50代での転職が増えている訳とは?転職に成功している人の特徴も解説

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50代での転職が増えている訳とは?転職に成功している人の特徴も解説

転職市場では一般的に年齢を重ねると成功しづらいと思われます。しかし、今では50代での転職成功事例が後を絶ちません。50代での転職が増えている日本の今に注目していきます。

転職市場では今、50代での転職が増えている

一般的には、年齢を重ねると転職は難しいと考えられることが多いでしょう。そこには、年齢による制約があったり、転職後の年収が減ってしまったりといった要因が大きく関係すると言われています。

しかし、実際のデータをみてみると50代で転職する人は増加傾向にあります。総務省によれば、2024年の就業者数は前年より34万人増の6,781万人となり、1953年以降で最多となっています。さらに、この6年で50代での転職者は4倍に増えているといいますから、50代での転職活動の活発さを窺い知ることができるでしょう。

50代転職者増加の背景には、まずは少子高齢化による若手社員の獲得の困難が挙げられます。企業側も豊富な経験や専門的なスキルを持った50代の転職者に、すぐに会社で活躍して欲しいといった要望が増えており、即戦力としての活躍が期待できる50代への需要が高まっているのです。

50代の人材が積極的に採用されるようになった背景には「2040年問題」があります。「2040年問題」とは、団塊ジュニア世代が2040年ごろに定年退職を迎えることにより、労働力不足が深刻になるとされる問題のことです。

2030年に341万人以上、2040年に1100万人以上の労働供給が不足すると予測されていることから、企業側は今後もますます有益な人材確保に努め、その中でもキャリアや経験を積み重ねてきたミドルシニア層の労働者は、特に重要視されると考えられています。

また、2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保義務に加え、65歳から70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。このことからも人生100年時代を迎えた今、セカンドキャリアを求めるミドルシニア層が増加したことも50代の転職市場が活発化している要因でしょう。

データ元:総務省「労働力調査(令和5年)」

50代での転職が難しいと考えられている理由とは?

このように、50代での転職が増えているのにも関わらず、なぜ一般的には50代での転職が厳しいと考えられているのでしょうか。

職場への適応力

50代の転職者は、現場の責任者になっていたり、すでに自分のやり方を構築したりして働いている方が多いです。そのため、転職後新しい職場や業務へ馴染めるかどうかを心配されています。50代は経験が豊富だからこそ、こだわりが強くなっているのではないかと思われているのです。

また、今の時代は年功序列の企業体系ではなくなっています。若い世代が上司になることもあるため、そういった環境でもパフォーマンスの良い仕事ができるのかという点を厳しくチェックされているのです。

条件ばかり気になってしまう

50歳での転職では、年収や条件でのミスマッチが起こりやすいと言われています。景気の波や企業の体力によって転職先で年収が下がってしまったり、好条件で会社を移れなかったりすることも。

若いときは「今後頑張ればいい」という気力もあるかもしれませんが、ミドルシニアになると気力や体力が衰えてくることから、敢えて条件を悪くして転職をするよりも今の職場に留まろうという守りの姿勢になる方が強くなります。そのため、50歳での転職に踏み切れなくなってしまう方が少なくありません。

50代での転職に成功している人の特徴とは?

では、どういった50代が転職に成功しているのでしょうか。

実績やスキルがある

企業としては、50歳以上の転職者には即戦力を求めることが多いと言えます。そのため、募集されている職種に必要なスキルや経験があることを重視する傾向に。経験やスキルがあれば、比較的転職市場でも有利に進めていくことができます。ただし、近年では未経験分野の業界や職種でも、50代の人材を希望する企業が増えています。

例えば、施工管理といった分野では経験よりも国家資格の保有が重要視されることも。スキルや能力偏重になりすぎる必要はありませんが、転職を考えている場合はその点を意識して資格取得など、できることから始めてみると良いでしょう。

マネジメント経験がある

50代の求職者に対して、マネジメント経験を求める企業は意外と多いです。求人の中にはマネジメント経験必須といった企業もあり、年齢を重ねてきた50代には人を束ねるスキルを求めている傾向が強いでしょう。そのため、将来的に転職を意識する場合には現在の仕事で管理職に手を上げておくとよいでしょう。

人脈がある

特別なスキルもマネジメント経験もないという方は、これまでに築いてきた人間関係が武器になるかもしれません。仕事をする相手はもちろん人です。同じ業界なら知り合いが多いだけでそれが武器になりますし、転職市場では即戦力ともなります。

また、近年多くの企業では自社の社員が紹介することで入社できる「リファラル採用」といった制度を設けているところも多いです。そのため、人脈を築いておくだけで求人に応募せずとも、転職に成功するケースも増えています。スキルや能力を高めるのも大切ですが、50代での転職では人徳が自身を助けてくれるシーンが増えるかもしれません。

柔軟性を持っている

50歳以上の転職を阻む原因の一つに歳を重ねると頑固になってしまうのではないか、といった企業側の心配があります。また、若手社員と上手く関係を築いてくれるのだろうかと50代を採用するリスクを考える企業は少なくありません。そのため、面接では柔軟性をアピールできると採用に近づけるといえます。

なかなか「自分は柔軟性があります!」と証明するのは難しいかもしれませんが、柔軟性があるといえるエピソードトークを一つは用意して面接に臨みましょう。例えば、前職で年下の上司と円滑なコミュニケーションをとっていたことが伝わる具体例を挙げれば、企業側に柔軟性や適応力が伝わるでしょう。

これは何も人間関係だけにいえることではなく、スキルとしてIT知識があるなど、時代に即した資格や分野があれば柔軟な人材であることをアピールできるでしょう。

50代での転職を成功させるためには?

では、50代での転職活動を成功させるためにはどのようなポイントを踏まえておけばよいのでしょうか。

スキルやキャリアの棚卸しをする

50代の転職では、まずは自身のスキルやキャリアの棚卸しから始めましょう。企業は50代の転職者が即戦力になるのか、この人は会社にとってメリットがあるのか、といった点を踏まえて採用に臨んでいます。そのため、棚卸しをすることでより自分を客観的に見つめることができるため、面接対策としても役立ちます。

面接対策は万全に

50代の転職では大量採用の新卒採用とは異なり、一人一人がより細かくみられています。そのため、採用面接では企業理念や仕事内容といった企業側の情報はしっかりと把握してから臨みましょう。50代で答えられずに口ごもってしまっては今後の仕事の対応が心配されます。

若手の時は「頑張ります!」と言えば、人事には元気があっていいなと思われていたかもしれませんが、ミドルシニア世代はそんな勢いだけでは採用には結びつきません。社風などを事前に調べた上で、採用側のニーズに合った強みをアピールすることが重要です。その際に、業界知識や資格などもアピールできるとより良いでしょう。

雇用形態を柔軟に検討する

50代になると、正社員雇用をしていない企業も増えてきます。そのため、非正規雇用など転職先の雇用形態の選択肢を広げることも時には必要でしょう。他にも、業務委託やパートタイマーといった、これまでは視野に入れてこなかった働き方まで希望を広げてみると採用確率が上がります。

さらに、日系企業よりも外資系の企業の方が年齢に関係なく採用を行っている場合もありますから、知らない分野の会社に挑戦してみるのも50代の転職には必要です。

転職エージェントを活用する

自身で転職活動を進めるのもいいですが、早い段階から転職エージェントに頼るのも成功率を上げる一つのやり方です。スキルや経験が求められる50代の転職活動では客観的なフォロー体制が転職への成功の鍵となることも。また、悩んでしまった場合にも、プロのアドバイスをもらうことで頭を整理しながら転職活動を進めていくことができます。

ハローワークを利用する

ハローワークを利用するのも50代の転職では必要となります。ハローワークでは、書類添削や面接対策などを受けることができますし、企業が無料で求人広告を掲載しているため、求人情報の数が多いのも特徴です。ただし、求人をご自身で精査しなくてはいけないので、ミスマッチを防ぐためにも求人情報の確認は怠らないようにしましょう。

期間に余裕をもつ

50代の転職は、給料や待遇が下がってしまうことも。そのため、給料や待遇だけに拘ってしまうと転職活動がスムーズにいかないことも否めません。だからといって泣く泣く条件を飲む必要はありません。低すぎる給料や待遇で転職しても、不満からすぐに仕事を辞めてしまうリスクがあるからです。

待遇や条件に縛られてはいけませんが、妥協をするのも良いとは言えません。50代の転職活動では期間に余裕を持ち、マイペースに活動を進めていきましょう。

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50代での転職で、注意したい点は?

50代の転職活動で注意したい点はどのようなところにあるのでしょうか。

業種に縛られない

50代が転職する場合には、業種を絞って活動するのはおすすめしません。なぜなら現在、IT業やサービス業、建設業といった多くの業種では人不足問題に陥っています。そういった業種では、未経験でも50代の人材を積極採用している場合があるのです。

就職する前から「あの業種は自分には向いていない...」と決めつけず、視野を広げた転職活動をすべきでしょう。また、知らない業種を知るためには求人サイトや転職エージェントを利用してみると、効率よく転職活動が行えます。

転職する理由をネガティブな要因にしない

転職する理由に職場の人間関係や上司との軋轢など、ネガティブなことがあっても面接では言わないように努力しましょう。転職理由がネガティブである場合、採用段階でいい印象を持たれない可能性があります。また、会社の労働条件や人間関係への不満をいう人材だと思われると、面接ではイメージが悪くなってしまいます。

そこで、本当はネガティブな要因が転職理由だとしてもライフステージを変化させたい、キャリアアップに繋げたい、などとあくまでも転職活動を通して人生をより良いものにしたいと発言すべきです。

時間がかかるものと思っておく

50代の転職活動期間は、人にもよりますがおおよそ半年はみてください。一般的に転職活動は3ヵ月から半年程度かかる傾向にあると言われています。50代での転職活動では若手のときよりもじっくりと進めることが肝心です。

採用されるのを焦ってしまった結果、ミスマッチとなってしまったり、妥協したことでせっかく転職できてもすぐに辞めてしまったりするなどのリスクが発生しやすくなります。50代の転職活動は焦らずに時間がかかるものだと最初から思っておきましょう。

無理はしない

50代の転職活動においては、体力が思った以上に必要になります。そのため、無理はせずに自分の健康状態と相談しながらマイペースに行うようにしましょう。不採用が続くとメンタル状態も決して良いとはいえなくなります。そのようなときこそ、友人と食事に出掛けたり、家族へ相談したりするなど、人を頼るようにしましょう。

また、普段から適度な運動など身体を動かすことも大切になります。運動には不思議な作用があり、身体を動かしておくと心の健康も保てるといいます。就職はご縁といいますから、転職活動は無理せず一歩ずつご自身のペースで進めていくとよいでしょう。

まとめ

「50代の転職は難しいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、50代での転職市場は広がりつつあります。有意義なセカンドライフを送るためにも一度の人生、挑戦を恐れずに納得いくキャリアを求めましょう。

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