不法な「雇い止め」には対抗しよう!泣き寝入りしないで撤回させる方法とは!?
- キャリアを考える
- 公開日:2017年11月 8日
雇い止めは、契約社員・アルバイトなど有期雇用契約で働く場合のリスク要因です。「非正規雇用だったら簡単に契約を切られてしまうのでは…」などの不安を抱かないためにも、雇い止めの条件、撤回の請求方法を知り、労働者としての権利を守る手段を知っておきましょう。
雇い止めとは?
雇い止めとは、何度も有期雇用契約を繰り返し締結していた労働者に対して、突然「期間満了」を理由に退職を促すことを指します。
正社員であれば、「正当な事由がない限り安易に解雇することができない」ことは広く知られていますが、実は、有期雇用契約の場合も基本的には同じです。 法的な保護制度があることを理解しておきましょう。
しかし、会社側は「アルバイトや契約社員なら簡単にクビにできる」と考えている。だけど、労働者側は「何度も更新しているのだから当面は問題ない」と思っている。このような場合、食い違いから問題が生じるケースが多く発生しています。
問題の背景の多くは、会社の業績不振など人件費削減を余儀なくされたケースですが、労働者へしわ寄せが行くことは許されることではありません。
そのため、雇い止めのトラブルが多発している事情を問題視した政府は「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を制定しました。そのため、4つの基準を満たさない雇い止めは無効とされ、正社員に準じた権利が保護されます。
有期労働契約の締結・更新・雇止めに関する基準とは?
有期労働契約に関する法令によると、何らかの理由によって解雇する場合には、下記4つの基準を満たす必要があるとされています。
1. 有期労働契約締結時に明示すべき事項
更新の有無や更新の判断基準を明示するものとされています。更新の判断基準としては、業務量や能力、会社の経営状況などが該当して、書面による提示が原則です。契約期間中に判断基準の変更があったら速やかに連絡するものとされ、勝手に変えることはできない仕組みになっています。
2. 雇い止めの予告
有期労働契約を3回以上更新、もしくは通算1年以上の勤続にあたる場合は、少なくとも30日前までの予告が必要とされます。
3. 雇い止め理由に関する証明書交付
雇い止め予告をした後に理由に関する証明書の交付を請求されたら、遅滞なく対処する決まりです。事業縮小、能力不足、無断欠勤といった内容が理由の例で、契約期間満了とは別の理由であることを明示する必要があります。
4. 労働期間に関する配慮
有期労働契約を1回以上更新、1年超の継続勤務の後の更新ではできる限り契約期間を長くするように配慮する義務があり、短いスパンで何度も更新するような契約方法は避けるものとされています。
上記に違反した場合には、労働基準監督署から指導が入るケースがあります。突然の雇い止めに疑問を感じた場合は泣き寝入りしないで、しかるべき処置をとりましょう。
雇い止めを撤回させる方法は?
小規模な会社では人事担当者が有期雇用契約の扱いを熟知していないケースもあり、法令を把握していないために雇い止めが行われることもしばしば。そのような場合は、話し合いをすることで解決できるケースもあります。そうした場合は、30日前の告知がなかったこと、雇い止め理由の証明書を提示してほしいことなどを切り口に人事担当者と話し合いの場を設けてもらい、会社の言い分を聞いてみましょう。
話し合いだけでは会社の意思が変わらない場合には、労働基準監督署に相談します。第三者の意見を聞くことは自分の立場を明確にするためにも重要な役割があるため、相談窓口へ行くのがおすすめです。第三者の意見をふまえたうえでやはり撤回を求めるとなると、弁護士への相談を行う方がよいでしょう。
交渉で解決しない場合は裁判となる可能性もありますが、「解雇に関する法理が適用されるべき」とする判例も過去にはあり、正社員と同じような正当事由を求めるルールが適用される結論も期待したい争点です。
雇い止めの撤回を目標に動く場合、退職に合意したと思われる行動は慎むべきとされています。退職金が支給されているようなら返却する、もしくは受け取ることはできない旨の意思表示をするといった毅然とした態度で臨みましょう。
弁護士に相談する場合は、今の状況を伝えてどのようなあり方が望ましいのか判断をあおぎます。裁判まで到らなくとも内容証明で話し合いが終結するケースもあり、専門家を介して円満解決を目指しましょう。
無期転換ルール導入に向けた動きも理解しよう!
平成25年4月1日以降に有期雇用契約で勤め始めた場合は、無期転換ルールの適用対象にあたります。無期転換ルールとは、同じ会社と通算5年を超えて有期雇用契約を反復更新している場合に、無期限契約への切り替えを申し込むことができる仕組みのことです。
たとえば、平成25年4月1日以降に1年の有期雇用契約を5回繰り返したケースを考えてみます。6回目に同じ契約を結んだ場合には5年超の扱いになり、労働者に「無期転換申込権」が発生するイメージです。ここで権利を行使して申し込みを行えば、次の契約からは「無期労働契約」として、一定の立場が保護されます。
つまり、無期転換申込権を行使することによって雇い止めの不安を解消され、雇用期間満了による退職勧告というリスクはなくなります。
なお、契約が5年を超えたからといって自動的に無期雇用に切り替わるわけではありません。あくまで自らの申し込みが必要なところは注意しましょう。また、無期雇用契約といっても正社員になるわけではなく、給与や待遇は各会社の定める規則に従います。有期雇用契約時の条件をそのまま引き継ぎ、期間の縛りだけが撤廃されるケースもあることは理解しておきましょう。
まとめ
このように雇用に関して不安を抱いたときは、まず自分を守ってくれる法制度がないか調べてみましょう。インターネット上で調べるだけでも、自分にメリットを生むヒントが見つかることもあります。