履歴書のサイズはA4それともB5?手書きとパソコンの使い分けは?(転職・パート)

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転職・パート・アルバイトにおける必須の応募書類である履歴書。いざ書き始めようとすると「A4がいいの、それともB5?」などのサイズに関する疑問や、「手書きがよいの?パソコンがよいの?」、さらにはどう書けばよいのかなど様々な疑問が生まれるもの。ここではミドルシニア世代の転職を成功につなげる履歴書作りについてご説明します。

転職活動で履歴書が使用される理由とは

「仕事に応募する際は履歴書が必要」というのは日本においてほぼ常識となっていますが、実は法的には履歴書の提出は必須ではありません。それなのになぜ多くの企業で提出するのでしょうか。
その理由は二つあります。

応募者の基本情報を把握するために必要だから

なによりも企業が求人の募集をかける際、人物を判断する材料とするためです。採用担当者は応募者がどんな人かを知るために多くの情報を求めています。その基本情報が履歴書であり、基本的に面接は提出、または持参した履歴書を採用担当者が確認しながら進むことが多いです。

また多くの募集があった際には書類選考が行われますが、特にパート・アルバイトの場合では選考書類は履歴書のみのことが多いため、面接へ進むための重要な書類となります。

企業が労働者名簿を作成する必要があるから

企業は労働者を雇用する際に労働者名簿を作成する義務があります。労働者名簿に記載する内容は

・労働者の氏名
・生年月日
・履歴
・性別
・住所
・従事する業務の種類(従業員が30人未満の事業場の場合、記入は不要)
・雇入の年月日
・退職年月日およびその事由(退職の事由が解雇の場合はその理由を含む)
・死亡の年月日およびその原因

項目の多くが履歴書で把握できる内容となっています。そのため、企業は雇用の際に履歴書提出を求めており、就業規則で提出を定めている企業が多いのです。

履歴書不要の求人が存在する理由

「履歴書不要!」と記載されている求人広告を見たことがある方もいるかもしれません。そのような求人は以下3つのいずれかに当てはまります。

「履歴書不要」の求人はなぜあるの?その疑問に回答!」


①独自の登録シートを用意しているため

企業や派遣会社などで見受けられるのが、独自の登録シートを用意しているケースです。氏名・住所から学歴までほぼ履歴書と同等の内容を記入するケースもあれば、氏名・住所・電話番号など必要最低限の情報のみ求められるケースもあります。独自の登録シートを用意する理由としては

・知りたい情報のみを集められるので情報が管理しやすい
・入力内容が統一されているので企業側が使いやすい
・データで管理できるうえに、出力サイズが同じなので便利
・不採用の際に履歴書を破棄・返却する手間が省ける

などの理由があげられます。


②敷居を下げてでも多く応募をしてもらいたいから

「この仕事興味はあるけど、履歴書を書くのがちょっとめんどくさい...。他によい求人が見つかるかもしれないから応募しなくてもいいか」と考えてしまう求職者の方は多く存在します。
そのため、「事前の応募書類提出などの手間を省いてでも、気軽に面接に来て欲しい」という採用担当者の想いが込められています。(この場合は、就業前に提出が求められるケースが多いです)


③書類選考がない、という意味で「履歴書不要」という表現を使っている

求人サイトで募集を受け付けたのちに企業から連絡があり、必要書類を郵送などで提出するケースが一般的です。しかし、事前郵送が必要のない企業もあり、その一部で「事前に履歴書を送ることは不要です」という意味で「履歴書不要」という言葉を使う場合もあります。
少しわかりづらいのですが、結局面接の際に履歴書を持参することは必要なことが多いので、面接前には持参物の確認をしておくのが望ましいです。

履歴書の書き方はこちら

基本の用紙サイズはA4とB5の二通り

コンビニや書店、ダイソーなどの100円ショップにて市販品として流通している履歴書はJIS規格(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)で作成されているもの、またはその類似品が多くを占めています。そして、履歴書はA4(A3二つ折)とB5(B4二つ折)の二サイズが存在しています。


昔はB5じゃなかった?いつA4になったの?

多くのミドルシニア層の方にとっては「履歴書=B5サイズ」という記憶があるかもしれません。その通り、1980年代まで用紙サイズはB5が一般的だったのです。

歴史を紐解くと、そもそもB判とは江戸時代に徳川将軍家と御三家の御用紙だった美濃紙がルーツである日本特有の寸法です。その後、明治政府に引き継がれても、そのまま戦後までB判基準は継続。そのためJIS規格においても「帳簿類の寸法はB判を原則とする」と定められていたのです。

しかし、1990年台に入ってグローバル化が進むようになってから、徐々に書類は国際規格であるA判へ統一されるように。現在においては公的書類もほとんどがA判に置き換わり、用紙サイズもA4サイズが標準的になってきたのです。


結局A4、B5のどちらを選ぶのが正解なの?

「どちらを選ぶのが正解?」という疑問が生まれると思いますが、正解は「企業からサイズの指定がない場合は、どちらを選んでも問題ない」ということです。用紙サイズの選択が原因となり、採用上で悪影響を及ぼす可能性はほとんどありません。重要なのは当たり前ですが「履歴書の中身」です。そのためには自分が作成しやすい項目のものを使用しましょう。(項目については後述します)

とはいえ、サイズによっての使い勝手などは存在するため、それぞれのメリットについてご紹介します。

A4のメリット:情報を多く盛り込める

物理的にB5よりもA4の方が大きな面積のため、より多くの情報量を盛り込むことが可能です。そのため、アピールしたい内容が多い場合はA4を選ぶ方がよいでしょう。正社員への転職活動の場合はアピールする内容が増えるため、A4を選択するケースが多く、特に人材紹介、エージェントサービスを利用する場合は、ほとんどがA4で履歴書を作成するのが一般的です。

B5のメリット:情報が少なくても書きやすい

B5はコンパクトなサイズであるため、特技・趣味・自己PRなどの記入欄が限られており、長文を書くのが苦手な人や記入する内容が少ない場合に適しています。アルバイトの場合は、正社員への応募に比べて記載する内容が少ないケースが多いため、B5の方が使い勝手が高いといえます。また、専業主婦をしていたため職歴が少ない方などもB5が使いやすいといえるでしょう。

手書きとパソコン作成。正解はどちらなの?

履歴書を作成する際、「手書きで書くべきか」「パソコンで作成するべきか」という悩みが発生することが多くあります。結論としては「重要なのは中身」であるため、特別な指示がない限りどちらでも問題ありません

しかしネット上では「迷った時は手書きがよい」という意見も流れているため、やはり迷うところです。手書きとパソコン作成のメリットとデメリットをご紹介します。

手書きのメリット・デメリット

・文字に自信があれば手書きでアピールできる
・秘書や事務などの仕事において手書きで行う業務があればアピールできる
・文字が不得意だと内容が伝わらず、評価が下がる可能性も
・書き損じが発生すると書き直す必要があるので手間が増える

パソコン作成のメリット・デメリット

・一度作成すれば使いまわせるので効率がよい
・パソコンへのリテラシーが高いという印象を与えられることも
・Webやメールに添付して送ることもできるので書類提出がスピーディー
・担当者もデータで管理できるため、企業側の管理が楽なことも
・一部には「履歴書作成にかかる労力を熱意と捉える」企業もある

記入する項目と記入のポイント

記入する項目はJIS規格でも、それ以外でも大きくは変わりません。しかし、「健康状態の項目の有無」「本人希望記入欄が大きい」などそれぞれの特徴があります。ここでミドルシニア層が注意したいのは、市販されている履歴書の多くは若年層に向けたものが多いということです。本人が未成年の場合に記入する「保護者欄」などはミドルシニア層には不要なため、自分の状況に合ったものを選んで使用しましょう。

マイナビミドルシニアのお役立ちページからは、ミドルシニア層が使いやすい項目で作成した履歴書サンプルのエクセルをダウンロードすることもできます。ご活用ください。


印刷や購入の際の注意点

家庭用のプリンターで印刷すると、A3やB4などで印刷できない場合も多いのでは。A4やB5で片面ずつ印刷して提出してもよいですが、担当者によっては管理がしづらいため敬遠することもあり、二つ折りとなるA3やB4が望ましいといえます。

そのため自宅のプリンターで大型サイズの印刷が行えない場合は、データを持ってコンビニのプリントサービスを使うのがオススメです。ワードやエクセルなども対応していることが多く、紙質も悪くないことが多いので上質な仕上がりにすることができます。

なお、履歴書全体をパソコンで作成・印刷し、名前などの一部のみを手書きとする方もいますが、よほどの達筆でない限り違和感が生じます。そのため、手書きで作成するのであれば、既製品を購入するのが望ましいでしょう。

パート・アルバイトに応募する際の書き方サンプル

ここでは51歳の専業主婦がパートに応募した場合の履歴書だと、どのように書けばよいかを見ていきましょう。

基本情報欄の書き方サンプル

日付

・提出日か前日の日付を記入する(郵送の場合は投函日)
・面接に持っていく場合は面接当日の日付を記入
・履歴書全体を西暦か元号で表記を統一

写真

・3カ月以内に撮影
・正面から撮影。本人単身で胸から上が写っているカラー写真
・好印象を与える表情、服装に気を配る
・書き損じる可能性を考慮し、写真は最後に貼る
・剥がれた場合を想定し、写真の裏には名前を記入

氏名

・姓と名にスペースを空ける
・ふりがなは履歴書の書き方に合わせる
(「ふりがな」はひらがな、「フリガナ」はカタカナで記入)

年齢

・上記日付で記入したタイミングの年齢を記入

住所

・都道府県から省略せずに記入
・郵便番号、マンション名、ふりがなも忘れずに記入
・下部の「連絡先」欄は現住所と異なる場合のみ記入

電話番号

・自宅に固定電話がない場合は、携帯電話のみで問題ない
・日中連絡がつきやすい番号を記入

メールアドレス

・スマートフォンや外部のパソコンでも迅速な確認ができるアドレス推奨
・携帯アドレス(キャリアメール)の場合はパソコンからの受信拒否を解除しておく。
・フリーアドレスなどを取得しておくとよい
(勤務中の場合)会社用アドレスは使用しない


学歴・職歴の書き方サンプル

学歴

・履歴書全体で西暦か元号(平成・昭和など)表記かを統一する
・義務教育は省略し、高校、専門学校などから記入する
(職歴が少ない、最終学歴が高校などの場合は記載してもよい、卒業年度のみでOK)
・大学は学部・学科・コース名などを記入する
・「高校」ではなく「高等学校」など、学校名は略さず正式名称で記入する

職歴

・履歴書全体で西暦か元号(平成・昭和など)表記かを統一する
・時系列で記入し、会社名は正式名称で記入する
・部署や業務異動があった場合、部署または業務を記入する
・最終行に右寄せで「以上」と記入する
・「○年~○年 専業主婦として家事、育児に携わる」などは職歴ではないため記入しない
・職歴が多く書ききれない場合は、ある程度まで職歴を書いたうえで「詳細は職務経歴書記入」としても可


免許・資格欄の書き方サンプル

・履歴書全体で西暦か元号(平成・昭和など)表記かを統一する
・最初に免許を書き、次に資格を記入する
・免許・資格は正式名称で記入する
・習得のために現在勉強中のものも記入してもよい
・資格の名称が取得したときから変わっている場合、取得時の資格名を記入する


健康状態、趣味・特技、志望の動機欄の書き方サンプル

健康状態

・担当者が「通常業務において支障がないか」を確認するために記入する
・「きわめて良好(前職では○年間無欠勤)」などの記載もよい
・業務に支障がなければ健康診断で異常などの数値が出ていても「良好」としてもよいが()で詳細の記入をしておく

趣味・特技

・何が特技や趣味なのかを一言で記入したうえで、簡潔に詳細を盛り込む
・パチンコや競馬などのギャンブルは書かないほうが無難
・「特になし」でも問題はないが、何か書くほうが望ましい

志望動機

・応募する仕事に対する興味や経験・スキルを中心に作成するのが基本
・働きたいという思いや熱意を記載すると好印象を与えやすい
・「自宅から近いから」などの理由であれば「自宅から通いやすいことから、長く働くことができると思っています」など表現に工夫をする

志望動機の書き方はこちら

アピールポイント

・自分の経験、スキル、強みや得意なことが伝わるように作成する
・主婦の経験をベースに作成すると作りやすい(家事、子育て、子どもの学校行事、地域活動などを選んで作成するとよい)

自己PRの書き方はこちら


本人希望欄の書き方サンプル

・シフトや勤務時間、通勤方法などの希望があれば記入する(希望の後ろに()で理由を記載しておくのが望ましい)
・自転車通勤などの希望があれば記入するのも可
・希望がなければ「貴社の規程に従います」と記入するのが基本
・あまりに希望を書きすぎると「主張の強い応募者」と捉えられる可能性もあるため、必須の希望のみにしておくのが望ましい


書き損じなどが発生したときは

・履歴書は正式な書類であるため、書き損じた場合は修正液を使わず書き直すのが正解
・訂正箇所に二重線のうえ訂正印を押すこともOKではあるが、望ましくはない
・消えるボールペンは消えてしまう可能性があるので使わない方が望ましい
・先に薄く鉛筆で下書きをしておくと、誤りが起きにくい
・手書きという指定がなければ、パソコンで作成・印刷するほうが効率はよいのでオススメ


印鑑はシャチハタでもよい?

履歴書は正式書類となるためシャチハタは基本的に不可とされています。パートの場合、特にこだわらない担当者も多く存在しますが、ミドルシニア層の社会マナーなどを考えるとシャチハタ以外の印で押印するのが好ましいと言えるでしょう。


封筒に入れる際の注意点

・都道府県から正確に住所を記入し、(株)などの略字は使わず正式名称を
・「応募書類在中」、または「○○職応募書類在中」と封筒の表面左下に記入する
・自分の住所、氏名を封筒の裏面に記入する
・あて名が部署の場合は「御中」、個人の場合は「様」。併用しない
・書類に折り目がつかないように定形外の封筒を使用する
・書類はクリアファイルに挟み封筒に入れる
・確実に期限内に届くように送付するタイミングにはゆとりを持ち、急ぐ場合は、宅配便や速達で送付する(書留は使用しない)

書類を送るときのマナーこちら

まとめ:正社員はA4・パソコン作成で、パート・アルバイトはB5サイズがベター

正社員を希望した転職活動の場合は、多くの情報量でアピールすることができるA4サイズの使用が望ましいといえます。また書き損じが発生しないよう、そもそもパソコンで作成するのがベター。職務経歴書なども併せて提出する場合、職務経歴書と履歴書の書体を合わせて作成すると読み手側は読みやすく、良い印象につながります。

反面、パート・アルバイトの場合は多くの情報量を必要としないことから、B5サイズのほうが作成しやすさがあります。こちらはパソコンでも手書きでも問題ありませんが、迷った場合は手書きの方がベターかもしれません。

なお、マイナビミドルシニアのお役立ちページでは履歴書の書き方から、書類を作成するときの考え方などをご用意しています。全ての内容がミドルシニア層に向けた内容ですので、こちらを活用いただき、理想の仕事探しにお役立てください。

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