【2024年】扶養内と扶養外ではどちらが得?それぞれのメリット・デメリットとは

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「パートで働くなら扶養内がお得」「扶養外の方が稼げる」など、さまざまな声を聞き自分はどちらを選択すればいいのか、迷っている方が多いのではないでしょうか。扶養内・扶養外で働くのは、それぞれメリット・デメリットがあります。本記事では扶養内・扶養外の選び方も解説します。

扶養とは

扶養とは、自分の収入だけでは生活を送れない家族や親族を支援するという意味です。扶養する方を扶養者、扶養される方を被扶養者と呼びます。被扶養者は扶養親族と呼ばれることもあります。

扶養の種類は「税法上の扶養」「社会保険上の扶養」の2つです。では、それぞれどのような意味を持ち、どのような方が対象なのか見ていきましょう。

税法上の扶養とは

税法上の扶養とは、扶養者が所得税や住民税の控除を受けることで、納めるべき税金の金額を抑えられる制度です。扶養者の配偶者は「配偶者控除」もしくは「配偶者特別控除」、子どもや両親は「扶養控除」の対象となります。

配偶者控除
配偶者控除の対象者は以下の通りです。ただし、扶養者の年間合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除を受けることができません。

・民法上の規定で配偶者と認められている方
・扶養者と同一生計である方
・年間合計所得金額が48万円以下、給与収入金額が年間103万円以下の方
・青色納税者の事業専従者で1年間に一度も給与を受け取ったことがない方、または白色申告者の事業専従者ではない方

配偶者特別控除
配偶者特別控除の対象者は以下の通りです。こちらも配偶者控除と同様に、扶養者の年間合計所得金額が1000万円以下の場合に適用されます。

・民法上の規定で配偶者と認められている方
・扶養者と同一生計である方
・年間合計所得金額が48万円以下、給与収入金額が年間133万円以下の方
・青色納税者の事業専従者で1年間に一度も給与を受け取ったことがない方、または白色申告者の事業専従者ではない方

扶養控除
扶養控除の対象者は以下の通りです。

・6親等内の血族および3親等内の親族、姻族
・年末調整を行う年の12月31日時点の年齢が16歳以上の方
・扶養者に養護を委託されている70歳以上の高齢者
・扶養者と同一生計である方
・年間合計所得金額が48万円以下、給与収入金額が年間103万円以下の方
・青色納税者の事業専従者で1年間に一度も給与を受け取ったことがない方、または白色申告者の事業専従者ではない方

社会保険の扶養とは

社会保険上の扶養とは、扶養者が加入する健康保険や国民年金保険が、保険料を支払わなくても被扶養者にも適用されることを言います。

社会保険上の扶養の対象は以下の通りです。

・配偶者
・3親等内の親族
・年間収入金額が130万円未満、扶養者の収入の2分の1未満
・年間収入金額が180万円未満、扶養者の収入の2分の1未満(60歳以上)

実子や孫、両親などの3親等内の親族は同居している必要はありませんが、養父母や連れ子などは同居していなければなりません。また、社会保険上の扶養の収入金額は給与だけではなく、傷病手当や失業手当、障害基礎年金も含まれるため注意が必要です。

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扶養内で働く場合の壁とは

税法上や社会保険上の被扶養者が働く場合は、一定の収入に抑える必要があります。「103万円の壁」という言葉をよく耳にしますが、103万円を超えることでさまざまな影響が出るため、このように呼ばれているのです。他にも複数の"○○万円の壁"が存在するため、それぞれの内容を知っておきましょう。

98万円の壁

年収が98万円以下の場合は、被扶養者の住民税は発生しません。住民税には基礎控除(43万円)と給与所得控除(最低55万円)があり、この2つを足した98万円が控除されるため住民税がかからないのです。年収が98万円を超えた場合は、住民税を納めなければなりません。

また、住民税には非課税限度額があります。収入が100万円以下の場合は、所得金額に税金をかけて計算される税率「所得割」がかかりません。しかし、自治体によって均等割が適用されることがあります。支払うのは基準額の5,000円ですが、実際課税される金額は都道府県・市区町村によって異なります。

103万円の壁

年収が103万円を超えると、被扶養者は103万円を超えた分だけ所得税を支払わなければなりません。所得税は基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を足した103万円までは免除されているのです。

扶養者は配偶者控除を受けられませんが、被扶養者の年収が150万円を超えるまでは配偶者特別控除を受けられます。扶養者の所得税・住民税の負担額に影響はないため、配偶者控除を受けられないことで税金控除のデメリットはないでしょう。

106万円の壁

年収が106万円を超えると、被扶養者は条件に当てはまる場合に社会保険に加入しなければなりません。勤務先の従業員が101人(※1)を超え、週20時間以上働き、88,000円以上収入を得ている場合などには、パート・アルバイトであっても社会保険に加入する義務があります。

社会保険の加入により、健康保険や厚生年金保険の保険料を支払わなければなりません。手取りは減りますが、傷病手当などの手当てが受けられたり、年金の受給額が上がったりする点はメリットと言えるでしょう。

※1:2024年10月から、勤務先の従業員が51人以上の企業が対象に含まれます。今は対象外でも、2024年10月以降に扶養から外れる可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。

130万円の壁

年収が130万円を超えると、被扶養者は社会保険に加入しなければなりません。106万円の壁で社会保険に加入していなかった場合も、130万円を超えると加入義務が発生します。勤務先が社会保険を適用していない場合は、自分で国民健康保険や国民年金保険に加入する必要があります。

150万円の壁

年収が150万円を超えると、配偶者特別控除が減額されます。最大38万円受けていた控除額が減るため、扶養者は住民税・所得税・社会保険料の負担が大きくなります。また、年収が201万円を超えると配偶者特別控除は受けられません。

扶養内で働くメリット・デメリット

扶養内で働くとどのようなメリットがあり、どのようなデメリットを受けてしまうのでしょうか。

扶養内で働くメリット

税金の負担が少ない
被扶養者の年収103万円以下で受けられる配偶者控除や、年収150万円以下で受けられる配偶者特別控除の適用により、所得税や住民税を抑えられます。最大38万円の所得控除が受けられるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。

医療費の負担が減る
扶養者が社会保険に加入している場合、被扶養者は扶養者の勤務先の保険に入れます。そのため、被扶養者が保険料を支払わなくても医療費は3割負担となります。また、出産一時金を受け取れるなど、医療費の負担が減ることもメリットです。

所得税の負担がない
年収103万円以下であれば、所得税を支払う必要がありません。所得税は、基礎控除や給与所得控除などの控除を差し引いた金額に税をかけた金額になります。103万円以下であれば控除を差し引くと0円となるため、所得税がかからないのです。

国民年金保険料を払わなくても年金が受け取れる
扶養者が国民年金保険料を支払うだけで、被扶養者も保険料を支払っている扱いとなります。そのため、被養者は国民年金保険料を支払わなくても、65歳以降に国民年金を受け取ることができます。

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扶養内で働くデメリット

厚生年金の受給額が減る
扶養に入ると、国民年金保険料を支払わなくても国民年金を受け取れます。しかし、厚生年金は受け取れません。

厚生年金保険料を支払い続けている方と比較すると、受給できる年金が少なくなります。また、国民年金基金や付加年金など年金額を増やせる仕組みも利用できません。そのため、老後資金が減少する可能性があります。

年収を考慮した働き方をしなければならない
扶養内で働くためには、103万円・106万円・130万円など年収の上限を意識しなければなりません。扶養から外れないような勤務先や仕事内容、勤務時間にしなければならないため、希望する働き方ができないかもしれません。

また、これまで扶養外で働いていた方は、正社員として復職できなかったり、キャリアアップできなかったりすることにデメリットを感じるでしょう。

扶養外で働くメリット・デメリット

扶養外で働く場合のメリット・デメリットには何があるのでしょうか。

扶養外で働くメリット

厚生年金の受給額が増える
ほとんどの事業所では厚生年金保険の加入が義務付けられています。扶養外で働く中で保険料を支払えば、65歳から厚生年金を受け取れます。扶養内で働くと厚生年金保険に加入できないため、厚生年金保険に入る扶養外の方が老後に受け取れる年金が増加します。

手厚い保障が受けられる
社会保険に加入すると手厚い保障が受けられます。例えば、病気やケガの際に受け取れる傷病手当金、出産一時金、失業手当などがあります。万が一のことがあっても手厚い保障が受けられるのはメリットだと言えるでしょう。

収入が増える可能性がある
年収160万円以上を得られれば、収入が増える可能性があります。扶養外で働くと納税金額が増加するため、一見収入が減ったように感じます。年収130万円程度であれば、納税により残るお金が少なくなるのは事実です。

しかし、年収が160万円を超える場合は手元に残るお金が増えるため、安定した生活が期待できるでしょう。また、老後に向けて貯金できると安心感があります。

多様な働き方ができる
扶養外は多様な働き方ができることがメリットです。扶養内であれば限られた年収の中で働かなければなりません。そのため、パートやアルバイトで上限のある勤務時間で働く可能性が高いです。しかし、扶養外は年収を気にせず働けるため、正社員への復職やキャリアアップが目指せます。自分で収入を得て働きたいと考える人には大きなメリットでしょう。

扶養外で働くデメリット

所得税や住民税を払わなければならない
扶養外になると所得税や住民税いった税金を支払わなければなりません。これまで配偶者控除で減額されていた税金を支払うため、節税効果がなくなり、場合によっては収入が減るでしょう。ただし、年収160万円以上であれば収入が増える可能性があります。

社会保険料を負担しなければならない
扶養外になると社会保険料や国民年金保険料を支払わなければなりません。社会保険に加入する場合は、給与から天引きされます。そのため、手取り額が減ってしまうでしょう。また、国民年金保険の場合は保険料を自分で納付する必要があります。手間がかかることもデメリットに感じるかもしれません。

扶養内・扶養外の選び方のポイント

扶養内・扶養外にはそれぞれメリット・デメリットがあるとわかりました。では、扶養内・扶養外のどちらを選べば良いのでしょうか。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

生活スタイルに合わせた働き方で選ぶ

「子育てに時間を割きたい」「家事をメインに生活したい」「趣味に時間を使いたい」などの場合は、扶養に入る方が希望を叶えられます。しかし、扶養に入ると収入は限られます。ライフステージや必要な資金など、配偶者と相談して扶養内・扶養外の選択をしましょう。

老後資金を手厚さで選ぶ

扶養内で働く場合は、納税額が少ないためお金を貯金に回せるでしょう。しかし、老後は国民年金のみ受け取れるため、受給できる年金は少なくなります。扶養外で働く場合は、厚生年金などに加入することで年金の受給額を増加できますが、月々の税金の負担が大きいデメリットがあります。

手取りをしっかり確保し貯金したい場合は扶養内、年金額を増額して老後資金を確保したい場合は扶養外と考えるのが良いでしょう。

タイミング例を参考にする

扶養内・扶養外の選択に迷う場合は、扶養内に入るタイミング・外れるタイミングの例を参考にしてみましょう。

扶養に入るタイミング例 ・扶養者が結婚した
・扶養者に子どもが生まれた
・被扶養者の失業手当受給期間が終了した
扶養から外れるタイミング例 ・被扶養者の収入が130万円を超えた
・被扶養者が就職した
・被扶養者(子ども)が配偶者の収入を超えた
・別の扶養に入った
・後期高齢者の保険証をもらった
・被扶養者が亡くなった

扶養に入るための手続き方法

扶養に入る際は、扶養に入れたい方が被扶養者の条件に当てはまっているか確認します。被扶養者になる事実が発生した日から5日以内に手続きしなければなりません。手続きをする際は「被扶養者(異動)届」と以下の書類を、日本年金機構の年金事務所か事務センターに提出します。

被扶養者を増やす場合は、被扶養者が増える事実が発生した日から5日以内に手続きをしなければなりません。また、配偶者を扶養する際は被扶養者(異動)届の「第3号被保険者関係届」にその事実を記載することで、厚生年金の第3号被保険者への切り替え手続きも行えます。

社会保険の扶養に入る際に必要な書類

・被扶養者(異動)届
続柄を証明できる書類
収入がわかる書類
入籍の事実が確認できる書類(入籍した方のみ)
仕送り金額がわかる書類(別居している方のみ、16歳未満・学生は不要)
内縁関係にあることを確認できる書類(内縁関係の方のみ)

扶養から外れるための手続き方法

扶養から外れる際は、その事実が発生した日から5日以内に企業に必要書類を提出します。企業から「健康保険被扶養者(異動)届」を受け取り、被扶養者の保険証とともに提出します。また、扶養から外れた証明になる「資格喪失証明書」を発行してもらいましょう。

扶養から外れた後は、外れた日から14日以内に国民健康保険・国民年金保険に加入します。発行してもらった資格喪失証明書と、「被扶養配偶者非該当届」を提出すれば手続きが完了します。

所得税の扶養から外れる場合は、特に手続きは必要ありません。配偶者の年収が103万円以上の場合は、「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」に配偶者の名前は書きません。配偶者の年収が141万円未満の場合は、「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」に名前を書きましょう。

まとめ

扶養内・扶養外で働くのはそれぞれにメリット・デメリットがあります。現在どのような生活スタイルなのか、今後どのように暮らしていきたいか、老後資金をどのように貯めるかなど、あらゆる面を検討して扶養内外を選択しましょう。

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