提示された年収額が希望額以下...。そんな時の給与交渉術について

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「応募先企業の仕事内容は魅力的だけど、給与待遇には満足できない…」。転職活動において、給与が希望額に満たないケースは往々にしてありえます。人材紹介サービスではエージェントが交渉してくれますが、個人では切り出すタイミングや交渉の方法などがわからないことも。そんなときの給与交渉術について紹介します。

そもそも、中途社員の給与はどうやって決められている?

一律で決まった給与設定が多い新卒採用とは異なり、中途採用の多くの場合、求人原稿の給与欄は「月給:◯◯万~△△万円」など幅を持った表記となっています。これは、年齢や学歴、職務経験やスキル、前職の給与などによって初任給が異なるためです。

「本当は最低額しか支給されないのでは?」と勘ぐる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。できるだけ給与を抑えたいのは企業側のホンネではありますが、適切な給与・待遇を用意しなければ求めるレベルの人材が採用できないことも理解しています。そのため、自分にその価値があれば金額の上限が支払われる可能性はもちろんあります。

中途社員の給与は、このように決められている!

企業の規模や業界、はたまた外資系やベンチャー企業など企業体質によって異なりますが、基本的な給与検討のベースとなるのは以下の要素が多いです。

自社の給与テーブルをベースに決定
日本企業でもっとも多いのがこのパターン。年齢・職務を基準として給与体系が定められます。
前職の年収額をベースに決定
ベンチャー企業、エンジニア職などで見られるのがこのパターン。その人のスキルとキャリアを見定めたうえで、前職の年収をベースに定められます。

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経験や能力をベースに決定
事業を成長させるための優秀な人材を採用したい企業などが採用するのがこのパターン。また、インセンティブメインの営業職でもこの給与体系が取られることがあります。

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もっとも、上記いずれかの要素のみではなく、それぞれの要素を混ぜ合わせて給与体系は決定されます。「自身が応募した企業はどのパターンなのか」を考えたうえで、給与の交渉を行うか、どれくらいが現実的な落とし所になるかを検討するのが望ましいといえます。

給与交渉のタイミングはいつ?どうやって切り出すの?

給与交渉を切り出すタイミングは、「内定前後の条件調整時」がベスト

給与交渉を切り出すタイミングは非常に重要です。例えば、面接の終わりに「何か質問はありますか」と聞かれるシーンがありますが、そこで給与・待遇に関する質問を出したことで、人事担当者の印象を悪くしてしまったというケースもあります。そのため、仕事内容に関する企業側の説明や自分からの質問が十分に交わされる前に、給与交渉を口に出すのは厳禁です。

望ましいのは、選考の最中ではなく、充分に職務についての理解が交わされ、最終面接を終え、人事担当者と内定前後に入社の条件調整を行うタイミング。そのときこそが給与交渉を行うのにもっとも適したタイミングと言えます。

どのように切り出すのが望ましいか?

給与交渉を成功させた人の多くは、企業側から給与面についての要望を聞かれた際に交渉を始めています。やはり、こちらから切り出すよりも、人事担当者から切り出された際に交渉するのがもっともスムーズといえます。

しかし、企業側からの提示がなければ交渉に入れないこともあるため、リスクを避けつつ問題なく給与交渉をする方法を考えてみましょう。具体的には、一次面接時で志望動機や自己PRをしっかり述べる中で「現在より高い給与へのアップも目指しています」といった言及をしておくことです。

この流れであれば、自分の能力や熱意を表現することの一部として伝えることができますので、待遇面のみに関心があると誤解を受ける心配はありません。また具体的な金額も提示していないので、今すぐの交渉を要求しているとも思われにくい面があります。

この言葉によって、採用担当者は応募者との給与交渉が必須だという心の準備をしてくれる可能性も上がるでしょう。そうなれば今後の選考過程で、採用担当者側から給与交渉について触れてくれることも期待できます。また選考が十分進んだ時期に応募者から切り出したとしても、スムーズに交渉に入ることが可能です。

交渉では、どんな内容を、どの伝えればいいの?

前職の年収を根拠に交渉することは、期待値が低い。

実際に給与交渉を行う際には、どのように自分の希望額を伝えるべきでしょうか。
よく失敗例としてあげられるのは、「前職での実績や給与額を根拠に交渉する」こと。前職と同程度の収入を確保したい心情は理解できますが、企業が支払う給与は従業員の事情に合わせて支払われるものではなく、実際の成果や企業への貢献度に応じて支払われるものです。

一方、「1月には2人目の子どもが生まれるので」などの家庭の事情を理由として持ち出すことは、従業員の都合ではありますが、最低限必要な収入を自然な流れで伝えることが可能です。担当者によっては、一定の納得感は得られるかもしれません。

説得力のある希望額を、自ら提示することが重要

給与交渉において、説得力ある主張を行うには入念な準備が必要です。理想は企業の情報を調べたうえで、客観的な自分の価値を提示すること。なかなか難しいですが、やってみる価値はあります。

方法は、同業他社の募集情報などを調べ、業界の給与相場感を把握すること。そのうえで、自分の経歴やスキルを照らし合わせ、客観的な根拠をベースにしながら「自身の価値」を主張することが、もっとも人事担当者に希望年収を伝えるうえでの重要なポイントです。

希望の伝え方も注意しよう。

さらに給与交渉をする際の態度にも注意が必要です。給与を上げてもらいたいからといって、「お願い」は禁物です。これは、自分の価値に自信がない表れだと捉えられ、評価が下がるおそれがあります。ただ一方で、価格交渉のようにドライに行えばよいわけでもありません。

金額そのものへの執着よりも、人材としての自分の価値への評価にこだわりがあると思われるような説明の仕方をしましょう。そのためには、入社時の年収にこだわるのではなく、入社後の給与UPについて確認をすることも有効です。そして、重要なことはメールでのやり取りはしないこと。文面だけだと誤解を生むおそれがあるため、必ず交渉は口頭で行いましょう。

まとめ:「入社後、長く働けるか」という視点から考えよう

内定することを最優先事項にするのであれば、給与交渉はしないほうがいいかもしれません。しかし、転職活動で最優先するべきなのは、内定を獲得することではなく、「入社後、長く働けるかどうか」です。せっかく入社に至っても、待遇に不満が大きければ再度転職する選択肢が生まれる可能性もあります。

企業側が着目するのは、「この人は当社でどれだけの貢献ができるか」ということです。この部分をしっかりと採用担当者にプレゼンテーションできれば、収入UPの期待値は上がります。転職活動を満足した形で終えるために、事前の準備と少しの勇気を出して、給与交渉を有意義なものとしてください。

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