働きたくない...そんな気持ちを抱え続ける中高年への処方箋!原因・心理・対処法

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毎朝、目覚まし時計が鳴り響く中で、重い体をようやく起こす。その後に思うことは「会社に行きたくない…」だったりしませんか。心の中では「働きたくない」と思いながらも、出勤する日常が続けば、気づかぬうちに心が疲弊していくものです。どこかで切り替えないと…と感じている方のため、「働きたくない病」の原因と、気持ちを楽にするために試してほしい対策をご紹介しましょう。

「働きたくない病」とはどんな症状?

ネットで検索をしていると、「働きたくない病」という言葉を目にすることがあります。これは学術的な正式病名などではなく、「もう仕事したくない」「疲れてしまった」と不満を感じる状態を指す、いわばネットスラングの一つです。

「働きたくないなんて、甘えだ!」という考え方を持つ人もいるかもしれませんが、毎月どれくらい「働きたくない」という言葉がgoogleで検索されているかを調べてみると、月間平均で22,200回(2018年4月時点)。つまり、「働きたくないという気持ちを抱えながら、気力を振り絞って毎日頑張っている」そんな人は決して少なくないのだ、ということがわかります。

しかし、これまでは自らやる気を奮い立たせて仕事に向き合ってきたけれど、そのモチベーションがある時「ポキッ」と折れて、朝起きられなくなったり、どうしても会社に行けないなどの行動に変わってしまったら。それは「働きたくない」から、「働けない」に変わることを意味します。

若い頃であれば一定期間休みを取って充電。リフレッシュしてから新たな仕事を探す、という方法を取れるかもしれませんが、家計を支える40代・50代となるとなかなか空白期間をつくることは難しいもの。

「働けない」という状況に陥らないために、「働きたくない」と考えられる要素をはっきりさせて、対処法を考えていきましょう。

中高年の働くモチベーションが上がらない4つの原因

そもそも40・50代はうつ病を発症しやすい年齢です。

古典的なうつ病の人は、もっぱら自責感が強く、他人や家族に迷惑をかけて申し訳ないという気持ちが言動に表れていました。このようなうつ病を従来、「古典型」あるいは「メランコリー親和型」と呼んできました。しかも、うつ病の発症年齢は 40 ~ 50 代にピークがある、中年~初老期の病気とされていました。

引用:公益財団法人 神経研究所 精神神経科学センター発表
エキスパートに聞く その7「現代型うつ病」より抜粋
http://www.jfnm.or.jp/nl/news08/news8027.pdf

このような加齢的な下地があるうえに、以下のような要素が加わっている場合は、働くモチベーションを維持することも難しいものだと言わざるをえません。

うつ病についての専門的な情報

労働時間が長い

一日どれくらい働いていると「労働時間が長い」とされるかは個人・企業によっても異なる点がありますが、36協定を基準と考えるのであれば、1ヶ月の残業時間が45時間を超える場合は労働時間が長い、と考えてよいでしょう。

36協定で定める留意すべき事項に関する指針

労働時間が長いことの直接的なデメリットは「精神的・肉体的な負荷」が挙げられますが、以下のようなものも労働時間が長いことの弊害と言えるでしょう。

・自分の時間が取れないため、新しい事柄をインプットすることができない
・無駄な作業が多く、不毛な気持ちになる

結果として、心身が疲弊していくことは、やむを得ないことかもしれません。

人間関係のストレス

「人間関係のストレス」は、年代を問わず退職理由の上位になるものです。直接自分に降りかかるストレスから、周囲で起きているものまで幅広く、人間同士のキャラクターや会社の組織・業務の問題が複雑に絡みついていることが多いため、個人の努力ではなかなか解決することができない問題でもあります。

「このまま過ごすのも気分が悪い。しかし、下手にアクションを取ると今よりも悪い状況も考えられる...」と考えざるを得ないケースも多いため、在職している間中、ずっと悶々した気持ちを抱えている方も多いかもしれません。

給与・待遇の低さ

会社に数字上で貢献しているにも関わらず、正当な評価につながらない。そのようなケースでは、ないがしろにされているような気持ちになります。「評価されたい」「認めてほしい」という承認欲求が果たされず、努力しても状況が全く変わらないと「どうして、自分だけ?」という気持ちになりがちです。

40代や50代であれば、会社からの見返りは、昇給や管理職のポジションでしょう。同僚が先に見返りを得た、何もしていない上司だけがどんどん昇給していくなど、「やってられない」という気持ちが「働きたくない」につながるケースもあります。

仕事におけるマンネリ感

新卒で入社し、20年や30年と大きく変わらない環境で仕事をしてきた方は特に、「自分のこれまでは何だったのか」と疑問を感じることがあります。30代では疑問を感じなかったのに、40代になってからそれを感じる理由としては、「役職定年」や「定年退職」などキャリアのゴールが見えてくることが大きな要因です。

これまでは、社内でうまくやっていくことに集中していれば、自分のキャリアも安泰だった。しかし、「今後も会社が守ってくれるとは限らない」と気づいたとき、「今の仕事を続けていて、今後"自分"が稼いでいけるスキルになりうるか?」という不安を感じる場合も。そのような場合は、今の仕事を続ける意味に疑問を感じてしまい、モチベーションを下げてしまうこともあります。

「働きたくない」という気持ちを振り切るための対処法

上記に挙げた4つの原因は、これまでは「当たり前のこと」と捉えていたかもしれませんが、これらのいずれかが「働きたくない」という気持ちを誘発しているのであれば、それらを解消することが重要となります。これらの原因を解消するための対処法をいくつかご紹介します。

まずは家族と相談する

何かアクションを起こすにあたって、まず行うべきことは家族との話し合いです。現在の会社の状況、そして自分の状況を伝えましょう。もしかすると叱咤されることもあるかもしれませんが、あなたのことを誰よりも理解している家族であれば、自分では思いつかなかった解決法が出てくるかもしれません。

自分でこの状況を打開するための方法を思いついたとしても、家族の反対を受ければその実行は難しくなります。今後も長く働き続けるために大切なものは、身近な理解者であることを認識し、深いコミュニケーションを取りましょう。

自分の時間を確保し、リフレッシュに充てる

一日に1時間でもよいので、会社や仕事のことから離れられる時間を設けましょう。そうして確保した時間を「気分転換」に充てましょう。

有給を取得できるような状況であれば、土日と絡めて連休を確保。学生時代の頃の趣味に興じたり、運動して汗をかいたり。仕事や会社のことを完全に忘れるまで没頭してみましょう。

なかなか有給が取れない状況であれば、週に一回、曜日を決めて早帰りをし、「映画に行く」「喫茶店で本を読む」などの時間を取ってみることをオススメします。今ではインターネットカフェはいたるところにあるので、そこで昔読んだ漫画などを読み返すのもよいかもしれません。

短時間でも一つのことに没頭する時間を確保できれば、悩みやわだかまりを一時でも頭の片隅へ追いやることができます。これを継続することができれば、日常で受けるストレスを溜め込まない習慣を作ることができることでしょう。

社外の友人と会う

社内の友人と飲みに行き、愚痴をこぼし合うのもストレス解消になりますが、社内の場合だと本音が話せない場合もあり、かえってストレスが溜まってしまうことも。そういう時には、学生時代の友人や、会社を辞めた知人などと会うのがオススメです。

ポイントは「会社で働いている自分と利害関係がない」ことと、「自分の性格を把握している」人と話すこと。同じような会社規模で働いている知人と話していれば「他社も同様の課題を抱えているんだ」と、話す中で自分の問題を客観的に捉える視点を持てたりもします。

多くのストレスを抱えているときは、往々にして視野が狭くなりがちです。意識的にアンテナを外に向けることで、日常とは違う情報に接するようにしましょう。

根本解決は、ストレスの原因と向き合ってみること

「もうこれ以上ストレスを抱えきれない」と感じるのであれば、その根本解決となるのは、原因となっている当事者と向き合うことかもしれません。

自分の評価に対してストレスがあるのであれば、上司や人事部と。人間関係にストレスがあるのであれば、その原因となっている相手と。長時間労働が問題なのであれば、職場のみんなやクライアントと。マンネリを感じているのであれば、上司と話し合うことが解決に繋がるかもしれません。

話し合うときに大切なことは、「感情的にならない」ことです。感情的になってしまえば、単なる不満を撒き散らす存在として捉えられてしまう危険があるため、事実と自分の考えを整理したうえで、努めて冷静に対応しましょう。

自分の市場価値を把握しておけば、心にゆとりができることも

とはいえ、気軽にこの行動が取れるのであれば、元からこのストレスは生まれていませんし、自分のストレスの元となる当事者と相対するのは、もちろん気が重いもの。そのため、この行動を取る前には、「転職サイトを見る」「エージェントに登録する」などの行動を行い、自分の市場価値を把握しておきましょう。

「自分ならば他社でも高く評価される」なのか、「今以上の待遇は期待できなくても、転職自体は可能かも」などの市場感だけでも把握できていれば、自身の気持ちにゆとりができます。そのうえで当事者との行動を行い、こちらの要望を交えつつ、軽くジャブを出すくらいの気持ちで相手の出方を見極めましょう。

そのように話した上でも、どうしても当事者と折り合いがつかないのであれば、その時に初めて転職という選択肢を具体的に考えればよいでしょう。このプロセスを経た上で転職という選択を選んだ場合、納得感が強まるため次の環境で新鮮な気持ちを保つことに効果を発揮します。

まずは、今いる環境を改善するための最善を尽くし、それでも改善が期待できないならば環境を変える、という考え方で行動を取りましょう。

これからの必要年収を把握することが、重圧を跳ね除けるポイント

長時間労働などハードな働き方をしている方においていえば、拘束時間の短い仕事に変えることで、ポジティブな精神状態で働くことができるはず。労働時間が減れば収入が減少する確率は上がりますが、家計における収支が合うなら問題はないはずです。そのためにも、これからの生き方について家族と話し合いましょう。

「こんな暮らし方をするのであれば、何歳まで●●円の年収が必要」など、収入と暮らしぶりのシミュレーションを行えば、それに合わせた働き方を選択することが可能です。「苦しい思いをしてでも、老後の生活を安泰なものとするために、今の職場に居続ける」のか。「100万円年収を下げて転職。精神的なゆとりのある仕事を、長い年月続けていく」のか。選択肢は様々あるはずです。

責任感が強い方ほど「家族を養っていく」という重責を抱え込み、ストレスを溜め込んでしまう傾向がありますが、今は「大黒柱が一人で稼ぐ」ことが標準の時代ではありません。家族みんなが支え合い、必要とする所得を確保し、幸せに生活していくことを目標においてみてはいかがでしょうか。

そのためにも、求人サイトに目を通しておけば、「この職種はこれくらいの年収が平均」などの大まかな目安がつかめます。加えて、求人サイトに自分の職歴や希望条件などを登録し、メルマガを受信しておけば気になる求人が定期的に送られてきますので、それに目を通すだけでも求人市場の相場感を掴むことができます。もちろん、情報コレクターになる必要はありませんが、気軽に情報収集をしてみることがオススメです。

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