意外と知らない?パートとフルタイムの違いとは
- キャリアを考える
- 公開日:2018年11月 8日
働き方を考えるうえで大きなポイントとなるのは、「パート」か「フルタイム」のどちらで働くかということ。自分に合った働き方が見つけられるように、パートとフルタイム、さらに正社員まで含めて、働き方の違いを見ておきましょう。
パートとフルタイムの違い
パートやフルタイムという言葉は、日ごろ何気なく使い分けていますが、正確にはどのような違いがあるのでしょうか。あわせて、混同しがちなフルタイムと正社員の違いについてもお話しします。
勤務時間について
フルタイムとは、職場で定められている正規の勤務時間帯をフルに「全時間帯」勤務する人、またはその働き方のことを指します。1日8時間、週40時間が所定労働時間となっている職場では、1日8時間、週40時間働く労働者のことを労働法では「通常の労働者」と呼びます。
一方、パートは「パートタイマー」や「パートタイム」の略称。労働法的には「短時間労働者(パートタイム労働者)と呼ばれ、「1週間の所定労働時間が、通常の労働者に比べて短い労働者」を意味します。
このことからも、フルタイムとパートの違いは労働時間の長さだと言えるでしょう。
フルタイムは正社員とは限らない?
日常の会話において、正社員として働くことを「フルタイムで働く」と表現することがあるかもしれません。しかし、気をつけておきたいのは逆の場合。フルタイムで働いている人が正社員かといえば、必ずしもそうとは限りません。
正社員かどうかは、労働時間ではなく、雇用形態で決まります。だから、たとえ労働時間が正社員と同じ長さであったとしても、正規雇用でなければ正社員とはならないわけです。このようなとき、「フルタイムパート」という呼称が使われることもあります。
正社員は、会社に正規雇用された従業員なので、会社の就業規則にしたがった待遇を受けます。給料は主に、月給として受け取り、昇給やボーナス、退職金のほか、住宅手当や家族手当などの各種手当も一般的な待遇として期待できます。有給休暇、産休・育休などが認められ、社会保険や厚生年金に加入できることも、生活の安定のためにメリットでしょう。
一方パートの場合、時給や日給で支払われることが多く、労働時間分の賃金しか受けとることができません。手当やボーナス、退職金がなく、フルタイムで働いたとしても正社員との収入差は大きいのが普通です。この他の待遇についても、正社員と同等のものは望めません。
パートからフルタイムに切り替える際の注意点
子どもの成長や家庭の事情など、状況に応じて働き方を変えたい、という要望は生まれるものです。
後悔しないためにも、パートからフルタイム、またはフルタイムからパートへと働き方を変えることを検討する際は、以下のポイントに注意しましょう。
収入面で気をつけたいポイント
子どもが小さいうちはパートで働いていて、成長につれて時間ができてくると、フルタイムへの移行を考える人が増えてきます。その動機の多くは「より多くの収入を得る」ためでしょう。子どもの教育費や、家のローンなどの出費に備えたり、はたまたシングルマザーとして家族を養うためなど、背景は人によって異なりますが、フルタイムで働く前に知っておきたい注意点がいくつかあります。
それは、所得が増えることで「これまで受けられていた恩恵が受けられなくなる」ことです。
パートで扶養の範囲内で働いていた頃から、フルタイムに切り替えたことで収入が上がると、「103万円」、「130万円」、「150万円」といった所得の壁を一気に乗り越えることになります。年収が103万円以上になることで所得税が課税、130万円以上(条件次第では106万)で社会保険料の負担が発生。さらに150万円を超えると、税制上夫の扶養から外れ、夫の負担する税金が上がります。さらには、夫の会社から得ている扶養家族手当がなくなってしまうことも考えられます。
そのため、これまでより多く働いているにもかかわらず、手取り額が減ってしまう。いわば「働き損」となるケースも生まれる可能性があります。個々のケースにもよりますが、分岐点は年収120万から150万の範囲ですので、注意しましょう。
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生活における影響範囲
また、フルタイムになると、拘束時間が長くなるため、これまでよりも時間に余裕がなくなりがちです。家事に掛けられる時間も短くなるため、家族と相談しながら対応する方法を探していきましょう。体力的な負担も大きくなるので、疲れを溜めないように気をつけたいですね。
さらに正社員になると、給料がアップする反面、勤務内容、仕事における責任がパートより厳しくなりがちです。フルタイムや正社員のメリットとデメリットを事前に知って、賢く判断したいものです。収入を増やすためには、短時間のパートを掛け持ちする働き方も検討してみるとよいかもしれません。
フルタイムからパートに切り替える際の注意点
介護離職は慎重に検討
フルタイムからパートに仕事を変える場合にも、知っておきたいポイントがあります。親の介護のために勤めている会社を退職する「介護離職」が問題になっている昨今でもあります。特に正社員を辞める場合には、慎重に検討しましょう。
まず明らかなのは、仕事を変えることで時間を作ることはできますが、収入も減少するというところ。そうして、仮に40代女性が再び正社員として復職しようとしても、そのハードルは高いというのが現実です。
介護の必要が発生したとしても、慌てて仕事を辞めることを選ぶのではなく、会社の「介護休暇制度」を活用し、専門家に相談したりしながら、働きながら介護をする道を模索することが長い目で見るとオススメといえます。
社会保険への加入も検討材料
年収が低くなって社会保険の加入の要件から外れることも、影響大です。社会保険料の支払いが不要となるので、負担が軽くなったと歓迎する人もあるかもしれませんが、実際には、保障の手厚い社会保険の恩恵を受けられなくなることをも意味します。どちらが損なのか得なのか、慎重に考えておきたいポイントです。
勤務先の健康保険に加入していた人は、退職後は健康保険の切り替えを検討しなければなりません。その際の選択肢は3つ。
・健康保険の任意継続
・国民健康保険(国保)への切り替え
・扶養への切り替え
これまで加入していた健康保険を任意継続することも可能(最長2年間)ですが、2年後には国保への切り替えか、扶養への切り替えを選択することとなります。判断基準は発生する保険料で比較することが基本となりますので、加入している組合に事前に確認するなどの準備を行いましょう。
このように一定の保障・待遇を受けられる正社員に対し、パートは待遇の面での不安定さは否めません。メリットとデメリットを冷静に考えたいものです。
まとめ
働き方を変えると生活が大きく変わります。たとえば扶養範囲内でパートをしてきた人がフルタイムの仕事に移るとしたら、生活の中で占める仕事の時間は増加し、これまでとは異なるストレスなども生まれるでしょう。
そのストレスを軽減するためにも、パート、フルタイム、正社員、それぞれの特徴を知り、注意点を把握したうえで働き方を吟味し、後悔しない選択をしたいですね。
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