働き方が自由な現代で、定年制がないフリーランスとして生きる!
- 独立・起業
- 公開日:2024年3月 4日
今は働く場所も仕事も自分がやる気にさえなれば、自由に選べる時代となりました。独立して仕事をする人も増えた今、フリーランスとして働くにはどのような心得や事前の準備が必要なのかお伝えしていきます。
フリーランスとして生きるために、抑えるべきこと
独立するにはお金のこと、ライフプランのこと、もしもの時のことなど...様々な事前に考えておかなくてはいけないことがあります。また、新型コロナウイルスなど不慮の事態に陥ってしまうことも考えると、組織に所属せずに一人で仕事をするには心細さもあるでしょう。
しかしながら、一人で自由に動くことで仕事の幅を持てたり、場所に縛られずに働けたりと、独立したからこそ得られる働く楽しみは何にも代えがたいものなのも、また事実。さらに、政府もフリーランスの働き方に合わせた、制度拡充を推し進めています。
例えば、厚生労働省は1歳になるまでの子どもがいる自営業やフリーランスに対して、国民年金保険料を免除する案が具体化していると発表しました。まさに、フリーランスという働き方の追い風でしょう。通常の免除とは異なり、基礎年金は満額を保障し、所得や休業の要件も設けないといいます。
そして、2026年中の実施を目指して現在調整中ということで、近々対象者の国民年金保険料は限定的に免除されるとの方針を示しています。これまではこうした制度はフリーランスには設けられていませんでしたが、独立をしてフリーランスになる人が増えたことから、フリーランスで働きながらも子育てをするママたちを応援しようという制度改革が行われたのでしょう。
いまだフリーランスという働き方は不安定だと言わざるを得ないこともありますが、こうした取り組みがママ世代だけではなく、あらゆる世代に拡がれば、さらに働き方の流動性が増える世の中になっていくことは間違いありません。
フリーランスのメリットとデメリットを比較!
現在、フリーランスになろうと考えている人は、メリットとデメリットを比較した上で検討してみるのがおすすめです。
フリーランスとして働くメリット
➀ 場所や時間に縛られない
フリーランスにとって毎日働く場所も時間にも制限がありません。そのため、自宅をオフィスにする人やオフィスは別に借りる人など、働く場所は自分で自由に設定できます。
また、稼働日も自身で自由に決められるため、週休4日にすることや毎日ショートタイムで働くなど自分都合で動くことができます。決められた時間に集まり、始業という形に囚われないため、満員電車に乗るストレスがないのもフリーランスの良さでしょう。
➁ 案件を選べ、好きな分だけ働ける
会社に属していれば、苦手な仕事を引き受けることもあると思います。フリーランスではもちろん全てではないにしろ、案件を自分で取捨選択できます。そのため会社員時代よりも好きな仕事をすることができるでしょう。
また、仕事量に関しても繁忙期と閑散期を自身で選択することができるので、ゴールデンウイークや夏休みなど世間では休みが集中する時期を外して休みを設けることで、価格的にも安価に旅行ができる場合も。
③ 煩わしい人間関係に悩む心配がない
会社に属していると人間だから当然のこと、苦手な人や関わりたくない人も出てきます。しかしフリーランスとして働くのであれば煩わしい人間関係に悩むことは少なくなるでしょう。
また、最近ではフリーランス同士が協力して会社を立ち上げるなど、フリーランスたちの共同戦線も多く見受けられるようになりました。「好きな人と好きな仕事をする」、そんなところにフリーランスの価値があるのかもしれません。
④ 定年退職がない
フリーランスであれば、定年がありません。ですので、健康なうちはずっと働くことができます。人生100年時代と言われる今、フリーランスになることで息の長い働き方ができるでしょう。
フリーランスとして働くデメリット
➀ 収入の不安定さ
これはフリーランスになる上で一番考えなくてはならない問題でしょう。仕事を増やすことができる分、仕事が全くないという場合もあります。会社員であれば、毎月決められた給与が安定的に入ってきますが、フリーランスとなれば毎月いくら稼げるのか未知な部分も。収入が安定しないことは、フリーランスにとって一番のリスクと言わざるを得ません。
➁ ローンが組めない
大きな買い物をする際には、ローンを組んだりクレジットカードで決済をすることが多いでしょう。しかし、フリーランスは安定しない職業であるため、そもそもクレジットカードが作れなかったり、家の審査に落ちてしまうことも。
ただし、最近ではフリーランスに順応した制度も整ってきているのであまり心配しすぎなくても大丈夫です。ただ、会社員と比べるとまだまだ社会的信用は低いのがフリーランスのデメリットの一つです。
③ 生活リズムが乱れる恐れがある
フリーランスとして仕事をする場合、定時はないと言えます。ここまでやれば終わりという線引きも難しいため、多くのフリーランスは生活リズムを崩しがちです。また、一人で仕事をする孤独感と、仕事の不安定さから近年は心の病に陥ってしまう人も多いのです。
契約上、気を付けることとは?
フリーランスにとって仕事を始める上で大切になるのが契約です。契約は後々トラブルにならないためにもしっかりと書面で書き記しておく必要があります。フリーランスにとって契約の形態は大きく分けて2つあります。クライアントと契約を結ぶ場合は、どちらの形態になるかを予め確認しておくようにしましょう。
委任契約
業務自体が対価となるため、成果物などを提出せずともギャラが発生します。例えば、秘書の仕事を請け負う場合、勤務先に出向き、業務を行えば報酬が発生します。
請負契約
成果物の提出義務のなかった委任契約と比べ、責任が重い契約となります。仕事を完遂することで報酬が得られる契約となるため、成果物をクライアントの手元に届けるまではギャラはもらえません。
ライターやイラストレーターなどはまさにその典型です。また、成果物をたとえ提出したとしても、クライアントが出来に満足できずに修正などを求めた場合、完成までに責任を果たす義務を負わなくてはならないことがほとんどです。
以上のように、フリーランスとして働くには契約のこともしっかり確認しておかないと、後でトラブルの元になってしまうので注意が必要でしょう。
補助金や給付金は活用すべし!
フリーランスにおいては、組織に所属するわけではないため、福利厚生や保障がないことが大半です。そのため、自分の身は自分で守らないといけないことも多々あります。しかし、日本ではそんなフリーランスの背中を押そうと様々な補助金や給付金が設けられています。
自己資金が足りずにフリーランスを諦めてしまうという方はこういった制度も活用することを検討しましょう。活用できる補助金や給付金を知っておけば、独立もしやすくなります。以下に、フリーランスならではの補助金や給付金をお伝えしていきます。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業基盤整備機構が実施する補助金制度のことです。業務の効率化や新たな顧客獲得など、付加価値向上につながるITツールの導入を支援するもので、条件はありますが、フリーランスを含む個人事業主も対象となるのが特徴です。
一定額のITツールを導入することが求められており、補助額は申請者によってばらつきがありますが、おおむね30万円~450万円の補助を受けられます。フリーランスにとっては、2023年10月から始まったインボイス制度でのテレワークなどのDXに対応するための設備投資などが該当するでしょう。
事業再構築補助金
中小企業やフリーランスのコロナ禍での事業を支援する目的で発足した補助金です。通常枠・大規模賃金引上枠・卒業枠・グローバルV字回復枠・緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠の6種の枠があります。
ただし、補助を受けるためには事業計画を策定し、審査に合格する必要があります。また、採択率もおよそ50%前後と、比較的厳しい補助金です。申請条件は徐々に変化しており、「賃上げ要件」が追加されるなど、フリーランスにとってはあまり要件を満たさなくなってしまっている側面も。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の事業継続を支援する目的のこの補助金は、一時支援金を超える最大250万円の補助が受けられます。ただし、フリーランスにとっては申請要件が厳しいため申請できたとしても、実際の受給に繋がる件数が少ないと言わざるを得ないです。
なお、小規模事業者持続化補助金には通常の申請で活用する一般枠のほかに、インボイス制度への対応費が支援対象になる「インボイス枠」があります。まさにインボイス制度の対応が求められるフリーランスは、この枠での申請をしてみるのも一つの手でしょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは個人事業主やフリーランスを含む事業者がサービスの開発や試作品を開発生産し、設備投資をする上でかかる費用を補助するもの。中小企業基盤整備機構が中小企業生産性革命推進事業の一環として実施しています。
もしもの時に頼れる制度!
フリーランスになれば、社会情勢などの影響で起きて欲しくはありませんが「もしもの時」も起きてしまうかもしれません。そんなときに頼れる制度を覚えておきましょう。
セーフティネット保証
セーフティネット保証とは、景気や社会情勢の影響を受け、経営を安定させることに支障が生じたフリーランスや中小企業者を一般保証とは別枠の保証の対象とする制度です。この度の新型コロナウイルス感染症により影響を受けた中小企業者の資金繰りを支援するために、セーフティネット保証の追加指定がされました。
生活福祉資金の特例貸付
生活福祉資金の特例貸付とは、新型コロナウイルス感染症の影響で休業や失業状態などになり、収入が減少して生活に困窮する方を支援する貸付制度です。要件を満たしていれば保証人を立てる必要もなく、無利子で貸し付けを受けられます。
参考
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構 HP
・中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」
・中小企業庁「セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項」
フリーランスから法人化へのタイミングとは?
さきほどまではフリーランスの負の「もしもの時」をご紹介してきましたが、続いては正の「もしもの時」のご紹介です。フリーランスとしてある程度収入が安定しきてきた場合、法人化した方ことによってメリットが多い場合もあります。では、一体どのようなタイミングで法人化へと乗り出せばよいのでしょうか。
年間所得が800万円超の場合
個人事業主で年間所得が800万円の場合、所得税率は23%です。ただし、法人であれば15%となるため、法人化する方が税率は低くなり、節税になります。
なぜこのような事態が起こるのかと言えば、個人事業主の所得税は累進課税制度が適用されているため、所得が上がれば上がるほど税率は高くなってしまうからです。しかし、法人税であれば、所得の金額にかかわらず一律の税率が適用される仕組みになっています。
そのため、年間所得が800万円を超えるタイミングでは法人化した方が税金の負担を抑えられるのです。
売上が1000万円以上の場合
年間売上が1000万円を越えると、現行における日本の制度では消費税の納税義務が発生します。また、消費税は2年前の売上が基準となりますので、フリーランスとしての売上が1000万円を超えた2年後から消費税の納税をしなくてはなりません。
しかしながら、売上が1000万円を超えて法人化した場合には、設立第1期目と第2期目における消費税は自動的に免除されることになるので、売上が1000万円ある場合は法人化した方が節税に繋がるという訳です。
資金調達をする場合
事業を拡大したいと思うタイミングでは、フリーランスより法人化のメリットが大きくなります。例えば、金融機関からの借入などはフリーランスでいることで不利な場合も多いですが、法人化すれば法人だからこそ受けられる補助金や助成金の申請が可能なことも。
個人では限界が多かったことも、法人化すればあらゆる支援を受けられることができ、事業を拡大する資金を得られることになります。
まとめ
フリーランスとして生きるにはメリット、デメリット両方を踏まえた上で検討しましょう。そういった上で自分らしく働く選択肢に定年制がない、フリーランスがあると人生の幅がより広がるでしょう。