねてきた。

    「毎日が新しい出会い。常に新鮮な気持ちで働けるので、ほんとに楽しいですね。ちゃんと地に足をつけてやれば飽きずにやっていける仕事と思っています」

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    いつも違うお客さんを乗せ、いつも違う場所を行くことができる。そんなタクシードライバーの働き方は、新鮮な刺激を常に求める自分の性分にあっていた。「都内で白い彼岸花が咲いている」というニュースを目にしたちょうどその日、たまたま近くを通りがかり実際に目にしたこともあった。

    会社が企画する特色あるサービスにも積極的に参加しており、黒子に扮して送迎する『黒子タクシー』では、お客さんがより楽しめるようなシチュエーションやストーリーの設定を自ら提案をするなど、さらに新しいチャレンジも続けている。

    「楽しみを求めて仕事を探した自分にとって、この就職は大成功でした」と、新井さんは振り返る。

    こだわりを持ち、「無理せず、楽しむ」

    『基本を大事に。常に満足いく状態で仕事に取り組む』ことがプロとしてのこだわり。ちょっとしたミスが命にかかわる、ダイビングの経験から得た教訓だ。
    帰社後、タイヤの空気やオイルの確認をするのはもちろん、エンジンルームまでも新車同然のように磨き上げる習慣もその一環。新井さんは、「自分だけでなく、お客さんにも関わることですから手は抜けませんよ」と語る。

    現在、月の手取りが30万円程度と安定した収入を維持している。さらに高い収入を得る同僚も多いが、「無理して稼ごうとは思いません。自分のリズムで安定して、楽しんで働くのが一番いい」という。

    『11時に出社し翌7時に退社』というタクシードライバーならではの勤務スタイルにも慣れ、休日は映画を見たり、美味しい地酒を求めて遠方まで足を運んだりと、充実した生活を送っている。「事故や違反がないよう、睡眠もしっかりとっています。仕事があるから毎日深酒は絶対できないし、自然と休肝日ができました」と笑う。

    まとめ:気持ちを切り替えることができれば、何度だって、やり直せる。

    インタビュー2.png

    「どれだけ年を重ねていようと、新しい職場ではただの新人。これまでの仕事で何をやってきたなんてことは忘れたほうがいい」。59歳から全くの未経験の職種に就いた経験を経て、新井さんはこう語る。

    ミドルシニア世代の転職者の中には、これまでの経験や実績があるために柔軟性にかけた対応をする人もいるというが、「それでは関係を悪くするだけ。経験を重ねた年長者だからこそ、その職場にあった振る舞いだってすぐに身につけられるはずです」といい、「大事なのは、気持ちを切り替えること。気持ちを切り替えることさえできれば、何度だってやり直せるんです」と語気を強めた。

    ※年齢は2018年12月取材当時のものです

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