定年退職後は保険を見直すタイミング?選び方のポイントと注意点をご紹介

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定年退職を迎えて将来を考えた際に、加入している医療保険や生命保険について、今後どうするか悩んでいる人は多くいるでしょう。今回は定年退職後に保険を見直す際のポイント、定年退職後におすすめの保険などをご紹介しています。保険を選ぶ際の注意点も解説していますので、今後保険をどうするか悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

定年退職後に保険を見直す際のポイント

定年退職を迎えてから、加入している保険を見直す際にはいくつかのポイントを意識しましょう。老後の生活に見合った保障内容になっているかに注意して、現在加入している保険を見直してみてください。

死亡保障は高額すぎないか

保険を見直す際は、加入している生命保険の死亡保障が高額になっていないか確認しましょう。死亡保障は保険に加入している人が亡くなった際に、残された家族が死亡保険金を受け取れる保障です。

もし小さい子どもがいる、保険の加入者によって生計が成り立っている場合は、高額な死亡保障が必要となるでしょう。しかし、定年退職後は子どもが独立している場合が多いため、高額な死亡保障は必要ない場合がほとんどです。死亡保障については減額または、カットができないか検討しましょう。

老後の病気のリスクに備えられているか

老後の保険では死亡保障よりも、病気や怪我のリスクに備えた保障が充実しているか確認しましょう。特にがんは、60歳を過ぎると急激に罹患率が上昇します。がんの治療は長期になる場合もあり、費用も通常の治療より高額になる可能性があります。限られた収入や貯金では、やりくりが難しくなるでしょう。

公的医療保険制度である程度費用負担は軽くなりますが、適用されない場合もあります。万が一の事態に備えて、医療保険やがん保険の保障内容は手厚い内容になっているか、先進医療に対応しているかなどを確認しましょう。

また、健康状態によっては医療保険やがん保険に加入できない場合もあります。見直しの際には、事前に医師に相談しましょう。

介護にも備えているか

見直しの際には、介護に備えているか確認しましょう。60歳以降は病気や認知症などにより、介護の必要性が高まっていきます。介護が必要な期間が長くなれば、必要になる費用は増えていきます。

生命保険文化センターの調査では、介護にかかった月々の費用は平均で8.3万円、介護期間の平均は5年1ヶ月です。日本では公的な介護保険制度が設けられているため、利用料の1〜3割を負担すれば、さまざまな介護サービスを受けられます。

しかし、介護期間の長期化や高額な介護サービスが必要な場合は、自己負担額は増えていきます。貯蓄だけでは賄えない場合や、施設介護も検討している人は、民間の介護保険への加入を検討しましょう。

保障期間は十分か

加入している保険の保障期間は十分であるかも、見直しの際に確認しましょう。定期型の保険に加入している場合は、定期的に更新が行われ保険料が上がっていきます。定期型保険の場合、60歳以降になると途中で更新の上限年齢に達して更新ができなくなり、保障が無くなる可能性もあるでしょう。

仮に更新の上限年齢が70歳までとなっていた場合、医療保険やがん保険の必要性が高まっていく70歳以降に、保障が無くなってしまいます。定年後に見直す際には、終身型になっているかを確認し、定期型の場合は終身型への移行を検討しましょう。

保険料額は生活に合っているか

見直しをする際は、保険料額が老後の生活に合った金額になっているかも確認しましょう。保険は保障内容を手厚くするほど、保険料が高くなっていきます。収入が少ない定年退職後では、保険料が家計を圧迫する可能性もあります。

保険商品は保障内容が重なっている場合もあるため、複数の保険に加入している際は、保障内容を確認しておきましょう。同じ保障内容でも会社によって料金が異なっているため、保険会社ごとの比較もおすすめです。

安い保険があった場合は、契約の切り替えも検討しましょう。保険の切り替えまではしなくても、保険内容を見直して不要な保障を外せば、その分保険料額は下げられます。

定年退職後におすすめの保険

定年退職後に新たな保険に加入する際は、これまでとは異なる観点から保険を選びましょう。以下では、おすすめの保険を4種類ご紹介します。

死亡保険

子どもが独立しており、住宅ローンの返済が終了している場合は、高額な死亡保障は必要ありません。しかし、自分が亡くなった時に配偶者の生活費を残しおきたい、葬儀費用を準備しておきたいという人は、死亡保険への加入を検討しましょう。

死亡保障には保険期間が決まっている定期型と、一生涯保障が続く終身型があります。定期型の場合は保険料が安くなりますが、保険期間は10年や20年がほとんどです。60歳で加入した場合、保険期間が終了するのは70歳や80歳で、まだまだ保障が必要な時期でしょう。

年齢が上がるにつれて保険の再加入は難しくなるため、無保険状態になる場合もあります。終身型は保険料が高いですが、途中で解約しない限り保障が続きます。途中で解約をしても、払込保険料に応じた解約返戻金が受け取れる点もメリットです。保険料や保障内容を比較して、定期型と終身型のどちらが合っているかを検討しましょう。

がん保険

60歳以降から罹患率が上昇するがんに備えるためには、がん保障に特化した保険への加入もおすすめです。保障内容は商品や会社によって異なりますが、がんの診断がされた時に一時金が出たり、先進医療にも対応していたりといった内容が用意されています。

自由診療に備える特約が付いている商品もあるため、将来のために備えておきたい人はぜひご検討ください。また、がん保険と同時に、がん以外の三大疾患(心疾患、脳疾患)に特化した保険への加入や特約の付加もおすすめです。病気になった時に、治療の選択肢が多くなるもの、家族の生活を少しでも助けられる保険を選ぶようにしましょう。

医療保険

医療保険は病気や怪我で、手術や入院をした際に給付金が受け取れる保険です。60歳以降は病気や怪我のリスクも高まるため、医療保険は必要になっていきます。

入院や手術の際の給付金は、公的医療保険の適用対象外になる食事代や差額ベッド代などに充てられます。先進医療の保障を付けておけば、医療費に関する出費も抑えられるため、ぜひ検討しておきましょう。

介護保険

日本には公的な介護保険制度があるため、介護に関するサービスの利用は自己負担1〜3割で利用ができます。しかし、公的な介護保険制度では備えられない部分もあるため、民間の介護保険でカバーをするのがおすすめです。

日本は平均寿命が伸びており、その分介護が必要となる人や期間も増加しています。将来、介護施設の利用を希望している人や、家族への負担を減らしたい人は民間の介護保険への加入も検討しましょう。

定年退職後に保険を選ぶ時の注意点

定年退職後に保険に新たに加入する際や、新しいプランへ変更する際は、以下のポイントに注意して選びましょう。

特約は最低限にする

保険の特約は、最低限になるように注意しましょう。保険は基本保障の他に、特約を付けることでさまざまな病気や通院の保障ができるようになります。例えば医療保険の場合は、入院保障と手術保障の基本保障に終身保険特約を付けて、一生涯の死亡保障を確保できる商品もあります。

高齢になると病気や死亡のリスクが高まるため、特約を付けて安心感を得ようと考える人もいるでしょう。しかし、特約は付けた分だけ保険料が高くなっていきます。収入が少ない定年退職後では、保険料が毎月の家計を圧迫する可能性もあります。家計とのバランスを考えて、特約は最低限にしましょう。

終身型を検討する

安心して老後の生活に備えるためには、終身型の保険を検討しましょう。保険には保険期間の決まっている定期型と、一生涯続く終身型があります。定期型の場合は保険期間が10年や15年と決まっている場合が多く、更新をすると保険料が高くなっていきます。

更新には年齢の限度があるため、一定の年齢になると更新はできません。掛け捨てになるため、支払った保険金が戻ってくることもありません。終身型の保険料は高いですが、保障が一生涯続くこと、貯蓄性があるため解約しても支払った保険金が戻ってくるというメリットがあります。

60歳以降は、保険料が家計を圧迫しないのであれば、終身型の保険への加入を検討しましょう。万が一の時に保障が切れる心配もなく、安心して治療に備えられます。

加入や更新ができない可能性がある

保険は高齢になると、加入や更新ができない可能性があることを知っておきましょう。保険に加入する際は、健康状態の審査を受ける必要があります。60歳以降は病気になるリスクが高くなるため、新規加入や更新を断られる可能性があります。

医療保険に加入したいが病歴や持病がある人は、無選択型・無告知型医療保険や引受基準緩和型・限定告知型医療保険などを検討しましょう。無選択型・無告知型医療保険は、病歴や持病についての告知をせずに加入ができますが、保険料が高かったり、契約後の一定期間内の入院は保障外になったりなどの制約がある保険です。

引受基準緩和型・限定告知型医療保険は、通常の医療保険よりも引受の審査基準が緩和されているため、病歴や持病があっても加入しやすい保険です。保障内容や加入条件をよく確認したうえで、加入するかを検討してみてください。

更新型の保険は保険料が上がる

更新型の保険に加入する場合、更新のタイミングで保険料は上がっていきます。定年退職後に更新を迎える場合は、保険料が収入に見合わなくなる可能性があります。それまでは問題がなくても、老後の生活が苦しくなる可能性もあるため、更新前には更新後の保険料を一度確認しましょう。

もし保険料が高額になる場合は、他の保険へ加入する、プランを変更するなどの見直しが必要です。特に医療保険やがん保険は、高齢になるほど必要性が高まるため、早めに終身型へ切り替えるのもおすすめです。

新しい保険の契約が成立してから現在の保険を解約する

新しい保険に加入する際は契約が成立してから、現在の保険を解約するようにしましょう。定年退職後は保険への加入が厳しくなるため、審査で落ちる可能性が高くなります。新しい保険を契約する前に現在の保険を解約すると、最悪の場合無保険状態になってしまいます。

その後、別の保険にも加入できない場合や、加入できても以前よりも保険料が高額になる場合もあるでしょう。少しでも将来の備えを考えるなら、焦らずに新しい保険の契約が成立してから、現在の保険を解約しましょう。

定年退職後に利用できる公的制度

定年退職後には、高齢者医療制度と介護保険制度の2つの公的制度が利用できます。制度の内容を理解してから、必要な民間保険への加入を検討しましょう。

高齢者医療制度は65〜74歳が対象の前期高齢者医療制度と、75歳以降が対象の後期高齢者医療制度の2つがあります。69歳までは3割、70〜74歳は2割、75歳以降は1割の自己負担で治療が受けられる制度です。

介護保険制度は、要介護状態にある人が訪問介護や訪問看護などを、1割の自己負担で利用できる制度です。自宅介護はもちろん、施設に入居した場合も制度の対象になります。ただし、上限額や対象となる範囲が決まっているため、公的な制度だけでは費用が足りなくなる場合もあります。

まとめ

定年退職後の保険を見直すポイントや、おすすめの保険をご紹介しました。定年退職後は高額な死亡保障が付いていないか、病気やがんに対する保障が手厚いかを意識して、見直しを行いましょう。もし現在加入している保険だけでは足りない場合は、医療やがんの保障が手厚い保険がおすすめです。

また、定期型ではなく終身型の保険を選ぶと保障が必要になった時に、保険期間が切れているという事態を防げるでしょう。現在の保険内容が老後の生活に合っているか、より充実した内容で月額が安くなるものはないか、ぜひ一度見直してみてください。

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