パートとアルバイトで扶養の扱いに違いはある?【社労士監修】

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子どもも大きくなってきたし、そろそろパートでもするか! でもアルバイトの方がいいのかな。そもそも、パートとアルバイトってどう違うの?――そこで、パートとアルバイトの違いについて調べてみました。条件の違いはあるの? 扶養内で働くうえでどちらが有利なの? などをご紹介いたします。

パートとアルバイト、扶養の条件に違いはある?

えっ! パートとアルバイトの違いは"呼び名"だけ?

求人サイトを見ていて、「パート募集」の求人のすぐ下に「アルバイト募集」の広告がある。ふと、「パートとアルバイト」の違いって何だろうと考えたこと、ありませんか? 「学生はアルバイトで、主婦はパート」と捉えている方もいるようですが、実はパートとアルバイトには、名称以外の違いはありません。

パートやアルバイトのように短時間勤務をする労働者は、法律によって「短時間労働者」と定められています。正社員と比較すると、勤務時間が短いため待遇面での違いはありますが、アルバイトとパートに関しては、待遇などの違いは一切ないのです。

パート・アルバイトで働く人が、扶養について考えるべきこと

現在、専業主婦で、パートやアルバイトで働きたいと思っている方の中には、「夫の扶養範囲内で働きたい」と考えている人も多いと思います。そこで、「扶養の範囲」についてご紹介しましょう。

まず、扶養範囲内で働き、扶養のメリットを受けられるのは、「税金」と「社会保険」でそれぞれ条件が違うことを知っておきましょう。扶養範囲内であれば税金が控除されたり、配偶者が加入する健康保険の被扶養者になることができますが、扶養を外れてしまうと税金控除が受けられず、社会保険料も配偶者とは別に自分自身で加入し、社会保険料を支払う必要が出てきます。そのため、年収を扶養範囲内で抑え、配偶者控除を受ける方がたくさんいらっしゃいます。

もちろん、パートとアルバイトによって、税金上の配偶者控除の条件や社会保険上の被扶養者となる条件が異なることはありません。どちらも同じ条件です。

パート・アルバイトで、扶養の範囲内で働くための条件

パート・アルバイトで働く際の103万円の壁とは

次に、配偶者控除を受けるための具体的な条件について紹介します。

皆さんは「103万円の壁」という言葉を聞いたことはありますか。これは、年収が103万円以下であれば配偶者の扶養範囲内となり、税金上の控除を受けられるということ。扶養範囲内であれば、妻の所得税が控除され、夫も配偶者特別控除の適用となり、所得税から控除分が引かれます。しかし、扶養を外れると妻は税金を支払わなければならず、夫も控除がなくなる分、支払う税金が高くなります。

しかし、2017年の法改正で配偶者控除の見直しが行われ、「103万円の壁」が「150万円」に引き上げられました。これにより、妻の年収が150万以内であれば所得税は控除され、配偶者控除を受けられるようになったのです。

なお、妻の年収が150万円を超えても、夫の配偶者控除がなくなるわけではありません。満額ではありませんが、控除を受けることができます。妻の年収によって段階的に控除額が減っていき、201万円を超えると控除額はゼロとなります。

パート・アルバイトで働く際の社会保険の壁とは

では、社会保険上の扶養を受けるには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。

分岐点は、130万円。妻の年収が130万円未満であれば夫の扶養範囲となり、妻が公的年金や健康保険の保険料を支払う必要はありません。しかし130万円を超えてしまうと夫の扶養から外れ、妻も保険料を納めなければなりません。

また、2016年10月より、130万円未満であっても社会保険上の扶養を受けられないケースがでてきました。週20時間以上働く短時間労働者でも、以下の5条件に該当する場合は社会保険の加入対象となったのです。

・週の所定労働時間が20時間以上あること
・賃金が月額8.8万円(年収106万)以上であること
・勤務期間が1年以上見込まれること
・従業員501人以上の企業で働いていること
※学生は適用外
【出典】「短時間労働に対する被用者保険の適用拡大」

条件の中に年収106万以上が含まれているため、「106万円の壁」などと呼ばれます。

また、従業員数が500名以下でも、労使で社会保険の加入に対する合意がされていれば、加入することになります。

こちらの記事も参考になります。

「扶養内のパート。社会保険で損しないために【社労士監修】」

税金の壁と社会保険の壁を理解して、勤務時間を調整しよう

これまで説明してきたように、パートもアルバイトも同じ「短時間労働者」。扶養の条件は同じなので、パートやアルバイトで働こうと思っている方は、配偶者控除を受けるための条件をまずは理解しておきましょう。まずは、「150万円が税金の壁」「106万円が社会保険の壁」と、大まかに理解しておくと、働き方を考える上での参考になると思います。「壁を超えてしまったために、一気に手取りが減ってしまった......」と後悔しないで済むように、ゆっくり考えて、勤務時間を調整することをオススメします。

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