葬儀費用はどのくらいかかる?相場や葬儀の流れなどを解説

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40・50代は親や親族の葬儀が発生しやすくなる年齢です。しかし、実際にどのくらいの費用がかかるのか、何に費用がかかるのか知らない人も多いでしょう。今回は葬儀費用の相場から、実際にかかった金額、節約するポイントなどをご紹介します。いざという時に慌てないためにも、ぜひご一読ください。

葬儀にかかる費用相場はどのくらい?

葬儀に必要な費用は、形式によって異なります。形式ごとの費用相場について、それぞれご紹介します。

一般葬

一般葬とは家族や親族以外にも、故人に関係のあった友人や職場の人にも参列してもらう葬儀形式です。通夜と告別式を、2日間に分けて行います。一般葬は会葬者数の予想がしにくいため、予定よりも費用がかかってしまうケースが考えられます。

会葬者や会場の規模によっても異なりますが、一般葬の費用相場は約100〜200万円です。ただし、会葬者から香典をもらうため、葬儀費用の負担は軽くなる傾向です。

家族葬

家族葬は、家族や親族のみで行う葬儀形式です。通夜と告別式を2日間に分けて行うのは一般葬と変わりませんが、会葬者の数が少なくなるため費用を抑えられます。

家族葬を行う際の費用相場は、約30〜100万円です。ただし、香典の数が一般葬よりも少なくなるため、喪主が負担する葬儀費用は高くなる場合もあります。

一日葬

一日葬は、お通夜を行わずに葬儀と告別式、火葬のみを行う葬儀形式です。通夜を行わないため、費用が抑えられるほか、遠方の親族や高齢な人でも参加しやすい点がメリットです。

ただし、会場は前日から準備で利用するため、会場費が2日分かかる点は知っておきましょう。また、会葬者の数が少ない場合は、家族葬よりも費用がかかる可能性もあります。一日葬の費用相場は、約50〜100万円です。

直葬・火葬式

直葬・火葬式はお通夜や葬儀、告別式を行わずに、直接火葬場でお別れをする葬儀形式です。火葬前に読経などの簡易的な儀式をする場合はありますが、会葬者を呼んで行うことはありません。そのため、最も葬儀費用は抑えられるでしょう。直葬・火葬式の葬儀費用は、約20〜50万円です。

葬儀費用の内訳

葬儀費用がどのようなことに使われているのか、内訳についてもご紹介します。一般的には、以下の項目に分かれます。

• 基本料金
• 飲食費
• 返礼品費

基本料金は斎場の利用料や火葬料、棺、搬送費などの葬儀を行うために必要なお金です。飲食費は会葬者へ振る舞うための料理や、精進落としなどにかかります。返礼品費は香典返しや、当日返しなどのために必要です。その他、お坊さんへのお布施や寺院の利用料なども必要になるでしょう。

実際に葬儀にかかった費用はどのくらい?

相場はわかったけれど、実際にどのくらいの費用がかかったのか、経験者の意見が気になる人もいるでしょう。実際の葬儀費用について、それぞれの形式ごとにご紹介します。

• 一般葬:120万円以上〜140万円未満
• 家族葬:60万円以上〜80万円未満
• 一日葬:20万円以上〜40万円未満
• 直葬・火葬式:20万円以上〜40万円未満

さらに、費用の内訳額の平均は、以下の通りです。

• 基本料金:75.7万円
• 飲食費:20.7万円
• 返礼品費:22.0万円

実際に葬儀を行うには、100万円前後のお金が必要になるのがわかります。場合によっては、プランのアップグレードや会葬者の人数変更によって、金額が変動します。

参照元:株式会社鎌倉新書【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)

葬儀費用を抑える方法

100万円ほどは必要となる葬儀費用を、少しでも抑える方法をご紹介します。役立つ情報はないか、ぜひご確認ください。

複数の業者から見積もりをもらう

葬儀を行う際は、複数の葬儀業者から見積もりをもらいましょう。葬儀の準備は時間がないため、適正な価格がわからないまま、最初に依頼した業者で葬儀を行ってしまう可能性があります。少しでも費用を抑えて、希望の葬儀をするためには、可能な限り複数の業者へ見積もりを依頼しましょう。

いくつかの会社で見積もりを取れば、高額な葬儀業者を避けられます。また、金額だけではなく、見積もりの内容も確認しましょう。後からトラブルにならないように、必要なプランが含まれているか、追加オプションはどうなっているかを確かめておきます。

故人が亡くなってからでは、見積もりを比較検討する時間は確保しにくいため、事前に見積もりを取って依頼する業者を絞っておくと、亡くなってからスムーズに動き出せるでしょう。

形式や規模を見直す

葬儀は、形式や規模によって発生する費用が変わってきます。形式が簡素になるほど、葬儀費用は節約されます。一般葬ではなく、家族葬で十分な場合もあるでしょう。

ただし、価格だけを気にして、簡素な形式のものに変えてしまうと後悔する可能性もあります。故人の希望も汲み取ったうえで、最適な形式や規模の葬儀を選びましょう。

生前に葬儀保険へ加入する

葬儀費用を抑える方法として、生前に葬儀保険へ加入する方法があります。葬儀保険とは、自身が死亡した際の葬儀費用を賄うための保険です。月数百円から積み立てられるため、高齢になってからでも加入しやすい保険です。加入者が亡くなったあとは、すぐに保険金を受け取れます。

ただし、掛け捨ての保険となるため、解約をすると掛けたお金は戻ってきません。また、保険期間の開始までは時間がかかるため、早いうちから保険会社のプランを確認し、加入できるようにしておきましょう。

遺産から支払う

葬儀費用は喪主が支払うことが前提となっていますが、故人の遺産から支払うことも可能です。喪主や親族の費用負担を軽くしたい場合は、遺産からの支払いもご検討ください。ただし、遺産を使用する際は注意すべき点があります。

• 銀行に死亡が知られると一定額を超える預金が凍結される
• 遺産を使用すると相続放棄の手続きはできない
• 使用方法について親族とトラブルになる可能性がある

遺産分割協議をする前に遺産を使用すると、後から親族と遺産の配分で揉める可能性があります。また、遺産を使用すると、後から相続放棄の手続きを取ることはできません。マイナスの資産も含めて相続することになるため、慎重に使う必要があります。

市民葬や区民葬を利用する

市民葬や区民葬は、市区町村が葬儀会社と連携して用意している葬儀方法です。自治体の市民葬・区民葬の条件を満たしている人であれば利用できます。自治体によって費用は異なりますが、一般的な葬儀費用よりは節約できる可能性があります。

割安な分、シンプルな葬儀となるため、不足分はオプションとして追加する必要があります。どのようなプランになるか、料金の目安などは住んでいる自治体へ事前に確認しましょう。

葬儀費用が支払えない時は

葬儀費用が想定よりも高くなり、支払いが難しくなる場合もあるでしょう。もし、葬儀費用を支払えないとなった場合は、以下の3つの方法をご検討ください。

葬祭費や埋葬料を活用する

葬儀に関する補助金や助成金を活用しましょう。後期高齢者医療制度を含む、国民健康保険に加入していた場合、自治体から葬祭費の受け取りが可能です。

給付金額は自治体によって異なりますが、東京23区の場合は7万円が給付されます。また、社会保険に加入していた場合は、埋葬料として5万円が支給されます。葬祭費や埋葬料の申請期限は、葬儀を行った日の翌日から2年以内ですので、忘れずに行いましょう。

葬祭扶助制度を活用する

葬祭扶助制度は、喪主や遺族が葬儀費用を出せない場合に、国が代わりに費用を負担する制度です。遺族が生活保護を受けている場合や、経済的に困窮している場合に利用できます。ただし、生活保護を受けているからといって、必ず利用できるとは限りません。

葬祭扶助の範囲は火葬のみとされており、読経や祭壇などは含まれません。また、葬儀が終わった後に申請をすると、葬儀費用を賄える資産があったとみなされて、葬祭扶助を受けられない場合があります。

家族や親族で分担する

葬儀費用の支払いは喪主となっている場合が多いですが、支払いが難しい場合は家族や親族と費用を分担しましょう。基本的に葬儀費用の支払いは、誰がしても問題ありません。葬儀の前後に家族や親族と分担できないか、相談してみましょう。

葬儀で後悔しないためのポイント

葬儀の費用はもちろん、内容で後悔しないためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。今回は、事前に行っておくべき内容を3つご紹介します。

故人の意向を事前に聞いておく

葬儀の内容や金額など、故人の意向を事前に聞いておきましょう。形式はどうするのか、会葬者には誰を呼ぶのか、宗教や宗派はどこかなどです。家族は一般葬を検討していても、故人は家族葬などの小規模な葬儀を希望している場合もあります。

なるべく故人の意向に沿った葬儀ができるように、必要なことは決めておきましょう。ある程度事前に決めておけば、亡くなった時に慌てずに葬儀の準備ができます。

事前に情報収集をする

故人の意向を確認するのと同時に、情報収集を行っておきましょう。葬儀の費用相場から葬儀の流れ、返礼品についてなど、葬儀に関する情報は多数あります。家族が亡くなったタイミングで探し始めるのでは、十分な情報がないまま葬儀を迎えることになります。

慌ただしいなかで情報を集めても、必要な情報が足りない場合もあるでしょう。また、葬儀のマナーなども事前に確認しておくと、安心して迎えられます。家族が元気な時から、早めに情報を集めておくと葬儀に関する後悔を減らせるでしょう。

お寺やお坊さんも比較検討する

お寺やお坊さんについても、比較検討をしておきましょう。元々先祖代々のお墓が決まっている場合、そのお墓があるお寺である菩薩寺にお願いするのが通例です。しかし、お墓が遠方の場合や、墓じまいをしたために菩薩寺がない人もいるでしょう。

その際は、どのお寺やお坊さんにお願いするのかを、決めなければいけません。急いで決めたけれど、相性が合わなかったという事態を避けるためにも、お寺やお坊さんについて事前に情報を集めて比較検討しましょう。

葬儀の流れ

いざという時に慌てないために、葬儀の基本的な流れについてもご紹介します。手順は、以下の通りです。

1. 家族や葬儀会社へ連絡
2. 遺体の搬送と安置
3. 通夜と葬儀の打ち合わせ
4. 通夜の準備
5. 通夜
6. 葬儀の準備
7. 葬儀と告別式
8. 火葬・遺骨迎え・精進落とし

通夜や葬儀の準備では、返礼品や精進落としの手配に心付けの準備、誰が香典を受け取るのかなども決めていきます。

まとめ

葬儀費用の相場や実際にかかった金額、費用を抑えるポイントについてご紹介しました。葬儀は一般葬なら約100〜200万円、家族葬なら約30〜100万円の費用が必要です。

規模によって金額が変わるため、家族や親族と相談したうえで、最適な形式で葬儀を行いましょう。生前に葬儀に呼ぶ人や規模など、本人の意向も確認しておくと、後悔なく故人を送り出せるでしょう。

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