老後の夫婦の生活費はいくら必要?支出の平均や備えるコツ

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近い将来の定年を見据えて、老後の生活に不安を感じている方は多くいるでしょう。今回は、老後の生活に必要な資金や、老後の生活に備える方法、年金の増やし方などを解説します。少しでも余裕のある生活を送るために、事前の情報収集をしましょう。

老後の生活に必要な生活費は月26.8万円

老後の生活に必要なお金はどのくらいか、正確には把握していない方もいるでしょう。

総務省の統計局のデータを見ると、2022年の高齢者2人世帯にかかる生活費は月26.8万円です。しかし、世帯の収入は月24万円。統計上では毎月約3万円の赤字であることがわかります。また、単身者の場合は必要な生活費は約15万円、実収入は約13万円です。

生活費の内訳は、以下の通りです。

2人世帯 単身者
食費 67,776円 67,776円
住居 15,578円 12,746
光熱・水道 22,611 14,704
家具・家事 10,371 5,956
衣料品 5,003 3,150
保険医療 15,681 8,128
交通・通信 28,878 14,625
教育 3 0
教養娯楽 21,365 14,473
その他消費支出 49,430 31,872
消費支出の合計 236,696 143,139
非消費支出(税金や保険料) 31,812 12,356
総合計 268,508 155,495

上記の金額はあくまでも統計であるため、実際には内訳以上のお金がかかることも考えられます。また、実際の収入が24万円より低いという可能性も。その場合は、生活に必要な金額との差が大きくなり、その分をほかの収入から補填しなければなりません。仕事をすることはもちろん、貯蓄や資産運用などで備える必要性を感じるでしょう。

参考:総務省統計局「家計調査年表(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」

ゆとりある老後に必要な生活費を知ろ

ゆとりのある生活を送るために必要な生活費は、月37.9万円とされています。統計上の生活費よりも、さらに10万円近くのお金が必要ということです。

上乗せした金額の使い方は、レジャーや旅行に利用したい、日々の生活の質を向上させたい、趣味を充実させたいという回答が見られます。ゆとりのある生活を送りたいと考えている方は、上記の金額を参考に備えておきましょう。

参考:「令和4年 生活保障に関する調査」

老後の生活費に備える方法3つ

老後に必要な生活費が分かったところで、生活費を備える方法についても確認しましょう。今回は生活費を備える、3つの方法をご紹介します。

早い時期から貯蓄を始める

金融庁が発表したレポートでは、65歳からの30年間で、公的年金などを除く老後資金の2,000万円が不足するとされています。そのため、今すぐに少しでも貯蓄を作っておく必要があります。貯蓄する目安は、以下の式から算出できます。

老後必要資金÷(年金受給年齢-現在の年齢)=必要な年間貯金額

例:43歳の夫婦で老後の生活に必要な資金が2,500万円だった場合
2,500万円÷(65歳-43歳)=1,136,363円(月94,696円)

生活費の見直しや、勤務期間を伸ばすなどの方法で貯蓄を作る工夫が必要です。また、貯蓄のみならず、資産運用などと組み合わせることも検討してみましょう。例えば、勤めている会社の福利厚生に財形貯蓄がある場合も。

特に「財形年金貯蓄」は、積極的に利用を検討してみましょう。毎月の給与から貯蓄分を先に引き出して貯めていくため、無理なく貯蓄を進められます。仕事をしながら確実に、老後資金を作れる手段の1つです。

資産運用を活用する

老後の生活費を備える方法として、資産運用という方法があります。老後の資金を作るために最適な資産運用には、NISAやiDeCoがあります。

①NISA
NISAは少額投資非課税制度と呼ばれ、株式や投資信託などに投資ができます。少額から投資が可能なため、日々の生活の中で、無理なく投資が行えることがメリットです。また、2024年より新たなつみたてNISAがスタートし、年間非課税額が変更されます。

新NISAは現行のNISAとは異なり、つみたてと成長投資枠の併用が可能に。そのため、年間の投資枠が拡大し、年間最大360万円まで投資ができるようになります。さらに、非課税保有限度額の増加など、さまざまな変更点があります。

つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化 無期限化
非課税保有期間限度額 2つ併せて1,800万円 内数1,200万円
口座開設期間 恒久化 恒久化

➁iDeCo
iDeCoは個人型確定拠出年金を指します。自分で選んだ運用方法で、自分で決めた掛け金を積み立てる方法です。毎月の掛金で所得税や住民税を、軽減できるというメリットがあります。積み立てた金額は全額所得控除となり、運用で得た利益も非課税となります。

iDeCoの注意点は、60歳以降にならないと積み立てたお金を引き出せないことです。急な出費が発生したタイミングでお金を引き出せるわけではないことは知っておきましょう。また、加入できるのは20〜65歳の公的年金の被保険者に限定され、年齢の上限が設定されています。

反面、60歳以降のお金を確実に貯めておけるため、しっかりと用意したい方には向いていると言えます。職業やほかの年金制度との関係により、利用上限額が決まっています。会社員か自営業かによって異なるため、利用前には確認しましょう。

➂保険に加入する
個人年金保険を利用すると、公的年金とは別に年金が受け取れるようになります。個人年金保険は60歳や65歳など、一定の年齢まで保険料という形でお金を積み立て、満期後に積立金とともに受け取れる商品です。

保険商品によっては5年・10年・一生涯など、年金を受け取れる期間の選択ができる上、積立中でも年末調整・確定申告で生命保険料控除の対象となるものも。その際は「個人年金保険料控除」を受けることができるため、節税にもつながります。年金が受け取れる65歳までのつなぎとしての活用が一般的です。

注意点としては固定金利の場合は、インフレに対応できない、途中解約で元本割れする可能性があります。加入前にどのような点がメリット・デメリットとなるか、しっかりと確認しましょう。

そのほか、終身保険や変額保険を利用するという手段もあります。終身保険は生命保険の1つで、一生涯の保障のほかに貯蓄性もある商品です。解約返戻金もあるため、解約時や満期時に払い込んだ保険料が返ってきます。元本割れをしない限りは、十分老後の資金となるでしょう。

また、変額保険は支払った保険料を、保険会社が対象となる投資信託などの特別勘定で運用し、運用次第で保険金や解約返戻金が変動する商品です。場合によっては、一般の保険よりも大きい金額を受け取れる可能性があるため、備えの1つとして検討するのも良いでしょう。

老後の生活のために年金を増やす

老後の主な収入源は年金です。年金の受給額を増やすことができれば、より安定した生活を送ることができるでしょう。

老齢基礎年金を増やす

国民年金または厚生年金に加入して、老齢基礎年金を増やす方法があります。
国民年金は20歳以上から60歳未満までの、国民の加入が義務付けられており、原則65歳以上で受給開始となります。国民年金は全期間でお金を納めていないと、満額の受給ができません。

つまり、加入していない期間分、老後に受け取れる年金の額が減ることに。しかし、何らかの理由で年金の支払いができていない期間がある場合は、60歳以降に任意加入をして、老齢基礎年金を増額できます。

また、老齢基礎年金の受給開始は原則65歳からですが、受給開始時期は繰上げも繰下げも可能です。もし、問題がない場合は年金を繰下げ受給しましょう。1年繰下げると8.4%、5年繰下げると42%の受給額が増加します。

仮に70歳からの受給に変更した場合、満額の月の受給額6万5,100円が9万2,500円に。65歳を過ぎても生活費の確保が可能である場合は、70歳から年金を受け取ると、より余裕をもって生活を送れるでしょう。

老齢厚生年金を増やす

厚生年金は会社員や公務員が対象となっており、原則70歳まで加入ができます。厚生年金加入者は原則65歳以降に老齢厚生年金を受給でき、受給額は加入している期間と標準報酬額で決まります。

つまり、60歳以降の加入によって年金額の増額が可能です。例えば、平均月収25万円で65歳まで働いた場合、受給額は年間で約8万2,000円上乗せすることができます。

60歳以降も厚生年金に加入しながら働くと、「在職老齢年金」を受け取れます。ただし、給与と年金受給額の合計が47万円を超える場合は、受給額が減額または全額支給停止になります。

詳しくはこちら
年金受給と併用して働くのはあり?在職老齢年金の注意点

また、60歳以降も同じ会社に勤務し、定年前と再雇用後の賃金が大幅に下がった場合は「高年齢雇用継続基本給付金」が支給される可能性があります。支給には、いくつかの条件があり、支給期間は60歳から65歳になるまでの最大5年間です。

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まとめ

定年を迎えた後に必要となる、老後の生活資金について解説しました。老後の生活には最低でも毎月26.8万円が必要となり、ゆとりのある生活を送る場合には月37.9万円が必要です。

しかし、老後の公的年金などの収入では夫婦では、24万円ほどとなっており、日常生活のためには足りません。問題なく老後の生活を送るために、生活資金の備えを作る方法があります。早めの貯蓄のほか、保険の加入や資産運用など、自身の生活スタイルに合った方法を検討する必要があります。

さらに、老後に受け取る年金は、受給額を増やせる可能性があります。特に受給開始年齢を繰下げた場合、受け取れる金額が大幅に変化するため、少しでも多くの金額を後に残しておきたい場合は検討しましょう。

また、厚生年金の加入によっても、年金の受け取り額は変化します。自身の生活と必要な生活資金に応じて、さまざまな方法を組み合わせて、余裕をもった老後の生活が送れるように備えましょう。

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