職人の求人に変化の兆し!未経験女性に求められるスキル・役割

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匠の技を駆使して生み出される伝統工芸品に魅せられ、職人の道を志す人は現代においても多く存在します。近年では女性職人の活躍も目立っており、国内外の注目を集めるところです。伝統工芸の世界を取り巻く課題と将来性、求人に応募する際の心構えを見てみましょう。

女性の感性が求められる伝統工芸の世界

ふるさと納税、移住支援といった地方都市への関心が高まる中、伝統工芸技術を活かした町おこしを進める例もあります。この取組みの中で新しい感性、スキルを兼ね備えた人材が求められるようになったことで、職人の求人動向にも変化の兆しが見られるようです。

「昔ながらの職人」と言えば力仕事のイメージが強くて、男性中心の世界と考える方も多いかもしれません。大工や刀鍛冶だけを職人とすればその通りですが、伝統工芸に関係する仕事まで含めると、イメージは変わってきます。女性らしい感性が豊かな文化を創造し、地方都市の活性化を推進していく事業も存在しています。

現在、伝統工芸士を有する女性の数は614人(全国)。中には、コンピューターのプログラマーから専門学校を経て、木工職人へ弟子入りした後、42歳で独立したケースもあるようです。

2016年には経済産業省や各種団体が連携して「女性職人シンポジウム」を開催、伝統工芸士は女性が活躍できる職種の一つであることを提言しました。オンラインの取引機会が増えていることも、多様な働き方を実現する要素になって、女性を後押しする要素と考えられます。国内外で伝統工芸への関心が集まりつつあることも、これから職人を目指す女性を支える要素でしょう。海外の有識者を招聘する、他言語に翻訳されたストーリーブックを作成するなど政府事業の支援も追い風として、これまで以上の活躍が期待されます。

伝統工芸品産業復興に向けた取組みと課題

伝統工芸職人を目指すとしたら、大まかな業界の動向と流れを理解しておく必要があります。伝統工芸は、後継者不足とビジネスモデルの行き詰まりという2つの問題を抱えてきました。

後継者不足の課題について

後継者不足については、職人を育てていくことによって、ある程度は解決できます。身内だけでは足りない人材を外部から補充していくイメージです。どんな層を対象に求人をかけるかですが、ビジネスモデルの限界と向き合い、積極的な情報発信やブランディング、国内外をターゲットにした販路拡大に貢献できる人材が理想でしょう。新しく入ってくる人材に、業界の未来がかかっています。

ビジネスモデルの課題について

昭和までは大量生産・消費が当たり前の時代でしたから、地域ごとに独自の販売ルートを維持、問屋を通して受注・商品生産を繰り返すだけでも一定の利益が生まれました。しかし、ネットを通じてどんなものでも購入できる現代においては、消費者の意識が変化しており、同じやり方を続けるだけでは限界があります。消費者に寄り添った商品開発や個別の販売ルートを開拓することで、伝統工芸品の世界にも一般的なビジネス同様の視点を取り込み、持続可能な仕組みを構築していくことが推奨されています。

柔軟な発想から生まれる職人技を応用した商品の数々

すでに始まっている取組みとして、一般企業とのコラボ商品開発に乗り出す事例があげられます。時代が求める形に職人技を応用、販路を拡大していくねらいです。具体的な開発商品の例をいくつか見ておきましょう。

・南部鉄器技術を応用した炊飯器

炊飯器の内側に南部鉄器を使うことで、かまど炊きの味を自宅で楽しめるように開発された商品です。大手家電メーカーと伝統工芸がタッグを組み、一般消費者に販路を拡大しています。手軽さを維持しながら、おいしいご飯が食べたい消費者の需要を汲み取った開発例と言えるでしょう。

・竹工芸のデザインを活かした間接照明

京都の伝統工芸職人、大手電機メーカーが協力し、木の温かみを感じる間接照明を開発しました。竹細工の編み目技術を活用することによって、隙間からこぼれる繊細な光を表現、モダンな空間にもマッチするように作っています。もともとは、京都の伝統工芸を背負っていく6人の若旦那がクリエイティブユニットを作ったことをきっかけとしたプロジェクトの一貫です。日本の魅力を世界に向けて発信しようと、和の雰囲気を残したまま外国の方にも受け入れられる商品作りに取り組んでいます。


一般企業と協力するだけでなく、インターネットを活用しつつ、独自の販売ルートを確保する動きもあります。眼鏡商社が開発・自社販売しているアクセサリー、津軽塗の老舗が売り出しているスマホカバーなどが良い例です。直接消費者へと販売することで利益が高まるうえ、離れた地域の方へもアプローチできます。伝統工芸品をきっかけに生産地域への関心が高まることで、観光客の増加など副次的なメリットも出てくるはずです。

職人技×ビジネススキルで産業を盛り上げよう

女性職人を未経験から目指す場合に期待される役割は、大きく分けて2つあります。

まずは、後継者不足に悩む産業に入り、職人技を受け継ぐことです。伝統工芸の世界といっても、求人需要が高い分野とそうでない分野はあります。担い手が不足していることを明示していて「未経験歓迎」を掲げている求人から優先的に検討するなど、可能性を高める工夫をしましょう。

もう1つは、これまでのビジネス経験を活かしつつ、産業を引っ張っていく役割です。ものづくりの世界で生きてきた職人さんにとって、営業活動やマーケティング、商品企画などはなじみが薄い分野です。

一般企業のノウハウを持つ人材を受け入れることにより、新しいビジネスモデルの構築がスムーズに進みます。海外へ販路を広げることまで考えた求人だったら、ビジネスレベルの語学力や外資系企業で培った経験なども評価される要素です。

まとめ

職人の求人に応募するからには「私だったら、こんなところで貢献できる」といった自分自身の売り込みが必要です。経験・スキルの棚卸しをきちんと行い、面接や書類でアピールできるように準備しましょう。

転職活動を始める前に、同じ年代の女性職人さんが産み出した作品に触れることでも、業界に対する思い入れが深まります。時間の余裕があれば、実際に産地へと足を運んでみるのもおすすめです。

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