まさかここは追い出し部屋?そんな状況で考えるべき3つのこと
- キャリアを考える
- 公開日:2018年4月17日
大企業が抱える闇としてしばしば社会問題になる「追い出し部屋」。どんなに実績を上げてきた人でも対象とされるリスクはあります。追い出し部屋行きを命じられたらまず考えたい3つのポイントを知り、悔しさをバネに明るい将来を築くヒントとしましょう。
追い出し部屋とはどのようなもの?
追い出し部屋とは、辞めてほしい社員に対して陰に陽に圧力をかけ、自主退職を促すために設けられる部署や施設の総称です。個々の企業で名称も部署の活動も異なるため、一概に「この部署は追い出し部屋だ」と外部から見ればわかりませんが、社内では認知されているケースが多いようです。
日本企業は解雇におけるハードルが高いため、一度採用した人材を簡単にリストラできません。そのため会社都合ではなく、自己都合での退職へ持ち込むために行われるものです。大企業の実態として大々的なニュースになった時、衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。たとえば、以下のような事例は「追い出し部屋」に該当します。
ケース1:キャリアデザイン室でのステップアップ強制
「スキルアップを目指す」という名目でキャリアデザイン室へ配属、実質的な転職活動を強制します。社内に残ることを希望する社員には単純作業を命じるなど精神的なダメージを与えて、自己都合退職へと追い込んでいきます。
ケース2:人材強化センターでの待機が仕事
人員不足になっている部署をサポートする仕事を任されます。要請が起こるまでは何もすることがなく、いざサポートをお願いされても誰でもできるような仕事ばかりが続き、労働意欲をそぐという手法です。
ケース3:無理な営業ノルマで退職を促す
厳しい上司がいる部署に異動、自己努力では到底達成できないような無理なノルマを課すことで、リストラの理由づけを行います。スキル不足を指摘するような罵声を浴び続けると自分が価値のない人間のように感じてしまって、働けない状態になりかねません。
ここで紹介したものは一例にすぎず、実際には非常にいろいろな手法があります。明らかに退職勧奨にあたるものから、表面上はリストラ計画には見えないように上手に取り繕ったものまであるため、働く人にとっては脅威です。追い出し部屋を命じられてすぐは会社に対抗する気持ちがあっても、徐々にモチベーションが下がっていき、どうしたら良いのかわからない状態になってしまう人もいます。なるべく早い段階から、将来に関する前向きな見通しを立て、計画的に行動しましょう。
会社に居座ることで生じるリスクを認識する
まず考えたいこととして、会社に居座ることで生じるリスクがあげられます。何もしない部署は楽なようにも感じますが、時間をつぶすことだけを目的に出社するのは、精神的につらいものです。仮にパソコンすら与えられない状況では、調べ物や勉強もできません。だからといって居眠り、遅刻をして良いわけではなく、会社に居る意味があるのか考える時間が長くなります。
追い出し部屋行きになった時点で会社としてはリストラ候補と見ているため、今後の昇給や昇進は期待できない状態です。そのまま働き続けたところで、明るいキャリアは見えてきません。「業績が上がれば」「景気が良くなれば」と考えたところで、終わりが見えないまま苦しい時間を耐えるのは並大抵のストレスではないはずです。
沈んだ気持ちを家庭まで引きずれば家族の不安もあおりますので、自分にとっても周りにとっても、デメリットが多い状況であると捉えましょう。
価値がない人間などいない
不当な扱いを受け続けると、まるで自分が無価値のように感じてしまうかもしれません。しかし実際には、自分に価値がないわけではなく、あくまでも「その会社にとってはリストラ候補」というだけです。追い出し部屋で長い期間を過ごして身動きがとれなくなる前に、転職も視野に入れたキャリアプランを考えてみましょう。
ネガティブな感情は感染力が強いため、暗い雰囲気の追い出し部屋にいるうちに気持ちがどんどん落ち込んで、挑戦する意欲がなくなっていくケースがあります。転職活動を始めるにしても、自分の長所・アピールポイントの整理が必要ですから、気持ちが落ち込む前のほうが効率的です。
いっそのこと「追い出し部屋行きを命じた会社を見返す」くらいの気持ちで構えていた方が良いかもしれません。リストラ対象となるまでに自分が会社にしてきた貢献、身に付けたスキルを武器にして、価値を感じてくれる環境を探しましょう。転職面接で理由について聞かれた際に会社だけが悪いように伝えるのは御法度ですが、気持ちを整理して前向きな未来を目指すため、頭の中で考えるのは自由です。仕事終わりに社外の友人と会い、お酒を飲みながら、会社に対する不満を打ち明けるのも一つの気持ちの整理の仕方です。
ひと通り愚痴を吐き出してスッキリしたら、新しいキャリアを念頭にした具体的な行動を起こします。仕事をしている感覚が抜ける前に新しい転職先を見つけるのが理想ですから、なるべく早い段階で次の一手を考えましょう。
家族との話し合いを水面下で進めよう
追い出し部屋行きを命じられた際、家族の今後を何より心配する方も多いでしょう。子どもの進学、両親の介護、住宅ローンといった問題を1人で抱え込んでしまうと、身動きがとれなくなります。
会社に見切りをつけて転職するにしても、家族の理解がなければ進みません。言い出しにくい気持ちは最もですが、なるべく早く現状を伝えて、家族の問題としてどう対処するのかを話し合う時間を確保しましょう。
良くも悪くも、追い出し部屋に入ったら残業も少なく、家族と過ごす時間はたっぷりあります。長い目で見た家族の将来まで含めて、今後について話し合えば心が軽くなることも。
まとめ
中高年からの転職は一定のリスクが伴う問題だからこそ、家族の協力体制が成功のカギを握ります。何年か経った後に「こんなこともあった」と笑い話にできるくらい幸せな将来をつかみ取るためにも、早急に話し合いの場を設けましょう。