奨学金と教育ローンの違いは?どっちを選ぶ?特徴やメリット・デメリットを比較
- ちょっと得する知識
- 公開日:2026年10月22日
子どもの進学を控えたミドルシニア世代にとって、教育資金の準備は大きな課題のひとつです。物価上昇の影響もあり、奨学金や教育ローンの利用を検討する家庭も増えているが、「どちらを選べばよいのかわからない」という人も少なくありません。今回は、奨学金と教育ローンの仕組みや違い、それぞれのメリット・デメリットを解説します。合わせて、家庭の状況に応じた選び方や判断する際のポイントについてもご紹介していますので、奨学金と教育ローンの利用を検討している人は、ぜひご一読ください。
奨学金と教育ローンの仕組みと違い
進学費用について考えた際、「奨学金と教育ローンのどちらを利用するのがいいのか」と悩んでいる人は少なくないでしょう。どのような仕組みなのか、違いはあるのかを以下でご紹介します。
| 奨学金 | 教育ローン | |
| 返済義務を負う人 | 子ども | 保護者 |
| 借入額の上限 | 第一種:大学の場合、条件により月額が異なる(最高月額の例:私立・自宅外64,000円) 第二種:大学等では基本的に月額2万円~12万円 |
原則350万円(一定の要件を満たす場合は450万円) |
| 金利 | 無利子(第一種)または非常に低い(第二種:上限年3%) | 国のローン:固定金利(最新の金利は日本政策金融公庫で要確認) 銀行ローン:年2〜5%(変動金利が多い) |
| 受け取り時期 | 原則入学後に毎月定期 | 入学前に一括が多い |
| 資金の使い途 | 学業に関わる費用(使い途の証明は不要) | 学業に関わる費用について、幅広く利用可能(金融機関によって異なる) |
| 審査対象 | 学力基準・家計基準など | 保護者の年収・勤務状況・信用情報 |
| 申込時期 | 在学中の高校で春頃に申し込みが多い | 通年 |
| 保証制度 | 選択制(人的保証または機関保証)※奨学金の種類・返還方式等によって異なる | 金融機関・商品によって異なる |
| 申込先 | 日本学生支援機構(JASSO)・大学・地方自治体など | 銀行・信用金庫・日本政策金融公庫など |
奨学金と教育ローンは、返済義務を負う人・借入限度額・申込先などさまざまな部分が異なります。
契約や返済をする人がそれぞれ異なり、奨学金は学生本人が、教育ローンは保護者が対象です。奨学金は学生自身の負担が大きくなりますが、教育ローンは親の家計に影響を与えるため、将来の返済計画を考慮したうえでどちらを選ぶか決めてみてください。
奨学金は貸与額に上限があり、日本学生支援機構(JASSO)の場合は月ごとに3〜12万円程度を借入できます。教育ローンは一括でまとまった資金を借りるケースがほとんどで、350〜500万円ほどを借りられます。
金利は、奨学金の第一種の場合は無利子で利用可能です。第二種奨学金は有利子で、基本月額の利率は年3%が上限です。実際の利率は貸与終了時に決まり、「利率固定方式」と「利率見直し方式」で異なります。
教育ローンは金利が年2%〜と高めに設定されており、金融機関によって変動金利か固定金利かも変わります。
奨学金を利用するメリット
奨学金を利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では3つのメリットをご紹介します。
在学中に利息は発生しない
奨学金は、在学中は返済が不要なのが特徴です。卒業後から返済が始まるため、在学中には利息が発生しません。経済的に苦しい家庭でも、子どもが就職をしてから返済を行えるので、家計への負担を軽減できます。
もし、第一種で借入をした場合は無利子となるため、元本の返済のみとなり、より返済の負担を軽減できます。在学中の利息が発生しない仕組みは、特に大学院進学などによって在学期間が長くなる場合の総返済額に影響していきます。
金利が教育ローンよりも低い
奨学金は第一種の場合は無利子、第二種の場合は年3%を上限に金利が設定されています。実際の金利は1.0%台が多く、低い金利で借りられるのはメリットです。
奨学金は返済期間が15年や20年など長くなるケースが多いため、少しの金利差でも総返済額に大きな差が生まれます。総返済額を抑えるなら、奨学金を検討してみてください。
返済できない時の救済制度あり
奨学金は卒業後に返済が必要となる制度ですが、経済状況や雇用状況によっては返済が難しくなるケースもあります。毎月の返済が難しい人に向けて、「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」などの救済制度が用意されています。
一定の条件を満たした場合、返還月額を減らす「減額返還制度」を利用できます。当初の返還金額での返還が難しい場合、1回あたりの金額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1に減額ができる制度です。適用期間の上限は15年で、減額した分返還の期間が伸びる仕組みになっています。
返還期限猶予制度は一定期間返還を先送りできる制度で、適用期間の上限は通算10年です。返還を先送りした分、元の期限よりも返還期限が延長されます。どちらの制度も借りたお金を免除されるわけではない点は、理解しておいてください。
万が一休職や病気などで、どうしても返済が難しいと感じた場合に、救済制度を利用できるのが奨学金のメリットです。
奨学金を利用するデメリット
奨学金にはデメリットも存在します。どのような点が問題点になる可能性があるか、ぜひ確認してみてください。
入学前の費用には使えない
奨学金は、原則入学後に毎月定額を指定の口座に振り込まれます。毎月の学費や生活費には利用できますが、受験費用や入学前の準備資金には利用できません。奨学金の受け取り前に、まとまったお金が必要な時のために貯蓄をしたり、教育ローンの利用を検討したりする必要があります。
審査が厳しい
奨学金は教育ローンとは異なり、審査では親の年収以外にも世帯の所得や学生本人の学力も見られます。特に、成績優秀者向けの給付型奨学金や無利子の第一種奨学金は競争率が高く、条件によっては審査に通らない場合もあります。
奨学金には学力基準や家計基準などが設けられており、条件を満たさなければ利用できない場合があります。希望すれば誰でも利用できる制度ではないため、事前に対象条件を確認することが大切です。
子どもが返済する必要がある
奨学金は契約も返済義務を負うのも学生本人です。そのため、卒業後に就職で収入を得るようになったら、長期間にわたって返済を行う必要が発生します。就職直後の収入が少ない時から返済が始まるので、将来の家計に影響を与える可能性があります。
奨学金の利用は、子どもの経済的な負担になる点はデメリットです。利用する際は、家族と返済計画についてもよく話し合っておいてください。
教育ローンを利用するメリット
教育ローンは奨学金よりも借入限度額が高い点や、利用用途の自由度が高いなどのメリットがあります。具体的な内容は、以下の通りです。
学力を問わずに利用できる
教育ローンでは、一般に借入を行う保護者について審査が行われます。利用条件や審査基準は金融機関・商品によって異なります。なお、「国の教育ローン」には世帯年収(所得)の上限があります。
奨学金のように学生本人の学力は審査に含まれないため、学力に自信がない人でも審査に通過すれば利用できるのがメリットです。奨学金よりも利用できる可能性が高く、進学の選択肢を広げられるのは教育ローンの魅力となります。
子どもは返済しなくていい
教育ローンは契約者・返済義務のどちらも、保護者の名義となるため、子どもが返済をする必要はありません。
卒業後の就職や生活設計に影響を与えにくいため、学生がより自由に将来のキャリアを選びやすくなるのがメリットです。教育ローンは、子どもの将来に不安材料を残したくないと考えている人からは選ばれやすい制度です。
利用用途の自由度が奨学金より高い
奨学金も教育ローンも、利用用途は学生生活に関わる費用としています。しかし、奨学金は入学後に支払われるため、学費や生活費など学生生活がスタートした後の出費が主な利用用途になります。
教育ローンは入学前に一括して借りられるため、学費以外にも受験費用・入学金・通学のための引っ越し費用など、幅広い用途に利用可能です。申し込みも必要と思った時にできるので、入学後でも必要なタイミングで資金を活用できます。
教育ローンを利用するデメリット
柔軟性の高い教育ローンにもデメリットがあります。ここでは2つのデメリットをご紹介いたします。
金利が奨学金より高い
教育ローンは奨学金と比較すると、金利が高いのが特徴です。奨学金は第一種が無利子、第二種は年3%を上限としています。教育ローンは金融機関によっても異なりますが、年2〜5%が一般的です。
国の教育ローンを利用した場合は、年2%の固定金利となりますが、奨学金よりも高くなります。借入期間が長いほど利息負担も増えるため、利用する際は早めに返済ができないかを検討してみてください。
在学中から利息がスタートする
教育ローンは借入後から利息負担が生じます。国の教育ローンでは通常の返済のほか、在学中は元金を据え置いて利息のみを返済する方法も選択できます。ただし、据置期間も返済期間に含まれます。
借入金額や申し込みのタイミングによって、利息負担も変わってくるため、利用する際は慎重な考慮が必要です。
家庭の状況別選び方のポイント
家庭の状況によって、奨学金が向いている場合と教育ローンが向いている場合が異なります。どのような人がどちらに向いているのかについて、以下でご紹介いたしますので、利用を迷っている人はぜひご確認ください。
奨学金が向いている人
奨学金の利用が向いているのは、以下のような特徴がある人です。
- 金利を抑えたい
- 申し込み条件を満たしている
- 学生本人が返済を検討している
奨学金は経済的な理由で進学が困難な人向けの制度のため、所得制限や学力基準が設けられています。どちらの条件も満たしている場合は金利も抑えられるので、より無理なく利用ができるでしょう。また、学生自身が返済に意欲的なケースも、奨学金の利用が向いています。
教育ローンが向いている人
一方で、教育ローンが向いている人は、以下のような特徴のある人です。
- 親が返済を負担できる
- 学費以外にも利用したい
- まとまった資金が必要
教育ローンの中には、留学費用などに利用できる商品もあります。在学中から保護者が返済をできる環境であることも重要になります。
奨学金と教育ローンは併用もできる
奨学金と教育ローンは併用も可能です。柔軟な資金の使い方ができるようになるため、ぜひ併用も検討してみてください。民間教育ローンは各金融機関の商品条件を確認する必要があります。
奨学金と教育ローンの使い道
例えば、学費や生活費は奨学金を活用し、入学金や入学準備費用は教育ローンで支払うなどの使い方ができます。
奨学金と貯蓄だけでは入学に関する費用が厳しい、全額教育ローンで支払うのは将来の返済が難しいという際は、ぜひ併用を検討してみてください。ただし、利用をする際は両方の審査に通過する必要があります。
長期的な返済プランを計画する
奨学金も教育ローンも、長期的に返済をするのが一般的です。少しでも無理なく返済をするためには、事前にプランを決めておく必要があります。現在の家計状況を考慮して、無理なく毎月返済できる金額を算出してみてください。
奨学金は子ども本人の名義で契約を行い、返済も子ども本人が行うことになります。子どもも交えたうえで、どのような借入を行うのか、返済プランはどのような方法を検討しているかなどを話し合っておいてください。
まとめ
奨学金と教育ローンの違いやそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介いたしました。奨学金は契約者や返済義務を負うのが子ども本人、金利が低いなどの特徴があります。教育ローンは契約者も返済義務も保護者に発生し、金利は奨学金よりも高くなるなどの違いがあります。
金利を抑えて利用したい、学生本人が返済を考慮している場合は奨学金、親が費用を負担できる、学費以外にも費用を利用したい場合は教育ローンがおすすめです。メリット・デメリットを今一度確認し、どちらが向いているのか、併用もできるのかをぜひご確認ください。