離職票とは?手続きの方法や届く時期、押さえておきたいポイント

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離職をする際に発行される「離職票」について、よくわかっていないという方は多いでしょう。退職証明書や雇用保険被保険者離職証明書など、似たような書類も多く、混同してしまうことも。離職票がいつ届くのか、どんな手続きが必要か…今回は離職票について解説します。

離職票とは退職した会社から発行される書類

離職票とは、退職した会社から離職者に対して発行される書類です。正式名称は、「雇用保険被保険者離職票」といいます。ハローワークで、基本手当と呼ばれる雇用保険の失業手当の手続きをする際に必要になります。通常は退職してから10日前後で発行され、郵送などで手元に届きます。

離職票は原則59歳未満かつ、離職票の発行を希望しない場合を除いて全ての退職者への発行が義務付けられています。もし、離職票の発行を希望しているのに会社から送付されない場合、退職日の翌日から12日目以降であれば、離職票が届く前にハローワークで失業給付の仮受付が可能です。

なぜ離職票が必要となるのか

離職票は、失業手当を受ける際にハローワークへ提出します。転職先が決まっていない状態で退職し、失業手当の給付を受けたい場合には必ず必要になります。失業手当の手続きが進まないと、給付日数が残っていても給付が打ち切られる可能性も。必要となった際は、早めに離職票の発行を依頼しましょう。

次の転職先が決まっている場合は失業手当を受けられないため、離職票は必要ありません。離職票の発行も不要となるため、発行の必要ない旨を会社へ伝えましょう。

離職票と類似書類との違い

離職票とは別に、退職時には「離職証明書」や「退職証明書」が発行されます。どのような違いがあるのでしょうか。

退職証明書とは

退職証明書とは、退職したことを証明する書類です。離職票は公的な文書ですが、退職証明書は私的文書であり、あくまで企業が独自に作成して退職者に送付します。特に決まった書式はなく、使用期間や業務の種類、事業における地位・賃金・退職事由などが記載されます。

退職証明書の使い道は、主に以下の2つです。
• 転職先から提出を求められた場合に、退職した証明として提出
• 離職票の交付が遅れている場合に、離職票の代わりとして提出

退職証明書は発行が義務付けられていないため、退職者から要望があった場合にのみ発行されます。退職から2年以内であれば、会社側は必ず発行する必要があるため、転職先で提出を求められた際は、前の勤め先へ依頼しましょう。

雇用保険被保険者離職証明書とは

雇用保険被保険者離職証明書は、会社が離職票を発行してもらうために作成する書類です。離職証明書とも呼ばれ、会社がハローワークへ提出します。具体的には、従業員が退職した際に雇用保険被保険者資格喪失届と同時に、離職証明書をハローワークに提出し、従業員を雇用保険から脱退させる流れです。

離職証明書は3枚1組の複写となっており、そのうちの1枚が離職票-2として退職者に交付されます。基本的には会社側が用意する書類のため、退職者が何か準備をする必要があるものではありません。

雇用保険被保険者喪失届とは

雇用保険被保険者喪失届とは、会社が退職者を雇用保険から外すための手続きに使う書類です。退職時のほか、従業員の就労時間が週20時間未満となった際や、死亡した場合にも発行されます。被保険者でなくなった日の翌日から、10日以内に会社が作成し、雇用保険被保険者離職証明書と同時に会社からハローワークへ提出します。

退職者には離職票-1として、手元へ発行されます。こちらも、会社側が処理をするために必要な書類のため、退職者側で準備をする必要がありません。

離職票で確認する箇所と書き方

離職票は基本的に手元に届く際は、ほぼ完成した状態です。しかし、届いた後に自身で記入をするべき箇所もあります。以下では、具体的な離職票の見方や書き方についてご紹介します。

離職票-1

離職票-1には個人番号と、求職者給付等払渡希望金融機関指定届の記載が必要です。
個人番号は情報漏洩を防ぐため、ハローワークに行ってから窓口にて退職者本人が記載します。あらかじめ、個人番号のわかるものを用意してから窓口へ向かいましょう。

求職者給付等払渡希望金融機関指定届は、給付金の振り込みを希望する金融機関を記載します。事前に記入する項目ですが、記入の仕方がわからない場合はハローワークの窓口で確認しましょう。

離職票-2

離職票-2の場合は左側のページは、すでに会社側で記入されています。しかし、右側の部分は自身で記入する必要があります。主な記入箇所は、以下の通りです。

• 離職事由横の「離職者記入欄」の該当箇所に○
• 具体的事情記載欄(離職者用)に「同上」と記載
• 離職者本人の判断
• 署名

具体的事情記載欄には事業主用があり、間違いがない場合に「同上」と記載します。もし、本来の離職理由が認識と異なる場合は、本来の離職理由を記載しましょう。

離職者本人の判断は会社が選択した離職理由に対して、異議がある場合は有り、無い場合は無しにを記入し、最後の欄に署名します。会社側の記載内容と異なる、と異議を申し込んだ場合はハローワークが、会社に事実確認を行います。

離職票の発行から送付されるまでの流れ

離職票が発行されてから送付されるまでには、いくつかの工程があります。具体的には、以下の流れで発行され、手元まで送付されます。

①雇用保険の加入有無を確認する

在職中に雇用保険に加入しているかどうかの確認をします。失業手当は雇用保険に加入していないと、受け取れないためです。雇用保険に加入しているかどうかは、以下の2つの方法で確認できます。

• 給与明細に雇用保険の控除項目があるか
• 手元に「雇用保険被保険者証」または「雇用保険資格取得等確認通知書」があるか

会社は原則週20時間以上、31日以上継続して働く見込みがある労働者を、雇用保険に加入させる義務があります。フルタイムで働いている場合は、基本的に雇用保険に加入しているでしょう。

➁会社へ離職票の発行を確認

離職票は原則発行されますが、希望をしない場合は発行されません。会社によっては依頼をしなくても準備をしてくれる場合もありますが、確実にもらうためには退職が決まった際に依頼しましょう。

会社によって依頼の仕方は異なるため、事前に依頼する方法を確認するとスムーズです。もし、退職後に依頼をする場合は、メールや電話などの方法で会社に問い合わせましょう。

➂会社からハローワークに離職証明書の発行を申請

会社へ離職票の発行を依頼した後、会社側はハローワークへ離職票発行に必要な書類を提出します。離職証明書と雇用保険の資格喪失届が会社からハローワークに提出されます。

離職証明書には、退職者本人の署名・捺印が必要です。しかし、すでに退職者が退職している場合は省略できます。退職理由などが記載されているため、会社側から確認を求められた際は、しっかりと確認しましょう。

④ハローワークから会社へ離職票を交付

ハローワークでは提出された離職証明書の内容を確認し、「離職票-1」と「離職票-2」を会社宛に発行します。離職票-1には退職者の名前などの基本的な情報、離職票-2には退職理由や支払った給与などの情報が記載されています。この段階で、退職者が行う手続きはありません。

⑤会社から退職者に離職票を渡す

ハローワークから会社に離職票が届い後、退職者に離職票が送付されます。一般的には郵送で届けられ、おおよそ10日前後で手元に届きます。その後、ハローワークへ向かい失業手当の手続きを行いましょう。

離職票を再発行する場合

離職票を紛失してしまった場合は、ハローワークへ申請すると再発行が可能です。自身で発行するのはもちろん、会社へ依頼する方法もあります。

ただし、再発行ができるのは、一度離職票が発行された場合のみです。一度も発行されていない場合は、前職の会社へと依頼をする必要があります。また、離職票は何度でも再発行可能です。ハローワークで再発行の申請をする方法は、以下でご紹介します。

会社に依頼をして再発行してもらう場合

離職票の再発行をする場合、以前勤めていた会社への依頼が可能です。会社は退職者の離職証明書の保管と、退職者からの要望対応が義務付けられているため、再発行依頼の申請に対応してもらえます。再発行された離職票は自宅へ郵送されるため、連絡をする以外に必要な手続きはありません。

注意すべき点は、退社後4年をすぎると再発行してもらえない可能性があります。もし、会社経由で再発行を依頼する場合は、退職から4年以内であるかを事前に確認しましょう。

自分で再発行申請をする場合

自身でハローワークへ再発行申請する場合は、3つの方法があります。いずれかの中から、都合の良い方法を選択し、申請しましょう。

①窓口申請
ハローワークの窓口で再発行を申請する場合、離職した事業所の住所を管轄するハローワークで申請をすると、最短即日で受け取ることができます。代理人による再発行申請はできないため、本人が出向いて申請をする必要があります。申請する際に必要な持ち物は、以下の通りです。

• 離職再交付申請書
• マイナンバーなどの顔写真付き身分証明書

離職再交付申請書は窓口にてその場で記入するため、雇用保険被保険者証を持って行くと必要な情報がすぐに記入できます。また、申請書に押印が必要となる場合があるため、認印も持参しましょう。

➁電子申請
窓口に出向く時間がない、自宅で済ませたいといった方は電子申請を利用しましょう。電子政府の総合窓口「e-Gov」にて、電子申請が利用できます。パソコン上で再発行申請書を記入し、電子証明書を併せて提出すると手続きは完了です。

パソコンが利用できる環境であれば、時間を気にせずに申請できるのは嬉しい点でしょう。申請後の状況は、マイページから確認可能です。

➂郵送申請
再発行申請は郵送でも可能です。離職票再交付申請書と本人確認書類のコピーを送付します。自宅の最寄りのハローワークに送付しても問題ありませんが、少しでも時間を短縮するのであれば会社の管轄となるハローワークへ送りましょう。

郵送で申請をした場合は、郵送で離職票が送付されます。忘れずに返信用の封筒を用意し、同封しましょう。

まとめ

離職票は、退職時に会社から離職者に対して発行される書類で、正式名称は「雇用保険被保険者離職票」です。原則的には退職後に次の就職先が決まっておらず、失業手当を申請する場合に必要となる書類となります。会社側は59歳未満で本人から、不要であるという申請がない限り、離職票発行の義務があります。

離職票が必要な場合は在職時に、雇用保険に加入しているかどうかの確認と、会社への申請を行いましょう。会社側からハローワークに必要書類を提出し、問題なければ10日前後で退職者の手元に届きます。

もし、離職票を紛失した場合は、再発行が可能です。退職した際の会社へ依頼する方法のほか、自身で申請する方法もあります。自身でハローワークへ依頼する場合は、いつでも申請ができる電子申請が便利です。必要に応じて、書類を揃えて申請しましょう。

離職票は失業手当を受ける際には必要な書類で、揃わなければ失業手当の交付が進められません。もし、退職後の就職先が決まっていない、失業手当を受ける予定がある場合は、忘れずに会社へ依頼しましょう。

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