窓際族って、、まさか俺のこと? そうならないための対処法
- キャリアを考える
- 公開日:2018年1月15日
毎日出社はしているけれど、特に仕事をするわけでもなく、会社でダラダラ過ごしている。それが「窓際族」。かつては他人事と思っていたのに、ミドルシニア世代にさしかかって、「私もそう思われている?」と危機感を覚えている人もいることでしょう。そんな窓際族予備軍の皆さんに、窓際族から脱却して再びキラキラ輝くための方法を紹介します!
出世コースから外れ、閑職に追いやられてしまった窓際族
窓際族とは?
社内を見渡してみると、たまに見かけるやる気に欠けた人達。出社早々にネットサーフィンを始めたり、数時間かけて隅から隅まで新聞を読んでいたり。何かしているように見えて、実は生産的なことは何一つしていない。そんな人達を「窓際族」と呼ぶようになったのは、いつからでしょうか。
窓際族という言葉が生まれたのは、高度経済成長期が終わりを告げた1970年代後半だと言われています。
年平均10%の経済成長を続けていた高度経済成長期に日本企業を支えていたのは他ならぬ、企業で働く人々でした。技術革新に挑んだり、生産効率の向上を実現したり、得意の英語を活用して海外企業と取引したり――。その活躍は華々しく、意欲的に働く会社員が多数存在したからこそ、日本社会は豊かになったと言っても過言ではないでしょう。
しかし、やる気に満ち、ひたすら前進し続ける人達がいる一方で、出世コースから外れてしまった中高年も少なからず存在していました。中には仕事の意欲を失い、何をするでもなく、ただひたすら時間を潰している人もいました。そんな人々を、「窓際族」と呼ぶようになったのです。
窓際族の「窓際」は、「出世コースから外れて、窓際に追いやられた」という意味から来ています。改めて窓際族の定義を知って、「もしかして俺、窓際族なの?」とゾッとし、「いやいや自分は違う」と慌ててその気持ちを否定した人もいるかもしれません。しかし、窓際族はどこにでも存在します。民間企業の社員も、自治体に勤務する公務員だって、窓際に追いやられてしまう可能性があるのです。
ドラマや映画、漫画にも登場する窓際族
窓際族の誕生から50年。その間、窓際族はドラマや映画、漫画などでも取り上げられ、社会に浸透していきました。その中から、いくつか作品をご紹介します。
「特命係長 只野仁」
早退・遅刻・欠勤を繰り返す窓際族の只野仁が、裏で会長の特命を受け、社内のトラブルを解決する物語。週刊誌に連載されていた漫画が原作です。後にドラマ化・映画化され、さらにはパチンコ・パチスロにも登場するなど、人気を博しました。
「税務調査官・窓際太郎の事件簿」
主人公は元エリート税務官の窓際太郎。左遷先の税務署で、かつての上司から依頼された事件を解決していきます。1998年に2時間ドラマとして放映されて以来、今なお続く人気ドラマです。
「いぬやしき」
会社からも家族からも疎まれている冴えない主人公が、「機械の身体」を手に入れ大活躍! 漫画が原作で、2017年にアニメドラマ化、18年には実写版が劇場公開されました。
「挑戦者たち プロジェクトX『窓際族が世界規格を作った~VHS・執念の逆転劇』」
最後にご紹介するのはノンフィクションです。窓際に追いやられた技術者達が極秘の開発プロジェクトに挑み、後に国際規格となるVHSを開発します。プロジェクトを率いた高野鎮雄氏の活躍は、ノンフィクション「陽はまた昇る 映像メディアの世紀」で取り上げられ、映画化もされています。
窓際族になったかも?と感じる兆候3選
当然ながら、「今日から君、窓際族」と会社から明確に言われるわけではありませんから、ご自身の立ち位置や周囲との関係性を見極めて、何らかの対策をしていく必要があります。窓際族を疑いたいサインとして、以下3つの内容を理解しましょう。
明らかに業務量が少ない
まず、周囲と比較して明らかに業務量が少ないことです。自分から「お手伝いしましょうか」と持ちかけても任される仕事は少なく、時間を持て余してしまいます。珍しく声を掛けられたと思っても誰でもこなせる単純作業が中心で、すぐに終わってしまうこともしばしばでしょう。
繁忙期になっても待遇が変わらなければ周囲が残業に追われている中で孤立すると、文字通りに「窓際」に追いやられたような印象を持つはずです。
同僚や上司から話しかけられる機会が減る
次に、同僚や上司から話しかけられる機会が減ることがあげられます。どうしても必要な場面では声がかかるものの、腫れ物を扱うかのようによそよそしい態度をされてしまうことも。要件のみを伝えたらそそくさと逃げ出すようにその場を離れる同僚・上司に、違和感を覚えることでしょう。
会議に呼ばれる頻度が減り、仕事の相談を受けなくなると、自分自身がいてもいなくても変わらない人材のように感じるはずです。状況を放置すればますます事態は悪化して、どんどん窓際へと追いやられます。
ネガティブな部署への異動
3つ目は、単純作業を担当している部署やリストラを促す施設への異動です。「キャリア開発室」「能力開発センター」など漠然とした名称の空間に対象者を集めて、自主退職を促すケースもあります。同じ部署の同僚とも会話をすることが許されず、ただ黙々と今後のキャリアについて考え直す時間を与えられる日々が続けば、少なからずストレスを抱えて、自ら会社を去る決断をする人も出てくるでしょう。
前向きな転職に踏み切れたらまだしも、時間と精神力の浪費を続けていると、明るい未来は開けません。
最近は、辞めてほしい社員を「追い出し部屋」と呼ばれる部署や施設に押し込み、退社を促す会社もあるようです。追い出し部屋に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
こちらの記事も参考になります。
窓際族を「勝ち組」「閑職エリート」と評価する若者達も?
やる気もなく、たいして仕事をするでもなく、たとえ「給料ドロボー」と後ろ指を指されても会社に居続け、給料を受け取る窓際族。年功序列の会社の場合、毎年の昇給により「働かないのに高給取り」という図式ができあがるため、会社は大きな負担を感じていることでしょう。
しかし、若い世代はまた違った視点で窓際族を見ているようです。
半ばからかいの気持ちで、半ばうらやましさから、窓際族を「勝ち組」「現代の貴族」などと呼ぶ若者もいるからです。中には、窓際族を「閑職エリート」と捉えて、半ば本気で窓際族をめざす若者もいるようです。
たしかに、成果を出さなくても給料をもらえるのですから、「うらやましい」と感じる人もいるでしょう。けれど、本当に窓際族はうらやましい存在なのでしょうか。窓際族であり続けることが本当に「勝ち組」となるのでしょうか。
人はどうやって窓際族になっていくの? 代表的な2つのタイプ
新卒で入社した社員も、転職してきた社員も、最初から窓際族だったわけではありません。では、人はどうやって窓際族になっていくのでしょうか。
Type① 会社に失望してモチベダウン~後天的窓際族
前向きに仕事に取り組んできた社員が、会社に失望してモチベーションを失い、窓際へと進んでいったケースです。
「新しい事業のアイデアを提案しても、会社は一切聞いてくれない。業務改善案を上司に話したら、『時間がないから』と後回し。『会社のために』と一生懸命働いても、自分の意見は通らない。どんなに頑張ってもムダじゃないか――」
このタイプは、決して窓際族になりたかったわけではなく、むしろ希望を持って働いていました。しかし社内での経験を通じて「どうせ自分が動いても変わらない」「どうせ上が決めるんだし」という心境に。そうして自発的な活動はせずに、言われたことだけを最低限こなす働き方にシフトした結果、会社の評価も下がり、結果的に窓際に追いやられてしまうケースがこちらです。
Type② 嫌なことから逃げて楽したい~先天的窓際族
性格が受け身で、「できれば嫌なことは避けていきたい」と考えるタイプです。
「矢面に立って苦労するくらいなら、目立たずひっそりと仕事をしていたい。万が一、仕事を頑張って出世なんかしたら目立っちゃうし、誰かが自分を蹴落とそうとするかもしれない。それなら、子会社に出向したほうがいいような気がする」
このタイプは、嫌なことや苦手なことから逃げているうちに、自ら窓際族候補となってしまいます。窓際に追いやられても「仕方ないか」と受け止め、むしろ窓際にいる自分を楽しんでいる気配すらあります。
また必要とされる存在になるため、今の自分にできること
このまま、窓際に居続けるの?
気付かないふりをしていたけれど、自分も窓際族だよね――。そんな風に思った皆さん。このまま、窓際に居続けたいと思いますか?世の中には、いろいろな価値観があります。窓際族を肯定する意見だってあるでしょう。定年退職までの年月を数えて、窓際族を甘んじて受け入れる人だっているでしょう。
しかし、窓際族の立場を甘んじて受け入れられない人もいるのでは。「同期はあんなに活躍しているのに」「俺だってやればできるのに」とモヤモヤした気持ちを抱えたまま働き続けても、しんどくなるばかりでしょう。さらに、最近は年功序列を廃し、実力主義を打ち出す企業も増えています。そのような会社の場合、窓際族で居続けることは、「いつか自分もリストラに遭うかもしれない」という不安を抱えながら働くことに繋がります。
「自分は窓際族」だと自覚のある皆さん。思い切ってその環境から脱却し、かつての生き生きしていた自分を取り戻してみませんか?
ポイント① 仕事で成果を上げる
窓際族から脱却する方法は、特別なことではありません。まずは、日々の仕事に誠実に向き合うことから始めてみましょう。
「いやいや、だって閑職だよ。たいした仕事もないし、適当でいいでしょう」なんて、思わないでください。「ミスなく確実に仕事をしよう」「期日はあるけど、前倒しで進めよう」と、誠実に仕事へ取り組んでいくことで、小さな信頼を積み重ねていくことができます。そして、信頼を積み重ねていくことで、会社はあなたを「なくてはならない存在」として改めて認識するようになるでしょう。さらに、期待されている以上の成果をあげることができれば、新たな仕事を任せられるチャンスがあるかもしれません。
ポイント② 人間関係を大切にする
どんなにスキルが高くても、社内に敵を作ったことで窓際族に、というケースもあります。「周囲は敵ばかり」と背中を向けるのではなく、上司や同僚との人間関係を大切にしていきましょう。いろいろな立場の社員が働く会社では、「相手を思いやる気持ち」が潤滑油となります。コミュニケーションの機会を増やしていくことで、さまざまな価値観を受け入れるスキルが磨かれますし、どんな部署に行っても邪険にされない人材として認識されるでしょう。
何よりも、人間関係を大切にしていけば、誠実に仕事へ向き合うあなたの努力に気付く人も出てくるでしょう。一歩ずつ進もうとするあなたに、手を差し伸べる人が現れることを信じてください。
ポイント③ 自分を信じて、変えていく
周囲に期待するだけでは、窓際族からの脱却は難しいもの。周りが変わることを期待するよりも、自分を変えていく方が建設的です。「後ろ向き」から「前向き」にギアチェンジして、自分を変えていく努力をしてみましょう。みなさんが持っている力を信じてください。
モチベーションを取り戻すコツとは?
窓際族から脱却するポイントは理解できても、一度にたくさん頑張るのは大変ですよね。何によりも、失ってしまったモチベーションを取り戻すのは、そう簡単なことではありません。そこで、身の回りを少し改善することで、モチベーションの回復につながるコツをご紹介します。
コツ① 小さな目標をコツコツと
最初から大きな目標を掲げると、なかなか達成できないうちにモチベーションが下がってしまうもの。そのため、どんな仕事も小さなことからコツコツと、がポイントです。
目標は小さくても、進むたびに得られる達成感が蓄積され、かつてのモチベーションを実感できることでしょう。
コツ② 前向きな人のそばに行く
不平や不満をこぼす相手とともに過ごしていると、気がつけば自分も不満をこぼしているもの。そんな自分に危険を感じたならば、モチベーションが高い人と積極的に関わるなどしてみましょう。「そういう人と一緒にいると疲れる」という気持ちがあるかもしれませんが、会話が前向きな相手と話していれば、自然と「自分もやらなきゃ」という気持ちになるものです。
コツ③ 生活を見直す
食生活が乱れたり、睡眠不足や運動不足が続くと、心が沈んでしまいがち。「給料も安いし、転職した方がいいのかな」と、どんどん落ち込んでしまう危険性があります。健康な生活を心がけるだけでも、モチベーションを維持することができます。
窓際族認定=逆転のチャンスと切り替えよう
最後に、窓際族を逆転のチャンスに変えていくため方法を紹介します。
社外の講習や異業種交流会に参加する
毎日、定時に帰っているのなら、その環境を活用してはいかがでしょうか。セミナーや勉強会に参加してスキルアップや資格取得をめざしたり、異業種交流会に参加して新しい人脈を作ったり――。仕事の拘束時間が少ないタイミングこそ、集中的に専門知識を身につけるチャンスです。
新しいキャリアに挑戦する
思い切って、新しいキャリアに挑戦するのも一つの手です。まずは、社内の退職規程に目を通してみましょう。早期退職制度や早期退職金がある会社なら、転職を前向きに検討できます。新しいキャリアに挑戦する場合は、早めに家族に相談することを忘れずに。たっぷり使える時間がある窓際族だからこそ、家族との話し合いもじっくりできるし、いざ、動ける状態になった時にすぐ行動に移すことができます。
まとめ:残された時間をどう過ごすかは、あなた次第
窓際族として生き続けるのも、窓際族から脱却するのも、あなたの気持ち次第です。けれども、人生100年といわれるこの時代においては、よほどの蓄えが無い限り60歳を越えても働くことが一般的になっています。
これまでの時代であれば、「60歳まであと数年。これまで忙しくしてきたことだし、いっその事のんびりやるか」という働き方が許されていた会社もあったかもしれません。しかし、それを許す余裕のある会社はどんどん減っていきます。
窓際族でいる時間が長引けば長引くほど、戻るのが難しいもの。生涯現役で働き続けるのであれば、自分を錆びつかせることに時間を使ってはいられないはず。
もし、いろいろと試して見た結果、「この環境で、モチベーションを取り戻すのは難しい」という判断を下したのであれば、思い切って新しいキャリアを探してみるのも選択肢でしょう。