気になる定年の年齢と老後のプランは?

  • ライフプラン・人生設計
気になる定年の年齢と老後のプランは?

定年が近づくにつれて、大切なのは退職してからの家計事情の皮算用です。定年間際になってから、生活準備に慌てることないよう、早い段階から情報を集めて、少しでも多くの計画を立てておくようにしましょう。

この記事の目次

    現代における定年の定義とは

    「定年退職」とは、定年制を導入している企業に務める労働者が、就業規則に定められている年齢を過ぎたときに退職すること。ひと昔前までは、定年は「60歳」が一般的でしたが、近年、社会情勢の変化に伴い、定年の年齢も変わってきています。どのように変化しているのでしょうか。

    変わり始めている日本の定年。

    日本の定年年齢の推移を見ると、1970年代は55歳が定年退職年齢が主流でした。1980年以降60歳に引き上がり、「60歳定年義務化」の改正法公布となった1994年には、定年を「60歳以上」とする企業が8割超に。2000年には99.2%の企業が「60歳以上」を定年としています。

    この定年の年齢が、近年変わりつつあります。2018年12月、すかいらーくホールディングスは、パート・アルバイトの定年を2019年1月1日から、70歳から75歳に引き上げると発表しました。

    国家公務員の定年に対しても、人事院が2018年8月、定年を65歳に引き上げる意見の申出を国会と内閣に対して行っています。こうしたケースだけに限らず、定年年齢を引き上げる企業がここ数年急増しています。

    背景にあるのは高年齢者雇用安定法の影響

    その背景には、2013年に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の影響があります。この法律により、労働者の定年後の再雇用、または定年の年齢を引き上げ、定年制の廃止のいずれかの措置をとることが義務付けられました。

    ただし、「定年の年齢引き上げ」「定年後の再雇用」「定年制の廃止」のどの措置をとるかは、企業側に委ねられています。この中で、多くの企業が取り入れているのが、「定年後の再雇用制度」。しかし中には、早期退職制度のように実質的に定年の引き下げを行っている企業も存在します。

    定年の年齢やそれに伴う雇用制度については、企業によってさまざま。そのため、昔のように「60歳で定年」は一般的ではなくなってきています。

    なぜ定年の年齢は伸びているの?

    1970年代は55歳だった定年ですが、今は65歳まで引き上げられました。約50年で10年も定年の年齢が引き上げられたのは、2つの理由によります。

    年金受給年齢上げの影響のため

    まず、理由として挙げられるのは、年金が受給される年齢が引き上げられたことです。2013年から年金受給の開始年齢が60歳から65歳に変更になりました。

    年金が受け取れるようなるのは65歳からなのに、60歳で定年退職したとしたらどうなるでしょう。給料も年金も支給されない無収入期間が5年間発生することになります。しかし、年金受給が開始されるまでの間、意欲や能力に応じて働き続けやすい環境が整っていれば、労働者も安心して生活することができます。

    健康寿命が伸びているため

    厚労省が発表した「平成29年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は、男性「81.09歳」、女性「87.26歳」。いずれも過去最高を更新しています。

    平均寿命とともに「健康寿命」も延びています。健康寿命とは、介護を受けたり寝たきりにならず日常生活を送れる期間のこと。厚労省によると、2016年の健康寿命は、男性72.14歳、女性74.79歳。2013年の調査時よりも、男性は0.95歳、女性は0.58歳延びました。

    「60歳過ぎたら高齢者」とされていた頃もありましたが、栄養状態や健康意識、生活環境などの変化で、現在は活発で元気な60歳が多くなっています。このように元気ならば「アクティブシニア」として、まだまだ社会を支える力になってほしいという期待を集めています。そうして、社会参加することでシニアにもやりがいや生きがいが生まれ、健康寿命のさらなる延伸にもつながることも期待されています。

    人生100年時代の定年後プランとは?

    人生100年時代と言われる現在。100年まで生きると考えると、65歳に定年を迎えるとすれば、その後30年以上も自由な時間が使えることになります。定年後の生活を有意義に安心して過ごすために大切なことは何でしょうか。

    定年後、生活はどう変わる?

    定年後は、生活スタイルが変わることはもちろんですが、収入の柱が給与から、公的年金に切り替わることが最も大きな変化と言ってもいいでしょう。給付される年金の金額を把握し、その中でやりくりできるか計算してみましょう。老後の生活費.jpg

    生命保険文化センター発表の「生活保障に関する調査」(平成28年度)によると、夫婦2人(高齢夫婦無職世帯)で老後生活を送るための「最低日常生活費」で最も多い回答は「20~25万円未満」(31.5%)でした。平均は22万円という結果になっています。

    その最低日常生活費に、老後のゆとりのための上乗せ額を合わせた「ゆとりある老後生活費」は、月額で平均34.9万円です。

    年間で、最低日常生活費は約300万円、余裕ある老後のためには、年間約420万円必要なことになりますね。

    年金はどれくらい支給される?

    年金額の平均.jpg厚労省の調べによると夫婦二人分の標準的な年金額は22.1万円。そのため年金だけの収入の場合、「最低日常生活」で収支はちょうど、「ゆとりのある老後生活」をした場合は月に12~3万の赤字となり、年間で150万近い赤字となります。

    また、出費には生活費以外にも、子供の教育資金や結婚などに伴う援助、親の介護費用などがかかる場合もあるでしょう。どんなに健康に気を付けていても、夫婦のどちらかが病気になったり、介護が必要になる可能性もあります。予定外の出費にも備えておきたいところです。

    そのため、老後の資金計画は、定年間際に始めるのではなく、老後を意識しはじめたら早めに取り掛かるようにしましょう。「マイホームローン返済」「子供の大学進学」「成人式」「(親の)有料老人ホーム入所を検討」などの家族イベントを書き出し、必要な資金を割り出すことがポイントです。具体的に金額を出すことで、独りよがりではない現実的なキャリアプランを作成できます。

    変化し続ける時代にマニュアルはない!自分と家族で人生を作っていく

    pixta_40583695_M.png

    終身雇用があたり前だった頃は、永年勤続のために退職金の額も大きかったでしょう。結婚や子供を持つ年齢が早かったため、定年を迎える頃には子供たちは独立しているケースも多かったはずです。

    しかし、現在は結婚の年齢が遅くなり、未婚率も増加しています。ちょうど子供の進学でお金がかかるころ、親が定年を迎えるケースも少なくありません。企業年金などは廃止されている企業のほうが多く、上の世代がもらっていたほどの退職金も期待することはできません。

    ですが、ここはポジティブに気持ちを切り替えましょう!

    何より、健康寿命の延伸で、定年後も働き続ける元気なシニアが増加。ひと昔前まで、定年というと「年金をもらいながらのんびり暮らす」というイメージが強くありましたが、現在は社会情勢の変化により、それぞれ生きる形が多様化しています。

    定年後はどう生きるか、どのような資金計画のもと暮らしていくか。自分で考えるだけでなく、家族とともに老後の生活プランを作成するのもおすすめです。これから何が起きるかを家族みんなで予測し、リスクヘッジを行うことが大切になってきます。

    こうして家族でプランを作ることで「(みんなで)推進していこう」というモチベーションにつながるはずです。

    おすすめなのはやはり「働けるうちは働き続ける」ということ。アルバイトであっても、年間100万程度稼ぐことは可能。生活の見直しを行えば、家計の収支を赤字どころか、黒字にすることだって可能です。

    まとめ:勤務先の退職金制度や再雇用制度などの確認も忘れずに

    老後資金の計算や定年後のライフプランを作成するためにも、勤務している会社の制度をしっかり把握しておきたいものです。就業規則や、担当部署への確認を必ず行い、再雇用制度の有無はもちろん、再雇用された場合の賃金、仕事内容なども確認しておきましょう。

    ひき続き同じ会社で働けるのか、関連会社での雇用になるのかで、仕事に対するモチベーションも変わってきます。大きな金額になるだけに、退職金などの規定も確認して今後のプランを検討しましょう。

    マイナビミドルシニアに会員登録 マイナビミドルシニアに会員登録

    関連記事

    60代からのお仕事 何歳になってもチャレンジできる人が輝ける・活躍できる会社にするため、再雇用制度の年齢を80歳に設定|ミドルシニア社員採用事例インタビュー

    記事をシェアする

    • Twitter
    • Facebook
    • Line

    あなたへのオススメ記事

    中高年の半数以上が地方移住に興味あり!理由や移住支援金ランキング

    中高年の半数以上が地方移住に興味あり!理由や移住支援金ランキング

    地方移住は生活費を抑えられたり、自然に囲まれた生活を送れたりと、ミドルシニア世代にも多くのメリットがあります。今回は地方移住に興味がある人の割合から、移住支援金制度の概要をご紹介します。地方移住を検討している人は、ぜひ最後までお読みください。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月18日
    人口構造の変化と人材不足が引き起こす「2030年問題」とは?

    人口構造の変化と人材不足が引き起こす「2030年問題」とは?

    人口の変化によって日本の社会や経済に影響を及ぼすとされている、2030年問題。少子高齢化が進み、それによって引き起こされるさまざまな社会問題の総称を指しています。2030年問題では、日本の労働市場の大きな転換点となるとされており、日本で生きる私たちが向き合わなくてはならない課題です。本日は2030年問題をより深堀していきましょう。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月12日
    実家の遺産を相続したくない | 相続放棄の流れや注意点を解説

    実家の遺産を相続したくない | 相続放棄の流れや注意点を解説

    ミドル・シニア世代で親や親族の遺産相続に関して悩んでいる人は多いのではないでしょうか。今回は遺産相続の放棄を検討している人に向けて、相続を放棄する際のメリットやデメリット、検討している人の意見などをご紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月 9日
    2024年10月から年金が増えるって本当?在職定時改定で増える人・減る人、収入別シミュレーションもご紹介

    2024年10月から年金が増えるって本当?在職定時改定で増える人・減る人、収入別シミュレーションもご紹介

    令和4年から開始した在職定時改定制度は、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年10月に改定し、過去に納めた保険料を年金額に反映させる仕組みの制度です。在職定時改定制度について、基本情報から年収別シミュレーション、注意点などを解説。また、在職定時改定後に再就職する際の確認ポイントも紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年12月 6日
    65歳になっても年金が受け取れない?年金をもらえる条件や受け取る方法をご紹介

    65歳になっても年金が受け取れない?年金をもらえる条件や受け取る方法をご紹介

    国民年金保険は、20歳から60歳未満までの人に加入義務がある制度です。原則65歳になると受給ができますが、場合によっては受給年齢に達しても受け取れないことがあります。今回は、年金制度の基本から受給要件について、年金を受け取るためのポイントなどをご紹介します。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年11月20日
    ミドルシニア・シニア世代を襲う突然の出費!特別費を上手に管理&資金を準備する方法

    ミドルシニア・シニア世代を襲う突然の出費!特別費を上手に管理&資金を準備する方法

    ミドル・シニア世代は、突然の病気やリフォームなど、急な出費が必要な場面が増えてくる可能性があります。今回は普段の生活費とは別に必要となる、特別費の準備方法や管理方法をご紹介します。家計管理や急な出費に備えるために、ぜひご一読ください。

    • ライフプラン・人生設計
    • 2024年11月15日

    おすすめ・シリーズ記事

    人気記事ランキング

    おすすめの求人はこちら

    活躍中の年代から探す
    雇用形態から探す
    募集条件から探す
    働き方から探す
    福利厚生から探す
    職種から探す
    マイナビミドルシニアに会員登録 マイナビミドルシニアに会員登録