セカンドキャリア、迷っているのはあなただけじゃない!意識調査で見えた現実
- キャリアを考える
- 公開日:2025年11月12日
人生100年時代を迎え、働き方の選択肢が広がる中で、定年を分岐点に新たなキャリアを模索する人が増えています。この記事では、公益財団法人産業雇用安定センターの調査結果をもとに、ミドルシニア世代が抱える不安や希望、そしてセカンドキャリアを考えるための具体的なヒントを紹介します。迷っている今こそ、未来の働き方に向けた一歩を踏み出すタイミングかもしれません。
セカンドキャリアへのイメージが湧いてない割合が多数を占める
2025年の9月、公益財団法人産業雇用安定センターによる「セカンドキャリアに関する意識」の調査がミドルシニア世代を対象に実施されました。
その中で、定年後を含む今後の働き方について「まだ決めていない」と回答したミドルシニア世代の割合は31.3%に上り、全体で最多を占めたことが明らかに。続いて「定年をもって働くのをやめたい」が22.4%、「定年後は同じ会社で雇用延長し、そこで働くのをやめたい」が23.7%という結果になりました。
現在のミドルシニア世代の傾向としては、具体的にセカンドキャリアのイメージは湧いていないが、できれば長く働きたいとの希望を持っていることがわかります。さらに、タイミングとしては定年を機に、セカンドキャリアについて考え始める方が多いことが見て取れます。
また、その"働き方"に注目をしてみると、今の仕事を続けるよりも他のことに挑戦したいという意欲があることが窺い知れます。定年後に向け、40代や50代のうちに少しずつセカンドキャリアについて準備や意識を始めれば、定年後に慌てることもありません。
しかし、調査の結果を見てわかるように、多くのミドルシニア世代は具体的なアクションは起こせずにいるのです。
データ元:公益財団法人産業雇用安定センター『「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査」結果概要』
セカンドキャリアの分岐点は"定年"
ミドルシニア世代にとって、セカンドキャリアの分岐点となるのが"定年"です。そこで、定年を機にセカンドキャリアを考える動機には、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。
調査によれば、「これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたい」と「スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したい」が合わせて約60%を占めています。特に、50歳代前半では半数近くが「これまでと違う新しい仕事に取り組んでみたい」と回答していることから、定年という区切りをきっかけにして新しい挑戦や仕事をしていきたいと考えていることが分かります。
一方で、ネガティブな理由から転職を考える層も一定数います。その理由としては、「役職定年や定年によって待遇が大きく下がるから」(19.0%)、「会社に残ると希望しない仕事をしないといけないから」(7.3%)と、同じ会社に残るデメリットを考慮し、転職を選択するといった回答でした。
その他の理由としては、「家族の事情(親の介護など)に合わせて働きたい」(11.7%)などが挙げられ、ミドルシニア世代では自分ひとりの人生だけではなく、家族のことを考えながら働きたいといった思いが見受けられました。
セカンドキャリアは雇用延長を望む声も一定数存在する
このように、定年や定年前に転職を希望する方がいる一方で、雇用延長を望む声も一定数聞かれます。その理由としては、40%以上が「自らのスキルや経験を今の会社で生かせる」点を理由として挙げました。
次に多いのが「働きやすい職場だから」の19.5%で、その割合は40歳代後半では25.8%に引き上げられます。年齢を重ねたミドルシニア世代では環境の変化を嫌う面もあり、転職先での待遇や労働条件の悪化を懸念する割合は、定年が近い50歳代後半でより高くなる傾向にあります。
ミドルシニア世代になると、新しい挑戦をしたいと思う反面、保守的な気持ちも高まってくるのでしょう。転職先の環境や待遇、転職活動への不安等から会社に残ることを選択する方は4割ほどにのぼるといいます。
特に、定年を間近に控える50代後半層では、転職先の環境や待遇、転職活動への不安などから会社に残ることを選択する割合が他の年齢層に比べて高くなっており、セカンドキャリアでの転職には慎重な姿勢も窺えました。
年を重ねてから敢えて違う分野への挑戦をしたり、新しい職場での人間関係の構築や待遇面を考えたりすると、慣れた環境で働くという安定的な選択肢を取る方も多いのです。
セカンドキャリアが未定でも、様々な選択肢に興味がある
セカンドキャリアの働き方を「まだ決めていない」というミドルシニア世代の4割以上は、条件次第で中小企業やNPOでのセカンドキャリア構築に前向きであることもわかってきました。スキルや経験を活かせるなら、企業の規模や運営団体などは気にせずに働きたいと思っているといいます。
新卒や若年層の転職では、会社の規模や条件を重視する傾向があるものの、ミドルシニア世代たちのキャリアに対しての想いには、条件や待遇・報酬だけにとらわれず、生きがいややりがいを求めることも特徴だといえるでしょう。
また、転職にどういった支援を求めるかに対しては、約3割が「具体的な転職先の紹介、出向を利用した転職支援などの制度」を望んでいることがわかりました。つまり、紹介や転職支援があれば異業種への転職にも果敢に挑戦したいとの思いがあることがわかってきたのです。
こうした結果からも、ミドルシニア世代がセカンドキャリアに対してあまり深く考えられていないという背景には、セカンドキャリア支援についてあまり詳しくなかったり、転職エージェントやその他にも支援があることを知らなかったりといったことが考えられるでしょう。
セカンドキャリアを見つけるためのポイント
セカンドキャリアを考えるためには、ミドルシニアのうちからどんなことを始めればよいのでしょうか。具体的な方法をご紹介します。
セミナーや講座の活用
近年、セカンドキャリアをテーマにしたセミナーや講座が多く開催されています。セカンドキャリアについて考えてみたくとも、情報が少なく何から始めていいかさえもわからないという方は、セミナーや講座に一度参加してみるのもおすすめです。
セカンドキャリアの進め方や、失敗しないためのポイントなどを知ることができたり、セカンドキャリアを叶えた先輩たちに話を聞けたりと、セカンドキャリアについて真剣に向き合う準備ができます。
公共支援サービスの利用
公共サービスを利用するのも、セカンドキャリアを考える上では重要になります。例えば、ハローワークでは様々な職場の紹介だけではなく、初めて挑戦する仕事へのサポート講座が開かれているなど、求職者に対して手厚い支援を行ってくれます。
さらに、シルバー人材センターでは、居住地域におけるシルバー人材限定の求人が多数用意してあり、短時間で働きたいなどの願いを叶えてくれる職場が多く存在します。スタッフが仕事の紹介から実際に働き出してからのサポートまでを行ってくれるので、不安なくセカンドキャリアを考えることができるでしょう。
求人サイトへの登録
早いうちに転職サイトへの登録しておくと、セカンドキャリアへの具体的なイメージが湧きやすくなります。求人には「未経験歓迎」や「資格者優遇」といった企業側が求めている人材の具体例や能力などが記載されています。それを基に、今から何が必要か、どのようなスキルを身に着けておけばいいかなど道筋が明確になるでしょう。
また、求人サイトでは転職エージェントやコンサルタントがアドバイザーとして支援をしてくれることも。セカンドキャリアを考えてみてもなかなか前に進まないという方は、プロに一度相談してみると◎。
セカンドキャリアを考える際には、誰でも不安になります。いざ友人に相談しようと思っても、環境や状況が違う場合にはなかなか話せないという方も多いのではないでしょうか。そんなときも求人サイトやエージェントは心強い味方になってくれます。
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人生100年時代のセカンドキャリアのために、早めの準備を
セカンドキャリアにおけるミドルシニアたちの意識調査で、回答の最多数を占めたのは「まだ考えられていない」というものでした。
しかし、セカンドキャリアについては定年間近や定年後から考え始めるより、早いうちに考えておいて損はないといえます。セカンドキャリアにおいて最も多く検討される選択肢は、やはり転職でしょう。もしセカンドキャリアで「転職」という選択肢を考えているのであれば、動き出すのに早すぎることはありません。
ミドルシニア世代と定年を迎えたシニア世代とでは、転職の枠や採用される基準も変わってくること、早めの準備をすれば慌てずにセカンドキャリアへの移行がスムーズになることを知っておきましょう。早い段階でのキャリチェンジは異業種へのチャレンジの可能性を大きく広げてくれたり、給与に関しても満足いく結果に繋がったりする確率も高めてくれます。
さらに、セカンドキャリアを考える上で会社に雇用されるのではなく、豊富な実務経験を活かし、個人事業主やフリーランスとして働くことも選択肢としてあることを覚えておきましょう。特に、ミドルシニア世代の独立ではコンサルタントや講師といったこれまでの経験を軸に人を導いたり、何かを教えたりといった分野で独立をする方が多いです。
独立というセカンドキャリアを選んだ場合には、時間や場所に縛られることはありません。定年という概念も存在しないため、年齢に囚われることなく自由な働き方が実現できる点も、セカンドキャリアとして独立を選ぶ利点の一つです。
まとめ
ミドルシニア世代の多くは、まだセカンドキャリアについて具体的なアクションを起こせずにいます。しかし、現在ではキャリアパスが広がり様々な選択肢があります。ミドルシニアのうちからセカンドキャリアについて真剣に考えておけば、焦らずにセカンドキャリアへの移行が行えるでしょう。