交通誘導員の仕事内容が知りたい! メリット・デメリットも合わせてご紹介
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- 公開日:2020年6月16日
街を歩けば目にする交通誘導の仕事ですが、具体的にどんなことをしているのかを知らない方が多いのではないでしょうか。交通誘導員になるための条件や資格。この仕事に就くメリットやミドルシニア層におすすめの理由などをご紹介いたします。
交通誘導員の仕事
「交通誘導員」の仕事は人員の不足が問題となっており、多くの警備会社で必要とされている職種です。なお、交通誘導員の仕事は、正しくは警備業法上で「2号業務」とされており、以下の定義となっています。
「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」
2号業務は「交通誘導警備業務」と「雑踏警備業務」に大別され、交通誘導警備は更に3つに分類されます。
道路での交通誘導
道路で行われる工事の際に、交通誘導を行う業務です。「一部区間の道路全体を通行止めとする場合」と「片側通行の場合」と2種類に分かれています。
「一部区間の道路全体を通行止めとする場合」は、通行止めの看板を現場に設置、通行止め区間に進入してくる車に合図を送り停止、迂回路の説明などの業務を行います。
「片側通行の場合」は、道路の前後に進入してくる車を交互に停止させ、渋滞が発生しないようにスムーズに進行を誘導します。
道路工事は交通量の少ない夜間や深夜帯に行われることも多く、夜勤での業務となるケースもあります。
工事現場での車両誘導
建設工事を行う工事現場では、「工事現場の敷地への出入り口」と「敷地内」で車を誘導します。
大型の物資を積んだ工事車両の出入りにおいて、死角に人や車、障害物がないかを確認し、安全にバックで誘導するなどの業務を行います。
また、歩行者や車が工事現場周辺を通行する際には、そちらを優先しながら安全に工事車両を誘導することが求められます。
商業施設での交通誘導
人の出入りの多いショッピングモールや大型商業施設などで、「歩行者安全確保のための誘導」と、「駐車場内の誘導」の2つを行います。
「歩行者安全確保のための誘導」は、駐車場を出入りする車を停止させることで、歩道を通行する歩行者の安全確保を行うもの。
「駐車場内の誘導」は、歩行者の安全を守りながら、車を安全に駐車できるように誘導するもの。満車の場合は看板を掲げるなどして、渋滞が起こらないような配慮を行います。
警備の業務に就くために必要なこと
交通誘導は、人命に関わる重い責任がある仕事です。そのため、一定の知識と技能が必要とされますが、業務に就くために資格や条件は必要なのでしょうか。
欠格事由に該当する場合は警備員になれない
欠格事由とは「警備員になれない理由」のことです。警備業法によると、以下のいずれかに該当するものは警備業を営んではならないとされています。
1 18歳未満の者
2 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
3 禁錮以上の刑、又は警備業法違反罰金刑での執行を終わる等して5年を経過しない者
4 最近5年間に、営業停止命令等違反、又は警備業務に関して重大な不正行為で「警備業の要件に関する規則」(昭和58年国家公安
委員会規則。以下「要件規則」という。)で定めるものをした者
5 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等で要件規則で定めるものを行うおそれがある者(暴力団員等)
6 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく再発防止命令又は中止命令を受けた者で3年を経過しない者
7 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
8 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定める者
※出典 警備業法の概要
上記に該当しなければ、警備員の仕事に就くことができます。
警備の仕事に就くためには、講習の受講が必要
とはいえ、警備の仕事を行う際は「新任研修」と呼ばれる研修を受ける必要があり、警備業法によって研修期間や時期、内容が定められています。これは正社員のみならず、短期のアルバイトであっても必ず受講しなければならないものです。
警備員の新任研修は、「基本教育」と「業務別教育」が課されておりそれぞれ15時間以上学ぶ必要があります。
基本教育は、警備の仕事に就くうえで最低限必要な知識について学ぶもの。テキストを使った座学と実技に分かれており、実技では敬礼や駆け足、大声を出す訓練などを行います。
業務別教育は、現場に即した知識を身につけるためのもの。8時間は実際に仕事をする現場で教育を受けることが認められています。
このような研修期間中も、最低賃金以上の額を支払うことが定められています。研修中の待遇は警備会社によって異なるので、求人原稿をよく確認しておき、面接の際に確認するのがよいでしょう。
関連する資格はどのようなものがある?
警備の仕事で昇給・昇格を考えている場合、資格の取得が欠かせません。代表的な資格は以下のようなものがあります。
警備員業務検定
警備業務の種別ごとに、一定の専門知識や技能を持つことを示すが警備業務検定です。交通誘導においては「交通誘導警備業務検定」が業務に該当し、1級と2級があります。
交通誘導員になればまず、2級の取得を目指すのが一般的。その後、警備業務検定の1級を取得すれば、警備員指導教育責任者になるための講習を受けることができます。
警備員指導教育責任者
警備員指導教育責任者は、警備員を指導・教育する国家資格です。法律で、警備業者が業務を行う場合には、警備員指導教育責任者の有資格者を必ず営業所に配置しなければならないと定めています。
そのため、警備会社から需要が高く、昇給・昇格に直接的に関わる資格です。
機械警備業務管理者
機械警備とは、無人警備のように、センサーや監視カメラなどの機械装置を使って警備業務を行うこと。この機械警備業務に関する国家資格が、機械警備業務管理者です。
機械施設の維持管理や機械を使った対象施設の警戒など、正しく効果的に機械警備業務を行う力があることを証明する資格となります。
交通誘導員の仕事の魅力と大変な点
魅力1:日給が高い
8時間働いた場合の日給相場ですが、日勤で8,000~11,000円、夜勤で9,000~13,000円ほどと言われています。
「あまり高くないのでは」と感じるかもしれませんが、道路工事現場での警備業務は定時より早く終わることが多いもの。これは工事には警察への申請が必要であり、申請した時間以上の作業が許可されていないという事情によるものです。
業務が早く終わっても規定の日給が支払われるため、結果として高い時給換算になることが多いのです。
魅力2:ミドルシニア層の採用率が高い
昔から警備員の仕事は、定年後の職として選ばれることが多い仕事でした。そのため、警備会社もミドル、シニア層の採用は一般的であるため、他の業種・職種に比べ、採用される確率は高いです。
警備会社も若年層よりもマナーを備えたミドルシニアの魅力を理解していること。さらに、働いている同年代が多いことから、未経験でも飛び込みやすく、長く働くことができる仕事といえます。
大変な点1:事故に巻き込まれる可能性がある
走っている車、または自転車などに接触してしまえば怪我につながる事故となってしまいます。
また自分の誘導が原因で事故を起こしてしまうこともあるため、入念な注意が必要とされます。
大変な点2:気候によって負荷がある
厳寒地であれば冬場の業務。暖かい地域であれば、酷暑の業務は体力的な厳しさがあります。
特に夏場の照り返しは厳しいと言われており、脱水症状とならないように定期的に水分補給を行うなど、自分の体調を保つための工夫が必要です。
交通誘導員に向いているのはどんな人?
1:集中力・忍耐力のある人
交通量の少ない現場などでは、車が通らず1日中立っているだけということも。しかし、1台の車が事故を起こしてしまう場合もあります。
どんな状況でも集中力を切らさず、常に周囲に目を配る忍耐力のある方が向いています。
2:冷静で判断力がある人
交通量の多い現場では、車両の流れを理解しなければ渋滞や事故につながることもあります。そうした現場では冷静に状況判断を行い、的確な指示を行える人は適性が高いといえるでしょう。
3:体力がある人
時期によっては厳しい天候のなかで行う立ち仕事であるため、一定の体力が必要とされます。
4:コミュニケーション力がある人
人と話す必要が少ない仕事と思われているかもしれませんが、人に道を聞かれる、車の移動をお願いするといったコミュニケーションは発生します。
ときには短気なドライバーと接することもあるため、相手を不快にさせないコミュニケーションが取れる方には向いていると言えるでしょう。
5:ミドルシニア世代
定年後に新たな仕事に就いたミドルシニア層には、「仕事が覚えられない」「足を引っ張っているという自責の念を感じる」などの理由で、新たな職場を早期に退職してしまう方が一定数います。
しかし、警備の仕事に求められるものは「高い難易度よりも、実直に業務に取り組む姿勢」であることが求められるため、このようなストレスが少ない仕事といえるでしょう。
また、多くの同年代が働いていることから、就業環境にも馴染みやすいという側面もあります。
まとめ
欠格事由に該当しなければ誰でもチャレンジできるのが交通誘導員の仕事は、ミドルシニア層でも未経験で挑戦できる数少ない職種です。
求人自体は比較的多いため、気になる求人を見比べてみてはいかがでしょうか。研修や資格取得支援について触れている原稿も多いため、着目してみるのもよいかもしれません。