パート転職! スムーズに辞めるコツ【社労士監修】
- 転職・退職ノウハウ
- 公開日:2018年11月 6日
長年、パートとして勤務していた企業を退職して、次の仕事を探したい。そうは思っても、なかなか上司に言い出しづらかったりします。そこで、今回のテーマはパートの転職! 退職の意思を伝えるタイミングや、スムーズに転職を実現させるコツをお伝えします!
パート、派遣、契約社員、正社員の違いって?
パートとして働いている皆さん。今後、転職を考えているのなら、パートや派遣、契約社員、社員など、雇用形態によってどのような違いがあるかを理解することが大切です。
違いを理解した上で、「長く働きたいから次は社員で」「まだまだ子育てが続くし、引き続きパートがいいな」など、希望する働き方を見つけていきましょう。
【パート・アルバイト】
パートやアルバイトなど正社員より労働時間が短い人は、法律上「短時間労働者」と定義されています。短時間労働者を、パートと呼ぶ企業もあれば、アルバイトと呼ぶ企業もあります。また、「アルバイト=学生」「パート=主婦」といった一般的イメージに合わせて、呼び名を使い分ける企業もあります。つまり、パートもアルバイトも正社員より労働時間が短ければ、同じ短時間労働者であり、法律的な違いはないことを理解しておきましょう。
なお、週の労働時間は社員よりも短いものの、一定の要件を満たせば、社会保険の加入対象となります。
パート・アルバイトのメリット
労働時間を選べるため、ライフスタイルに合った働き方ができます。たとえば、子育てや親の介護などで時間が取られる方、短時間働きたい方に適した雇用形態です。
パート・アルバイトのデメリット
短時間勤務のため、その分、得られる収入がフルタイム勤務に比べて低くなります。企業によっても異なりますが、昇給や賞与、福利厚生などの面で、正社員よりも不利になる場合があります。
【派遣社員】
パートやアルバイトが働く会社と直接、雇用契約を結ぶのに対して、派遣社員は登録した人材派遣会社と雇用契約を結びます。そのため、給料は人材派遣会社から支払われ、福利厚生なども人材派遣会社の制度が適用されます。人材派遣会社に紹介してもらった企業で働くことになりますが、就業に関し困ったことなどがあれば人材派遣会社がサポートしてくれます。
派遣社員のメリット
人材派遣会社に登録することで、自分が希望する条件にマッチした企業を紹介してもらえます。派遣先の企業で困ったことやトラブルが起きた時、人材派遣会社の担当者に相談すれば、本人に代わって交渉をしてくれます。
派遣社員のデメリット
派遣社員の給与は時間給で計算されます。賞与がなく、交通費も本人が負担するケースがほとんどです。派遣社員の時給は比較的高めに設定されていることが多いのですが、年収で換算した場合、社員より低くなることもあります。
【契約社員】
契約社員は、契約時に雇用期間を定めて働く社員のこと。派遣社員が人材派遣会社と雇用契約を結ぶのに対して、契約社員は働き先である企業と直接、契約を結びます。では、契約社員は社員とどう違うのでしょうか。休日休暇や社会保険などは社員と同様に適用されますが、給与や福利厚生、退職金などは、会社によって規定が異なります。多くの場合、福利厚生は社員よりも適用範囲が狭く、退職金も支払われないケースが多いようです。
契約社員のメリット
たとえば、「その会社の就業時間よりも一時間早めに出社し、一時間早めに退社する」など、労働条件や仕事の内容などを会社と交渉して、雇用契約に反映させることができます。働き方に関する融通が効きやすいのは、契約社員のメリットと言えるでしょう。重い責任のある仕事を任されることは少ないので、そのような仕事がしたくないという場合にも、メリットと言えるかもしれません。
契約社員のデメリット
契約期間終了時、たとえ本人が継続して働くことを希望していたとも、会社が契約更新の意思がない場合は、契約を更新することはできません。ただし、契約期間が通算5年を超えた場合は、希望を出せば無期契約に転換することができます。
【正社員】
正社員も契約社員と同様に、働き先である企業と直接、雇用契約を結びます。ただし、雇用期間の定めがある契約社員に対して、社員は無期雇用であり、契約期間に関する定めがありません。また、会社が定める労働時間を働き、会社が規定する各種手当や制度が受けられます。地域限定職などを除き、転勤や異動もあります。
正社員のメリット
正社員は、定年まで働くことを前提とした働き方なので、長く働きたい方に向いた雇用形態です。転勤や異動も、視点を変えれば、「さまざまな仕事を経験できる」というメリットとなります。また、昇給・昇格があり、契約社員やパート・アルバイトに比べて長い目で見ると給料が上がりやすいという点もメリットと言えるでしょう。
正社員のデメリット
短時間勤務のパート・アルバイトに比べて、社員はフルタイムで勤務します。数か月や1年といった長期にわたる休暇が取れる会社はほとんどなく、勤務時間や休日休暇は会社の就業規則を守らなければなりません。異動や転勤もありますし、契約社員やパート・アルバイトよりも任される仕事の範囲が広く、責任も重い場合が多いようです。
パートの転職。迷惑のかからない時期とタイミングは?
パート、派遣、契約社員、正社員の違いについて理解したら、スムーズに転職するためのプロセスについて学びましょう。雇用先や職場の仲間に迷惑をかけず、望む企業に転職するにはポイントがあります。それぞれ詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
雇用契約に書かれている契約期間を確認する
まずは、入社時に交わした雇用契約書を読んで、無期の雇用契約か有機の雇用契約か確認しましょう。パート勤務の場合、「有期契約」を結んでいることが多いと思います。この場合、原則として、契約期間が終了するまで働くことが義務となります。
雇用期間に関する記載がない「無期契約」の場合は、好きなタイミングで退職の申し出ができます。有期契約であっても、働き始めて1年が経てば、退職の申し出ができます。
働き始めて1年未満の場合、退職の申し出をしても会社が応じなければ、退職自体が契約違反となってしまうことを理解しておきましょう。もちろん、「病気により、業務が難しくなった」「通勤が困難な場所に家を買った」など、やむを得ない理由がある場合は、この限りではありません。
就業規則に従い、最低でも1か月前には退職の意志を伝える
次に、退職の意思を申し出る時期について。いつ上司に相談すればよいのか、悩む人が多いことと思います。民法627条1項で「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。」としています。
しかし、会社の就業規則を読むと、「1か月前」「2か月前」など、退職の意思を伝える時期を2週間よりも前に定めているケースがあります。この場合は、会社の就業規則に従って動くことをオススメします。就業規則に書かれている時期は、会社が引き継ぎなどの期間も考慮して「適している」と判断したもの。これまで一緒に働いてきた仲間や上司に迷惑をかけないようにするためにも、就業規則に書かれている時期を守りましょう。
年度末や年初めの時期をさける
たとえば店舗に勤務している場合、年末年始は稼ぎ時で、めまぐるしいほど忙しくなることが多いと思います。そんな忙しい時期に「辞めます」と伝えたら、上司はどのように思うでしょうか。「辞めたい意思は尊重したいけれど、人が足りないし、どうしよう!」と混乱してしまうかもしれません。
つまり、会社の状況を見つつ、辞め時を見計らうのも大切。「うちの部署はこの時期が忙しいから、一段落付いたこのあたりにしよう」など、退職を申し出るタイミングを考えてみましょう。
まとめ:パートから正社員へスムーズに転職するコツ
次に、転職活動を行う時期やコツについて説明します。
働いている時から転職活動を行う
転職活動を行う時期は、思い立ったが吉日です。「パートを辞めてから、次の仕事を探せばいいや」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、いつ、良い求人に出逢えるかわかりません。
それに、退職してからパートの求人を探す場合、焦ってしまって「希望する条件でないところに妥協して入社してしまう」なんてこともあるかもしれません。そして、合わない会社が故に、新しく探した仕事も結局、短期で辞めることになってしまい、転職を繰り返すという負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません――。
加えて、退職前は「頑張って次の仕事探すぞ!」と意欲満々だったのに、退職後、「このまま、専業主婦でいいや~」と仕事探しを怠ってしまうおそれもあります。そうならないためにも早めの行動を心がけて、今のうちから求人をチェックしておきましょう。
転職を繰り返すと、不利になる可能性も
もしも皆さんが採用担当者で、新しいパートを雇うことになったとします。転職を繰り返している人と、そうでない人。どちらを採用したいと思いますか? あまり転職が多いと、「何か理由があるのかな?」と思われることも多くあります。
求人情報をよく読んで、どのような会社なのか、どのような仕事なのかを理解して、自分に合った企業であるかを見極めましょう。この見極めが甘いと、場合によっては転職を繰り返すこととなってしまいます。新しい会社で働く時は不安がつきものですが、「失敗した」と後悔しないためにも、転職活動は慎重に行うようにしましょう。
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