所得税・住民税が4万円減税?2024年から始まる定額減税の仕組みやメリット

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2024年6月から、1人当たり計4万円の所得税・住民税の定額減税が始まります。しかし、全員が減税となるわけではありません。今回は定額減税の仕組みや対象者、メリット・デメリットのほか、ふるさと納税や住宅ローン控除への影響についてご紹介します。

定額減税とは

定額減税は2024年6月1日から始まる、1人あたり計4万円が減税される施策です。納税者本人と扶養家族を対象に、所得税3万円と住民税1万円が減税となります。

所得減税が行われる理由は、近年続いている物価高への対策です。2024年2月の消費者物価指数を確認すると、生鮮食品を除く総合指数は前年同月と比較すると2.8%上昇しています。生鮮食品やエネルギーを除く総合指数では、前年同月より3.2%上昇しており、物価の高騰が顕著です。

賃金上昇なども行われていますが、現状は物価高に追いついておらず、生活が苦しい世帯が増えています。そのため、家計負担を減らそうという目的で今回の定額減税が導入されるのです。

引用元:2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)2月分

定率減税との違い

所得税の減額には、定額減税と定率減税の2つがあります。

定額減税
一定額を納税額から差し引く方法で一律で同じ金額を引くため、中低所得者に恩恵が大きい制度です。1988年の橋本政権の際には、所得税 計3.8万円の定額減税が実施されました。この場合、納税額が30万円の人は26.2万円となり、納税額が100万円の人は96.2万円となるため、効果が大きいのは中・低所得者の人だとわかります。

定率減税
所得に応じて一定の割合で差し引かれる減税方法です。定額減税と比較すると、高所得者に対しての恩恵が大きい特徴があります。1999年の小渕政権時には25万円を上限に、所得税の20%の定率減税が実施されました。この場合、納税額が30万円の人は24万円となり6万円の減税、納税額が100万円の人は80万円となり20万円の減税です。

定額減税の対象者や減税額

定額減税は、全ての人が受けられるわけではありません。定額減税の対象者や、減税される額について、以下でご紹介します。

定額減税の対象者

定額減税の対象者は以下の通りです。

• 日本国内の居住者
• 合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は年収2,000万円以下、子ども・特別障害者を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける人は、年収2,015万円以下)

さらに詳しく見ていくと、日本へ1年以上居所を有する個人とされています。また、所得税は令和6年分、個人住民税は令和5年分の合計所得金額をもとに定額減税対象を判定します。

減税される額

対象者 減税額
所得税   本人・同一生計配偶者・扶養親族

3万円/人   

住民税 本人・控除対象配偶者・扶養親族・控除対象配偶者を除く同一生計配偶者 1万円/人

同一生計配偶者は納税義務者と生計を1つとしており、かつ合計所得金額が48万円以下の人です。また、控除対象配偶者は同一生計配偶者のうち、納税者の前年の合計所得金額が1,000万円以下の人が対象となります。

所得税と住民税の減税方法(給与所得者の場合)

所得税と住民税では引かれ方が異なるため、それぞれ解説します。

所得税の減税

2024年6月の所得税から控除され、6月だけで減税額を満額引ききれない分は翌月以降に繰り越されます。例えば、4人家族(扶養家族が3人)は、3万円×4人=12万円の減税となります。所得税が毎月1.5万円の場合は、以下のような形で減税されます。

• 2024年6月〜12月:所得税15,000円×7ヶ月(計105,000円の減税)
• 残り:15,000円

残りは、給付金として調整されます。給付金は1万円単位のため、この場合は切り上げて2万円が支給となります。なお、賞与も減税の対象となるため、賞与で全額が減税された場合は、翌月以降の減税はありません。

住民税の減税

本来、住民税は6月〜翌年5月にかけて、12分割して給与から引かれます。
今回の定額減税では、2024年6月分は住民税が徴収されません。その後、7月から2025年6月までの11ヶ月間で、本来の住民税額から減税額を引き11分割した額が徴収されます。

例えば、4人家族(扶養家族3人)は、1万円×4人=4万円の減税となります。本来の住民税が毎月7千円(年間合計8.4万円)の場合、住民税の徴収は以下のようになります。

• 2024年6月:0円(徴収なし)
• 2024年7月~2025年6月:84, 000円-40, 000円÷11ヵ月=4,000円

ふるさと納税や住宅ローン控除への影響

今回の定額減税は、住宅ローン控除やふるさと納税への影響はありません。

住宅ローン控除への影響

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホーム購入や増築をした際、一定の条件で年末ローンの残高0.7%の所得税や住民税が控除される仕組みです。定額減税の対象となる税額は、住宅ローン控除後の金額に適用されます。つまり、住宅ローン控除はこれまでと変わらずに受けられるということです。

ふるさと納税への影響

ふるさと納税は故郷や応援したい自治体に寄付できる制度となっており、寄附金から2,000円を引いた差額分が所得税還付や住民税の控除が受けられる仕組みです。12月に決定された「令和6年の与党税制改正大網」において、ふるさと納税の特例控除上限額(所得割額の2割)等については、定額減税前の所得割額とされています。そのため、今回の定額減税の影響はありません。

定額減税のメリット・デメリット

メリット①低所得や中所得者層は恩恵がある

定額減税は、特に低所得者や中所得者に対して恩恵がある制度です。同じ金額が納税額から差し引かれるため、納税額が25万円と80万円の人では残額の差があることがわかります。定額減税が導入された理由には、物価高で生活が苦しくなっている低所得層に対しての対策も含まれているため、このメリットが大きな役割を果たすでしょう。

メリット➁消費や購買意欲の増加が見込める

定額税額によって税負担が減るため、消費や購買意欲の増加が見込めます。消費や購買が増加すると、その分企業での売り上げが増加し、雇用も増えていきます。結果的に経済全体の活気が生まれる可能性があり、全体の所得が上がっていく可能性もあるでしょう。

デメリット①高所得者には還元されない

税額が高い高所得者にとっては、あまり大きなメリットとはなりません。所得税の仕組みは超過累進税率のため、所得が高い人ほど税率が高くなっています。高所得者は高い税率で納税しているものの、所得制限があるため還元はされません。

デメリット➁持続的な効果は見込めない

定額減税は、時的に消費や購買が進み、経済が活性化する可能性があります。しかし、持続的な経済成長は見込めません。今後より経済を活性化させるためには、ほかの政策との組み合わせが必要です。定額減税にのみ頼っていくことは難しく、今後は別の対策も取り入れられていくでしょう。

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定額減税 対象外の方への支援

所得税定額減税は、対象外となる方もいます。所得が基準以下であるため住民税が非課税となっている世帯など、今回の定額減税の恩恵が受けられない方に対し、政府は以下のような支援を行うと決定しています。

①住民税非課税世帯への給付
住民税が非課税となっている世帯には、すでに2023年に支給されている3万円以外に、1世代あたり7万円を追加支給するというものです。

➁所得税非課税世帯で住民税を「均等割」のみ支払う世帯への給付
2023年度に住民税均等割のみ課税された世帯や、2024年度に新たに住民税均等割のみ課税となった世帯に向けても10万円の給付があります。

➂18歳以下の子ども1人につき+5万円支給
上記の①・➁に当てはまる世帯のうち、18歳以下の子どもがいる世帯には1人につき+5万円が追加で支給となります。

給付される時期や支給方法は、自治体によって異なるため、該当となる人は自治体へ確認しましょう。

給付金や定額減税の目安となる年収

給付金がもらえる年収や定額減税の目安となる、世帯類型別の年収水準をご紹介します。夫婦と子ども2人の世帯の場合、年収が535万円〜2,000万円の場合は定額減税が満額控除されます。あくまで地域や家族構成によって異なるため、参考程度にご確認ください。

【給与所得の場合】

住民税が非課税 住民税均等割のみ課税 定額減税+調整給付 定額減税 満額控除
単身者 〜100万円程度 〜115万円程度 〜210万円程度 210万円程度〜
夫婦・子1人 〜205万円程度 〜235万円程度 〜575万円程度 575万円程度〜
夫婦子2人 〜255万円程度 〜270万円程度 〜535万円程度 535万円程度〜

【年金収入のみの場合】

住民税が非課税 住民税均等割のみ課税 定額減税+調整給付 定額減税 満額控除
単身者  〜100万円程度 〜115万円程度 〜210万円程度 210万円程度〜
夫婦 〜255万円程度 〜270万円程度 〜535万円程度 535万円程度〜

引用元:地方創生サイト「低所得者支援及び定額減税を補足する給付について」

まとめ

定額減税は2024年6月より導入され、所得税3万円と住民税1万円の計4万円が減税されます。近年続く物価高の影響を受けて、少しでも家計負担を減らし、経済を活性化させる点が目的です。一定の額を納税予定額から差し引くため、低・中所得者ほど恩恵を得られる制度と言えるでしょう。所得税と住民税では引かれ方が異なるため、事前にどのような制度であるかを確認し、自身への影響を把握しておきましょう。

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