人生三大支出に備えて、ライフプランの組み立てを!今から始める資金準備のポイント

  • ライフプラン・人生設計

充実した人生を送るためには、ライフプランをしっかりと組み立てておく必要があります。本日は、人生三大支出を念頭において人生設計をする重要さをお伝えします。

人生三大支出とはお金が必要になるライフイベントの費用

人生の三大支出とは、人生を送る中で特にお金が必要になるライフイベントにまつわる費用のことを指し、一般的には、住宅資金・教育資金・老後資金の3つのことをいいます。それぞれまとまったお金が必要になるため、予めしっかりと計画した上で、資金の用意をしておく必要があります。

しかも、これらの支出は個別的なものではなく、人生設計において互いに深く関連しているのが特徴です。例えば、住宅購入の際に無理な住宅ローンを組んでしまった場合、教育資金や老後資金が足りなくなってしまう、という事態が起きる恐れがあるからです。

また、教育資金に配分をかけすぎた場合、老後の資金が不足してしまうなんてことも。つまり、人生三大支出を考える際に、人生というトータルでどのくらいの資金を使えるかどうかという予算の割り振りを考えておくことが非常に重要になるでしょう。

さらに、子どもが増えれば教育資金は2倍、3倍・・・と膨らんでいきます。現在の日本では少子化対策として様々な施策を進めていますが、現状の少子化の深刻さを踏まえるとまだまだ各家庭への支援等は十分ではないと言わざるを得ません。

日本の定年までの生涯年収は、男性では高校卒で約2億7千万円、大学卒では 約3億 3千万円、女性の高校卒においては約1億9千万円、大学卒であれば2億6千万円と試算されています。

このように、自身の生涯年収に応じて人生三大支出をしっかりとライフプランに組み込んでおかなくては、お金が必要な場面で資金不足に陥ってしまいかねないのです。

人生は予期せぬことも起こり得ます。親の介護や自身の病気などあまり考えたくはないですが、生きていれば様々シーンでお金が必要となるもの。そのため、まずは人生三大支出を踏まえてライフプランを設計していく必要があるのです。

データ元:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2024」

人生三大支出①住宅資金とは?

住宅資金とは、住宅ローンや住宅に関わる資金の総称です。現在、住宅の購入価格帯としては、建売住宅が約3,600万円、マンションが約5,300万円とのことです。値段的にみても、人生で最大の買い物となる住宅資金の準備こそ、事前にしっかりとした計画が必要となるでしょう。

住宅は購入してからも修繕費や維持費などがかかることが多いため、その分も計算して住宅資金を準備する必要があります。月々の住宅ローンを組む場合にも、返済可能な額かを見極めてローンを組まなければ後々家計を圧迫するだけではなく、返済ができないという危険性もあるのです。

なお、人によっては賃貸で一生を過ごすという方もいるでしょう。その場合は、気軽に引っ越しができ、住宅ローンの返済で頭を悩ますことがない反面、家賃を払い続けていかなくてはなりません。つまり、老後も住居費がかかってくることを覚えておかなければならないのです。

将来、マイホームとして住宅を手に入れるのか、維持費を抑えることができる賃貸で過ごすのかは、ライフプラン設計を立てる上で重要な選択を迫られる場面かもしれませんね。

データ元:住宅金融支援機構「2024年度集計表」

人生三大支出②教育資金とは?

教育資金とは、子育てをする上で必要となる費用です。日本での大学進学率は約6割に上ると言われ、ほとんどの子どもが大学まで進学すると考えると、そこまでを前提に資金を用意しておかなければなりません。

また、小学校でかかる年間の教育費は、公立では約33万円、私立は180万円ほどと言われています。中学校では約55万円、私立では150万円ほどになるのだとか。義務教育が終わる高等学校においては、公立で約60万円、私立では約100万円が必要になるとされています。

その先の大学進学に目を向けてみると、国公立大学では4年間で約250万円、私立大学は4年間で約400万円がかかるといわれていますから、教育費にかかるお金は決して安いとは言えないでしょう。

高校までは公立で、大学だけ私立に進んだ場合にかかる教育費は約1,000万円。高校も大学も全て私立、さらに大学は理学系に進学した場合には教育費の総額はおよそ2,400万円とも言われています。進路にもよりますが、教育資金の支出は人生でみても大きくウェートを占めるものだということがわかります。

子どもが複数人いればその人数分だけ教育資金も必要になります。また、兄弟姉妹の年齢が近ければ、同じ時期に多くの費用がかかるため、息をつく暇もなくお金が必要になることが予想されます。

高校無償化など教育制度も徐々に充実してきてはいますが、それでも習い事や学習塾に通うとなると、教育費用だけで結構なお金がかかることがわかるでしょう。

このように、教育費用は子どもが成長するほど資金が増えていく傾向にあるため、子どもが生まれる前から教育資金を貯め始めるなど、早めに対策をしておく必要があります。

データ元:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」、文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

人生三大支出③老後資金とは?

老後資金とは、定年退職後から寿命に至るまでにかかる生活費や、その他もろもろの費用のことを指します。厚生労働省によれば、現在の平均寿命は男性では約81歳、女性では約87歳とのこと。つまり、長生きした分、老後の資金は必要となるのです。

ある調査によれば、65歳以上の夫婦2人の年金を含めた平均的な月の収入はおよそ25万円とされています。それに対し、平均支出は約27万円とのことです。また、夫婦2人がゆとりのある生活費を送るには月額平均で約38万円が必要なのだとか。

つまり、普通の暮らしをしていくのにも約2万円の赤字が生じてしまうのにも関わらず、ゆとりある生活をしようと考えた場合には、月に約15万円も不足金が出てしまう計算になってしまうのです。

その上、健康状態によっては医療費も必要になりますから、老後資金は予期せぬ事態を想像し、余裕を持って用意しておく必要があるでしょう。あまり考えたくはないですが、人間いつかは死んでしまう生き物です。しかし、その寿命は人によって異なるため、老後の資金が一体いくらかかるかはあまりはっきりとは把握できないのです。

なお、公的年金の受給額は人によって異なります。まずは、毎年届く「ねんきん定期便」で自身がどのくらいの年金額がもらえるのかを把握しておきましょう。「ねんきん定期便」には、加入歴に応じて支給される予定の年金額が記載されています。

受け取れる年金を把握することで、老後資金はいったいどのくらい必要になるのかという見通しをたてておくことができるでしょう。

データ元総務省「家計調査(家計収支編) 調査結果」

人生三大支出以外にも、考えておきたい資金とは?

人生三大支出に備えることも重要ですが、生きていればそれ以外にも大きな支出は存在するものです。

・お祝い金

子どもが結婚するときに必要になるのがお祝い金です。相手の親がお祝い金を出す場合、こちらが出さないという訳にもいきません。また、子どもが複数人いれば費用はさらに嵩みますから、子どものライフイベントにかかるお金も用意しておく必要があるでしょう。

・孫へのお金

意外とお金がかかるのが孫へのお金です。お年玉や入学祝いなどのイベントだけでなく、会うたびにお小遣いを渡すと考えると、細々とお金が必要になります。子育てが一段落したと思ったら、今度は孫へのお金が必要となることも頭の片隅に入れておいてください。

・親の介護費用

親の介護も予期せぬ出費の一つでしょう。介護保険を活用してもそれだけでは足りないことが多いため、貯金を切り崩さないといけないかもしれません。主な費用としては、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計が平均47万円、月々の費用が平均9万円になるとされています。

さらに、親だけではなくいずれ自分の介護費用も同様にかかると考えると、介護費用も人生において大きな割合を占める支出の一つでしょう。

・墓に関わる費用

墓じまいの費用も必要になってくるでしょう。墓じまいとは先祖代々の墓を撤去して遺骨を別のところに移すことをいいます。遺族が高齢になったり、お墓が遠いなどの理由でお墓参りに行けなくなってしまったりと、墓じまいをする方は年々増えているといいます。

人にもよりますが、お墓の撤去に始まり遺骨の取り出し、お布施、離檀料、埋葬費、お布施代などで100~300万円ほどはかかります。

・住まいのリフォーム

住まいのリフォームは老朽化だけでははく、バリアフリー化や子ども世帯との同居などをきっかけに考える人も多くいます。費用は内容によって様々ですが、エレベーターをつけるといった大掛かりなものになると300万円ほどはかかることを覚えておきましょう。

データ元:総務省「家計調査(家計収支編) 調査結果」、公益財団法人生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」

人生三大支出に備えて、定年後も働くという選択肢を!

老後の資金を備えるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

・貯蓄金額を増やす

やはり大事になるのが預貯金です。まずは家計を見直して生活費を抑え、貯蓄にまわす金額を増やすことを目指しましょう。住居費や光熱費、サブスク料金等の固定費は、案外無駄使いになってしまっている場合も考えられます。固定費を見直し、支出を抑えた分お金を貯蓄に回すのがポイントです。

・資産運用をする

預貯金で貯めるだけでなく、資産運用でお金を増やすことも老後の資金を備えるための方法でしょう。老後資金準備には、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)といった金融商品から投資信託や株式投資といった運用効率が高いものまで様々あります。

ほとんどの場合、こういった運用で利益は出るとのことですが、価格が変動するタイプの投資商品は、元本割れするリスクもあることに注意が必要です。

・保険

変額保険や個人年金保険といった、貯蓄型保険も有効手段でしょう。保険は、万一のときに保障も受けられます。人によっては、老後資金や教育資金準備として保険を活用する方も多くなってきているのです。

・定年後も仕事を続ける

定年退職後も仕事を続ければ、年金だけでは足りない老後の生活費をカバーできます。勤務先の再雇用制度などを活用し、同じ職場で仕事を続けることも選択肢の一つかもしれません。また、最近では柔軟性のある働き方が主流となっていますから、体力と相談しながら時短やフリーランスなどご自身のライフスタイルに合わせて働くことができるでしょう。

働くことにより、年金の繰下げ受給制度を活用することもできます。最大75歳まで繰下げると、年金の増額率は最大84%となるため、将来の年金額を増やすことも可能となります。

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まとめ

支出ばかりに目を向けると少し暗い気持ちになってしまうかもしれませんが、人生の主役は自分です。お金に人生を振り回されないためにも、三大支出に備えてライフプランの設計をしていきましょう。

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