住宅ローンの繰り上げ返済の最適なタイミングは?メリット・デメリットまで徹底解説!

  • ちょっと得する知識

マイホームを購入する際には、住宅ローンを組む人がほとんどでしょう。今回は、そんな住宅ローンの「繰り上げ返済」という方法について最適なタイミングや、メリット・デメリットなどを中心に解説していきます。

住宅ローンの繰り上げ返済とは

一般的に住宅ローンは、毎月決まった金額を返済していきます。その住宅ローンの返済の仕方には「繰り上げ返済」という方法があります。

繰り上げ返済とは、毎月の返済分とは別に元金の一部あるいはすべてを前倒しして返済する方法のこと。繰り上げ返済をすることで、元金にかかる金利を払う必要がなくなり、総返済額を減らすことができるのです。

住宅ローンの繰り上げ返済の種類

住宅ローンの繰り上げ返済には「返済額軽減型」と「期間短縮型」の2種類の方法があります。

返済額軽減型

1つめの住宅ローンの繰り上げ返済の種類は「返済額軽減型」という方法です。
これは"返済期間を変更せずに、毎月の返済額を少なくする"というものです。返済額軽減型は、以下のような場合におすすめです。

▼定年後も住宅ローンを返済し続ける予定である
定年後も住宅ローンを返済し続ける予定など、長期的な返済をしたい場合におすすめ。現役時代の返済額を減らせるだけでなく、定年後の負担も減らすことができます。

▼生活費や子どもの教育費など、住宅ローンの返済以外にお金が必要な場合
住宅ローンに十分なお金を充てられれば理想ですが、なかなかそうもいきませんよね。生活費や子どもの教育費などにもお金を充てたいという場合におすすめです。

▼金利の上昇によって、毎月の返済額が増加した場合
金利が上昇すると、毎月の返済額が増加します。この場合にも返済額軽減型は有効な方法です。

期間短縮型

2つめの住宅ローンの繰り上げ返済の種類は「期間短縮型」という方法です。
これは"毎月の返済額は変更せず、返済期間を短くする"という方法です。期間短縮型は、以下のような場合におすすめです。

▼定年まで完済したい場合
定年まで完済したいという場合は、期間短縮型がおすすめです。定年までに住宅ローンを完済することで、老後の生活資金に余裕ができるためです。

▼利息を軽減したい場合
住宅ローンは、返済金額が多い場合や返済期間が長い場合ほど利息が大きくなります。そのため、返済期間を短くする期間短縮型は支払い利息を少なくすることができます。

また、金利によっては、さらに利息を少なくすることができます。ただ、繰り上げ返済をすることで、生活費や子どもの教育費などで支出が増える場合に支障は出ないか?などをよく考えましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済の最適なタイミングは?

続いては、住宅ローンの繰り上げ返済をする最適なタイミングを見極めるための3つのポイントについて解説していきます。繰り上げ返済を検討する際には、これから解説するタイミングと合っているかをしっかり見極めてください。

資金に余裕がある時期

1つめの住宅ローンの繰り上げ返済をする最適なタイミングを見極めるポイントは「資金に余裕がある時期」です。

住宅ローンの繰り上げ返済は、1度してしまうと取り消すことができません。
たとえば、子どもが高校や大学に進学するタイミング、自宅にリフォームが必要になる、病気にかかって医療費がかさんでしまうという場合もあるでしょう。

病気は予想できなかったとしても、子どもの進学するタイミングや自宅のリフォームなどは、計画を立てて資金を用意することができます。このようなことも考え、住宅ローンを繰り上げするか否かを決めるようにしましょう。

また、低金利のときはそもそものコストが低いため、繰り上げ返済の効果はあまり期待できません。逆に金利が急上昇したタイミングならば、繰り上げ返済による利息軽減の効果を期待することができます。いずれにしても、資金に余裕がある時期というのに変わりはありません。

ちなみに、近年はインターネットからの申込みの場合、返済手数料がかからない金融機関もあります。一方で、窓口での手続きの場合は、数万円ほどの手数料がかかる金融機関もあります。このように、手数料の面も考慮しておきましょう。

早い時期の繰り上げ返済は効果が高い

2つめの住宅ローンの繰り上げ返済をする最適なタイミングを見極めるポイントは「早い時期の繰り上げ返済は効果が高い」という点です。

簡単にいうと"住宅ローンの残高が多いうちに繰り上げ返済をすることで、利息軽減効果が高くなる"ということです。たとえば、住宅ローンの残高が4000万円残っている状態で、1000万円を繰り上げ返済したとします。

すると、この場合は残りの3000万円で返済額を再計算することになります。借入金額が少なくなれば少なくなるほど利息も減ります。そのため、早い時期の繰り上げ返済の効果が高い、ということになるのです。

ただ、住宅ローン控除を受けている場合は注意が必要です。なぜならば、繰り上げ返済をすると控除の金額が減少してしまうからです。

加えて、住宅ローン控除を受けるには「返済期間が10年以上」という条件をクリアする必要があります。たとえば、期間短縮型の繰り上げ返済をおこなうことで返済期間が10年未満になる場合は、住宅ローン控除の対象外となってしまうため注意しておきましょう。

家族のライフイベントなども考慮する

3つめの住宅ローンの繰り上げ返済をする最適なタイミングを見極めるポイントは「家族のライフイベントなども考慮する」です。

2つ目のポイントで解説したように、早い時期の繰り上げ返済は効果が高いです。しかし、毎月決まった金額をしっかりと返済していればなんの問題もありません。また、ポイント1で解説したように、子どもの進学などのライフイベントなども考慮する必要もあります。

「住宅ローンを早く完済したい」という気持ちはわかりますが、若いうちは繰り上げ返済よりも貯蓄を優先する方が良いでしょう。若い人ほど、これからお金が必要になるタイミングが多いです。そのため、まずは貯蓄をして生活基盤を作りながら、ライフイベントのための資金も用意しましょう。

その上で、資金に余裕があれば定年を迎えるタイミングで繰り上げ返済をすることで、ある程度余裕を持った老後が送れるようになる、というような先のことも考えた計画を立てるのがベストです。

住宅ローンの繰り上げ返済のメリット

これまで住宅ローンの繰り上げ返済の種類や、最適なタイミングについて解説してきました。ここからは、住宅ローンの繰り上げ返済の4つのメリットについて解説していきます。それぞれ見ていきましょう。

保証料が戻ってくる可能性がある

住宅ローンの繰り上げ返済の1つめのメリットは「保証料が戻ってくる可能性がある」です。

保証料を外枠方式(一括払い)で支払った場合は、保証料の一部が戻ってくることがあります。このように、繰り上げ返済をすることで戻ってくる保証料のことを「戻し保証料」といいます。戻し保証料は、保証会社によって計算の仕方が違ってくるので覚えておいてください。

繰り上げ返済で早めの完済をすることで、戻し保証料も増えるのが基本です。ただ「そもそも戻し保証料はあるのか?」や「戻し保証料としていくら戻ってくるのか?」というのを、住宅ローンを借入する銀行に確認しておきましょう。

老後資金を準備する期間が長くなる

住宅ローンの繰り上げ返済の2つめのメリットは「老後資金を準備する期間が長くなる」という点です。

定年前に住宅ローンを完済することで、老後資金の準備期間を長く設けることができます。ただ、先述したように若い時に無理をするのは禁物。家族のライフイベントを考慮した上で、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

家計の改善になる場合がある

住宅ローンの繰り上げ返済の3つめのメリットは「家計の改善になる場合がある」です。

たとえば、返済額軽減型で繰り上げ返済をする場合は、毎月の返済額が減るため家計に余裕が生まれるでしょう。住宅ローンの返済もしつつ、家計にも余裕が生まれるのは大きなメリットです。

返済期間が短縮または総支払額が減る

住宅ローンの繰り上げ返済の4つめのメリットは「返済期間の短縮または総支払額が減る」という点です。

たとえば、期間短縮型で繰り上げ返済をする場合は、返済期間を短縮することができます。そして、元金の一部を繰り上げ返済することで元金にかかる利息が減るため、結果的に総支払額が減る、というわけなのです。これらは、繰り上げ返済をする最も大きなメリットといって良いでしょう。

住宅ローンの繰り上げ返済のデメリット

住宅ローンの繰り上げ返済には、さまざまなメリットがありました。しかし、メリットだけでなくデメリットもあります。ここからは、住宅ローンの繰り上げ返済の4つのデメリットについて解説していきます。

手数料が発生することがある

住宅ローンの繰り上げ返済の1つめのデメリットは「手数料が発生することがある」です。

こちらは先述したように、窓口で申込みをおこなうと手数料が発生することがあります。しかし、インターネットからの申込みであれば、手数料が発生しない金融機関が多いです。

ただ、金利が「変動金利」の場合は手数料が発生しなくても「固定金利」の場合は、手数料が発生することもあるので確認しておきましょう。

金融機関やものによって条件が違う

住宅ローンの繰り上げ返済の2つめのデメリットは「金融機関やものによって条件が違う」という点です。

いくらから繰り上げ返済が可能かは、金融機関やものによって異なってきます。基本的には「1万円以上」から可能なところが多い傾向です。しかし「10万円以上」からという場合や「1円単位」からの場合もあるので、こちらもしっかりと確認しておきましょう。

家計を圧迫してしまうことがある

住宅ローンの繰り上げ返済の3つめのデメリットは「家計を圧迫してしまうことがある」です。

繰り返しになりますが、住宅ローンの繰り上げ返済は無理しておこなうものではありません。生活資金のほとんどを繰り上げ返済に充ててしまっては、生活費や子どもの教育費、リフォーム、思いがけない病気やケガをしたときの医療費など、さまざまな出費に充てるお金に困ることになります。

そのため、家計を圧迫しない程度に、無理のない範囲でおこなうことが重要なのです。

住宅ローン控除を受けられなくなる場合がある

住宅ローンの繰り上げ返済の4つめのデメリットは「住宅ローン控除を受けられなくなる場合がある」という点。

住宅ローンの繰り上げ返済をするとローンの残高が減るため、住宅ローン控除のメリットが受けられなくなる場合があります。

こちらは先にも少し触れましたが、期間短縮型の繰り上げ返済をおこなうことで返済期間がはじめのローンの支払い済み期間と合わせて10年未満になると、住宅ローン控除を受けられなくなってしまうので注意が必要です。

まとめ

今回は住宅ローンの繰り上げ返済について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。住宅ローンの繰り上げ返済には「返済額軽減型」と「期間短縮型」の2つがありましたね。また、3つの最適なタイミングやメリット・デメリットについてもお伝えしてきました。

早く住宅ローンを完済したいからといって無理は禁物。生活費や子どもの教育費、リフォーム費用、医療費など、生きていく上でさまざまな出費があります。

家族のライフイベントを十分に考慮した上で、返済計画を立てるのが重要です。マイホームの購入は、人生における1つの目標であり憧れでもあるでしょう。マイホームを購入して住宅ローンを組み、そして繰り上げ返済をおこなう際には、今回お伝えしてきたことをぜひ参考にしてみてください。

関連記事

還付申告とは?対象者や手続き方法、確定申告との違いを解説 介護保険料とは?支払い開始時期や金額など疑問を解決 100年時代を生き抜くキャリアの選択。50代のキャリアプランや転職のコツ

記事をシェアする

あなたへのオススメ記事

【個人事業主向け】定額減税マニュアル!申請方法から控除しきれない場合の対処法まで解説

2024年6月から始まった定額減税は、所得税や住民税を支払っている人、全員に関係する制度です。給与所得者の場合は特別な手続きはありませんが、個人事業主は確定申告などの手続きが必要になります。今回は定額減税の概要から、個人事業主が定額減税を受ける方法、控除しきれない方法や所得税がない場合についての救済措置をご紹介します。個人事業主として働いている人は、ぜひご一読ください。

  • ちょっと得する知識
  • 2024年11月13日

106万円・130万以外にもある年収の壁。自分に最適な損しない働き方を見つけよう

106万円や130万円の壁などの“年収の壁”は、パートやアルバイトで働く人なら、よく耳にするワードでしょう。年収の壁にはいくつか種類があり、分かりづらい点も。今回は社会保険と税金に関係する年収の壁や、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。年収の壁について詳しく知りたい人は、ぜひご一読ください。

  • ちょっと得する知識
  • 2024年11月 5日

高額医療費制度とは?申請方法や注意点、マイナ保険証との関係をご紹介

年を重ねていくと年々、体の不調や不安を感じる方は多いでしょう。怪我や病気のリスクも増え、医療費の負担も増えていきます。今回は万が一のときに利用できる、高額医療費制度の概要から申請の流れ、マイナ保険証を利用している場合や注意点などについて解説します。

  • ちょっと得する知識
  • 2024年10月31日

あなたにあった働き方を選ぶ