50代男性に関する調査。仕事の探し方と、求人を見つけた後の行動について

  • 自分の相場を知る

ミドルシニアの転職市場が活発化している現代ですが、同じ年代の仕事探しの進め方や重視する条件について知る機会は限られているものです。不安を抱えて身動きがとれずにいる方のために、50代男性の求職活動の現状や考え方について考察します。

50代の男性に対して行った求職に関する調査結果

マイナビミドルシニアでは、転職活動を行っている、もしくは情報収集や将来的な転職を検討している50代の男性に向けて、アンケート調査を行いました。その結果を読み解くと、求人情報の探し方の傾向が見えてきます。正社員として勤務している層(以下正社員層)と、非正社員・無職の層(以下非正社員・無職層)に分類して比較すると、考え方の違いも明白です。それぞれの層に見られる特徴と考え方を大まかにまとめていきます。

<調査概要>
【調査対象】 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に在住で、「現在転職・就職活動中」「転職・就職についての情報収集をしている(具体的な活動はしていない)」「情報収集も具体的な活動もしていないが、将来的に転職・就職を検討している」と回答した50代の男性
【回答者数】 226人
【調査方法】 インターネット調査(調査会社の登録モニター活用)
【調査期間】 2017年5月10日(水)~5月17日(水)

求人情報を探す際、どのような行動を行いますか

正社員層 非正社員・無職層
n 112 114
求人情報サイトで探す 61.6% 74.6%
ハローワークに登録する 40.2% 50.9%
就職/転職エージェントに登録する 38.4% 34.2%
個人的な紹介を受ける 27.7% 20.2%
新聞の求人広告に目を通す 24.1% 21.1%
求人誌・フリーペーパーに目を通す 23.2% 36.0%
Googleで検索を行う 21.4% 17.5%
タウン情報誌や折込チラシに目を通す 18.8% 31.6%

いずれの層においても、「求人情報サイト」が主な情報収集手段として活用されているようです。他の手段を大きく引き離す結果となっていることからも、「求人情報サイト」は、50代男性にとって進めやすいスタイルであることが読み取れます。

次いで回答が集まったのは「ハローワーク」への登録ですが、非正社員・無職層に選択されやすい傾向があるようです。正社員層では「就職/転職エージェント」への登録と微差で2位になっていますが、活用度合いは同程度のようです。

■正社員層の特徴

「就職/転職エージェントへの登録」が38.4%と高水準で、経験やスキルを活かして高水準の待遇を求める転職を希望していることが読み取れます。「個人的な紹介」も踏まえたうえで、より良い条件で自分を評価してくれる会社を探したいという意向はやはり強めです。これまで経験を積んだ50代だからこそ、しっかりとリサーチを行ったうえで、自身の市場価値を確認し、納得した転職活動を行おうとする考えを示す結果となりました。

■非正社員・無職層の特徴

幅広い情報収集経路から、求職活動を行っている様子がわかります。「求人情報誌・フリーペーパー」に目を通す割合は36.0%、「タウン情報誌や折込チラシ」に目を通す割合は31.6%と、正社員層を上回る水準になりました。約半数が「ハローワークに登録する」と回答した背景には、失業給付を受けながら求人探しを進めている状況があると考えられます。

業界経験者優遇の求人・転職情報

興味のある求人を見つけたら、どんな行動を取っている?

興味のある求人を見つけたら、どんな行動を取りますか

正社員層 非正社員・無職層
n 69 85
会社のHPを閲覧する 50.7% 58.8%
お気に入り・検討リストに保存しておく 37.7% 47.1%
まず、求人サイトの会員登録を行う 33.3% 20.0%
すぐに応募を行う 23.2% 27.1%
他媒体で同じ求人が出ているかを確認する 21.7% 25.9%
家族や知り合いに相談する 8.7% 5.9%
結局応募しない 8.7% 1.2%
(店舗などの場合)求人先に見学にいく 7.1% 11.6%

いずれの層も「会社のHPを閲覧する」がトップとなり、関心を持った企業の情報を収集し、見極めたいとする意向が表れています。次いで回答を集めた「お気に入り・検討リストに保存」からも、慎重に転職活動を進めたいという思いが読み取れます。登録している求人情報サイトの便利な機能を駆使して、効率的に情報収集していく姿勢が見られました。

■正社員層の特徴

気になる求人をストックするために「求人サイトの会員登録を行う」方が目立ちました。「すぐに応募を行う」わけではないものの、タイミングが来たらすぐに行動に移せるよう準備している姿勢がうかがえます。ミドルシニアの転職市場が活発化しつつあるとも言われる中、安易な判断は避けようとする気持ちの反映とも言えるでしょう。

■非正社員・無職層の特徴

正社員層同様、「お気に入り・検討リストに保存しておく」と回答した方が多く見られますが、そのうえで「会社のHPを閲覧する」という行動を起こすところに特徴があります。「すぐに応募を行う」にも一定の回答が集まっていて、積極的に仕事探しを進めようとする意思が強いようです。情報収集の一貫として「他媒体で同じ求人が出ているかを確認する」方も目立ちます。

転職・仕事探しを行うにあたって重視する項目は?

転職活動・または仕事探しを行うにあたって重視する項目をそれぞれ教えてください

次に、仕事探しを行ううえで重視する項目を比較します。収入に関する考え方の違い、仕事観、こだわるポイントを見ていくことで、転職先に求めるものを考えてみましょう。

【収入軸】

正社員層 非正社員・無職層
n 112 114
今よりも高い収入を求める 44.6% 26.3%
今の収入を維持する 31.2% 25.4%
金額にこだわらず、一定の収入を得る 29.5% 50.9%

正社員層では「今よりも高い収入を求める」とする声が目立ち、44.6%の回答比率となりました。次いで多い答えに「今の収入を維持する」が入っていることから、現状維持を最低ラインと考えていることが読み取れます。

非正社員・無職層では「金額にこだわらず、一定の収入を得る」ことを最低ラインと考える傾向があり、仕事を見つけることを優先したい意向が反映されているようです。50代の転職は、スムーズに進む人・そうでない人がくっきり分かれるとも言われています。仕事探しが長引いている無職層の中には「収入は二の次」と割り切る方も多いのかもしれません。

【仕事観】

正社員層 非正社員・無職層
経験・スキルを活かせる仕事に就く 42.0% 41.2%
興味がある・やりたい仕事に就く 54.5% 63.2%
長く働ける仕事に就く 36.6% 50.9%

正社員層では「興味がある・やりたい仕事に就く」という声が目立ち、新しい環境で再度チャレンジしたい気持ちが強いようです。50代の転職は、定年退職を迎えるまでに残された最後のチャンスと考える方も多いことが理由でしょう。

非正社員・無職層でも「興味がある・やりたい仕事に就く」に回答が集まる傾向は見られます。一方で、「長く働ける仕事に就く」と安定性を重視する声も目立ちました。非正社員層では「現状を変えたい」という思いから、安定した職を求める人も多いのだと考えられます。

【通勤利便性】

正社員層 非正社員・無職層
家から近い職場で働く(最寄り駅など) 26.8% 49.1%
駅から近い職場で働く(どの駅からかはこだわらない) 7.1% 23.7%
家から近すぎない職場で働く(家の最寄駅ではない) 5.4% 3.5%

「家から近い職場で働く」ことを求める方の比率は、正社員層が26.8%、非正社員・無職層が49.1%となりました。通勤時間が短いほど、自分のために使える時間は長くなります。非正社員・無職層のほうがよりプライベートを重視する傾向があり、通勤の利便性を求める声につながったようです。

【こだわるポイント】

正社員層 非正社員・無職層
シフト・勤務時間にこだわる 10.7% 32.5%
仕事内容ややりがいにこだわる 43.8% 43.0%
給与にこだわる 29.5% 23.7%
研修制度が整っている職場にこだわる 4.5% 6.1%

いずれの層においても「仕事内容ややりがいにこだわる」とする声が目立ちます。正社員層では「給与にこだわる」が次点に来ていて、仕事内容と給与をどちらも重視したい気持ちがあるようです。非正社員・無職層では「シフト・勤務時間にこだわる」に一定の回答が集まっていて、自分なりのライフスタイルを重視する意向が読み取れます。

シフト制の求人・転職情報

求職活動において心配なことは?

仕事を探すうえで心配なことはなんですか

正社員層 非正社員・無職層
n 112 114
自分の年齢が募集対象か 75.0% 80.7%
自分の経験・スキルが活かせそうか 74.1% 65.8%
自宅からの通勤時間 58.0% 64.9%
希望する収入を稼ぐことができるか 52.7% 37.7%
労働条件・制度に偽りはないか 37.5% 50.9%
自分の体力で問題なく働けそうか 32.1% 54.4%
交通費が支給されるか 30.4% 38.6%
就業先の経営状況に不安はないか 29.5% 20.2%
ノルマがあるなど心理的負荷が高そうな仕事か 26.8% 42.1%
長く勤務することができそうか 22.3% 35.1%
希望する勤務体系・シフトを確保することができそうか 19.6% 30.7%
同僚と馴染めそうか 19.6% 18.4%
家族の病気など突発的に発生する状況での休みが取れそうか 18.8% 26.3%
残業はどの程度発生するのか 17.9% 36.8%
家庭と両立できそうか 13.4% 8.8%
自分と同年代の人がどれくらい働いているか 12.5% 19.3%

50代にとっては「自分の年齢が募集対象か」が最大の心配事であり、そもそも受け入れてくれる先があるのかを不安に感じる方も多いようです。「自分の経験・スキルが活かせそうか」にも一定の回答が集まっていて、正社員層でより顕著な傾向があります。

■正社員層の特徴

「希望する収入を稼ぐことができるか」の回答率が52.7%で、仕事探しにあたって明確な収入目標を決めてかかる方は多く存在しています。また、非正社員・無職層ほど顕著な傾向ではないものの「自宅からの通勤時間」を心配する声もあります。50代を超えてからの転職では、身体に負担をかける職場を避けたい気持ちの表れでしょう。

■非正社員・無職層の特徴

「自分の体力で問題なく働けそうか」の回答率が54.4%とされていて、50代になってブランクができると再就職に気後れする状況も出てくるものと考えられます。体調の兼ね合いで非正社員として働く方もいるはずですから、体力水準に見合った仕事を探す方も多いようです。

体力面だけではなく「ノルマがあるなど心理的負荷が高そうな仕事か」といったプレッシャーも関心ごととされています。一定の条件のもとで転職先を検討している方にとっては「労働条件・制度に偽りはないか」が大きなポイントになりやすく、仕事探しを慎重に進める姿勢につながる要素でしょう。

50代男性の転職はねらう業界と職種のターゲット設定が重要

仕事スキルは十分、マネジメント経験も積んでいる、でも仕事探しが順調に進まない......。こうしたケースでは、狙うべき業界や職種とのミスマッチも考えられます。これまでの経歴を今一度見直して、強みをはっきりさせたうえで「ここぞ」という業界・職種に応募する姿勢が重要でしょう。

20代後半や30代前半の若手ならまだしも、求める人物像からかけ離れた50代をあえて採用する企業は少ないものです。自分の強みがわからないままにあらゆる方向にボールを投げたところで、受け取る相手が見つからなければ疲弊する一方です。自分に向かってミットを構えている企業に向かって取りやすいボールを投げることにより、マッチング度合いは高まります。

狙う業界や職種が明白になれば、経験やスキルとのマッチングに対する不安は解消されて、自信を持って仕事探しができるはずです。相手が求めるスキルを兼ね備えている状態であれば、条件交渉もスムーズに進みます。自分を高く評価してくれる会社と出会って幸せな転職をするためにも、改めて自分のキャリアの棚卸しをしてみましょう。

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