年齢に縛られない働き方!シニアが選ぶアルバイトの現状

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少子高齢化と人手不足が進む日本で、シニア人材の活用が注目されています。企業の採用意欲とシニア自身の働く意志が一致し、アルバイトという柔軟な働き方が広がる中、資産状況や仕事探しの方法、働く上での注意点まで、シニア雇用の実態と未来を多角的に探ります。

シニアの活用へ、舵を切る企業が増えている!

2030年、日本の労働市場では約640万人もの人手不足が起きるとされているのを皆さんはご存じでしょうか。特に、中小企業では現在でも7割ほどの会社が人手不足を顕著に感じており、そのうちの6割は事業に影響が及ぶほど深刻だといいます。

そうした人手不足の煽りを受けるのはもちろん、日本で生活する私たちに他なりません。私たちは今、労働力不足について真剣に考えなくてはならない状況に差し迫られているのです。そんな少子高齢化と人手不足が加速するなか、現在企業では「シニア人材」への期待が高まってきています。

2025年の調査によれば、直近半年でシニア層を新に雇用した企業は過半数に上り、雇用形態別にみればアルバイトが37.4%と最も多い割合を占めました。その主な理由には「人手不足の解消・改善に繋がるから」が挙げられています。

シニアたちが活躍してくれることにより、人手不足の解消や改善がしたいという企業の意思が見て取れる調査結果となったのです。また今後、65歳以上のシニアたちを積極的に採用したいとの考えがある企業は6割に上ることから、将来的にも「シニア採用」を行う企業は増えると予想されます。

データ元:マイナビ「非正規雇用のシニア採用に関する企業調査(2025年)」、パーソル研究所「労働市場の未来推計 2030」、日本商工会議所「「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」 の集計結果について ~中小企業の約6割が外部シニア人材の受入れに前向き~」

シニアたちも、アルバイトでの雇用を望んでいる

企業が積極的にシニアたちの活用に乗り出す一方で、雇用されるシニア側の希望する雇用形態は、アルバイトだといいます。65歳以上の3人に2人は、希望する雇用形態に"アルバイト"を挙げており、定年退職以降の雇用形態として、アルバイトを積極的に行っていきたいというシニアたちが多く存在することがわかってきました。

また、その目的にはおよそ過半数が「生活費のため」という回答を寄せました。次いで「健康維持のため」が38.1%、「健康的な生活リズムを作るため」が33.7%と続くことから、生活はもとより健康のためにもアルバイトを望んでいることも判明しました。

さらに、アルバイトをすることで"充実感"や "やりがい"といった働く意味を見出すシニアたちの存在も窺える結果となり、シニアたちのアルバイトへのモチベーションがわかります。

シニアアルバイトの割合が8割を超える業種の内訳は、「警備業」が88.1%、「清掃業」が81.0%、「介護業」が80.7%となっているとのこと。また、経験を問わない採用が高い業種は、「警備」や「交通誘導」が最も高く、次いで「清掃」・「配送」などが続きます。これらの業種では、経験値よりもやる気があるシニアたちを積極的に採用しており、シニア雇用の門扉が広く拡げられています。

昨今では、シニアバイトの最高年齢に「66~70歳」を挙げる企業が約4割に上り、なんと3社に1社は「71歳以上」の人が働いているといいますから、シニアたちにとっても年齢に縛られずにアルバイトができる環境が、この日本社会で整ってきていることがわかります。

データ元:「シニアのアルバイト調査(2025年)」

アルバイトする、シニアたちの資産状況は?

さきほど、アルバイトをするシニアたちの目的の最多が「生活のため」だとお伝えしました。では、そんなシニアたちの経済的な状況はどのようになっているのでしょうか。

シニア層のアルバイト就業者のうち、「1年程度は働かなくても暮らせる資産を保有している」と回答した人は56.8%にのぼり、過半数を占めたといいます。また、世代・性別でみてみると「70代女性」が60.8%と最も高い結果となり、年代や性別によって資産状況に差が見られることがわかりました。

さらに、保有資産の種類でみてみると「預貯金」が50.3%で最多となり、「不動産」が21.1%で後に続いています。特に、「不動産」は男性で60代の36.1%、70代では35.8%と割合が高く、女性では60代で9.2%、70代でも18.9%と2割未満にとどまっています。「株式・債券」に関して男性では60代で31.4%、70代では25.2%に対し、女性の60代と70代はいずれも14.2%と男女間で大きな差が見られました。

このことからも、男性は「分散投資」で積極的に資産形成を取り組んでいる一方、年齢を重ねた女性は堅実的である「預貯金」で資産を保有している側面が見て取れました。女性よりも男性の方が資産形成面においては、分散型という状況が窺えたというわけです。

シニアが実際にアルバイトをしてみると・・・

シニア層のアルバイト就業者のうち、46.8%は定年退職の経験があるとのこと。つまり、定年退職後におよそ半数のシニアたちは、アルバイト雇用へ移行していることになります。

そんなアルバイト経験をもつシニアたちに、仕事内容や働き方に関する「イメージギャップ」を聞くと、「思ったより給料が少ない」が45.0%で最多との結果が。さらに、「思ったより年収が下がった」が43.7%と後に続くことからも、収入面での不足感を感じている傾向にありました。

それでも「思ったより仕事の自由度が高い」が42.4%、「思ったより仕事にやりがいがある」は40.7%と、ポジティブなイメージギャップも挙げられました。アルバイトするシニアたちは収入面では満足がいっていない一方、自由度ややりがいといった項目に関してはポジティブなイメージを抱いていることがわかったのです。

シニアアルバイトの探し方はインターネットが多数

アルバイトを希望するシニアたちはどのように職を探しているのでしょうか。近年の求人探しにはインターネットを利用しているのだといいます。求人情報サイトやアプリ、SNSといったインターネットで仕事を探すシニアたちは、現在およそ5割です。

2015年には紙媒体で探す人の方がネットよりも多かったのに対し、2019年にはスマホなどのインターネットで求人を探す割合が上回ったといいます。シニアを対象とした求職情報も、ネット上への掲載が増えている昨今。シニアたちもスマホなどを利用し、使いこなすことで、自分に合った仕事を獲得する機会を増やしているのです。

実際、ある求人媒体の2025年1-3月期における、シニアたちの求人に関する検索や求人ページへのアクセスが過去3年間で最高といいますから、インターネットを使ってスキマ時間などで効率的にバイト探しをするシニアの増加が見受けられるでしょう。

検索シーンでは、「雰囲気のよさ」や「同世代のメンバーがいること」といった職場への溶け込みやすさを求める傾向があり、マイナビミドルシニアでは活躍中の年代で求人を検索したり、求人詳細では年齢構成を確認することができます。

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シニアが活躍することで、どのようなメリットがあるか

積極的にシニアを活用することのメリットを具体的にみていきましょう。

・経験豊富な人材が確保できる

企業にとってシニアをアルバイトとして雇う主なメリットには、スキルを持った経験豊富な人材の活用ができることにあるでしょう。シニアたちは豊富な人生経験をもとに若手人材へ多くの知識を伝授することができます。さまざまな人生経験やスキルを有するシニアだからこそ、企業側も即戦力として期待しているのです。

・人材不足の解消

日本の人材不足の解消には、シニアたちの活躍なくしてはあり得ないでしょう。しかも、多くのシニアたちはまだまだ体の動けるうちは働きたいと思っているのです。今後も少子高齢化は著しく進みますから、シニア採用の体勢を整えておく会社ほど業績の安定が見込まれます。多くの企業にとって人材不足解消のキーパーソンはシニアたちなのです。

シニアたちがアルバイトをする上で、注意すべきこと

現在、多くの企業ではDX化が進んでおり、アルバイト先においてもデジタル機器やAI技術を利用するシーンが増えています。すべてのシニアに言える話ではありませんが、ITやAIなどの運用に苦手意識を感じていたり、不安を抱いていたりする方も一定数存在します。

採用にも、もちろんデジタルリテラシーを求められることが多々あります。そんなときに「私は苦手だからちょっと...」と躊躇しないためにも、シニアの皆さんは前のめりになってデジタルスキルを磨いておく必要があるでしょう。

家族の中に得意な方がいる場合は聞いてみたり、近所のカルチャーセンターでもパソコン教室やスマホの活用術といった講座が開かれていたりしますので、苦手だと思う方は一度訪ねてみてもよさそうです。

人に「できない」と言うのはちょっぴり恥ずかしいと思われるかもしれません。年齢を重ね、できることが増えたシニアたちがこう考えるのは、もっともでしょう。しかし、できないことをそのままにせず、一歩前に踏み出す勇気や努力が採用に結びつくきっかけに繋がるのです。

また、学びの場で同世代のシニアたちと出会うことで有益な情報交換をし、友好関係を築く機会になることも。人生100年時代、お金や仕事も大切ですが年齢を重ねてからできる交友関係や情報共有ができる場は、有意義な人生を送るためになくてはならないものでしょう。

そして、シニアの働き方として注意しなくてはならないのが、健康面です。年齢を重ねてくるとどうしても無理がきかなくなるのが体力や健康面でしょう。身体の変化や記憶の衰えなど「自分では大丈夫!」だと思っても、身体への無理がたたって病気やケガになってしまうことも。

シニアがアルバイトをする上では、特に安全対策には気を配り、無理をしすぎない働き方が重要です。最近では、エイジフレンドリーといった、高齢者の特性を考慮した職場環境を整備する取り組みを行う企業も増えていますから、健康面や体力面と相談しながら無理なく働き続けられる職場を見つけるようにすることも、シニアバイトをする上では必要なことかもしれません。

まとめ

少子高齢化が進む中、シニア人材は今や日本の労働市場に欠かせない存在となりました。年齢に縛られず、自分らしく人生を謳歌するために、健康に留意しながらアルバイトに積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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