パートと正社員の違いは? 自分に合った働き方を見つけよう!
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- 公開日:2018年10月16日
- 最終更新日:2021年11月22日
知っているようで正しく知らない“パートと正社員の違い”。分かりづらさの理由は、法律で定められた違いに加えて、会社ごとでの違いなどもあるからです。そこで、待遇や仕事の内容、福利厚生などの違いを徹底解説!! 違いを正しく理解した上で、自分に合った働き方を選びましょう!
パートと正社員の違い
待遇と福利厚生――パートと社員はここがこう違う!
そもそも、労働基準法では、パートも正社員も"労働者"という同じ括りで呼ばれています。では、労働者をどのように区分するかというと、法的には労働時間で判断されます。そして、正社員に関しては法的な定義がありません。一般的には、雇用期間の取り決めがなく、会社が決めた所定労働時間働いている労働者のことを正社員と呼びます。
反面、パートには法的な定義が存在します。"パートタイム労働法"という法律があり、この法律で定められた短時間労働者をパートと呼ぶのです。つまりパートとは、正社員よりも短い所定労働時間働く労働者のことで、多くの場合、雇用期間の取り決めがあります。
待遇面での違いは?
「それ以外の違いはないの? うちの会社では、正社員の方がパートより待遇面で恵まれているような気がするけれど」――このように感じている皆さん。実は待遇上の違いは、法的には定められていません。パートの場合、時間給で働くことが多く、その月の給料は働いた時間×時給で計算しますが、法的には正社員も「時間給」で雇うことができます。また、雇用する会社の取り決めにあれば、パートが「賞与」や「退職金」を受け取ることもあるのです。つまり、すべては会社の取り決めによるもの。パートで働くことを検討している人は、応募の際、パートの待遇に関してチェックしておくと良いでしょう。
有給休暇に関しては、働いた時間や日数によって取得できる日数が異なります。たとえば、週に30時間以上もしくは週の所定労働日数が5日以上働いている場合は、パートも正社員も下記の表にある日数分を有給休暇として取得できます。
上記の勤務時間や日数を満たしてしなくても、有給休暇を取得することはできます。労働日数によって取得できる日数が異なるので、下記の表を参照してください。
このように、パートと正社員で有給に関する違いはなく、働いた時間や日数に応じて有給休暇を取得することができるのです。
福利厚生に関する違い
福利厚生には、法律で定められている「法定福利」と、法律では定められていないものの、会社が独自に設けている「法定外福利」があります。法定福利は、社会保険や雇用保険、雇用保険、介護保険など。法定外福利は、住宅手当や交通費補助、家族手当、健康増進、保養所の利用などです。
法定福利に関しては、パートも要件を満たせば、正社員と同様に利用することができます。対して、法定外福利は、会社の取り決めによって異なるので注意が必要です。「福利厚生が充実している会社だと思って入社しても、パートは利用できなかった」といったことのないように、退職金や賞与と同様に、事前に確認しておきましょう。
仕事内容 ――パートと正社員はここがこう違う!
では、仕事内容に関する違いはあるのでしょうか。
上で「法的な違いは、労働時間のみ」とお伝えしたように、仕事内容に関する区分は法律では定められていません。そのため、「パートだから正社員よりも楽な仕事」と思って入社しても、「正社員と同じ仕事を与えられた」といったこともあり得るので注意が必要です。
ただし、実態を見ると、パートは正社員に比べて、単純作業を任せられることが多いようです。正社員とパートの関係も、正社員の指示によってパートが働くことが多く、正社員の方がパートよりも任せられる仕事の責任が大きいのが一般的です。いずれにしても、仕事内容に関しては、職場の環境や働く会社の方針によって異なることを理解しておきましょう。
パート勤務のメリットと正社員登用制度の活用法
パート勤務のメリット
パートと正社員では、「労働時間」に関して法律上の違いがあること。待遇や福利厚生、仕事内容などに関する法的な定めはないため、会社によって異なること――ここまで理解できたら、次にパートで働くメリットについて考えていきましょう。
【時間の融通が効きやすい】
パート=法的で定められた短時間労働者。つまり、正社員よりも短い期間働くパートのメリットは、なんと言っても時間の融通が効きやすいことにあります。「子育て中なのでフルタイムは難しいけれど、週に3日程度なら」といった具合に、本人の都合に合った働き方ができますし、自分の時間を確保しやすいというメリットもあります。
【未経験でも働きやすい】
パートは正社員に比べて、比較的単純作業を任されることが多く、パート募集の際にも「未経験可」とする企業もよく見かけます。そのため、出産や子育てなどで長く仕事を休んでいた人でも、気軽に応募することができます。「社員募集よりもハードルが低く、チャレンジしやすい」のは、パートを選ぶ大きなメリットです。
【自分のペースで働くことができる】
パートの場合、最初から「無期契約」で雇用契約を結ぶ場合は少なく、多くの場合は働く期間を定めた「有期契約」が一般的です。そして、契約を更新する際には、労働条件の希望を伝えることもできます。たとえば、これまで扶養の範囲内で働いていた方が、「仕事が面白くなってきたし、子どもも大きくなったので、これからはガンガン働きたい」と思うこともあるでしょう。労働日数を増やしたり、逆に減らしたりと、自分のペースで働くことができるのもパートならではのメリットです。
なお、有期契約で働き始めた場合でも、契約の更新によって通算5年を超えた場合、本人の申し入れがあれば無期契約に転換することができます。
以上、パートで働くメリットをご紹介しました。正社員とパートの違いを十分に理解した上で、自分に合った働き方を探してみてください。
パートから正社員を目指すルートも!
人生、長く生きているといろんなことが起こります。想定していたこともあれば、想定外のこともあるもの。「長く主婦でいたけれど、夫が病気になり仕事復帰。たくさん働いて、私が一家の大黒柱になるんだ!」という立場に変わる人も。人生いろいろだからこそ、その時々によって、自分の人生に適した働き方を選べるといいですよね。
もしも、皆さんが「いずれはフルタイムで働きたい」という思いを抱いているのなら、正社員登用制度のある会社を検討することをオススメします。
正社員登用制度とは、パートやアルバイトなどの非正規雇用者が正社員に移行できる制度のこと。正社員登用に関する条件などは法律で定められていませんが、多くの場合、勤務年数などの条件があり、面接などの選考を経て正社員に登用されます。
厚生労働省の「労働経済動向調査(2017年2月)」によれば、「正社員以外の労働者が正社員に登用する制度がある」と答えた事業所の割合は68%。「正社員登用制度はないが、正社員に登用した実績がある」と答えた事業所も8%ありました。
この制度を活用しようと思った方は、求人情報に「正社員登用あり」と書かれているかぜひ確認してみてください。
正社員登用制度を活用するメリットとしては、「職場の人間関係や業務内容などを把握した上で社員になれる」という点があります。もちろん、誰もが登用してもらえるとは限りません。選考に落ちてしまうことだって考えられます。
自分の年令が登用制度の対象になるか心配であれば、面接の際に聞いてみるのもよいでしょう。正社員を目指すほどの意欲を持っていると、アピールにつながるかもしれません。
また、正社員は無期雇用であり、企業にとっては雇用するリスクを伴います。そのため、「正社員として登用されたい」と考えているのなら、常日頃から意欲的に仕事に取り組み、実績を積んで上司や会社に「正社員に登用する価値のある人材だ」という認識をもたせることが大切です。
まとめ:正しい知識を身につけて、臨機応変に働き方を変えていこう
パートと社員、それぞれのメリット・デメリットを理解することはとても大切です。正しい知識を備えていれば、自分のライフスタイルやライフプランに適した働き方を選べるからです。今、パートで働いている人が社員を目指したいと思うようになる時が来るかもしれないですし、逆に産休や育休を利用して正社員として長く働き続けてきた人が、「やはりパートで働こう」という決断を下す場合もあるでしょう。
今の状況、そして、できることなら一歩先の未来を思い描いてみてください。そして、あなたと家族が笑って過ごせるような働き方を探していきましょう。