40代や50代の平均貯蓄額は?年齢に合ったお金のため方や老後資産の準備についてご紹介
- ライフプラン・人生設計
- 公開日:2025年11月 7日
周囲の人がどのくらい貯金をしているのか、気になってもなかなか聞ける機会はありません。40代・50代は老後の生活を視野に入れて本格的に資産を用意する時期のため、現在の貯蓄額で問題がないのか、不安な人も多いでしょう。今回は40代・50代の平均貯蓄額から、老後までに発生しうるライフイベントの金額、老後に向けてお金を貯めるポイントなどを解説します。
40代・50代の平均貯蓄額は?
40代・50代の平均貯蓄額はどのくらいか、気になっている人は多いでしょう。それぞれの貯蓄額は下記の通りです。
▼40代の平均貯蓄額
| 二人以上世帯 | 単身者 | |
| 平均貯蓄額 | 402万円 | 331万円 |
| 金融資産保有額(平均額) | 944万円 | 883万円 |
| 金融資産保有額(中央額) | 250万円 | 85万円 |
▼50代の平均貯蓄額
| 二人以上世帯 | 単身者 | |
| 平均貯蓄額 | 468万円 | 419万円 |
| 金融資産保有額(平均額) | 1,168万円 | 1,087万円 |
| 金融資産保有額(中央額) | 250万円 | 30万円 |
参照元:金融経済教育推進機構 「家計の金融行動に関する世論調査 令和6年版」
二人以上世帯も単身者も、40代よりは50代の方が保有している資産や貯蓄額は多くなっています。平均額は対象者の貯蓄額をすべて足した後に対象者の数で割った数ですが、中央値はデータを順番に並べた時の真ん中の数字を指します。
どちらの年代も平均額と中央額には開きがあり、資産を用意している人とそうでない人の差が大きいとわかります。家庭によっては、現在の資産額が平均額よりも中央値に近いケースも多いでしょう。
40代・50代から老後までに必要なライフイベントの費用
老後を迎えるまでに発生する可能性がある、ライフイベントの費用について計算していきます。これらの資金を考慮したうえで、別途老後の生活費用を用意するための計画を立てる必要があります。
子どもの教育費
40代・50代で家族がいる場合、子どもの教育費用が最もかかってくる時期と考えられます。公立と私立の2つに分けて、必要な金額は下記の通りです。
| 公立 | 私立 | |
| 幼稚園 | 184,646円 | 347,338円 |
| 小学校 | 336,265円 | 1,828,112円 |
| 中学校 | 542,475円 | 1,560,359円 |
| 高校 | 597,752円 | 1,030,283円 |
| 総額 | 1,661,138円 | 4,766,092円 |
参照元:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果について」
私立に進学した場合は公立に進学するよりも、2倍以上の費用が必要です。大学進学した場合は、昼間部の4年制大学で平均182万円が必要となります。そのため、幼稚園から高校までは公立、その後大学に進学した際は約350万円、幼稚園から高校まで私立で大学にも進学するなら約660万円の教育費用が発生するでしょう。
住宅購入
40代・50代になって住宅を購入する人も多くいます。住宅の購入にかかった平均費用は以下の通りです。
• 注文住宅:3,936万円
• 建売住宅:3,826万円
• 土地付き注文住宅:5,007万円
• 中古戸建:2,573万円
• 新築マンション:5,592万円
• 中古マンション:3,033万円
参照元:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」
新築で購入する場合はどのような販売方法であっても、4,000〜5,000万円の費用が発生します。さらに、引っ越し費用や家具・家電の買い替えなども発生するため、費用は100〜200万円分多めに見積もっておくと安心です。
子どもの結婚
もし子どもがおり、結婚を迎えた場合は結婚費用を負担するケースもあるでしょう。挙式・披露宴・ウエディングパーティーの平均費用は343.9万円です。親からの資金援助があった人で、挙式や披露宴に使った金額の平均は168.6万円です。つまり、親は子どもの結婚に際して100〜200万円ほどの資金援助を行なっていることが分かります。
子ども・孫の誕生
40代以降に子どもや孫が誕生した場合、妊娠・出産に関する出費も発生します。厚生労働省によると、令和5年の出産に必要な費用の平均は506,540円でした。なお、令和6年度上半期では平均額が517,952円となっており、費用は増加傾向にあります。
出産一時金など支給されるお金はありますが、支給された人の多くは出産費用と同等か出産費用を下回ったと回答しているため、自己負担額が数万円〜数十万円は発生する可能性があるでしょう。
医療費
癌などの病気や、突然の怪我で出費が必要となる場合もあります。癌の場合、必要となる医療費は入院で1件あたり約60〜180万円、外来で約3〜11万円、抗がん剤治療で約30万円です。
高額療養費制度や民間保険の利用など、治療費をカバーしてくれる制度はありますが、一旦すべての治療費を窓口で支払う必要があります。窓口で慌てないためにも、万が一に備えて蓄えを用意しておくと安心です。
老後の生活に必要な費用とは
老後の生活に必要な費用の平均を見ると、最低額で月23.2万円となっています。また、ゆとりのある生活を送る場合は月平均で37.9万円です。
一方、年金の支給額は国民年金を満額の場合で月69,308円、40年間就業して厚生年金を受けとった夫婦二人の場合で232,784円です。最低限の生活費だとしても、年金の支給額だけでは足りません。その他、旅行・趣味・リフォームなどで出費は重なります。
40代・50代から資産を貯める方法
40代・50代の平均貯蓄額よりも、資産が少ない方もいるでしょう。これから老後の資金形成をするための方法を5つご紹介いたします。まずは1つだけでも、取り組んでみてください。
家計の見直し
貯蓄を本格的に行いたいと考え始めたなら、家計の見直しを行いましょう。現在の収入と支出額を、おおまかでいいので洗い出します。支出額がわかったら無駄な出費はないか、今よりも削減できる項目はないか確認してみてください。
特に検討しておきたいのは固定費です。スマホの利用料金・サブスクリプションサービスの料金・保険料などは、見直しのおすすめ項目となります。あまり使っていないサービスは解約、同じくらいの品質でより安いサービスがあるなら乗り換えを検討しましょう。固定費は一度見直しをすると、節約効果が長く続きます。
目標額からの逆算
貯蓄を始める際は目標額を設定し、そこから逆算して毎月の必要な貯蓄額を決めましょう。具体的な数字がわかることで、モチベーションが保ちやすくなります。しかし、設定した金額が家計を圧迫する場合は、計画を立て直しましょう。
ボーナスの活用・投資で増やす・副業を検討するなど、収入額が増える工夫や家計を圧迫せずに貯蓄額を増やす方法を検討してください。
先取り貯金
貯蓄をする際は、まず収入から貯蓄額を引いて残りのお金で生活をする、先取り貯金がおすすめです。先に貯蓄を確保しているので、残らなかったらどうしようなどと不安になる必要がありません。収入が入ってきたら天引きで貯蓄用口座にお金が移動するように設定しておくと、意識をしなくても自動的にお金を貯めていく仕組みが作れます。
投資との組み合わせ
老後資産を形成するなら、貯蓄だけではなく投資との組み合わせも検討してください。投資は複利の力を利用して、資産を投資した額以上に増やしていける可能性があります。
預貯金の中でもすぐに使う予定のないお金を運用できれば、40代・50代からでも必要な老後資金を貯められるでしょう。ただし、投資は必ず利益が出るわけではなく、投資した額を下回る元本割れを起こす場合があります。
また、知識がない状態で運用すると、損益が出てしまい赤字になるケースもあります。投資をする際は知識を身につける・少額から始める・リスクを理解するなどの注意を払いましょう。
ポイントの活用
貯蓄をする際はクレジットカードやサイトの利用で貯められる、ポイントの活用も検討してください。ポイントは買い物時の支払いに利用できたり、景品と交換したりと普段の生活に役立てられます。クレジットカードを使って普段の買い物をするだけで貯められるので、無理せずに続けられます。
40代・50代におすすめの投資方法
40代・50代の人が、今から老後のために投資を始めるなら新NISAとiDeCoを検討してみましょう
新NISA
新NISAとは2024年から始まったNISAの新しい制度です。少額投資非課税制度のことであり、運用で得た売却益や配当金などが非課税になります。制度の詳細については以下の通りです。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
| 非課税保有期間 | 無制限 | 無制限 |
| 口座開設期間 | 恒久化 | 恒久化 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円 | 1,800万円のうち1,200万円 |
| 投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など |
| 対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
新NISAではこれまではできなかった、2つの投資枠の併用が可能になっています。積み立てたお金は自分の都合で好きな時に引き出せるため、老後資金のためだけではなく、教育資金やリフォーム資金として始めるのもいいでしょう。
iDeCo
iDeCoは個人型確定拠出年金のことで、自分で用意した掛金を自分で運用し、資産形成を行う年金制度です。iDeCoに加入できる対象者と、拠出の上限額は以下の通りです。
| 加入資格 | 拠出上限額 |
|---|---|
| 第1号被保険者・任意加入被保険者 自営業者など |
月額6.8万円(年間81.6万円) 国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠 |
| 第2号被保険者 会社員・公務員 |
会社に企業年金がない場合:月額2.3万円(年間27.6万円) 企業型DCのみに加入している・DBと企業型DC加入している・公務員:月額2.0万円(年間24.0万円) |
| 第3号被保険者 専業主婦(夫) |
月額2.3万円(年間27.6万円) |
掛け金は月5,000円から、1,000円単位で自由に設定ができます。毎月の拠出はもちろん、決めた月にまとめて拠出するなど、柔軟な運用に対応しています。受け取りができるのは60歳以降からとなっており、以下の3つの方法から好きな方法で受け取りできます。
1. 一時金として一括で受け取る
2. 年金として受け取る
3. 一時金と年金を組み合わせて受け取る
老後の生活費用を貯めたい人は、ぜひiDeCoの活用をご検討ください。
40代・50代が投資をする際のポイント
40代・50代が投資を始める際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
• 目的をはっきりさせる
• 長期・分散・積立を心がける
• 貯蓄や家計とのバランスを意識する
どうして投資をするのか、目標額など目的をはっきりさせると、意欲的に投資を継続できます。しかし、どうしてもお金を貯めたいからと無理のある投資計画や、ハイリスクな投資を始めるのはおすすめできません。長期的にコツコツと積み上げていく投資で、少しずつ資産を増やしてください。
まとめ
40代・50代の平均貯蓄額と、貯蓄をする方法をご紹介いたしました。40代の平均貯蓄額は二人以上世帯で402万円、50代の二人以上世帯は468万円です。単身者の場合は40代で331万円、50代で419万円が平均貯蓄額となっています。
貯蓄をしていても、老後までに考えられるライフイベントによっては資金が足りなくなるケースもあります。それぞれのライフイベントに分けて、貯蓄をしておくと安心できるでしょう。
貯蓄をする際は家計の見直し・先取り貯金・投資との組み合わせなどで、少しずつ増やしていくように心がけてください。無理のない計画で、少しずつでも着実に老後資金を増やしていきましょう。